【Repro Boosterによるサイトスピード改善効果】
※Google Chromeのエミュレーション機能を用い、スロットリング16Mbpsで撮影。
【モバイル】
FCP(First Contentful Paint):33%改善(0.32秒短縮)
LCP(Largest Contentful Paint):28%改善(0.42秒短縮)
【PC】
FCP(First Contentful Paint):27%改善(0.20秒短縮)
LCP(Largest Contentful Paint):40%改善(0.55秒短縮)
はじめに
法事などで故人を供養する際に墓石の後ろに立てられる木の板「卒塔婆」の製造を手掛ける有限会社谷治新太郎商店(創業明治15年)。同社が運営する「卒塔婆屋さん」は、自社製造の卒塔婆や仏具などを販売する自社ECサイトです。開始当初こそ苦戦したそうですが、右肩上がりで成長を続け、現在の顧客数はEC開始前の10倍以上に。「次世代コマース大賞2024」(公益社団法人日本通信販売協会主催)をはじめ数々の賞を受賞するなど、EC業界やメディアからの注目を集めています。
今回は、谷治新太郎商店の六代目当主で代表取締役の谷治大典さんに、サイトスピード改善ツール「Repro Booster」を導入した背景や成果についてお話をうかがいました。
「卒塔婆屋さん(2025年8月26日時点)」
主にお寺に向けて、自社製造の卒塔婆を販売するECサイト。2013年にスタートし、業界の常識を覆した卒塔婆のバラ売りや、幅広い決済手段の導入、卒塔婆への印刷や筆耕にも対応するなど細やかなサービスで成長。「寺コラム」や「婿社長コラム」といった読み物コンテンツも充実し、お寺からは「卒塔婆といえば卒塔婆屋さん」と第一想起されるようになっている。
じわじわと減少する卒塔婆の売り上げに危機感……「ネット通販をやるしかない」
――まず、ECサイト「卒塔婆屋さん」がスタートした経緯について教えてください。
元々卒塔婆については何の知識もなかったのですが、2012年、結婚を機に谷治新太郎商店に入社し、約1年後に義父(前社長)から会社を引き継ぎました。
当時は、毎年5%ずつ売り上げも利益も減少しているような状況でした。その原因を分析してみると、顧客の数や卒塔婆の単価が減少しているわけではなく、ただ、一件あたりの注文本数が減少し続けていました。少子高齢化や核家族といった時代の変化があり、卒塔婆が使われる機会が少なくなっていたのです。
法事で使われる本数をこちらから増やすことはできないので、新規の取引先を増やさなければならない。まずはお寺に直接営業をかけてみました。しかし、まったく契約が取れず……。それぞれのお寺が他の卒塔婆業者と100年以上の付き合いがあるので、急に変えることはできませんよね。私ひとりで営業に回れる範囲にも物理的な限界がありました。
そこで、ほとんど消去法のような形で「ネット通販をやるしかない」と思い至ったのです。
――卒塔婆のようなニッチな商品がネットで買えるというのは意外な気がします。当初の売れ行きはどうだったのでしょうか?
2013年の開始当時、卒塔婆をメインで販売している自社ECサイトは他にありませんでした。社員や同業他社からは「誰がネットで卒塔婆を買うんだ」という声が上がっていましたし、何より私自身も半信半疑でしたね。
それでも、とにかくスピードが大事だと思いECプラットフォームを使ってサイトを立ち上げました。しばらくは売り上げゼロだったのですが、3か月目にはじめての売り上げが2000円。「やっぱり売れるんだ!」と、うれしくなったことを今でも強烈に覚えています。
卒塔婆への印刷や筆耕にも自社工場で対応している。
最初の年は1年で20万円ほどしかEC経由の売り上げがなかったのですが、3、4年かけてECの月商が100万円を超えた際には会社が大騒ぎになりました。
その後、年商は順調に伸びています。特にコロナ禍の時期にはECの強みを発揮できました。それまでネットで買い物をすることに抵抗があった方でもECを使った購入に慣れたことや、緊急事態宣言で法事がどうなるかわからないときに、一括ではなく「バラ売り」で買える便利さに気付いていただけたことなどで大きく成長し、ECの売り上げは2023年度に年商1億円を突破 、今は2億円を目指しているところです。
業界の常識を覆したバラ売り販売、お寺からは「このオペレーションを知ったら戻れない」の声も
――先ほど「バラ売りで買える」とおっしゃいましたが、それは他社と何が違うのでしょうか
卒塔婆の販売は、例えば1年分の大量の卒塔婆をお寺に一括納入という形が一般的だったんです。そうすると納期が3~4か月後になったり、支払いはさらに2か月後だったりといった、ゆっくりしたペースで取り引きが進みます。お寺側は倉庫に大量にストックする必要がありますし、木にも鮮度があるので時間がたつと色が変わることがあるといった手間や課題がありました。
しかし卒塔婆屋さんでは、ほしいときに1本から買えるようにしたのです。早ければ当日、遅くても1週間後には発送するので、「こんなに早いの?」とびっくりされます。「今週末法事があるのに、火曜日に倉庫を開けたら卒塔婆がなかった」という場合でも、うちに発注すれば間に合うし、必要な本数だけ買えるから無駄がない。しかも決済はクレジットカードで完了している。「このオペレーションを知ったらもう戻れない」とお寺からも喜ばれています。
――単にECで卒塔婆を販売するようになっただけではなく、様々な工夫をされたことで事業が拡大したのですね。
ECサイトを立ち上げるまで、当社とお取り引きがあるお寺の数は500~600軒ほどでした。現在はそれが約6000軒と10倍になり、さらに毎月100軒ペースで増えています。卒塔婆を使うお寺は全国に約6万軒あるので、まだ伸びる余地はあると考えています。
とはいえ、卒塔婆自体の市場規模には限界があります。海外に輸出できる商品ではなく、国内の人口減少による需要減は続きます。将来的には地域の同業他社と連携して製造や販売などそれぞれの得意・不得意を補い合ったり、共同配送のような形で協力したり、といったことも考えています。
サイトがリッチになるにつれて表示速度が遅くなる。自ら行う対策にも限界が……
――サイト表示速度を課題として認識されたきっかけについて教えてください。
最初に使っていたECプラットフォームから別のECプラットフォームにリプレイスをしたことで、様々な機能が実装できるようになり、サイト構築の自由度が大幅に向上しました。しかし、サイトがリッチになるにつれて、表示速度も遅くなっていくというジレンマが発生したのです。実際にお客様から「サイト表示が遅い」「もう少し速くならないか」という指摘を受けることがありました。
購入後のアンケートでは、サイトの使いやすさについて「情報が整理されていてわかりやすい」など肯定的な意見が得られていました。しかし、それはあくまでも「買えたお客様」による購入後の結果です。GA4のデータを見ると購入に至らずサイトから離脱しているケースも少なくありませんでした。
卒塔婆屋さんがKGIとして見ている最も重要な指標はCVR(コンバージョンレート)です。CVRが0.1~0.2%変わると、売り上げが数百万円単位で変わってきますから、やっぱりCVRを上げたい。サイト表示速度も含め様々な理由で離脱している方がいることは間違いなく、そこに「見えない取りこぼし」があるのであれば、絶対に改善しなければならないと考えていました。
――サイトスピードを改善するために、何か対策をされたのでしょうか?
画像の最適化や遅延読み込み、フォントの最適化、画像サイズの固定、外部読み込みの調整など、自分でできることは手を尽くしていました。それでも、サイトスピードはなかなか向上しなかったんです。
もちろんECサイト運営のあらゆる業務をひとりでこなす中での対応だったので、速度改善に割けるリソースには限りがあり、もっとやりたいのに速度改善に使える時間がないという事情もありました。
そんな時に、ECプラットフォームからの情報で、サイトスピード改善ツール「Repro Booster」の存在を知りました。
――そこからスピーディに導入をお決めいただきましたが、何がRepro Boosterを導入する決め手になりましたか?
検討段階で、Repro BoosterのON/OFFを比較した速度シミュレーションを見ることができたのが大きな決め手になりましたね。費用対効果も加味しながら、手間をかけずにこれだけ速くなるのであれば、ぜひ導入したいと考えました。
ECプラットフォームの仕様により手作業では変換できない商品画像もRepro Boosterが自動で変換してくれるし、クリック予測&リンク先読みの機能もあるので、サイトがどんどん速くなるという期待感がありましたね。
簡単に導入でき、体感スピードが向上。何よりCVRの向上に寄与したRepro Booster
――実際にRepro Boosterを導入されて、効果はすぐにあらわれましたか?
タグを入れるだけで本当にすぐにサイトが速くなりました。自分がユーザーでも、これくらいのスピード感だったら不満がないなと思えるくらい、以前とは体感速度が全然違います。
体感スピードや様々な数値も向上していますが、何よりCVRが上がっているかどうかが重要です。いくら速くなってもCVRが上がらなければ意味がありません。そして、Repro Boosterの導入後は、実際にCVRが上がっているのです。
導入前後の30日間を比較すると、スマートフォンはCVRがプラス147.83%でPCがプラス43.69%、合計で見ると116.13%上がっています。CVRが上がったということは、つまり間違いなく離脱率が下がっていると考えてよいでしょう。
卒塔婆屋さんでは毎日サイト内の改善を続けているので、他の要素も影響しているかもしれませんが、全体的にスピードの影響が大きかったと思います。
――Repro Boosterとサイトスピードについて、率直な感想をお願いします。
誰しもECサイトを運営するうちに新しい機能を追加したくなると思いますが、機能がリッチになる一方でサイトはどんどん重くなり、全体で考えると逆効果になっている場合も多いことでしょう。そんな時に、非常に重要な指標であるサイトスピードを改善する効果は何より大きいです。
でも、スピードの改善って一筋縄ではいかない。たとえば画像を軽くするくらい自分でできると思っていても、全ての画像を差し替えるのは大変です。本格的に開発を入れようとすると、とんでもない大事業になりかねない。ネットショップ支援に強い制作会社さんに聞いても、速度改善は効果保証ができず難しいと言われました。
それほど困難なサイトスピードの問題が、Repro Boosterを導入することで何もかも自動化して解決できるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。
――今後、Repro Boosterに期待することがあれば教えてください。
Repro Boosterを入れて終わりではなく、さらに速くするためにテクニカルな部分でサポートしてほしいですね。
速度改善は難しい部分が多いのですが、「Repro Boosterでは対応できなくてもコーディングで改善できることがある」といった知見や裏技があれば、サイトはどんどん速くなるわけですよね。そういったアドバイスがもらえるのであれば、これからどんどん教えてほしいです。
――最後に、サイト表示速度に限らずECサイトについて悩まれている方に、ぜひメッセージをお願いします。
ECに関する講演などでも毎回言っていることなんですが「ECをなめるなよ」という一言に尽きます。
いまだに、すぐ売れるだろうと勘違いしている人もいるのですが、特に自社ECは、売れなくて当たり前です。もちろん、メジャーなブランドやSNSでフォロワーが何十万人もいる人が満を持して開店するのであれば別ですよ。でも、普通は誰も通らない砂漠の真ん中で開店するようなもので、簡単に売り上げは作れません。
自分でサイトを作るのであればコーディングできなきゃいけない、さらに広告はどうするのか、SEOをどうするのか、コンテンツも作らなきゃいけない、写真はどう撮ればよいのか、マーケティングの知見も関わってくるし、売れた後のオペレーションも必要になります。例えば卒塔婆屋さんで使っている梱包資材は、専門の業者と1年かけて開発しました。とにかく全領域についての知識と弛まぬ努力が必要です。
経営者がECを柱として育てていきたいのであれば、若い人に丸投げするのではなく、自らやってみることが必要です。私自身、この10年以上、ECしかやらないと決めてから毎日16時間をECにつぎこんでいます。
どこかでテクニックを聞いて表面だけ真似したり片手間で考えたりしていても、簡単に売り上げは上がりません。でも、それを毎日毎日続けていくしかないのです。
左から、有限会社谷治新太郎商店 六代目当主 代表取締役 谷治大典様、Repro株式会社 Business Development Division 関口みずき
※ 本記事は2025年7月22日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。
※ 本記事に記載されている「FCP(First Contentful Paint)」「LCP(Largest Contentful Paint)」の改善率・時間は、WebViewを除いた全ページ(Repro Booster適用外を含む)を対象とした、同期間同条件におけるRepro Booster稼働有無のA/Bテストの結果。比較対象はLCP、FCPの中央値。