株式会社クラウドワークス様が運営するクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」(スマートフォンアプリ版)への「Repro App」導入事例です。
プロダクト本部プロダクト開発部 プロダクトオーナーの柴田美郁様と、同デザイン部 デザイナーの坂下慧様 にプロジェクト全体像からその成果まで詳しくお話しいただきました。以下の3部構成になっていますので、興味をお持ちの章からご覧ください。
【目次】
Repro Appの導入と運用体制
クラウドワークス様のサービス概要
クラウドワークスは、オンラインで働きたい方の仕事を欲しい方(ワーカー)と、仕事を依頼したいクライアントを繋ぐ仕事のマッチングプラットフォームです。ワーカー数と取り扱っている仕事の数が日本最大級。その両者が多いことによって、数多くのマッチングが生まれています。
「クラウドワークス(2024年4月12日時点)」
「個のためのインフラになる」をミッションとして掲げ、スキルのある専門的なワーカー様からスキルを持たないワーカー様まで、全ての方に報酬を届けることができるプラットフォームです。
クラウドワークス様のRepro App運用体制
クラウドワークス様では主にプロダクトオーナーである柴田様お一人でRepro Appを運用いただいています。デザインのカスタマイズが必要になる要素については、UI/UXデザイナーである坂下様が最初に制作したものをもとに、柴田様が微調整しながら展開できているそうです。
Repro App導入時のオンボーディングに始まり、定例ミーティングにおける施策提案、日々の設定アドバイスまで、運用はReproのカスタマーサクセスが徹底的にサポート。成果実現に向けて伴走させていただいています。
ずっと手薄だったアプリマーケティング。だからこそ、そこに大きな伸びしろを感じていた
――最初に、Repro App導入の背景にあった課題をお教えいただけますでしょうか。
柴田 2016年にアプリの運用を開始して以来、プロダクトの改善が中心でアプリマーケティングをほとんど行っていませんでした。アプリ専属のマーケターもおらず、ずっと手薄になっていたんです。アプリマーケティングを行っている他社のサービスを見て、何かやらないとまずい、乗り遅れているかもしれない……といった危機感もありました。
でも、アプリにこそ大きな伸びしろがあるとも感じていました。実はアプリの担当になる前から、「アプリでプッシュ通知を送ればいいのにな」と考えていたんです。
坂下 Webではワーカー様 が何かアクションした際にポップアップを出すような施策も行っていましたが、アプリは確かに何もなかったですね。
――やらなければならないという危機感と同時に、やれば伸びるという確信があったんですね。そんな中、柴田様が2022年に アプリのプロダクトオーナーに就任され、プッシュ通知をきっかけにツールの導入を検討されたそうですね。
柴田 ワーカー様のMAU(Monthly Active Users)や応募率を改善するためのプッシュ通知を送ろうとしたところ、1施策の開発に1カ月ほどかかってしまっていて……。社内の開発コストに加えて多大なサーバー負荷が発生してしまうことも課題として浮かんできました。
一度のプッシュ通知でそれだけの時間やコストがかかってしまっては、PDCAを回しながらの効果検証も不可能です。そこで最小限のコストで実現できるようにしようと、ツール導入の検討をはじめました。
――実際にいくつかのツールを検討されたそうですね。その中で何がRepro Appを導入する決め手になったのでしょうか?
柴田 プッシュ通知に強いサービスを探していたのですが、同時に検討していた他のサービスは「ツールの提供だけ」で施策の設計や運用は全部自分たちでやるものが多かったんです。
私はその当時アプリのマーケティングについてまったくの未経験で、自力で成果を出せるかどうか不安があったのですが、Reproさんは導入時の設計から施策の運用まで一貫して伴走してくれるところが心強いと思い、それが決め手になりました。
さらに、以前別の会社でRepro Appを使っていたことがあるスタッフから「Repro Appはとても使いやすいよ」と評判を聞いていたことも後押しになりました。
期待以上の成果!アプリマーケティングのポテンシャルに理解も
――実際にご導入いただいた後の成果はいかがでしょうか。導入時の期待には応えられているでしょうか。
柴田 期待以上でした! 数値的な成果を見るとMAU、応募率ともにかなり上がっています。導入前の前年6月と今年3月とを比較すると、 MAUが 12%改善しています。ワーカー様からの応募UU率も、13.8%から15.1%になっていて1.3ポイントの伸び、9%改善していますね。
これだけ伸ばせたことでアプリマーケティングのポテンシャルについて社内でも理解してもらえました。
坂下 生産性向上に関する社内コンペを定期的に行っているのですが、Repro Appの導入によって開発工数を90パーセント以上削減できたという実績を柴田が発表して、見事に表彰されたこともありました。
柴田 一つの施策に1カ月くらいかかっていたのが、導入後にRepro上で同様の施策をする場合、ほぼ開発工数ゼロでできるようになったと発表したんです。
実際の発表資料より抜粋。大幅に工数を削減し、最小工数で効果の高い施策が実現できるようになったことが社内で評価されたそう。
――Repro Appの導入によって他部署にも好影響が出たといえそうですね。そんなRepro Appのツールとしての使い勝手や機能面での満足度はいかがでしょうか。
柴田 プロダクトとしてとても使いやすくて、私は大好きです。UI/UXがよくできていて、操作に迷わないのは大前提としてすごいです。
ユーザーのアクションを起点に適切なプッシュを送って迅速にコミュニケーションを取りたいと考えていたのですが、そこに「イベント起点プッシュ」※の機能がぴったりマッチしていました。
※Repro Appに設定した特定のイベントを起点として、該当ユーザーに自動的にプッシュ通知を配信する機能。
クラウドワークスから何十万通という大量のプッシュ通知を一斉配信することがあるのですが、そういう場合でもパフォーマンスが安定しているのも素晴らしいですね。
柴田 A/Bテストが簡単にできることにも満足しています。ボタン一つで設定できますし、有意差分析もツールがしてくれますね。
坂下 Web側ではA/Bテストを行う際にプロダクトオーナーが有意差判定の計算式を作って、そこに数字を入れて……と手間をかけている様子を見ていたのですが、Repro Appはツール上でパッと結果が出ることに驚きました!
Repro Appを利用したA/Bテストの一例。施策の実行から効果検証までツール上で完結するため、PDCAをすばやく回し成果につなげることが可能になっている。
坂下 デザイナーとしての立場からもう一つ挙げると、簡単なコードさえわかれば、ポップアップなどの表示がプロダクトのトンマナに合わせたパターンで作れて、かなり拡張性が高い点も良いなと思っています。
伴走するReproに「ひとつのチームとしてやってもらえている感覚」
――Repro Appのサポートやサービスについてはいかがでしょうか。
柴田 何より、Reproのお2人のサポートが手厚いですね。導入時に「1カ月で導入して施策を開始したい」と無茶なお願いをしたのですが、かなり柔軟に動いてもらえて、本当に1カ月でスタートできました。
導入が終わった後も、毎月施策の提案や改善案を持ってきてもらえました。私自身は開発とマーケティングの両方を見なければならず、マーケティングだけにリソースを割くことができません。そんな時にいろいろな提案をもらえたのはとても助かりました。
坂下 アプリチームに専属のマーケターがいない中で、Reproのお二方に伴走してもらえることに大きな価値を感じています。一緒にプロダクトのことを考えてくれて、本当にひとつのチームとしてやってもらえているような感覚があって、それが何より良かったです。
柴田 ワーカー様のアプリダウンロードや契約獲得といったステップをプランニングシートにまとめてくれて。ユーザー課題を考えながら「こういうプッシュ通知やポップアップがよいのではないか」という仮説から施策案まで全部設計してもらえたのが衝撃と言ってよいくらい、うれしい驚きでした。
当初は我々にアプリマーケティングの経験がなく、アプリの改善やユーザーへのアプローチ方法など全然わかっていませんでした。でも、他社事例をはじめ様々な知見を教えてもらいながら、効率的に施策の実行と検証ができたと思います。
導入・オンボーディング(使い方のご案内・施策勉強会)期間の最後に、施策や結果を振り返りながらワークショップを開催してもらえましたが、そこではプロダクトに対するユーザーとしての意見ももらえて、そこでは新鮮な視点に気づくことができてプラスになりました。
――どれだけReproからご提案しても、それを実施していただけない限り何の成果にもつながらないのですが、クラウドワークス様にはいつも迅速に対応していただいた成果だと思います。ちなみに導入してから現時点(2024年4月)までに88の施策 を行っていただきました。
柴田 そんなに実施していたんですね! 最初の1カ月は実装期間だったことを考えると、実質毎月10施策以上……どうりで大変でした(笑)
――さらにすごいところは、クラウドワークス様は数々のPDCAの軌跡をプランニングシートにしっかり残して可視化できるようにされていることです。今後それをほかの人が見て「こういう取り組みをしてきたのか」とわかるのも良い状態だと思っています。そんな中で、特に印象に残っている施策などはありますか?
柴田 「応募離脱リマインドプッシュ」は初期設計の段階でReproさんから提案していただいた施策ですが、「これ絶対やりたいな!」と思っていて、実際に配信したところ期待以上の効果が。なんと開封率が46%も!
その頃は開封率と言われても、それが高いのか低いのかピンと来なかったんですが、Reproのお2人がものすごくテンションが上がって「開封率46%はやばいですよ!」って(笑)
「応募離脱リマインドプッシュ」は、その効果の高さからアプリ内でも同様の表示を行っている。
――開封率46%は本当にめったにみられない数字です。クラウドワークス様の場合はプロダクトの魅力が前提としてあるので、届いたプッシュ通知がワーカー様たちに提案としてきちんと受け入れてもらえたのではないでしょうか。
「個のためのインフラ」を実現する、人々の生活に根差すサービスへ
――柴田様は、ずっと1人でアプリマーケティングを担当されてきたそうですが、同じように孤独に戦っているマーケターの方にメッセージがあれば、お願いします。
柴田 真っ先に「絶対Repro Appを使うといいよ」って言いたいです! 正直、費用面は決して安くはないのですが、間違いなくそれ以上の価値がある、コスト以上の成果が出るサービスなので、絶対入れた方がいいですよ。
ツールと費用だけを見ると二の足を踏む人もいるかもしれませんが、ツールとアプリマーケティングのプロを活用できることを思えば費用対効果はかなり良いです。
坂下 Repro Appはツールを使うのに前提知識が必要ありません。今までアプリやWebを触ったことがないのに急にマーケターをやることになり右も左もわからないという状況でも、ツールの使い方がわかりやすく、ちゃんとサポートしてもらえるので、誰でも大丈夫そうですよね。
柴田 準備いらずで、着の身着のままでもなんとかしてもらえます(笑)
――ありがとうございます。最後に今後のクラウドワークス様の展開やマーケティングの方針と、そこでReproがお手伝いできそうなことがあれば教えてください。
坂下 金銭面から感情面まで、ワーカー様が求めている報酬にコミットできるように、それぞれのワーカー様に合う仕事をちゃんと提案し続けたいです。仕事だけではなく個々のワーカー様が生きていく上で豊かになることを支えられるプロダクトでありたいとも思います。
スマートフォンは誰もがずっと携えているもので、アプリを開かずともユーザーにアプローチできるからこそ、Repro Appの機能を通してワーカー様の生活に入っていく余地がまだまだあるのかな、と思っています。
我々のミッションである「個のためのインフラ」を実現する、人々の生活に根差すようなサービスを目指していきたいですね。
柴田 ワーカー様が仕事をするためには、まず クラウドワークスの中で選択できる仕事が豊富にある必要があるので、クライアント側から発注しやすいような体験を提供していかなければならないと考えています。
つまりクライアント向けのアプリ内マーケティングや、発注しやすいプロダクト設計までやっていく必要があるなと思っていて。そういうところでもReproさんにお手伝いしてもらえるとうれしいですね。
Repro Appで実施されている施策と成果
クラウドワークス様がRepro Appを活用して実際に行った施策の一部とその成果を紹介します。
カゴ落ち施策を応用した、応募離脱リマインドプッシュ通知
仕事を探して応募画面まで行ったものの、応募前に離脱してしまったワーカー様に対して、一定時間経過後に「応募完了まであと一歩です」と、ECの「カゴ落ち施策」に当たるプッシュ通知を送付。開封率が46%、開封後応募率は16%と、応募率改善に寄与しました。
柴田 「応募離脱リマインドプッシュ」は初期設計の段階でReproさんから提案していただいた施策ですが、実際にやってみたら期待以上の効果が出て驚きました。
坂下 「応募離脱リマインド」はプロダクト施策化もして、応募画面から離脱した人に、アプリ内で「応募完了まであと一歩です!」と表示することも始めました。
「気になる!」登録ワーカー様への応募リマインドプッシュ通知
仕事を探したものの「気になる!」に登録するだけで離脱したワーカー様に「応募を忘れていませんか?」とプッシュ通知を配信。開封率23%、応募率3%と応募率改善に寄与しました。さらにA/Bテストを実施し、未配信の場合に比べて応募率が大幅に改善することもわかりました。
柴田 ワーカー様が移動時間や家事などの合間にちょっと仕事を探してみて、「気になったけど今は時間がないから後でやろう」と思って一旦閉じてそのままになるケースが少なくないと考えていて、その課題にぴったりマッチした施策になりました。
複数応募促進ポップアップ
仕事に応募したワーカー様に対して「あと〇件応募すると契約率が上がります」と、複数応募を促進するポップアップを表示。A/Bテストを実施し、未配信の場合に比べて応募数が17%改善しています。
柴田 平均4件応募すると契約率が上がるという統計があり、それに基づいて1件応募した方に「あと3件応募すると契約率が上がりますよ」など、複数応募を促すようにしました。
坂下 イラストの有無やカラーのトーンなど何度かポップアップのA/Bテストを試したところ、人のイラストが入った暖色系のポップアップが効果的など、テストしがいのある結果が出ました。
※聞き手:Repro株式会社 Customer Success Div 大塚勇士、Sales & Marketing Div 中野美佳
※本記事は2024年4月12日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。