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はじめに
国内プリントシール機シェアNo.1(2016年夏フリュー調べ)を誇っていることで有名なフリュー株式会社。2015年12月に東証一部に上場しており、ガールズトレンドビジネスを大きな柱の一つとして事業を拡大しています。
そんな同社が手掛けているティーン向けWEBマガジンが『HARUHARU』です。web版だけでなく、アプリ(iOS/Android)もリリースされている人気コンテンツですが、支持を獲得するまでには多くの苦労があったとのこと。
そこで今回はフリュー株式会社メディア事業推進部メディア制作課長の大谷さんと『HARUHARU』編集長の小林さんにお話を伺いました。
(聞き手:Repro カスタマーサクセスチーム 黒川)
捨て記事0!『HARUHARU』だけでトレンド収集を完結させる
ー 女子中高生人気が高い『HARUHARU』ですが、なぜ支持されているのでしょうか?
大谷:
もともと『HARUHARU』は「頑張って情報を追わなくてもこれだけでトレンドが手に入る」をコンセプトに立ち上げたメディアです。立ち上げ当時は日本に女子中高生のキュレーションメディアがなく、トレンドへの関心が薄かった子にとっては、オシャレ情報を探すのは難しい状況でした。
そのため「情報格差=オシャレ格差」の構造になっており、ここを解消したい!というのが当時の想いですね。だからこそ、そういった子たちに支持されるのかなと感じています。
小林:
私は女子中高生との座談会を少なくとも月に1回実施して、実態を把握することを大切にしています。実際に「何を使っているのか、どう生活している、何が面白い」というようなリアルなライフスタイルを追うことを意識しています。
例えば、アプリを整理する時に「機能ではなく色で分けている子が多い」ということは座談会を通して実感しました。アプリアイコンをリニューアルした後の座談会では「アイコンの色変わったのでフォルダ移動しなきゃ!」という声をもらったりもしますね。笑
大谷:
たしかに座談会から学ぶことは多いですね。僕の場合は、そもそも「文章を読む」ということに慣れてない子は多いことを感じました。なので、適切な文章量を維持しながらコンテンツの質も担保することを意識しています。
もちろん捨て記事は0です。なんでもいいから沢山情報を出すのではなく、少しでも必要なものを届けようとするのも、女子中高生に支持されている理由だと思いますね。
未経験の2人での立ち上げ。何となくの運用が続き悶々としてた日々。
ー 立ち上げ当初は苦労されたとお伺いしているのですが、実際はどうでしたか?
大谷:
初期の頃はかなり苦労しましたね・・・。 実は僕も小林さんも『HARUHARU』が初めてのメディア立ち上げ~運用でした。もともと僕は営業をやっていて、小林さんはデザイナーをやっていたんですね。なので、正直にお話しすると感覚でやっていた面があります。笑
小林:
特に初期の頃は追っている指標も明確でなく、とりあえずPVと継続率を見ているレベルでした。そこから少しずつ勉強しながら私と大谷さんがお互いに意見を持ち始めたのですが、考えてることが違っていて衝突しましたね。笑
当時の大谷さんは「とにかく量が大事だ!」という話をしていて、私は「コンテンツの質が命!」みたいに反論をして、チームとしても気まずい空気が流れていました・・・笑
大谷:
その話は懐かしい!当時の課題は、僕たちのなかで「PDCAを適切に回す」ことが出来ていなかったことにあったと感じています。
加えて、僕と小林の間で「明確な共通認識」がなかったので、チームとしても上手く機能していなかったなと反省しています。
ー そのタイミングで『Repro』に興味を持っていただいたんですよね
大谷:
そうですね。興味を持った当時はアプリのリニューアルを検討していたのですが、その時に使っていた無料のプッシュ通知配信ツールがクラッシュを高頻度で起こしていたのを解消したかったという背景がありました。
コンサルタントさんに「何か良いツールはないか?」と聞いた時に、「迷わず『Repro』を選べ!」と言われたので問い合わせたのを覚えています。
小林:
もともとはプッシュ通知を最適化したいという考えから『Repro』の導入を検討していました。他のツールと比較していくと、アプリ内メッセージが使えるといった機能が充実しているということも『Repro』を選んだ理由の一つです。
ただ、それ以上に『Repro』を導入しようと思ったポイントになったのがサポート体制ですね。「上手くツールを活用出来ないかも・・・」という懸念があったのですが、設定からオンボーディングまでのサポート内容をお伺いして、「『Repro』なら上手くいきそう!」と活用イメージが湧いたのが一番の決め手です。
なので、黒川さんにオンボーディングで初めてお会いする時はとても楽しみにしていましたね。笑
ー ありがとうございます! 私もチーム『HARUHARU』の一員としてご一緒出来て嬉しかったです!
『Repro』導入によって2人に初めて共通言語が生まれた
ー オンボーディングを実施させていただきましたが、どうでしたか?
大谷:
『Repro』導入後に、黒川さんにオンボーディングを4回実施していただいたのですが、初めて「ちゃんとチームでPDCAサイクルを回せているな」と感じましたね。
あと個人的にはオンボーディングを通して、ツールの活用方法はもちろんですが「どの指標を追っていくかを明確に出来たこと」が一番大きかったと思います。
今では小林さんと共通認識をもって会話が出来るようになり、施策の実施~検証をスムーズに行えるようになっています。
小林:
私はオンボーディングを通して、意図的にどのような施策を打つのかを考えられるようになったなと感じています。
加えて、初期の頃に黒川さんが施策案を複数持ってきてくれたのが助かりました。実際には複数の施策案の中から、月に1~2回の施策を選んで実施していましたが、意図している通りに数字が改善していくのを目の当たりにして「こうやってPDCAを回すのだな」と感じましたね。
あと初めてリテンションシートに記入して定点観測していくということも始めました!
大谷:
ちなみに少し恥ずかしいのですが、『Repro』導入初期の僕たちはアプリマーケディングにおける各指標の平均値が偏っており、自社アプリを第三者的に冷静な目で見ることが出来ていなかったという課題もありました。
そこを様々なアプリを支援している『Repro』のCSチームのノウハウでサポートしてもらえたのも助かりましたね。
ー 嬉しいです! 愚直に施策を実行していただいたことで、成果に繋がったと感じています!
リテンション率が10ポイント改善! キラーコンテンツが明確になった施策とは?
ー 効果が出たな!という施策にはどのようなものがありましたか?
大谷:
印象に残っているのはリテンション率の改善施策ですね。『Repro』導入前は「『HARUHARU』は新規ユーザーの翌日のリテンション率が高い」という評価をしていてリテンションについてはあまり考えてなかったのですが、実はちゃんと分析してみると「7日後のリテンション率は高くない」ということに気付きました。
そこで、新規ユーザーに7日後までリテンションしてもらえるように、リテンションしているユーザーが「どんなコンテンツを閲覧していて、どれくらいリテンションしているか」を分析するという施策を実施しました。
結果として、「韓国系のコンテンツを見ているユーザーのリテンション率が高い」ということが分かりました。
当時は韓国系コンテンツにそこまで力を入れてなかったのですが、そこから韓国系コンテンツに力を入れていき、約1ヵ月でリテンション率が5ポイント改善したのは印象に残っています。
小林:
加えて「実際にリテンションしているユーザーと同じ行動をトレースすることが出来ればリテンションするのではないか?」という仮説に基づいて「プッシュ通知を配信→意図通り同じ行動をしているか?の検証」を繰り返して最適な施策を模索しました。
PDCAを回した結果として、翌週のリテンション率が10ポイント改善したのは本当にうれしかったですね。
ちなみにこの一連の流れから韓国コンテンツの割合を増やしていくという方針に切り替えることになり、今では70%以上は韓国系コンテンツになっています。
もし『Repro』を活用していなければ、私たちはキラーコンテンツを見つけられずに今頃悩んでいたのかもしれませんね。笑
大谷:
他にも黒川さんが案を出してくれた「アプリDL後、3日連続ログインプレゼントキャンペーン」もリテンション率が大きく改善しました。
具体的には、キャンペーンに参加した新規ユーザーの週次リテンション率が10ポイント改善し、さらに実際に応募した新規ユーザーの場合は40ポイント改善したのはインパクトがありましたね。
※実際のキャンペーン内容
その他、色々な施策を試しましたが、実施していくうえで「分からないことがあれば黒川さんに聞こう!」という関係性があったのが心強かったです。
小林:
確かに一緒のチームとして併走してくれるなと導入初期からずっと感じていますね。あと、私は施策の結果に一喜一憂するタイプなのですが、黒川さんに共有すると一緒に喜んだり悔しがったりしてくれたのも嬉しかったです。笑
必要なものだけを魂を込めて送る!クリエイティブにも『HARUHARU』らしさを
ー プッシュ通知の許諾率が50%を超えていますがポイントはどこにあるのでしょうか?
大谷:
ユーザーに必要なものだけを負荷にならないように送付することを意識しています。基本的にはプッシュ通知ありきで考えてはおらず、例えば2日来なかったらプッシュ通知を送るくらいに留めていますね。
ちなみに以前は1日3回配信していたこともあるのですが、実は1日1回配信するのと結果が変わらなかったということも分かったんです。これも自分たちだけでは気づけておらず、ユーザーに不必要なプッシュ通知を送り続けていたんだと反省しました。
小林:
私は、ユーザーが『HARUHARU』に「かわいい・便利」を求めてきてくれるのだから、プッシュ通知も「かわいい・便利」となるものでないと駄目だなと感じています。
実際にプッシュ通知を少し雑にやったこともあるのですが、やはり開封率が下がってしまったので、女子中高生は正直だなと。笑
様々なシリーズがあるのですが、例えば休眠復帰を狙うときに使った「お母さんシリーズ」は個人的に好きですね。
※実際に配信されている「お母さんシリーズ」
ー これ可愛いですよね! 私もこのクリエイティブは大好きです!
小林:
このシリーズ面白いですよね。 実際には可愛いを追求した結果として、効果があったものも薄いものもありますが、「かわいい!」を提供するアプリだからこそ「かわいい!」は今後も追及したいなと感じています。クリエイティブも手を抜かずに全力投球していきます!
良い青春を過ごすための情報を今後も提供し続けたい
ー 最後に『HARUHARU』を今後どのようなメディアにしたいとお考えか教えてください!
大谷:
個人的には、良い青春を送るために必要不可欠なメディアにしたいと考えています。中高生って新しいことが待っている「エントリー世代」であり、自分で初めてお金を使って何かをするということが増えていきます。その時に間違った情報によって、青春が悪い思い出にならないようにサポートしていければなと感じています。
小林:
私はもっと新しいコンセプトというか、次に求められるコンテンツは何かということを考えていきたいですね。あとはもっと使いやすいUIを目指したいです。ここについては、黒川さんにもっと突っ込んできてもらえると嬉しいです!笑
ー 大谷さん、小林さん、ありがとうございました!
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はじめに
月間閲覧数約2億回(1)、2018年に出産した女性の3人に1人(2)が会員登録をしている、国内最大級のママ向けサービス『ママリ』。「ママの一歩を支える」というミッションのもと、アプリではQ&Aや記事配信を通じてユーザーが出産、育児、ママ友との関係、再就職などの悩みを解決できる場を提供しています。
すでにターゲット層に対しては抜群の知名度と活用度を誇る『ママリ』ですが、社内の限られた開発リソースをどう活用し、効果的な改善施策を行っていくかというところに関しては課題があり、その課題を解消するツールとして『Repro』導入に至ったといいます。
今回は、『Repro』導入以前に抱えていた課題と導入後の変化、そして『ママリ』の今後の展望などについて、同アプリを運営するコネヒト株式会社の藤澤さんにお伺いしました。
(聞き手:Repro カスタマーサクセスチーム 孫)
1) ウェブとアプリの合算値
2) 「ママリ」内の子供の誕生日を2018年1月1日~7月31日に設定したユーザー数と、厚生労働省発表「人口動態統計」の2018年1月~7月分の出生数から算出質問への回答率は98%以上!ママに愛されるQ&Aアプリ
ー まずはじめに、アプリの概要を教えてください。
藤澤:
『ママリ』はWebとアプリがあるのですが、アプリはママ・プレママが抱える日常の疑問を、匿名で相談できるQ&A機能を主軸にしています。
『ママリ』アプリのコミュニティはこの手のコミュニティサービスのなかでもかなり活発な方で、投稿数は月間約250万件あるのですが、質問投稿のうち回答率は98%以上、しかもほとんどの質問は95秒以内に回答されています。
ー 回答率98%以上はすごいですね!ではそんな『ママリ』における藤澤さんの役割について教えてください。
藤澤:
『ママリ』のアプリは「新規ユーザー獲得」「リテンション」「マネタイズ」の3チームに分かれて運用しているのですが、私はその中でもリテンションのチームに属し、ユーザーの継続率をメインのKPIとして『Repro』を使ったプッシュ通知・アプリ内メッセージ施策やアプリ内のコンテンツの改善に取り組んでいます。
ー アプリチーム内でも役割をしっかりと分けて運用されているんですね。
藤澤:
そうですね、リリース初期は担当者が一人しかおらず獲得からマネタイズまで見ていたのですが、サービスの規模が大きくなるにつれて組織も拡大してきました。ユーザー獲得チームはCPIやROASをミッションにし、マネタイズのチームは有料版の『ママリプレミアム』加入率などをミッションにしています。弊社はユーザーのサービスに対する満足度も非常に重要視しており、NPS(Net Promoter Score。顧客のロイヤルティの程度を把握するための指標)の向上をプロジェクトとして期間限定で取り組むチームもありました。現在はそのプロジェクトで出た結果をアプリに反映しようと取り組んでいます。
ー プッシュ通知施策も弊社ツールを導入する前からかなり力を入れられていましたよね。
藤澤:
やはりプッシュ通知は強力なリテンション施策なので重視していますね。数年前からプッシュ通知を運用する専任の担当者を置き、どういったコンテンツが一番ユーザーに刺さるかを日々検証しています。運用する担当者自身がママさんなので、利用者目線でコンテンツを考えることができるのも強みかなと思います。
『Mixpanel』利用時の課題は「データ分析と施策実行の分断」。素早い仮説検証サイクル構築のため『Repro』導入へ
ー 御社はデータドリブンな文化が根付いている印象ですが、『Repro』導入前の課題は何だったのでしょうか。
藤澤:
そうですね、ビジネスサイドのメンバーもSQLを扱えるメンバーが多いですし、『Repro』を導入する前は『Mixpanel』という分析ツールでコホート、リテンションなどの分析を行っていました。
分析だけでいうと社内でも十分にできていた一方で、分析で浮かび上がった仮説を検証するマーケティング施策の実行スピードに関しては課題がありました。ビジネスサイドとしてはなるべく早く仮説検証を行いたいのですが、社内の開発リソースが限られているため気軽にエンジニアに頼むことが難しかったんです。「その施策、本当に開発の工数をかけてまでやるべきなの?」というエンジニアサイドからの反論に対し、ファクトをもって立証できなかったんですよね。
藤澤:
そんな時に、グループ会社であるKDDIから『Repro』の紹介を受けました。分析からワンクリックでマーケティング施策が実行できる直感的なUIや、施策を行っているユーザー群と行っていないユーザー群を簡単にセグメンテーションし効果検証できる点など、「かゆいところに手が届くツールだな」という印象を受け導入を決めました。
プッシュ通知の最適化は“3ステップ”。平均開封率は1.2倍に
ー 『Repro』導入後のプッシュ通知の運用について教えてください。
藤澤:
弊社では1日に朝昼夜の3通プッシュ通知を送っているのですが、その最適化は3つのステップに分けて取り組んでいます。
ステップ1: 時間帯別のコンテンツジャンル最適化
まずは各時間帯ごとに送るべきコンテンツの種類を最適化しました。ステップ1についてはある程度の結論が出ていて、朝はユーザーの出産予定日に合わせて毎日変わる「今日のひとこと」プッシュ通知、昼と夜は寄せられたQAのなかでも特に人気がある「今日の質問」を送るのが一番効果がありました。
昼と夜については曜日ごとに質問のジャンルも変えています。たとえば月曜日であれば妊活の話題、火曜はベビーグッズや習いごとなどのライトな話題など、どのユーザーも週に一回は自分ごととして捉えてくれるようなプッシュ通知を送ることを心がけています。
ステップ2: ジャンル内の配信コンテンツの最適化
次に、膨大にある「今日の質問」コンテンツの中からどの質問を選んで配信するかを最適化しています。回答数の多さなどである程度フィルタリングした後は、プッシュ通知の運用チーム内でどの質問にするかを話し合いながら決めています。
ステップ3: プッシュ通知向け文言の最適化
最後は文言のPDCAです。文章の長さや文調など、ユーザーの目に止まり開封してもらいやすい文言は何かを絶えず検証しています。現在の勝ちパターンでいうと、
- 冒頭の文章は感情に訴えかけるようなものにする
- 文章の最後は「・・・」で終え、続きが気になるようなものにする
この2つは開封率が高い傾向にあるので、よく使っています。
これらステップ1~3を行ったり来たりしてプッシュ通知運用の改善を続けていった結果、プッシュ通知の開封率は『Repro』導入前後で20%ほど改善しました。送っているコンテンツは日々違うのでもちろん当たり外れはあるのですが、ある程度の勝ちパターンを見つけられたのは大きいですね。
ー 2割の改善はすごいですね!他にプッシュ通知で成功した施策などはありますか?
藤澤:
プッシュ通知の開封率ではなく、許諾率を改善した事例があります。『Repro』のアプリ内メッセージを使い、「ユーザーがもっともプッシュ通知を許可したくなるのはどのタイミングか?」を検証しました。その結果、ユーザーが質問を投稿した直後がもっとも許可されやすいということがわかり、次のステップとしては許可をお願いする文言の検証を行いました。文言も何パターンかでA/Bテストを回したのですが、ユーザーにとってのメリットが伝わりやすい文言がもっともタップ率が高かったです。
藤澤:
プッシュ通知を受け取るユーザーの母数を増やすことは開封率を上げることと同じくらい重要ですが、これまではKPIとして追う手段がありませんでした。『Repro』では管理画面を見れば許諾率がすぐにわかるので、大変便利ですね。
仮説は「まずやってみて確かめる」。ロイヤリティ向上の阻害要因をアプリ内メッセージで徹底検証
ー そのほかに実施したアプリ内メッセージの施策についてもお伺いできますか。
藤澤:
アプリ内メッセージはNPSを向上させるための仮説を検証する手段として重宝しています。
前述したように弊社ではNPSでユーザーの満足度を測っているのですが、NPSとサービスへの満足度の相関を調べたところ、アプリの利用初期に他のユーザーの質問に回答したユーザーはNPSが高い傾向にありました。
なので、「登録初月に質問に回答するユーザーを5pt増やす」というのを目標に掲げ、質問を回答するというユーザーアクションの阻害要因をマインドマップ形式でひたすら洗い出しました。「回答したくなる質問がそもそも少ないのでは?」「質問はあるが、UIが見にくくユーザーが質問を見つけられていないのでは?」こんな議論をしながらです。
ー 回答を阻害する要因の洗い出し、こんなに網羅的にやられているんですね!
藤澤:
はい。この中から改善によるインパクトと施策実行にかかる工数を考慮して優先順位をつけていったのですが、『Repro』のアプリ内メッセージ機能で洗い出した阻害要因のほとんどを検証することができました。
例えば、「回答が集まりやすそうな質問を見せればユーザーは回答してくれるのでは?」という仮説を検証するために新規ユーザーに対してポップアップを表示し、実際に回答をしてくれるユーザーの数を調べたりしました。こういったアイデアベースの仮説も『Repro』を使えばマーケター側だけでクイックに検証できるのが良いですね。『Repro』導入後、分析から施策の実行までにかかる時間は10分の1以下になり、エンジニアも無駄なイシューに開発リソースを割く必要がなくなったので喜んでいます。
カスタマーサクセスチームの心強いバックアップ
ー ちなみに、弊社のカスタマーサクセス(以下、CS)についてはいかがでしょうか…?
藤澤:
『Repro』さんのCSにはいつもすごく助けてもらっています。『Mixpanel』等の海外製ツールだとそもそも日本語で質問できず海外との時差もあるので苦労するのですが、『Repro』さんのチャットサポートは回答が丁寧で早い。アプリの実装のことをわかっている方がいるので自社のエンジニアに聞けないようなテクニカルな質問も聞けるのがいいですね!
孫さんの定期フォローも、現在の弊社のフェーズに合わせた施策のご提案や他社の事例など教えてもらえるので大変参考になっています。アプリについて知見がなかったり、担当者が一人しかいないような会社にとって御社のサポートは心強いのではと思います。
『Repro』で『ママリ』CS担当者の孫おわりに:今後の展望
ー サポートまでお褒めいただき恐縮です!最後に、今後『Repro』の導入を検討している方向けにひと言いただけますと幸いです。
藤澤:
『Repro』はディレクターやマーケターからするとやりたいことを直感的に実行でき、エンジニアからすると仮説検証にリソースを奪われずに開発に集中できる、両者をハッピーにするツールです。弊社のようにすでにデータ分析の基盤がある企業でも便利に使えると思うので、より短期間でPDCA回したい方にはおすすめです。
ー 藤澤さん、ありがとうございました!
(左から)Repro山中、コネヒト藤澤様、Repro孫 -
課題 アプリマーケティングについての知見がないままアプリを開発
1実体験に基づいた質の高い情報のおでかけコンテンツを提供
『aumo』は次の2つの方法で記事を作成しています。1つは社内にいる約100名の専属のライターに、自身の体験に基づいた記事を執筆してもらう方法。もう1つは全国のインフルエンサーの方々にお声がけし、詳しい・得意な地域に関する記事を書いてもらう方法です。
課金モデルはサイト内のアドネットワークでの収益がメインです。そのほか、純広告でパートナーからお金をいただいて記事を書くモデルや、レストランやホテルを掲載して掲載料をいただくモデルがあります。
2webとアプリの棲み分け
1. webではSEOで新規読者の安定した流入が期待できる
メリットは、一度公開した記事がSEOで検索上位に入れば、競合の状況やGoogleのアルゴリズムが大きく変わらない限り、順位は下がることがありませんので、上位を維持しながら毎月ある一定数の新規の読者の流入を見込めるので成長しつづけやすいところですね。
デメリットは、検索結果の上位に行き着くまでに、記事をたくさん作っていかなければいけないことですね。価値のあるコンテンツを提供し続けなければならないので、コンテンツの質と量のバランスを取るのが結構難しいです。
2. アプリはリテンション率の高い読者が多く、毎日利用する読者もいる
アプリはやはりリテンション率の高い読者が多いです。毎日『aumo』を読んでくれるファンが一定数増えてきていますし、日々の生活の中でコンテンツを楽しんでいただけることは、私たちとしても価値あるものを提供できているという実感が得られます。
一方で、まだまだコンテンツの量が足りていないといった課題がありますので、読者により満足していただけるように質の高いコンテンツをもっと多く作っていかなければと思っています。
3. webからアプリへの送客を実施
webページの上部にバナーを設置してアプリに送客をしています。想定していたよりも多くの読者が流入しています。まだまだアプリへの送客は伸ばせるフェーズだと思うので、他メディアを参考にしながら新たな導線の設計も検討中です。
導入 充実したオンボーディングプランと、カスタマーサクセスチームによる手厚いフォロー
プッシュ通知やアプリ内メッセージといったアプリマーケティングについての知見がないままアプリを開発することになったので、不安はありました。
そんな時、グループ会社のメディア『ARINE』が『Repro』を導入してからリテンション率などの重要指標が伸びているという話を聞いたので、信頼と安心感を持って導入を決めました。『Repro』はオンボーディングプランが充実していて、ツールの使い方だけでなく、施策の振り返りやアプリマーケティングのPDCAの回し方まで教えてもらえます。カスタマーサクセスチームに手厚いフォローをしてもらいながら、導入後は順調に運用しています。
1改善のためにまず目を向けたのは「プッシュ通知」
導入前の最も大きな課題に、どのようにアプリの継続率を伸ばすかという点がありました。
アプリのリリース後、想定していたKPIに対してiOSでは順調に成果を出していたのですが、Androidではなかなか達成できずにいたんです。プッシュ通知は読者にリーチしやすくリテンション率の改善に有効であるということから、プッシュ通知でのリテンション率改善施策を取り組むことに決めました。
『Repro』を利用することで、開発チームに頼ることなくマーケティングチームだけでスピーディーにプッシュ通知の改善ができます。
ただ単純にプッシュ通知を配信するのではなく、配信対象、許諾率、開封率、CVRと要素分解してプッシュ通知をどのように改善するかを考えて施策の検討を行いました。
配信対象者数やプッシュ通知の配信数、配信時間も継続率の効果に影響しますが、開封率に最も改善余地があったことと、Androidの特性としてプッシュ通知の許諾率が高いことから、開封率を上げることを最初の目的にしました。
2プッシュ通知の効果を最大化するために細かくA/Bテストを行い、検証する
改善するにあたって、徹底的に数字の検証をします。配信の時間帯、フォーマット、ターゲティング、コンテンツを具体的な改善項目として洗い出して検証を行いました。『Repro』を使ってプッシュ通知のA/Bテストを1日〜2日のペースで1ヵ月ほど行い、数値が下がったものはどんどん切り捨てました。
1. 配信の時間帯
もともとある程度決まった時間帯で1日5回、投稿していました。しかしもっと効果を上げることができるんじゃないかと、配信時間を細かくずらして検証してみました。
その結果、それぞれの時間帯で最適な時間を見つけることができました。Androidは地方読者も多く働き方が大きく異なるのか、朝は思っていたよりも早い時間の方が開封率が高い傾向がありました。
2. フォーマット
こだわったのは、タイトルと見出しが目立つようにバランスを見ながら文字の太さや文言を調整することです。 最初はプッシュ通知のタイトルにお出かけ情報のタイトルを入れていただけだったのですが、確認してみると、タイムラインにプッシュ通知を溜めている読者が結構いることがわかりました。そのため、タイトルと本文をうまく使ってタイムラインでいかに目立たせるかに注力しました。
あわせて、絵文字のA/Bテストも実施しました。一般的には絵文字を入れるとエンゲージメントが高まるといわれていますが、『aumo』の場合は必ずしもそうではありませんでした。最初は少し過剰なくらい絵文字を入れていましたが、反応が悪かったので絵文字を少しずつ減らしてみるなど細かいテストを行いながら改善をしていきました。
3. ターゲティング
『aumo』は全国の読者に対して偏りなく情報を伝えるメディアなので、適切なターゲティングが大事です。特定のエリアの情報だと見たくなる読者が限定されてしまうので、プッシュ通知で伝える情報の抽象度には細心の注意を払っています。
4. コンテンツ
開封されやすい記事の検証もしています。例えばグルメや観光、イベントなどOSによって刺さる傾向が異なったりします。
効果 プッシュ通知でAndroidの読者のリテンション率を1ヵ月で10%改善
それぞれの軸に対して『Repro』でプッシュ通知の分析を続け、結果を元に配信したところ、リテンション率を1ヵ月で10%も改善することができました。
私たちマーケティングチームはKPIとしてLTVを追っていますが、LTVを要素分解した中の1つにリテンション率がある。そのため、リテンション率が上がればセッション数を増やすことになりますし、PV数の増加にも繋がります。
今後やりたいこと
アプリの成長に寄与する重要なイベントを特定するための分析手法であるマジックナンバー分析で、記事への「いいね」が大事な要素になるとわかったので、今後はアプリ内メッセージで機能の認知拡大ができればと。また、もっと読者に満足してもらうために、コンテンツの質を維持しながら掲載量を増やす体制を築かなくてはと思っています。 そして、『Repro』を活用しながら継続率を上げ、『aumo』のファンもどんどん増やしてきたいですね。
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自己紹介と事業の紹介
『ローリエプレス』のアプリディレクターをやっております、古川と申します。よろしくお願い致します。本日は、『ローリエプレス』のアプリ成長戦略についてお話させていただければと思います。
『ローリエプレス』は、「自分磨きを頑張る女子を応援するメディア」として、10代~20代の女性たちが可愛くなって、ポジティブな毎日を送るためのヒントを届ける、というコンセプトで日々運営しております。
アプリ版をリリースした理由
サービスインから現在まで
『ローリエプレス』は5年前にまずWebでサービスを始めまして、アプリの方は、昨年末にiOS版をリリースし、今年の4月にAndroid版もリリースしました。各OSともダウンロード数を伸ばしており、現在約30万ダウンロードとなっております。
なぜアプリを出したのか
『ローリエプレス』というメディアが、なぜアプリを出したのかについてお話ししますと、開発当時は、特にwebの勢いは衰えていなかったのですが、それでもアプリをリリースした理由としては、ユーザーとメディア双方にとってのメリットがあったからです。
まず、ユーザー側のメリットとしては、やはりスマホでの使いやすさですね。最近では「スマホに触れている時間のうちの85%がアプリを利用している」というデータもありますし、『ローリエプレス』がターゲットとする10代~20代の若い女性の多くがアプリで情報を収集する傾向があります。
アプリ展開のメリット
また、リアルでのイベントでも直接ユーザーの方から「まだアプリ出ていないんですか?」とか、「アプリだったらもっと見やすいのに」といったお声をいただくということがよくありました。
こういった市場の変化を目の当たりにする中で、アプリ版をリリースしまして、メディアをアプリで展開する大きなメリットを感じることができました。それは「アプリの方が、よりユーザーと密な関係を構築できる」ということです。
アプリ開発当時はweb版も好調であったが、ユーザーの声や媒体側のメリットがアプリ版のリリースを後押しした。
webとアプリによる見せ方の違いとアプリの強み
webの場合だと、どうしてもSEOを重視した見せ方(テキスト中心)になってしまうのですが、アプリではデザインやコンテンツの見せ方だったり、webのルールに囚われず、メディアが持っている世界観を自由に演出してユーザーに届けることができます。
『ローリエプレス』のweb版とアプリ版の比較。アプリの方がより華やかな印象
web版(画像左)は、SEO対策を重視したテキスト中心の見せ方であるのに対して、アプリ版(画像右)では、よりビジュアルを重視した見せ方をしています。アプリの方が『ローリエプレス』が好きなユーザーに”深く刺さる”コンテンツを展開することができるので、ユーザーのファン化も自然と進んでいます。
このように、アプリを利用するユーザーとメディアを運営する我々の双方にとって魅力的であったというところが、アプリを出した1番の理由です。
良質なユーザーの獲得によりリリース後単月14万DL達成
ここからは、リリースしたアプリを実際にどうやってグロースさせたのかという事例をご紹介します。
iOS版のアプリは、昨年末のリリース後に単月で14万ダウンロードを達成しました。単月でこれだけタウンロード数がいくということは、プロモーションに随分お金をかけたんじゃないかと思われるかもしれませんが、ダウンロード数がこれだけ延びた理由は、リリース直後の割と早いタイミングで、App Storeランキングの上位に入ったことです。これには「リリース初期に良質なユーザーを多く集めたこと」がポイントであったと考えています。
成功要因としては、次の3点が挙げられます。
要因①ターゲットを絞った広告プロモーション
大多数に対しての大々的なプロモーションではなく、『ローリエプレス』の世界観が刺さるような人たちに向けた広告制作であったり、ターゲットを細かくチューニングしながら、プロモーションを進めていきました。
これによって、ダウンロードされてすぐにアンインストールされることが少なくなり、結果的に良い評価を得ることに繋がったと考えています。
要因②Webからアプリへのロイヤルユーザーの誘導
『ローリエプレス』はもともと、Webでのサービスを展開しており、そこにはすでに”ロイヤルユーザー”と呼ばれる良質なユーザーさんが多くいました。
そのロイヤルユーザーの方たちに刺さるようなクリエイティブであったり、アプリの紹介文を作成し、いち早くアプリへと移行してもらえるように、積極的にWebからの誘導を行いました。
要因③コンテンツを発信するインフルエンサーたちの影響
『Instagram』とか『Twitter』で人気の”インフルエンサー”の方たちの影響というものも大きかったと思います。
『ローリエプレス』では、インフルエンサーによるオリジナルのコラムを豊富に展開しておりまして、アプリをリリースした際にも、そういったインフルエンサーの方たちが、自分のコラムを読んでほしいという思いで、自発的にアプリを紹介してくださいました。
結果、『ローリエプレス』にもともといたファンだけでなく、それぞれのインフルエンサーのファンの方たちがロイヤルユーザーとして自然な形でアプリを利用し始めてくれたかなと考えています。
プロモーション費用をほとんどかけずに単月14万DLを達成
以上の3つによって、良質なユーザーにアプローチすることでレビュー数が自然と増えて、ランキングの上位に食い込むことができました。それによって、結果的にダウンロード数を大きく伸ばすことができた、という事例です。
他アプリの分析事例を基に利用維持率が約1.3倍に改善
新規ユーザー獲得はうまく行ったのですが、DLしてもらったユーザーたちにいかに長く使ってもらうかというところで、アプリの利用維持率という課題がありました。
メディアアプリの利用維持率向上において、クオリティの高いコンテンツを多く提供し続けるのは絶対条件です。
しかしながら、コンテンツではなくUXや機能にオーナーシップを持つアプリディレクターとしては、機能面から利用維持率を向上できないかというアプローチも考えました。
結論から言いますと、お気に入りの記事を保存する「クリップ機能」を追加することで利用維持率が約1.3倍に向上しました。
一般的には、新たな機能を追加する場合に、仮説の元となるデータや数値を基準に判断を進めていくと思いますが、アプリのリリース直後は、まだそういった分析ツールを導入していませんでした。そこで、仮説の元となる根拠を得るために、『Repro』による分析を行っていた自社の他アプリ『エキサイトニュース』を参考にしました。
『ローリエプレス』と同じく記事を読む ”リーダー型” アプリの『エキサイトニュース』で、利用維持率の高いユーザーに「クリップ機能を使う」という特徴があったため、『ローリエプレス』では、よりクリップ機能を利用してもらいやすいような設計を行いました。
具体的には、『エキサイトニュース』では、クリップ機能を利用してもらう為の導線が2ヶ所だったのですが、『ローリエプレス』では、よりユーザーに気付いてもらいやすいよう、導線の数を増やした上で、機能を追加しました。
このクリップ機能追加の前後で、先ほど申し上げた利用維持率が約1.3倍になりました。実数値ベースでは28%から36%まで上がりました。こういった成功事例から、現在は『ローリエプレス』のほうでも『Repro』を導入していまして、コンテンツクオリティの部分だけではなく、データ分析からこういった機能の改善を繰り返し、維持率を上げる工夫をしています。継続利用につながる「マジックナンバー」をクイックに分析できるのが『Repro』のいいところですね。
まとめ
最後にまとめになりますが、『ローリエプレス』がなぜアプリを出したのかと言いますと、ユーザーとメディア双方にとってメリットがあるからでした。スマホの利用時間が増えていく中で、ユーザーにとってはアプリという形が情報を得やすい形であるということです。
また、アプリの方がメディアの持つ世界観がより深く伝わるようなコンテンツ展開ができるので、ユーザーとの密な関係構築が可能であるということ。そして、ダウンロード数であったり、利用維持率の向上には、リリース後の良質なユーザー獲得と、継続利用につながる機能の発見が重要だということです。
方法としては、ターゲットを絞ってのプロモーションであったり、webからアプリへと誘導しながら、データを使って機能改善を繰り返していくということになります。
こういった細かい施策の積み重ねによって、『ローリエプレス』はユーザーと非常に良い関係を築けておりまして、今後も女子力アップのヒントをお届けしていきたいと思います。
ご静聴ありがとうございました。
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