はじめに
国内有数の有料会員数1500万人を誇るスマートフォン向けサービス『auスマートパス』を運営していることで有名な株式会社mediba。最近は「UXを重視したモノづくり」を進めています。
そんなUXを重視する同社において、初めて自社が牽引してユーザーテストを実施、推進しているサービスに『au占い』があります。そして『au占い』においても『Repro』をご活用いただいており、UXの最大化を支援させていただいております。
そこで今回は、『au占い』をご担当されている篠田さんと橋本さんに「『Repro』をなぜ導入し、どのように活用しているのか」をお伺いしました。
(聞き手:Repro カスタマーサクセスチーム 孫)
『au占い』は占いに対する2つの異なるニーズを満たすサービス
――改めてになりますが『au占い』はどのようなUXを目指しているのでしょうか?
篠田 『au占い』はWeb版からスタートしたサービスであり今年でリリースして4年目のサービスになります。アプリ版については2017年12月にリリースしており、Web版とはサービスの提供内容も異なります。
――確かにサービスの内容はかなり違いますよね、どうして分けられているのでしょうか?
※左がweb版、中央・右がアプリ版
橋本 サービスの内容を分けている理由は”占いに対するニーズが2つ存在している”ということが大きいです。2つのニーズの中で、多くの人が当てはまるニーズとして”エンタメ”という要素があります。分かりやすいのが、その日の運勢みたいなライトなコンテンツですね。
それに対して、もう一つのニーズとして存在するのが”悩み相談”です。これは弊社でユーザーヒアリングを行っていくことで明確になったのですが、本当に悩んでいることを本気で相談したいというニーズを持っていらっしゃるユーザーさんが一定数いらっしゃいます。
篠田 なので、それぞれのニーズに対するUXを最大化するということを意識して、Webとアプリでのコンテンツ内容をガラリと変えているんです。特にアプリ版については、多くの占いサービスとは異なり、チャットや電話を通じて、占い師の方と直接コミュニケーションがとれることで新しいUXを提供することを目指しています!もしかしたら、占いというよりもカウンセリングというイメージの方が近いかもしれませんね。
そんなに甘くない。Web to Appは自然に実現されるという思い込みがあった・・・
――ちなみに、どのような経緯で『Repro』の導入をご検討いただけたのでしょうか?
篠田 お恥ずかしい話になるのですが、元々Web版のサービスにユーザーが集まっていたことに加えて、ユーザーをオーガニックで獲得出来るチャネルがあったので、アプリ版をリリースした後は「同じ占いのサービスなのだから、それなりの割合でアクティブに使ってもらえる」と考えていました。
なので、リリースした直後はアプリマーケティングの必要性をあまり感じておらず、自然にWeb to Appが実現されると思っていたんです。
橋本 それが蓋を開けてみると、アプリのインストール数は悪くなかったのですが、全然アクティブに使ってもらえていなかったというのが実情でした・・・。そこから「このままじゃヤバい」ということになり、「ユーザーにインストールはされるけど、使ってもらえていない要因」を追求するためにユーザーテストを実施したんです。
篠田 ユーザーテストを実施して判明したのが、「そもそもユーザーにサービスの内容を理解してもらえておらず、すぐに離脱していた」ということでした。アクティブにユーザーに利用してもらうためには、アプリマーケティングが必要そうだと感じたのはこれがきっかけとなりましたね。そこからアプリマーケティングをどのように進めていくかをチームで考えるようになりました。
グループ企業での成果をきっかけに、エンジニアも巻き込んでスムーズな導入を実現
橋本 アプリマーケティングを実施していく方針になり、意識したのは”スピーディーにPDCAを回しながら実施していけるか?”ということでした。また、これを実現するために”エンジニアを巻き込む工数を最小限に削減出来るか?”ということも考慮して、どのように進めていくべきかを考えている際に知ったのが『Repro』でした。
グループ企業内のサービスで活用されており、成果が出ているということも聞いていたので導入を検討しようという話になりました。
篠田 グループ企業内での『Repro』の評判が「セグメントを細かく設定出来て、分析もしやすい。サポート対応も良かった。」と高評価だったのが印象的でした。ツールを導入したから上手くいくというわけではないですし、このような評判があったので社内調整も進めやすかったですね。
また、導入を検討していくうえで”似ているサービスでの利用実績がある”ということも大きかったです。
――導入を決める際に不安はなかったのでしょうか?
橋本 導入に関する実装などの技術的な部分はヒアリング時点でエンジニアにも同席してもらったことで、スムーズに導入出来るイメージが持てたので不安はありませんでした。こちらの記事にもあるのですが、チームとしてマーケターとエンジニアの距離感が近く、このようなチーム体制で進めることが出来ています。
しかし、実際のイベント設計といった部分では説明で出来ることは理解していたものの、「実際にどのように設定したら良いのか?」や「イベント名を付ける際の命名規則は?」という具体的な部分が漠然としていて、不安は実際にはありましたね。
篠田 ただ、この部分については孫さんのサポートにかなり助けられました。『Repro』の導入を進めていく際には、初期設計シートという施策フレームワークをもとに実施する施策を検討していくのですが、これを孫さんに丸っと見てもらってレビューいただけたのは大きかったです。
あと、分からないことについて気軽に相談出来ることもありがたいですね。Reproユーザー限定の『Slack』を通じてコミュニケーションをとっているのですが、レスが早いことに加えて、「どのような質問でも送って大丈夫!」という心理的な安全が担保されているので同じチームとして動いてる感じがあって進めやすいです。
――ありがとうございます! 私もとても進めやすくて、いつも助かっています!
1年弱で130施策を実施! チームで楽しみながら活用したのが吉と出た
――『Repro』導入後は、どのように施策を実施されているのでしょうか?
橋本 『Repro』を活用し始めてから1年弱が経過しましたが、トータルで130施策は実施していますね。特に導入してからの最初の2か月くらいは毎日のように「『Repro』を活用して、どのようなことをしようか」みたいなことを考えていました。
今はアプリユーザーが増えてきたこともあり、だいたい週に1~2回くらい『Repro』の管理画面にログインして活用しています。
篠田 『Repro』を導入した最初に活用したのが「ファネル分析」の機能です。「ファネル分析」を活用して、ユーザーがどのタイミングで離脱しているのかを把握し、最初に行うべき施策の優先順位を整理出来るように動いていました。そこで分かったのは、ほとんどのユーザーが「占い師を選ぶ」というアクションにまで辿りつけていないということでした。
※実際にau占いチームで利用している資料より抜粋
橋本 そこから、各ファネルでの離脱ポイントを塞ぐような施策を実施していきました。具体的には「チュートリアルをスキップ出来ることを伝えるアプリ内メッセージ」や「プロフィールを入力しなくても大丈夫なことを伝えるメッセージ」などを初期の施策として設定しています。
ちなみに、この施策を行っただけで「プロフィールの突破率」が約7ポイント改善しています。笑
篠田 最初に実施した施策で成果が出たので、かなりテンションが上がりましたね! 「本当にアプリ内メッセージを設定するだけで変わるんだ」と驚いたことを覚えています。『Repro』導入以前は、「成果を出す=リニューアルなどの追加開発が必要」と考えていたのですが、開発リソースを割くことなく成果を出すことが出来たので感動ものでした。笑
橋本 『Repro』を実際に利用してみて感じたのですが、”分析→施策の実施”をスムーズに出来るのは使い勝手が良くて気に入っています。例えば、先ほど話に出たファネル分析を行った際に、離脱が増えているファネルに対して施策を実施したりしているのですが、管理画面で操作する際にはスムーズに設定が出来るのは嬉しいポイントですね。
あと、他のユーザーさんにもオススメしたいのですが「オフィスグリコをかけた戦い」は盛り上がるので、是非やってみて欲しいです!
篠田これは、チーム内で2つグループに分かれて、どっちの施策の方が効果が出るのかA/Bテストをやってみる。それで効果が良かった方に負けたグループがオフィスグリコを奢るというものなのですが、これが意外と白熱します。笑施策のPDCAを回すという観点だけでなく、チームビルディングとしてもやってみて良かったなという取り組みでした。
――『Repro』を楽しんで活用してもらえてるのは嬉しいので、是非こういう取り組みが増えて欲しいです!
全社総会で”ベストグロース賞”として表彰されたのは、ユーザーのことを考え続けられたから
――アプリマーケティングを実施していくうえで、どのようなことを意識されているのでしょうか?
橋本 プッシュ通知を配信する時だと、「ユーザーは今どのようなことを考えていて、どのような状況にあるのか?」というようなユーザーストーリーを頭に思い浮かべながら実施していますね。
実際のユーザーにヒアリングをしていく中で利用していく際のシーンや心情などがリアルに分かるので、仮定のペルソナでなく実際のユーザーストーリーに合わせて配信することがUXの視点で考えても大事なんだと信じています。もし、たとえ同じ数字であっても、実際のユーザーに向けて配信するという意識は忘れないようにしています。
篠田 私も同じ意見です。UXという視点でいくと、占い師ユーザーへのインタビューも実施しています。もともとは「徹底してユーザー目線に立ったサービスにする」という想いから占いを受けるエンドユーザーを対象にユーザーテストを実施していたのですが、今年の2月には「占い師の方も『au占い』のユーザーである」という考えから占い師ユーザーに対するインタビューを実施しました。
ここで感じたのが「占い師ユーザーのコンディションも占いを受ける方のUXに影響を与える」ということです。インタビュー実施前は、「より多くの占い師の方に待機してもらうことがエンドユーザーにとって重要である」と単純に考えていたのですが、これが占い師ユーザーにとってはコンディションを保ちにくく、結果として占いを受けるユーザーにとってのUXが最大化しないということに気がつけました。
これは占いを実際に受けるエンドユーザーの視点だけでは気づけなかったことなので、広い視点でユーザーの視点に立つことの重要さを感じましたね。
橋本 自慢になってしまいますが、このようなUXのこだわりを持てたことで”社内褒賞制度の一つである「mediba Awards 2018」でベストグロース賞を受賞”できたと考えています。前年度比で126%の成長を実現出来たことが単純に嬉しかったですし、私たちが考えていたことは正しかったと感じることも出来ました。
※受賞時に撮影されたau占いチームの一コマ
なので、今後も継続的にユーザー目線に立てるようにサービス改善を進めていきたいですね。そういえば、最近だとユーザーコミュニティ『Pluto(プルート)』で開催されている『ユーザー成長ステップワークショップ』のフレームワークを活用して、社内ワークショップも実施してみましたよ!
――おお! 最近、活用してもらっているユーザーさんが増えていて、嬉しいです!
篠田 あの社内ワークショップはやって良かったですよね。『Repro』というツールで成果を出すということはもちろんなのですが、ツールだけでなくコミュニティで様々なノウハウがシェアされたり、他社さんがどのような施策をやっているかなどを知れることも魅力だと思っています。
今後は『Repro Web』も活用して、多くのユーザーに対するUXの最大化を目指していく
――最後に、『au占い』の展望はどのように考えていらっしゃるのでしょうか?
篠田 これは主観も入っているのですが「占い系のサービスって昔からUI/UXが変わっていない」と感じています。それを『au占い』を通してユーザーにとって新しい占い体験を提供することを目指しています。
また、占いというコンテンツ自体は日常生活の中に溶け込んでいるのですが、チャット占いというジャンルはまだまだユーザーからの認知も低いので、この点も変えていければなとも考えていますね。
橋本 私もユーザーテストを実施している中で、占いが”心の支え”になっている人も一定数いらっしゃることを目の当たりにしているので、その人たちにとって『au占い』がもっと身近になり、気軽に相談出来るサービスとなれるように改善していきたいです。
また、具体的な施策の話になりますが、『au占い』のWeb版に『Repro Web』を導入したので、今度こそweb to appを実現したいなとも考えています。
篠田 Web版『au占い』は別のメンバーが運用しているのですが、アプリ版と似たような課題があるのでリリースを見た時はすぐに問い合わせましたね。まずは、アプリ版とWeb版のそれぞれで最適化を図ることを想定していますが、占いに興味がある人はアプリ版とWeb版それぞれの要素を求めているので、web to appで全体最適を実現してユーザーに価値提供が出来るのが理想です。
ユーザーにとっての提供価値を最大化出来るように、短期ではアプリ版とWeb版のIDを連携させることで、CRMを意識した施策を『Repro』を活用して実施していきたいと考えています!
※本記事は2019年6月17日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。