株式会社パルコ様が運営する「POCKET PARCO」アプリへの、Reproソリューションの導入事例です。顧客政策部 部長の安藤彩子様、政策チームの高森敦史様、大木理恵様に、プロジェクト全体像からその成果までを詳しくお話しいただきました。
【目次】
株式会社パルコ様×Reproのお取り組み全体像
POCKET PARCOの概要
「POCKET PARCO」は「PARCOでのお買い物をもっと楽しく、もっと便利に」がキャッチフレーズの会員アプリ。「PARCOメンバーズ」の会員証としてはもちろん、「ポケパル払い」というパルコ独自のQRコード決済機能、旬のカルチャーニュースをチェックできる「PARCO Journal」など、パルコが提供するサービスを楽しみ尽くすための機能が満載。ショップニュースのクリップや店舗に訪れたときに、ポイント交換可能なコインがもらえるのもユニークです。
「POCKET PARCO(2025年4月21日時点)」iOS/Android
株式会社パルコ様への支援概要と体制
株式会社パルコ様のPOCKET PARCOには、「Repro App」をアプリ用のコミュニケーション基盤として2020年6月から導入いただいておりました。一方でCRM(Customer Relationship Management)、OMO(Online Merges with Offline)に関するデジタル領域での経験不足という課題を抱えられており、より効率的なツール運用、アプリを用いたファン化政策の強化を目的として、2024年12月にマーケティング実行支援サービスである「アプリ収益最大化サービス」を導入いただいております。
「パルコ=ファッション商業施設」だけではない。より深いパルコファンを増やすために
――2024年で10周年を迎えたPOCKET PARCOアプリ。パルコ様のビジネスにおいてどのような意味合いを持っているアプリなのかを簡単にご紹介いただけますでしょうか。
高森 パルコは「刺激、デザイン、クリエイト」をビジョンとして、「感性で世界を切りさく」という言葉をパーパスとして掲げ、皆さんが真っ先にイメージするであろうショッピングセンターをはじめ、劇場、ライブハウス、映画館、出版まで、文化・カルチャーに関わる多彩なサービスを展開しています。
そういったパルコのサービス全体をより楽しんでもらうために弊社が運営しているのが「PARCOメンバーズ」という会員サービス。そして、PARCOメンバーズのデジタルタッチポイントがPOCKET PARCOというアプリです。
安藤 40代や50代の方々には、「パルコ=カルチャー」というイメージが浸透していると思うのです。しかし、世代が若くなるにつれて「パルコはファッション商業施設」という感覚を持たれている人のほうが多くなるのが実情です。
一方で、パルコが発信しているメッセージや事業は創業から一貫して、「カルチャーを通じて、生きることの美しさ、自由であることの素晴らしさを表現」するというもの。このギャップを埋めてパルコ全体のファンになっていただく、もっと好きになっていただくための活動がPARCOメンバーズであり、POCKET PARCOだといえると思います。
――ありがとうございます。パルコ様のCRMやロイヤルティプログラムの核となる顧客タッチポイントとしてPOCKET PARCOが存在しているのですね。
顧客理解、顧客への想いはあふれるほど。欠けていたピースはデジタル経験
――パルコ様にはアプリ用コミュニケーション基盤としてRepro Appを、そして2024年12月からはマーケティング施策の実行支援サービスであるアプリ収益最大化サービスをご導入いただいています。導入の背景や課題について教えてください。
大木 先行して導入していたRepro App、つまりツールの文脈でお話しすると、導入前はプッシュ通知やアプリ内メッセージを配信して終わりという状態でした。「プッシュ通知をいつ、何通配信した」といった程度のことしか計測できずにいたのです。
お客様のことを第一に考え、「こんなメッセージを届けたい」「これはお知らせすべき」と議論しながら施策を進めていたのですが、反応までは見られていませんでした。Repro Appのおかげで開封率やCV(コンバージョン)数が可視化され、一方通行だったコミュニケーションが、データを介して双方向になったのが大きな変化だったと捉えています。
私は店舗業務に携わっていた時期もあります。例えばチラシを作って配布するとき、そのメッセージが本当にお客様に届いているのかがまったくわかりませんでした。Repro Appを活用してお客様の反応を数値で把握できるようになったので、「ちゃんと届いている」「意味がある」ということがわかって、やりがいにも繋がっています。
高森 直近ではMAUの伸びに課題感を持っていました。アプリのインストール数を増やすには店舗との連携が必須で我々の専門分野です。具体的な取り組みもスタートしていて順調に進んでいます。
一方で、アプリをインストールしていただいたものの、PARCOメンバーズやポケパル払いの利用登録を完了していただけていないお客様が多かったり、インストールしても一度しかアプリを利用していただけていなかったりするケースも少なくありませんでした。CRMやOMOを目的としたアプリなのですから、便利な機能を継続的に利用していただかないと成功とはいえません。アプリの継続利用、来店促進といった領域での具体的な施策を求めていました。
安藤 パルコはとてもプロパーの社員が多い会社です。だからこそ、パルコ自体のこともよく知っていますし、パルコを愛してくれるお客様のことを第一に考えてアクションを取ることができます。私がCRMにおいて最も重要だと考えている要素に大きな強みを持っているんです。
一方でデジタルマーケティングやCRMを実施する専門の人財がその業務を担当しているわけではないので経験値が少ない。この点をReproさんの伴走支援で補いながら、より多くのインプットを得たいと考えていました。
ワークショップがきっかけ。プロのノウハウが組織全体のレベルアップに
――お取り組みの開始前にはワークショップを開催させていただきました。ご好評いただいたと聞いているのですが、改めてご感想をお教えください。
安藤 その節はありがとうございました。メンバーそれぞれが多忙ななかで、ワークショップを開催すべきか正直悩みました。顧客政策部の全員 をワークショップで長時間拘束するのはどうなのかと。ただ、全メンバーが同じテーマでディスカッションし、アウトプットして相互理解を深めることをとても大切なことだと考えていて、その機会になることを期待して思い切って決断しました。結果的にメンバーにとっても良い経験になったと捉えています。
実は私の個人的な目標の中に、「部内から『もっとアプリで』とか『もっと店舗が』といった縦割りの業務領域を主語にした言葉が出ないようにしたい」というものがありました。その領域を担当している誰かの役割や責任にするのではなく、顧客政策部の全員が主体となって成功をつかみ取る環境を作りたかったのです。
ワークショップ後はそういう言葉がまったくでなくなりました。「デジタルの仕事をしていても、リアルと向き合う仕事をしていても目的は同じ」「お客様にメッセージを伝え、来てもらって、体験してもらうことが重要である」という共通認識が生まれたのだと思います。見えない垣根みたいなものがなくなりましたね。
高森 同じ部署にいてもチームが違えば主たる業務は異なります。同じチーム内でもメンバーそれぞれに自分の仕事に集中してしまいがちです。今回のワークショップは「継続来店を生み出すためのUX課題の整理とコミュニケーションの検討」というテーマで開催していただきました。共通のテーマを全員で考えて、議論して、アウトプットできたことで部内の目線が揃った実感があります。「みんな当然こう思っているよね」と考えていたことが実は違っていたりと、発見も多かったです。
大木 他チームのメンバーを交えてワークショップができたのは大きかったです。私たちとはまったく違った角度のものの見方や意見が出てきて視野が広がりました。ワークショップで話し合ったことが普段の業務で共通言語としてそのまま引用されていたりするので、直接的に仕事に役立っています。
■ワークショップの様子顧客政策部の皆様が一堂に介してのワークショップ。「継続来店を生み出すためのUX課題の整理とコミュニケーションの検討」というテーマに対し、様々な角度から意見が飛び交い、部内の共通認識の醸成、以降のコミュニケーション促進に役立てられている。
――アプリ収益最大化サービスによるマーケティング施策の実行支援が始まって3カ月ほどがたちました。率直な評価をおうかがいできますでしょうか。
高森 これまでは経験が少ないなかで、手探りで施策を実施していました。成功した施策もあれば失敗した施策もあったのですが、それを知見として整理し、蓄積ができていたかというと不十分な面があったと思います。今回、Reproさんに入っていただいて、アプリを使ったマーケティング手法を体系的にわかりやすく提案いただけたことは、非常に大きなメリットだと感じています。
例えば、お客様をアプリ内行動でセグメントしたり、理想とするお客様の行動を成長ステップとして整理して施策を立案したり、必要性は認識していたもののやり切れてはいなかったんですよね。A/Bテストでお客様の反応を見ながら最適化を図っていくという運用方法も勉強になっています。Reproの皆さんが高速かつ大量にPDCAを回して、お客様にとって最良のコミュニケーションを探っているのを拝見して、これまでは実施前に考えすぎていたなと感じています。
■提案・施策資料の一部アプリマーケティングの基本的な構造や考え方をReproが整理。さらにPOCKET PARCOに落とし込んで、具体的な施策を提案している。
※提案資料の一部を加工して抜粋。
大木 Reproさんは他社のこともよくご存じなので、多角的な視点でアドバイスをいただけるのがすごく心強いです。良い意味でも悪い意味でも、私たちはパルコのことしか知りません。他社がどのような活動をしているのか、施策を採用しているのかという情報がなく、不安のなかでアプリと向き合ってきました。それが「他社ではどうですか?」「こんなことをしたいのですが事例はありますか?」と聞くとすぐにご回答いただけます。この点は本当に助かっています。
専門知識がない人が強みを活かせるツールであり続けてほしい
――最後にReproに対する今後の期待をお教えください。
安藤 ツールとしてのRepro Appに対しては、これまで通り、これまで以上に使いやすいツールであってほしいです。エンジニアリングについての知識が必要だとか、データ分析スキルが必要といったものになってしまうと、我々のような組織では使いこなせません。弊社メンバーの最大の強みは、パルコのお客様のことを知っている、一番に考えていること。この強みを手軽にデジタル施策に変換してマーケティングに活かせるツールであってほしいと思っています。
人的な支援の面では、ワークショップから始まって伴走いただいている状況をすごく良いものだと感じています。ツールをより使いこなすための支援を拡大していただければ幸いです。あとは、世の中の動きや他社の動きのインプットもお願いしたい。我々が真似できるものであればトライしていきたいですし、お力添えをいただけるとありがたいです。
上段左から、Repro株式会社 林一真、吉池彰高、株式会社パルコ 高森敦史様、大木理恵様、安藤彩子様、Repro株式会社 河村怜亮
下段左から、Repro株式会社 大塚勇士、山岸菜月、大岡勲光
Reproが支援・実施した施策と成果
パルコ様とReproが実施した実際の施策とその成果を一部ご紹介いたします。
プッシュ通知による「ポケパル払い登録完了」促進施策
PARCOメンバーズとしてログインを完了しているが、ポケパル払いの利用登録が完了していないユーザーに対して、ポイントをフックとしたプッシュ通知を配信。未実施のユーザーと比較して、登録完了率が約18倍を記録しました。
※画像はイメージです。
プッシュ通知による「ポケパル払い利用」促進施策
ポケパル払いの初回利用時に獲得したポイントをまだ利用していないユーザーに対して、段階的にポイント有効期限を訴求。有効期限14日前に配信したプッシュ通知では、ポケパル払いの利用率が未実施ユーザー比較で143.3%となりました。
また、各ユーザーのポイント保有状況に合わせてパーソナライズされたプッシュ通知や、ユーザー行動に合わせたリアルタイムでのプッシュ通知も実装しています。
【ポイント有効期限14日前のプッシュ通知】※画像はイメージです。
【ポイント保有状況や行動に合わせたパーソナライズプッシュ通知】※画像はイメージです。
アプリ内メッセージによる「PARCOメンバーズ登録」促進施策
PARCOメンバーズ未登録ユーザーに対して、「ポケパル払い」タブを表示したあとにアプリ内メッセージで、PARCOメンバーズ登録の導線を案内。PARCOメンバーズログイン完了率が、未実施ユーザーに比べて120.9%改善しました。
※画像はイメージです。
※本記事は2025年4月21日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。