はじめに
KDDIグループの一員としてau関連サービスの企画・開発・編集・運営を担うmediba。同社が特に注力する『auスマートパス』の会員数は、国内有数の1500万人を誇り、映画や音楽、電子書籍などさまざまなジャンルのコンテンツを楽しめるのが特徴です。
ほかにも、端末を失くした際の保証やファストフード店などで使えるクーポンなど、お得なサービスが充実しています。auスマートパス会員は月額409円(税込)、さまざまなコンテンツや機能を使えるようになるauスマートパスプレミアム会員は月額548円(税込)と価格もリーズナブル。
Repro は2017年よりmedibaのauスマートパスのアプリ運用をご支援してきました。『Repro』を導入いただいてからは、全ユーザーが一定期間後にアプリへ再訪した割合であるリテンション率が10ポイント向上。DAUが積み上がるようになり、アクティブユーザー数が増加傾向に転じました。
直近2020年時点での課題は引き続き、1日当たりのアクティブユーザー数であるDAUを上げ、より多くの方へauスマートパスのサービスを届けることでした。
その目的を果たすためにどのような施策を打ち、どんな結果を出すことができたのか。medibaでauスマートパスの利用促進や会員獲得を担当されているデータアナリストの篠原正樹さんと、新卒入社3年目の枝野夏菜子さんに『Repro』のおすすめポイントなども含めてお話を伺いました。
(聞き手:Repro Customer Success Div. 岩田健吾)
ただプッシュ通知を送るだけでも苦労していた
――『Repro』を導入いただいてからの成功事例を教えてください。
篠原 Reproさんのサービスを当社で導入したのが2017年。前任者が導入を決めました。
『Repro』導入前の当時は、プッシュ通知を送るだけでも簡単には行えず、苦労していました。導入後は、会員・非会員などでユーザーをセグメント(区分)して、プッシュ通知やアプリ内メッセージを容易に送れるように。手間をかけることなく、期間限定で使えるクーポンなどをユーザーへお届けできるようになりました。
また、お得なお知らせがある場合は『Repro』を使ってアプリの通知バッジを点灯させるようにし、 ユーザーにすぐ気付いてもらえるようにしました。これらの施策を実施すると、全ユーザーのリテンション率が10ポイントも向上。そこからDAUが増加傾向に転じました。
「絵文字を付けてプッシュ通知開封率0.9ポイント向上」など、地道な改善施策を繰り返せる
――2021年1月現在は、どのような方針で改善施策を行っているのでしょうか?
篠原 今期のauスマートパスの目標は、月間あたりでスマートパスのコンテンツを使ってくれたユーザーの数、つまりMAUを目標値として立てています。
ただ、MAUは月末にならないと結果が分かりませんので、実質は日々の利用頻度、つまりDAUの数値を見ながら施策を打っています。日々使ってくださるユーザーが増えればMAUも増えるはずですから。
――施策を展開して成功した事例はありますか?
枝野 プッシュ通知で効果があった事例では、プッシュ通知内の文言に絵文字をつけるだけで開封率が0.9ポイント上がりました。たった1ポイントほどの差異に思えるかも知れませんが、私たちのように多数の会員を抱えるサービスにとっては、その差はとても大きいです。絵文字は今後も積極的に使っていく予定です。
今後の施策のひとつに、「ユーザーが利用する時間帯に合わせてプッシュ通知を打つこと」を考えています。時間帯別では、お昼の12時と夜の10時に利用率が高まります。その時間帯へ向けて集中的にプッシュ通知を行った場合に効果が出せないかどうか、試してみる予定です。利用率の高まる時間帯は『Google Analytics』で分析して割り出し、プッシュ通知は『Repro』を使って行います。
実際に使用されたプッシュ通知のテストパターン。上2つで効果が見られた
――篠原さんはどのような施策を行いましたか?
篠原 僕は入退会に関する部分、つまり「会員獲得のための施策」と「退会を思いとどまっていただくための施策」を行っているチームにいます。
「会員獲得の施策」では、少しでも多くの方にプレミアム会員になっていただきたかったのですが、それまではアプリのトップページに入会導線がありませんでした。それで、『Repro』を使って「会員限定特典」を訴求するアプリ内ポップをアプリのトップページに出す施策を打ちました。ポップ内の入会ボタンを押せば会員規約ページへ飛び、そのまま入会できるようにしたんです。その結果、200人規模の方が入会してくださり、大きな成果につながりました。
――「退会を思いとどまっていただくための施策」はいかがでしょうか?
退会画面まできたユーザーに働きかける施策を、実はもともと『Repro』ではないツールで行っていたのですが、なかなか成果が出ませんでした。そもそも、ユーザーが退会してしまう理由として、アプリを「使っていない」ことが多いんです。であれば、退会直前に働きかけるのではなく、まずはアプリを使っていただく必要がある。そこで退会抑止から利用促進へ軸足を変えました。
現在は施策として、アプリ内でアンケートをポップアップさせることを始めています。「映像、音楽、雑誌の中で興味のあるカテゴリーはどれですか?」とアプリ内ポップを出し、回答していただくアンケートを取ります。その結果を『Repro』でトラッキング(追跡)してユーザーをセグメントし、そのユーザーごとに向けてより関連性の高い、興味のある分野に関連する情報をユーザーに届けます。プッシュ通知を使ってユーザーを定着させていく施策を進めていこうとしているわけです。
日本製自社ツールであることも魅力。即レスで、すべてに回答してくれる
――御社では『Repro』を約3年間、ご活用いただいています。お2人はどの点を評価いただいていますか?
篠原 『Repro』はトラッキングだけでなく、データを活用してユーザーへ直接アプローチできる。その強みはとてもありがたいです。従来の分析ツールでも分析自体はできますが、肝心のユーザーへのアクションができません。
一方で『Repro』はプッシュ通知を行えるので、しばらく来ていない休眠状態のユーザーを呼び込めます。それがすごくいい。今は来ていない方に働きかけることでアクティブ化し、さらに定着していただくことも可能でとてもありがたいです。
枝野 私は新卒入社のため、プッシュ通知のツールは『Repro』しか経験がありません。その経験内での感想では、管理画面の使い勝手がとてもよく、迷うことなく使いこなせるようになりました。画面上のどこに何の機能があるのかが分かりやすく、操作がしやすいので複雑さを感じたことがありません。
直感的なUIでメッセージを作成できる『Repro』管理画面(サンプル)
また、分析などに悩んだ際にはSlackのチャットで相談するのですが、レスがとても早い(笑)。しかもツールの使い方だけではなく、仕様のことや判断した数値の分析の切り口、データ算出の方法まで提案いただけるので、いつも助かっています。
篠原 担当の岩田さんのすべてに答えて提案してくれるスタンスは僕もとてもありがたいです。前職では外資のツールを扱っていましたが、どうしても本国に問い合わせないと分からないこともあります。正確な情報を得るのに時間がかかり、お客様の期待に素早く応えられずに歯がゆい思いをしたこともありました。
その点、『Repro』は答えてもらえないことがありません。日本で作られている自社ツールだから即答できる。その強みは大きいです。しかも、岩田さんが優しくて物腰が柔らかい(笑)。お願いをしていないときでも、新機能や新しい分析結果を追加で提案してくれる。言うことないですよね。
――私も相談していただけるととてもありがたいです。頂戴したご質問は、ただ回答するだけでなく、質問の背景を深く理解するように心がけています。ほかに、Reproとの関わりで印象に残っていることはありますか?
枝野 Reproのユーザーコミュニティがあり、そのワークショップへ誘ってもらったことです。学びの場が増えたことは、当時入社2年目の私にはとてもありがたかった。『Repro』の活用事例を聞けて、しかも自分の普段の業務の施策を落とし込んで考える実践的なワークショップでした。ユーザーに対してどうアクションを起こすか。自身のこれまでの経験とすり合わせながら訴求する方法を体験でき、すぐに実践で使えるものでした。
ワークショップで作成した施策シート
そのワークショップを受けてからは視野が広がり「さらにもっと施策を展開させられないか」を考えられるようになりました。業務で活かせる気づきを得られたんです。
篠原 Reproはセミナーやイベントに多く誘ってもらえることがありがたいです。イベントで知り合ったReproのエンジニアさんと飲み会に行き、お互いの情報交換をして有意義な時間を過ごせたこともあります。みなさん、人の良さのポイントが高くて、もっと関わりたいなと思えます。深いつながりができ、今でもありがたい関係性です。
Reproは「おもちゃのように使ってグロースハックできる」ツール
――今後『Repro』の導入を検討されている企業やご担当者へ伝えたいことはありますか?
枝野 私がまだまだ使い倒せていないのがもったいないです。それほど、活用方法は無限大にあります。「ツールとして使いこなせない」と思う間もなく、すぐに「どう利用しようか」の発想に向き合えます。それほど、初めて使う人でも習得しやすいです。
また、「こんなレベルのこと聞いちゃってもいいのかな」と思うような初歩的な質問でも、丁寧に返してくれるのでありがたいです。
篠原 アプリマーケティングの観点で言えば「おもちゃだと思って使えばいい」と思います。『au占い』を担当している当社のUIデザイナーは、1人で画像デザインを作り、『Repro』を使ってアプリ内ポップを出し、数値を見て、改善して……というサイクルをたった1人で回していました。ポップアップ画像を作れるメンバーであれば、ガンガンABテストを回してアプリのグロースができてしまう。これは衝撃的でした。
そのUIデザイナーもおもちゃのように楽しんで『Repro』を使っています。「ツール」と聞くと構えてしまいますが、気軽に使えて楽しいものなんですよね。おもちゃで遊んでいるうちにアプリが伸びていた。担当者の方にとってもそれって最高ではないでしょうか。
――ありがとうございます。本日はありがとうございました!