Oisixが実践しているアプリ内マーケティング施策で結果を出すためのKPI設定方法とは?

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2017.03.09
Oisixが実践しているアプリ内マーケティング施策で結果を出すためのKPI設定方法とは?

目次

本記事は、2017年3月9日に開催した「 Growth Hack Talks #3」での発表内容を元にしたイベントレポートです。

登壇者紹介

オイシックス株式会社 普川泰如氏

元SIシステムベンダー出身。2009年オイシックス株式会社に入社。入社以来エンジニアとしてWeb開発やアプリ開発を担当。昨年からはデータ分析も含めたグロースハックも担当する。

自己紹介&アプリ紹介

オイシックス株式会社の普川と申します。よろしくお願いします。今回はOisixというサービスと我々が行っているグロースハックに関してお話します。まず、Oisixのサービスについて説明させていただきます。テーマは「安心安全な食材を売るEC」で、現在(2017年3月期)の売り上げ規模は230億円となっておりますが、2017年秋に予定されている企業統合の後には400億円前後の規模になると思います。Oisixを特徴づけているのは定期宅配モデルです。このモデルではユーザーが週に1回商品を購入することを前提にしており、Oisix側がユーザーごとにオススメ商品を入れたカートを作成し、注文確定日までにユーザーがその注文をキャンセルしなければユーザーにその注文が届くという、ユーザーのリピート購入を強く促す仕組みになっています。

ユーザーのリピート購入を強く促すOisixの定期宅配モデル

なぜアプリを利用するのか

Oisixではアプリを定期会員のリテンションのためのプラットフォームと位置づけています。画面の大きさが小さいことや滞在時間がPCと比較して短いことからスマートフォンではLTVが伸びにくいと思っていましたが、アプリはその認識を覆してくれました。本日はアプリというプラットフォームの具体的な特徴を2点紹介したいと思います。

【アプリの特徴①】PCを追い抜く勢いでユーザーが増加している

注文が行われるデバイス別のシェアを見ますと、元々PCで利用していたユーザーが多かったのですが、徐々に減っていき、現在ではスマートフォン上のWebに追い越されています。アプリを開発した当初はユーザーからの評価が高くなく、アプリのダウンロードも自然流入に頼っていたためシェアが伸びませんでした。しかし、2016年の11月頃から導線改善、UI改善の効果が現れ始めてシェアの拡大期に入りました。今後アプリはPCとスマートフォンWebを足したシェアを上回ることを期待しています。

スマートフォンアプリは注文のシェアを拡大しつつある

【アプリの特徴②】訪問率と受注率が高いためLTVが高い

プラットフォームごとの特徴を比較すると、PCは画面が大きく、ユーザーの滞在時間が長いことから、ユーザーが見る商品数が多くなり、高単価でLTVが高いという傾向がありました。一方で、スマートフォン上のWebでは画面が小さく、ユーザーの滞在時間も短い結果、注文単価が低くLTVの悪いユーザーが増加してしまったのです。

しかし、同じスマートフォンでもアプリではユーザーの訪問率や注文率が高いのでLTVは良くなりました。しかしながら訪問率はさらなる改善の余地があると考え、プッシュ通知による施策を試してみました。

KPIの設定方法が原因でプッシュ通知施策の効果が表れず

受注率と訪問曜日の相関を調べた結果、定期注文のカートの内容が切り替わった直後の木曜日、金曜日に訪問したユーザーの受注率が比較的高いことがわかりました。そこで、金曜日に週末タイムセールを実施し、それをReproのプッシュ通知で告知したのです。

その結果、金曜日のサイト訪問者は増えました。しかし、キャンセルする顧客の訪問が増え、受注率は上がらなかったのです。本当に受注率は改善されなかったのでしょうか。私達はこの原因の一つはKPIの設定方法であったと考えています。プッシュ通知という施策に対して、受注率の推移を使って効果検証を行っていたため、施策の直接的な影響や、そのKPIの推移の背景がわかりにくいものになっていたのです。そこで、KPIとして訪問率も見るようにしました。

セグメントの切り方を工夫し施策の効果を見える化

効果検証するKPIの変更に加えて、効果検証するユーザー群の切り分けも行いました。ユーザーを「行動」と「利用時間」という2つの軸で4つのセグメントに分けて効果検証することで、それぞれのセグメントに対して見えてきたことがあるので紹介したいと思います。

【セグメント①】長時間売り場を見てキャンセルしたユーザー

これは平均的なユーザーより長い時間アプリに滞在した上で注文をキャンセルしたユーザーです。長時間アプリに滞在したユーザーはコンバージョンする割合が高い傾向にありますが、Oisixはクール冷凍商品を取り扱っているため、4,500円ほど購入していただかないと比較的高額な送料がかかってしまいます。そのため、その金額に達するだけの商品が見つからないユーザーがキャンセルしていることがわかりました。

最初の10分間に1,500円くらいカートに入れているユーザーは注文する割合が比較的高い、ということもわかったので、割引セールなどで、ユーザーがアプリを訪れた早い段階でカートに入れるアクションを促進するのが有効かなと思っています。

【セグメント②】短時間売り場を見てキャンセルしたユーザー

次に、アプリにごくわずかしか滞在せずにキャンセルするユーザーです。このセグメントのユーザーは商品をぱっと見て、その週の商品が好みと合わないためにすぐキャンセルしています。このようなユーザーは隔週で買うくらいの利用状況で、念のために毎週Oisixをチェックしているユーザーが多いので、ユーザーが注文をするインセンティブを高める施策を試しています。

【セグメント③】売り場を見ず、注文締め切り近くにキャンセルしたユーザー

売り場を見ないユーザーは注文してもらうハードルがより高いです。その中でも注文してもらえそうなのが、注文締め切り近くに注文のキャンセルをする人達で、これらのユーザーの場合、サイト訪問の時に時間が無くなってキャンセルにつながっています。先に述べたプッシュ通知の施策では本来このセグメントのユーザーにターゲットを絞るべきでした。これからもこのセグメントのユーザーがアプリを利用する時間にプッシュ通知を配信しようと考えています。

【セグメント④】売り場を見ず、注文開始直後にキャンセルしたユーザー

このセグメントのユーザーはすでに注文をしないと決めているので、プッシュ通知などで注文へつなげることは難しいと考えています。そのため、別の施策を検討しています。

まとめ

現在、このように分けたセグメントに沿って施策を打っている最中なので、まだ結果は出ていませんが、以前よりPDCAのサイクルを早く回せるようになりました。マーケティング施策の効果検証を漠然と行うのではなく、その効果が直接表れるKPIを設定すること、そして効果測定の対象とするセグメントを工夫することで、その施策が本当に有効なものなのかどうかがわかるようになると思います。ありがとうございました。

Webとアプリの
売上最大化ツール
「Repro」

資料ダウンロード お問い合わせ

Webとアプリの
売上最大化ツール
「Repro」

資料ダウンロード お問い合わせ

PAGE TOP