MVP (Minimum Viable Product)開発について知っておいたほうがいいこと

Repro Journal編集部
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2020.06.05
MVP (Minimum Viable Product)開発について知っておいたほうがいいこと

目次

アプリのアイデアが思い浮かんだとき、明確なビジョンを持っているはずです。しかし、計画通りにいかなかったり、ターゲット層を変更したりするなど、開発を進めるにつれて、ビジョンは変わっていきます。

リリース後に消費者からフィードバックを集める方法は効果的な戦略とはいえませんし、アプリの評価があまりにも低ければ、1から企画や開発を仕切りなおさなければなりません。

しかし、MVP (Minimum Viable Product:実用最小限の製品) を開発しておけば、不必要な機能に無駄なコストをかける前に、市場の評価を理解することができます。早い段階でユーザーの反応やフィードバックを集めれば、現在のリソースで実装できる機能や不要な機能を予測できるでしょう。

MVP

加えて、アプリの将来的なアップデートに向けたロードマップの作成も可能です。ロードマップを作成しておけば、将来的に実装していく機能やコンテンツが明確になります。

本記事は、MVPについて知っておくべきポイントとアプリの向上に繋がる方法についてお教えします。

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MVPとは?

MVPとは「Minimum Viable Product」の略で、日本語では実用最小限の製品と訳されます。

最小限の機能を搭載した製品を小規模なグループに分けてテストし、フィードバックをもらうことで、素早くフィードバックループを回転させ、製品がユーザーの需要に応えているかについての仮説を検証するために利用します。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

MVPの目的

「アプリが完成した時にテストするだけでは不十分なの?」「わざわざ時間を割いてMVPを開発する価値はあるの?」という意見があるように、自分がこれから開発するアプリにMVPは本当に必要なのか首を傾げる人もいるのではないでしょうか?

どのような開発状況にあっても、MVPを開発する目的は必ず見つかります。ここからはそれぞれの目的に合わせてMVPを取り入れる方法をご紹介します。

PDCAの高速化

「完璧なアプリができた!」という自信を持っていても、実際にユーザーの手に渡ってからでないと本当にいいアプリかどうかは分かりません。

MVPを利用して開発の初期段階でアプリの機能が本当に必要かどうかテストし、PDCAを高速で回しましょう。そうすることで、アプリに実装すべき機能を迅速に見極めて改善が行えるため、より良いアプリへと導いてくれるはずです。

次回作の土台を作る

アプリのバージョン毎にロードマップを作成する時にもMVPは役立ちます。

MVP

アプリのコンセプトやビジネスを形づくるまでには数年はかかりますが、初期バージョンをリリースすることはできます。

『Amazon』を例にして考えてみましょう。初期の『Amazon』は書籍のみの販売から始まりましたが、現在では書籍以外にも様々な商品を取り扱い大きな成長を遂げています。

PoC (コンセプト実証) を確立し、企業をブランド化するところまで進めることができれば、事業の拡大は難しいことではありません。最初から現在の『Amazon』を1日で立ち上げようとしていたら、今のような成功は得られなかったはずです。

開発時間の無駄を失くす

アプリの開発には時間と費用がかかります。効率だけを重視して開発を進めると、資金が尽きてしまう場合も…。どのようにして開発時間の無駄をなくせばいいのでしょうか。

この問題はMVPの開発に集中することで解決します。「MVPの開発」に向かって全員が共通の目標を持つことでスムーズに開発が進むでしょう。

バグがあった場合は拡張した機能のコードのみを確認すればいいので、莫大な量のコードからミスを見つけだして修正する必要がありません。最初からやり直す必要もなく、最小限で修正できるため、余分な時間を費やさなくてすむのです。

労力や資金などの限られたリソースを使って仮説をテストする

アプリを具現化し、ビジネスとして成立させるのは容易なことではありません。規模によっては、開発に数千万円の費用と長い年月を要する場合もあります。

アイデアが絶対に上手くいくと確信していても、あらかじめテストはしておきたいもの。それこそ、MVPを開発する最適な機会となります。

『Uber』はタクシー業界に革命を起こした世界的ブランドです。しかし、彼らもはじめから成功を収めた訳ではありません。まずは、コンセプトをテストするところから始まりました。

MVP

リリース当初、アメリカの主要都市でさえ利用ができませんでした。そこでまずは必要最低限の機能を開発し、開発者とその友人の間でアプリのテストを開始しました。

そこで成功した後、その他の都市にも規模を拡大します。アメリカ全域でそのコンセプトが実証されてから、海外進出を果たしました。

時間の経過と共に『Uber』のアイデアは変わり続けています。「uberX」という自家用車タクシー (白タク) を低コストで利用できるサービスの登場に伴い、配車車両の種類も変更となりました。

MVPを利用して将来に向けた製品開発の土台を作る方法は、先ほどお話したとおりです。『Uber』はその方法を使って、独立したもう一つのアプリ『UberEats』をリリースしました。

デベロッパーにアプリを開発するスキルがあるか確認する

アプリのオーナーといっても、誰もがコードの書き方を知っている訳ではありません。アプリの開発は請負業者や代理店、大手企業、または海外のデベロッパーなどに外注することもできます。それに自社でデベロッパーを従業員として雇うという選択肢もあるでしょう。 開発業務のために従業員を雇い入れるのであれば、彼らが仕事をこなせるかどうかを確認しなくてはなりません。その際にMVPの開発から始めてもらうことは、最初のステップとしては最適だといえるでしょう。 これはMVPを作ってもらえる上、デベロッパーのスキルも試すことができるという、一石二鳥の方法です。

デベロッパーがMVPの開発すらこなせないのであれば、アプリを最後まで開発するには苦労を要するでしょう。

消費者にいち早くアプリを届けられる

MVPが完成すれば、ユーザーにテストしてもらいましょう。 そこでは貴重なフィードバックを得られるばかりでなく、アプリの正式なリリースを大々的に宣伝することもできます。アプリを使用する機会があれば、様々な場面で話題にだしてくれるでしょう。

MVPを定義する方法

一番初めにすべきことは、アプリのターゲット層を明確にすること。彼らは何を求めているのか、その答えが最初に開発しなければならない機能です。その機能を明らかにするために、市場調査を実施しましょう。例えばバンキングアプリを開発する場合、用途として何が求められているかを見極めなくてはなりません。

MVP

図に基づいて考えると、口座の収支をチェックできる機能を備えたMVPの開発が妥当であるとわかります。アプリはリリースの段階で多数の機能を備えた状態になりますが、MVPを開発する時には、図のようにリストの上位にある機能を優先させた方が良い結果を得られます。

引き続きバンキングアプリを例にあげて検討していきましょう。上図の市場調査の結果をみて、最寄りの支店やATMを見つける機能の重要性はどの程度だと思われるでしょうか?この場合、上記のリストの中でも下位に入っているため、最初のMVPにこの機能を含める必要はないと判断できます。

自分が追加したい機能をMVPに搭載する必要はありません。あなたの希望と市場のニーズを区別して考えるようにしましょう。目の前の労力や資金、作業時間を考慮して、どの程度のリソースを割くべきかを検討してください。

また、実用最小限の製品であるMVPと、需要のある最小限の製品を意味する「Minimum Marketable Product」との違いも把握しておかなくてはなりません。MVPの完成度が高くても、それだけでは実際の購買意欲に繋がるとは限らないためです。

最終目標は、素晴らしいアプリを開発すること。つまり、MVPは最終目標を達成するための通過点であることを忘れないでください。また、オプション機能があれば他のアプリと差別化を図ることができますが、機能が多ければそれで良いというわけではありません。

情報に敏感で新しいものに飛びつきやすいアーリーアダプターのグループに対してMVPをテストし、反応を見ます。このグループに評価されれば、人気を拡大していけるだけの水準を満たしていると言えるでしょう。

MVPをプロモーションする方法

アプリが完成していなくてもマーケティングは始められます。MVPの場合も同様です。

アプリを機に立ち上がった企業の場合は、今すぐwebサイトを作成してMVPを告知するためのプラットフォームとして活用しましょう。

webサイトが完成したら会員登録を促し、ベータテストに参加してもらいます。Betaboundなどのオンラインツールを使って、テスト参加者となるアーリーアダプターを選定しましょう。

MVP

このような手順を踏めば、アプリ完成後の品質が保証できるだけでなく、有益なフィードバックを取り入れたより良いアプリをユーザーに提供することができるはず。

もう1つのプロモーション方法は動画の活用です。アプリを開発している様子を、動画に撮影してみましょう。この動画をwebサイトやFacebook、Twitter、YouTube、Instagramなどインターネット上のマーケティングチャネルで公開します。そうすれば、早い段階で話題を呼び、リリース前からユーザーの期待を高めることができます。

消費者の64%はインターネット上で動画を閲覧した後の方が、購買する・またはアプリをDLする可能性が高いと答えています。さらに消費者の90%が、動画はアプリをDLするかどうか決める時の参考になると回答していました。

アプリ開発で資金調達をする必要がある場合は、Kickstarterなどのプラットフォームに動画を投稿してみましょう。アプリをプロモーションできるだけでなく、協賛してくれる可能性のある投資家にも口コミを広めることができます。

MVPの使い方

MVPの開発からプロモーションまでを終えたら、次はMVPから新たな製品を生み出しましょう。

アプリの開発中に作りたいものとは違うものができてしまいそうな時は、MVPを参照してください。市場のニーズと制作側の希望を照らし合わせて定義されたMVPを参照すれば、内部での揉め事や意見の対立に無駄な時間を費やすことがありません。

基本的な機能を実装したMVPはアプリの実行可能性を実証することができます。このMVPをPoCとして使用することで、投資家にとっても重要な判断基準となるでしょう。

最後に

MVPはアプリを開発する上で非常に重要であることがわかったのではないでしょうか。MVPを開発することで以下のような利点があります。

  • 目標を明確にし、アプリの実行可能性を示すことができる
  • ビジネスをスムーズに進めることができる
  • アプリの開発時間を短縮できる
  • 仮説段階のアイデアをテストできる
  • 雇った人材の資質を見極められる
  • PDCAを高速で回せる
  • アプリをより良いものにできる

まずはどの機能をMVPに実装するか、検討するところから始めましょう。

この記事は、buildfire社のブログWhy You Need to Know About Minimum Viable Product"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on buildfire in English under the permission from the author.

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