Twitter Japan代表取締役と語る、アプリビジネスのこれまでとこれから【App Marketing Conference 2021】

山﨑 信潔
山﨑 信潔
2021.03.26
Twitter Japan代表取締役と語る、アプリビジネスのこれまでとこれから【App Marketing Conference 2021】

目次

日本国内では、もはやインフラの1つといっていいほどの存在となったTwitter。コミュニケーションツール、情報収集ツールとして、日常生活に欠かせないものとなっています。

本記事では、アプリマーケティングカンファレンス 2021のキーノートとして行われた、Twitter Japan株式会社 代表取締役の笹本裕氏とRepro株式会社の平田祐介の対談のなかから、「Twitter Japanにおける成長の軌跡」「Twitter Japanの成長余地」をテーマとした内容をピックアップしてレポートします。

※本記事は、2021年3月16日、17日の2日間にわたって開催された「アプリマーケティングカンファレンス 2021」のセッションをダイジェストでレポートするものです。

脱・若年層オンリー。情報収集の価値を訴求

日本国内でのTwitterの成長を語る前段として、Repro株式会社の平田が「国内のSNS市場をどのように捉えているか」と問いかけます。

Twitter Japanの笹本氏は「日本のユーザーは複数のSNSを見事に使い分けています。それぞれのサービスが共存共栄していけるマーケットなのでしょう」と分析。確かに、仕事・プライベートなどの用途に合わせて、SNSやそのアカウントを切り替えるのは、日本ではポピュラーな利用法といえます。

では、このようなマーケットにおいて、Twitterはどのような戦略で成長を促進させてきたのでしょうか。今回の対談で笹本氏は、大きく3つの視点でTwitter Japanの成長とマーケティングを語っています。

第一は、若年層オンリーからの脱却。笹本氏がTwitter Japanの代表取締役に就任した2014年頃、Twitterはアーリーアダプターからアーリーマジョリティへと、ユーザーの拡大が進んでいるフェーズだったそうです。そして、当時は若年層による「遊び」使用が主流でした。そこで1つの重要なポイントとなったのが、若年層からの支持を維持しつつ、30代、40代の方にも使用されるようなTwitterの価値をどのように訴求していくかという点。

Twitterの国内ユーザー数(年代別・男女別推定値)20代の若年層が圧倒的に多かった、2014年頃のTwitterのユーザー(登壇資料・Insta Labより)。

「印象的だったのは、『日本が最も検索機能を使っている』という事実を起点にマーケティングをされたこと」と平田が話を向けます。

「30代、40代の方にもTwitterという名前やサービスは認知されていたんです。ただ、『ツイートすることがない』『使い道がわからない』という声が多かった。そこで、ツイートしなくても、情報を検索したりタイムラインを見たりするだけで価値があるプロダクトとして訴求していった」というのは笹本氏。

「地震が起きるとTwitterで情報を収集する」「電車が遅れているとTwitterで状況を確認する」といった使い方をしている人は多いはず。こういった利用シーンを想定することが、マーケティングの役に立ったと笹本氏は語っています。

「Twitter is what's happening.」は社内外へのメッセージ

第二の変革のきっかけとなったのは、2016年に「Twitter is what's happening.」という言葉で、Twitterのバリューが明確に定義されたこと。日本語にすると、「今、何が起きているかを最も早く知れる場所。それがTwitterである」という意味合いです。これにより、マーケティングの方向性はもちろん、プロダクトそのものの改善も進んだといいます。

「昔のTwitterはサーバーがダウンしてしまうこともよくありました。しかし、そんな状況では、『今、何が起きているかを最も早く知れる場所』とはいえません。サーバーの増強やネットワークインフラの改善が急速に進展したのは、『Twitter is what's happening.』という言葉のおかげだと思います」と笹本氏。社外はもとより社内に対しても進むべき方向が明示されたわけです。

多様化するTwitterで交わされる言葉

そして近年は、Twitterの使い方に新たなトレンドが広がってきており、この点にも注目しているそう。それは、実名かつメッセージ性の強いツイートをするユーザーが増えてきていること。

従来のTwitterは匿名であったり、複数アカウントを使い分けたりして、個を特定されるような利用が避けられる傾向がありました。しかし、セクハラ、パワハラといった社会問題や政治課題などに対し、個人が意見を述べ、問題提起するツールとしてTwitterが活用され始めているのです。

「自分の意思を明確に発信するときに、実名でメッセージ性を強く持たせるという使い方が広がってきていると感じています。匿名はもちろん、実名での利用もどんどん広がっていくような気がしますし、そうあってほしいと望んでいます」と笹本氏は述べています。今後、情報収集やエンターテイメントのツールとしてのTwitterではなく、より意思の発信に重きを置いたマーケティングメッセージがTwitterから届けられるようになるかもしれません。

Reproの平田もこれに応じ、「私は古くからFacebookを使って情報発信をしてきたのですが、最近では経営者の仲間から、『Facebookだけでなく、Twitterも利用したほうがいい』といわれる。若い世代にはTwitterじゃないと届きづらいからなんです。それで、私も実名でTwitterでの情報発信を始めました」と同調。企業と若者をつなぐ架け橋としての利用も増える可能性があります。

アプリマーケティングのこれから

セッションの締めくくりにReproの平田が問いかけたのは、アプリ、アプリマーケティングを俯瞰したときの将来的な展望でした。

笹本氏はTwitter Japanの現状を基に、「iOS、Androidを中心としたモバイルデバイスでの発展が基本的な路線となるものの、よりIoTが進展していくなかで、アプリがどのような存在になるのか、どのような役割を担うのかという点を注視すべき」といいます。

Google HomeやAmazonのAlexaが家庭内・音声によるデジタル接点の中心となり、生活家電には当たり前のようにWi-Fi接続機能が搭載されています。日常生活のなかで人間がどのように情報との接点を持つのか、その媒体は何なのかという点を捉えていなければ、アプリ利用者との接点が薄れてしまうというのです。

「デジタルの世界は、自らが変化しないと淘汰されてしまう」「イノベーションを起こせなければ、皆さんから必要とされなくなってしまう」。進化を強く求める笹本氏の姿勢は貪欲の一言。Twitter Japanの第2創業期と位置付けられている2021年。Twitterがどのように生まれ変わるのか、ユーザーとして、アプリマーケターとして注目していきたいところです。

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