2025年8月1日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週の注目テーマは「アプリの安全性」です。アメリカでは人気No.1アプリの「Tea Dating Advice」で大規模な情報漏洩が発生。EUでは、「Temu」が販売商品の管理が不適切であると認定されています。一方で、TikTokがファクトチェックや新たなペアレンタルコントロール機能を実装するなど、安全性を高める動きも。
※本記事での日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
App Store No.1アプリ「Tea Dating Advice」で大規模情報漏洩が発覚 - Tea Dating Advice
2025年7月25日、女性専用の危険人物情報共有アプリ「Tea Dating Advice(以下、Tea)」で大規模な情報漏洩インシデントが発覚しました。Teaは、女性がマッチングアプリやSNS等で知り合った男性の顔写真やプロフィールを投稿し、その人物に関する評価や体験談をアプリ内で共有することで、女性の安全を守るというアプリです。7月中旬にバズ的にダウンロードが急増し、アメリカのApp Storeでダウンロードランキング(無料アプリ)第1位を獲得していました。
その矢先に発覚したのがハッキングによる情報漏洩です。公式発表には、アカウント認証時にユーザーが送信した約13,000枚の自撮り写真と写真付き身分証明書、投稿、コメント、ダイレクトメッセージからアプリで公開されている約59,000枚の画像が不正にアクセスされたと記載されています。
アプリの急成長は非常にエキサイティングなものですが、それに伴って、ユーザーに対する責任とリスクも大きくなることを肝に銘じなければなりません。売上至上主義に陥ると、セキュリティやレスポンシビリティへの配慮が低下しがちです。このインシデントを他山の石とせず、自社アプリの運用も注意深く監視してください。
※画像引用:Cybersecurity Incident
「Temu」に違法商品販売の防止が不十分であると指摘 - 欧州委員会
2025年7月28日、欧州委員会は「Temu」上で販売される商品について、違法な商品に遭遇する可能性が高く、違法商品が流通するリスクを適切に評価・緩和すべきと定めたデジタルサービス法(DSA)の義務違反に当たると暫定的に認定しました。今後、Temuの回答、対応を待ち、仮にこの認定が最終的なものとなった場合には、全世界の年間売上高の6%に相当する罰金が科せられる可能性があります。
Temuといえば、圧倒的な安さ、驚異的な割り引きがユーザーの支持を集め、全世界で人気を博しているアプリ。ユーザーには販売されている商品が抱えているリスクを認識しつつ、それを許容するようなスタンスがありました。今回の認定は、健全な市場成長のために、事業者とユーザー間の潜在的な“共犯関係”を断ち切るものといえるかもしれません。

新たなペアレンタルコントロールとファクトチェック機能を追加 - ByteDance(TikTok)
2025年7月30日、TikTokが新しいペアレンタルコントロールとファクトチェック機能を追加しました。
TikTokは「Family Pairing」という名前でペアレンタルコントロール機能をすでに提供しており、以下のような機能が追加されます。
- 被保護者が動画や写真をアップロードすると保護者に通知が届く
- 被保護者のプライバシー設定を保護者がより詳しくチェックできる
ファクトチェック機能は「Footnotes」という名称で、アメリカでリリースされています。これは、XやMetaが採用しているコミュニティノートに似た機能。投稿された動画に対してコメントを書き込み、評価することができるようになります。なお、Footnotesを書き込むためには、「米国在住である」「アカウントを6カ月以上保持している」「コミュニティガイドライン違反がない」といった条件があります。
※画像引用:Rolling out TikTok Footnotes in the US
Epic Gamesとの独占禁止法に関わる法廷闘争で敗訴 - Google
2025年7月31日、「Reuters」がGoogleとEpic Gamesの独占禁止法訴訟において、Epic Gamesが勝利したと伝えています。この法廷闘争は、「Android端末におけるユーザーのアプリへのアクセス方法とアプリ内決済方法がGoogleに独占的に支配されており、是正すべきだ」という主張を審理するもの。Epic Gamesの勝訴によって、Googleはサードパーティのアプリストアや決済手段の開放を余儀なくされることになります。
2025年4月30日には同様の意味を持つ命令が、独占禁止法違反とはならないもののAppleにも下されています。アメリカのアプリ業界におけるビッグテック規制は今後も継続していくでしょう。なお、Googleはこの判決に対して控訴予定であり、本稿執筆時点では「Google Play ストア」のポリシーは改定されていません。
画像クレジット:Koshiro K - stock.adobe.com