2025年8月15日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週の話題といえばElon Musk氏によるApple提訴発言。Appleの支配的地位に対して一石を投じるものとなるのでしょうか。そのほか、Molocoが発表した脱プラットフォーマーを示唆する広告関連調査、アプリ外決済支援ベンダーの大型資金調達など今週も盛りだくさんです。
※本記事での日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
Elon MuskがApp Store掲載基準について法的措置を示唆。Appleは公平性を表明 - Apple
2025年8月12日、Elon Musk氏がX上で「App Store」の掲載基準の公平性を非難し、法的措置を示唆。一瞬にしてアプリマーケティング業界の話題をさらいました。いつものMusk氏の過激な発言と見て関心を示さない向きも多いようですが、昨今のビッグテック規制のトレンドを考えると無視はできないかもしれません。
なぜなら、EUの「DMA(デジタル市場法)」や日本で12月に施行される「スマホ新法」では、アプリ内検索のアルゴリズムやその他の掲載の公平性・透明性が求められているからです。
つまりASO(アプリストア最適化)対策に対しても少なからず影響が考えられるということ。アプリ外決済やサイドローディングがメインテーマになりがちな法規制のニュースですが、アプリマーケティング全体にかかわるトピックとして追いかけておいたほうがよいでしょう。
なお、Appleは各メディアの取材に対して「公平かつ偏見がないように設計されている」と公式に表明しています。
調査レポート「独立系アプリエコシステムがもたらすパフォーマンス」を発表 - Moloco
2025年8月12日、Molocoが「独立系アプリエコシステムがもたらすパフォーマンス(Performance Through Independence)」と題した調査レポートを発表しました。モバイルアプリ広告と消費者との関係性を明らかにするもので、下記のような分析と考察がなされています。
なお、「独立系アプリエコシステム」とは、Google、Meta、Appleのようなビッグテック、プラットフォームの外にある、独立したアプリ群で構成される広告出稿先を指す言葉。アプリのCPI高騰やROASの低下に悩んでいるなら、確実にキャッチアップしておきましょう。
- ユーザー行動が多様化、変化しているにもかかわらず広告投資はGoogle、Metaに偏っており、全体の88%を占めている
- GoogleとMeta以外のチャネルにも出稿を分散した場合、コンシューマー向けアプリでは30日目のROASが最大で214%改善した
- 平均的なモバイルユーザーは1カ月に20以上のアプリを利用しており、使用アプリの多様化が進んでいる
- 独立系アプリエコシステムだけでも20億規模のDAUにアプローチ可能で、ビッグテックに依存しなくてもスケール可能である
※画像引用:Performance Through Independence
アプリ外決済開放を受けて5,800万ドルの資金調達 - Appcharge
2025年8月13日、ゲーム業界向けD2CプラットフォームのAppchargeが、5,800万ドルの資金調達を発表しました。背景にあるのはRepro Journalでも繰り返し報じてきたアメリカ、EUでのアプリ外決済の開放です。また、8月12日にはオーストラリアでもApple対Epic Games裁判の判決があり、アメリカと同様の判断が下されています。
Appchargeが配信したプレスリリースでは、CEO兼共同創設者であるMaor Sason氏が、「裁判所の判決と政策変更により、D2Cの扉が大きく開かれました」「パブリッシャーはより強力なモデルとしてD2Cへの移行を進めています。私たちはこの進化の最前線に立ち、コンシューマー向けアプリの経済性を向上させ、顧客により多くの選択肢を提供することに貢献します」と述べています。
アプリデベロッパーにとってはまだ直接的な影響は少ないかもしれませんが、決済支援事業者には法規制を発端とするゲームチェンジの波が確実に押し寄せてきています。
※画像引用:Appcharge Raises $58 Million in Series B Round Led by IVP to Scale Top Direct-to-Consumer Platform for Mobile Games
AIコンパニオンアプリは1億2,000万ドル規模に成長 - Appfigures・TechCrunch
2025年8月12日、「TechCrunch」がアプリ分析ツール等を提供するAppfiguresからの提供データとして、AIコンパニオンアプリの急成長について報じています。AIコンパニオンアプリとは、ChatGPTやGeminiのような汎用チャットボットではなく、友人、恋人、ファンタジーキャラクターといったキャラクター性を持ったAIとの会話を楽しむためのアプリ。
Appfiguresのデータによると、現在、337本ものAIコンパニオンアプリが存在し、そのうち128本は2025年にリリースされたものであるとのこと。2025年上半期には8,200万ドルの収益を生み出しており、年末までに1億2,000万ドルを超える見込みだといいます。
ReproのYouTubeチャンネル「アプリマーケch」でも、国内AIコンパニオンアプリの代表格である「LOVERSE」の山川峰生氏にインタビューをしています。ぜひご覧ください。その可能性の大きさに驚かされることでしょう。