2025年8月29日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週の最大のトピックはxAIによる、Apple、OpenAIの提訴。単なるプロパガンダに終わるのか、実効性を伴うのか注目したいところです。そのほか、Androidアプリのセキュリティ強化や「Firebase Dynamic Links」のサービス終了、Sensor Towerによるマーケットレポートについても紹介します。
※本記事における日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
Elon Musk率いるxAIがAppleとOpenAIを提訴 - xAI
2025年8月25日、xAIがAppleとOpenAIをテキサス州北部地区連邦地方裁判所に提訴しました。xAIは「両社が共謀し、他社AIアプリの成長や健全な競争を阻害している」と主張。8月12日にElon Musk氏がX上で行った、「App Store」掲載基準の公平性についての訴訟示唆が現実になった形です。
xAIの主張の概要
- AppleとOpenAIが独占的な契約を結び、iPhoneに「ChatGPT」を唯一の生成AIチャットボットとして統合したことで、競合他社が市場で公平に競争する機会を奪われた。
- AppleはApp Storeのランキング操作やアプリの審査遅延を通じて、競合他社のアプリを不利に扱い、OpenAIを優遇している。
- この協力関係により、生成AIチャットボット市場とスマートフォン市場の競争が阻害され、消費者の選択肢が減少。さらに価格が上昇し、イノベーションが抑制されている。
アプリマーケターとして注目しておきたいのは、2点目の「ランキング操作と審査遅延」についての主張です。この点は従来からブラックボックスであり、提訴の対象となったApp Storeだけでなく「Google Play ストア」も同様。全面的な情報開示が行われることはありえないのですが、裁判の中でASO(アプリストア最適化)対策に有用な情報が得られる可能性もあります。Web検索を事実上、独占的に支配しているGoogleが提訴された裁判では、ブラックボックスとなっている検索アルゴリズムの一部が明らかになったこともありました。
「また、イーロン・マスクがプロパガンダをしているな」といったようにシニカルな態度を取るのではなく、自分事として裁判の流れを見守っていると、興味深い発見につながる可能性はあります。
なお、Appleはこの件について公式にコメントをしておらず、OpenAIは「今回の訴訟はマスク氏の継続的な嫌がらせのパターンに合致している」として深刻に受け止めていはいないようです。
出典:x v apple openai lawsuit 20250825
Google Play ストア外でも開発者認証を義務化 - Google
2025年8月25日、GoogleがAndroidアプリに対する新たなセキュリティの取り組みを発表しました。Google Play ストア以外で配信されるアプリにもGoogleによる開発者認証を義務付けるというものです。Googleは「Google Play ストア以外のアプリマーケットプレイスからのマルウェア侵入は、Google Play ストア経由の50倍以上」であるとしており、今回の取り組みはマルウェアからのユーザー保護を目的としています。
■導入タイムライン
年月 |
詳細 |
2025年10月 |
早期アクセス開始。招待状は順次発送される。 |
2026年3月 |
すべての開発者を対象に検証開始。 |
2026年9月 |
ブラジル、インドネシア、シンガポール、タイで施行。 |
2027 年以降 |
順次、グローバルに展開。 |
EUでは「DMA(デジタル市場法)」によって、日本国内では12月施行予定の「スマホ新法」の影響で、第三者アプリマーケットプレイスを利用するユーザーが増大する可能性があります。この取り組みは消費者にとって喜ばしいもの。歓迎すべき動きです。
※画像引用:A new layer of security for certified Android devices
友人・家族とお気に入りの楽曲を共有できるメッセージ機能を公開 - Spotify
2025年8月26日、音楽配信アプリの「Spotify」が、Spotifyアプリ内で完結するユーザー間メッセージ機能の追加を発表しました。これによりお気に入りの楽曲やポッドキャストなどを、他のメッセンジャーサービスを利用することなく、シームレスに共有できるようになります。
先週のRepro Journalで報じた通り、競合の「YouTube Music」もアプリ内の体験共有を重視する新機能をリリースしています。現在、音楽、動画、コミックといったエンターテイメントコンテンツの配信アプリには、サブスクリプションの短期化、都度課金のトレンドが訪れています。デベロッパーからすれば、より短いスパンで高い価値を証明し続ける、離脱しづらい仕組みを構築する必要に迫られているということ。各アプリがコミュニティ創造や体験共有をその対策として採用し始めていることがうかがえます。
※画像引用:Introducing Messages, A New Way To Share What You Love on Spotify with Friends and Family
Firebase Dynamic Linksが2025年8月25日でサービス終了 - Google
2025年8月25日、長らく主要ディープリンクソリューションとして君臨していた、Googleの「Firebase Dynamic Links(以下、FDL)」がサービスを終了しました。8月29日現在、FDLで発行されたディープリンクはすべて機能を停止しており、404エラーが返される形になっています。
影響範囲の大きなサービス終了であるため、アナウンスは2023年に行われていました。しかし各アプリデベロッパーの対応は万全ではないようです。
URLgeniusが2025年6月に発表した調査によると、回答者の76%が「FDLを自社のビジネスにとって『極めて重要』だ」としているにもかかわらず、回答者の5人にひとりが「FDLが終了すること自体を知らない」という状況でした。移行する代替サービスをすでに決定しているのは全体の28%にとどまっています。自社のアプリに意図しない不具合が起きていないか、確認したほうがよさそうです。
※画像引用:The Countdown to Firebase Dynamic Links Deprecation: How Companies Are Preparing for the Change
非ゲームアプリの収益が初めてゲームアプリ超え - Sensor Tower
2025年8月にSensor Towerが「Q2 2025 Digital Market Index」という調査レポートを発表しています。モバイルアプリ市場に関する様々な調査が報告されており、なかでも注目したいのが非ゲームアプリの伸長です。アプリ内課金の収益が前年対比24.1%も成長し、初めてゲームアプリを上回りました。
Sensor Towerはこの急成長の要因を、「サブスクリプションモデルの台頭、TikTokなどのアプリによる革新的な戦略、モバイル購入に対する消費者の安心感によって牽引されたもの。そして今、人工知能(AI)が新たな成長の原動力となっています」とまとめています。
※画像引用:Q2 2025 Digital Market Index: Mobile Consumers Now Spend More on Apps Than Games