2025年11月14日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週はプラットフォーマー関連の話題から、Amazon、Operaといったアプリベンダーのトピックまで、バラエティ豊かなラインアップになっています。世界のアプリ市場の“いま”を知るためにぜひチェックしてください。
※本記事における日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
Googleが「過度の部分的なwake lock」を主な指標として採用。ASO対策に影響
2025年11月10日、Googleが「過度の部分的なwake lock(Excessive partial wake locks)」を「Android Vitals」の「主な指標(Core vitals)」に採用したことを発表しました。
Android Vitalsとは、Google Play Storeで公開されているアプリの安定性やパフォーマンスをモニタリングし、改善するための機能。クラッシュ発生率やANR(アプリケーション応答なし)発生率などを監視でき、技術的な側面からユーザー体験を改善することを目的としています。
加えてAndroid Vitalsが重要なのは、この機能を利用して計測できる指標が「ASO(アプリストア最適化)対策」にも大きな影響を与えるからです。特に主な指標(Core vitals)で、不正な動作がGoogleが設定したしきい値を超えると、アプリストア内の検索結果に悪影響を及ぼしたり、警告が表示されたりするようになります。
アプリやゲームが不正な動作のしきい値を超えると、Google Playにおいて、タイトルの視認性が低下する可能性があります。また、Google Playにより、ストアの掲載情報に警告が表示される可能性もあります。
今回、主な指標に採用された過度の部分的なwake lockは、簡単にいうと「アプリがバックグラウンドでCPUのスリープを防いでいる時間」を示す指標です。「部分的なwake lock」が24時間のうちに2時間以上発生すると「過度である」と認識され、過度の部分的なwake lockとして計測されます。この指標の不正動作のしきい値は「全デバイスで5%以上」。これを超えると、検索結果にネガティブな影響を与えたり、警告が表示されたりします。なお、この基準の運用は2026年3月1日から本格開始予定です。
※画像引用:Raising the bar on battery performance: excessive partial wake locks metric is now out of beta
Amazonが格安ショッピングアプリ「Amazon Bazaar」を14カ国で展開開始
2025年11月7日、Amazonが格安ショッピングアプリ「Amazon Bazaar」を発表しました。Amazon Bazaarアプリは、これまで「Amazon ショッピングアプリ」内で「Amazon Haul(地域によってはAmazon Bazaar)」として展開されてきた格安ショッピング機能を拡張し、独立アプリとしたもの。まずは、香港、フィリピン、エクアドル、アルゼンチンなどの14の国と地域で利用可能になります。
現在、世界のEC市場は「Temu」「SHEIN」といった中国発のサービスが席巻しています。これらが人気を博している最も大きな理由は圧倒的な価格の安さ。ECサービスの最大手であるAmazonがコストセンシティブなユーザーの獲得に本格的なチャレンジをし始めたというわけです。
ただし、状況は楽観視できるものではありません。Amazon Bazaarの母体であるAmazon Haulのアメリカでの利用頻度は、TemuやSHEINを大きく下回っています。今後さらに多くの地域で展開される予定ですが、低価格ショッピングでもAmazonは覇権を握れるのか、注目したいところです。
※画像引用:Amazon extends Haul’s ultra low-price shopping experience to 14 new destinations with new Amazon Bazaar app
iOSの「Opera」が急成長。EUでのDAUが2年間で約3倍に
2025年11月13日、Operaが同社が提供するWebブラウザ「Opera」の急成長を報告しました。EUにおけるiOSでのDAUは2年間で約3倍に伸長、フランスでは約5倍に増加しているといいます。
継続的な機能開発に加え、同社が成長の背景として強調しているのが「DMA(デジタル市場法)」の存在です。DMAは2024年3月に施行されており、その影響でiOSに実施された機能改善が急成長を後押ししているのです。事実、2024年11月から2025年10月の12カ月間のDAU成長率が際立っており、88%に達しました。
12月18日に日本で施行される「スマホ新法(スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律)」は、DMAを下敷きにしている部分が多々あります。日本でも市場開放により同様のビジネスチャンスが生まれる可能性が高いので、EUのアプリ市場を注視しておいたほうがよいでしょう。自社のアプリにも活用できるアクションや示唆を見つけられるかもしれません。
※画像引用:iOS users benefit from browser alternatives – Opera reports up to 5x growth in key markets
Googleが開発者認証の早期アクセスを開始。“検閲”批判にも解決策を提示
2025年11月12日、GoogleがAndroidアプリの開発者認証の早期アクセスを開始しました。Googleは8月25日にセキュリティプログラムの一環として、Androidデバイスにインストールされるすべてアプリに開発者登録を義務付けることを発表しており、その取り組みがスタートした形です。
注目したいのは、このセキュリティプログラムに対して寄せられていた「Googleによるアプリの検閲」という批判に対して一定の解決策を示したことです。「学生や趣味でアプリを開発する人向けの専用アカウントタイプを開発中」であること、「未認証の開発者のアプリをインストールできる仕組みを準備中」であることが明言されました。
Appleがミニアプリのアプリ内決済手数料を半額に
2025年11月13日、Appleがミニアプリのアプリ内決済手数料を15%に低減することを発表しました。ミニアプリとは、「ネイティブアプリ内で動く、HTML5やJavaScriptなどのWeb技術を用いて構築されたアプリ」のこと。「ミニアプリパートナープログラム」に参加することで手数料が減額されます。
現在、Appleは30%(「App Store Small Business Program」では15%)という高額なアプリ内決済手数料を批判されており、独占的な運用については規制が強化され始めています。今回の手数料低減は批判をかわしつつ、収益を維持・拡大するための一策と見られています。
なお、このプログラムが公開される直前に、中国の「Wechat」と同条件での合意がなされており、他のミニアプリに対する扱いが注目されていました。