「ユーザーによく検索されているキーワードって何だろう。」ASOを行う際、誰もが考えることかもしれません。アプリストアの検索機能は、ユーザーとアプリが出会うための重要な役割を担っています。
- iOSでは47%、Androidでは53%のユーザーが検索機能を利用してアプリを探すと答えていました。
- App StoreにおけるDLの65%は検索機能経由です。
2017年3月、「TUNE」のJohn Koetsier氏がアプリストアで検索されるキーワードのトップ500について調査を行いました。その調査によると、検索時に入力されるキーワードの90%が企業名だったそうです。
つまり、多くのユーザーはどこかで聞いたことがあるキーワードで検索をしているということになります。企業名以外で検索されるキーワードは「ゲーム」「VPN」「無料ゲーム」「画像加工」「音楽」「計算機」「天気」など、わかりやすいものでした。
企業名やシンプルなキーワードが検索キーワードの上位を占めている場合、アプリを見つけてもらうにはどのようなキーワードを設定すればいいのでしょうか?
企業名以外にユーザーは何を検索しているか
Googleのプロダクトマネージャー、Relly Brandman氏によると、検索には2つのパターンがあるといいます:
- 特定のアプリ名やカテゴリなど、探したいアプリが決まっている状態での検索
- まだDLしたいアプリは決まっておらず、「パズル」や「小人」など抽象的なキーワードでの検索
2013年には、Google Play ストアの責任者 Ankit Jain氏がユーザーの検索行動について以下のように洞察しています。
- ユーザーによる検索は「無料 ゲーム」や「電車 時刻表」のように、シンプルで抽象的なキーワードでの検索と「アングリーバード」や「WhatsApp」のような、アプリ名やカテゴリなどより具体的なキーワードでの検索の2種類に分かれる。
- DAUの12%が毎日、50%が毎週、Google Play ストアでアプリを検索しており、Google Play ストアでは、毎月600万種類ものキーワードが検索されている。
現在でも毎月数百万種類のキーワードからアプリが検索されていると仮定した場合、その実態はどのようなものなのでしょうか。
高ボリュームのキーワードを特定したい場合は、App Storeのトレンド検索が適しています。App Storeでの検索ワードを分析しながら検索ツールを提供している「appkeywords.net」のSebastian Knopp氏によると、iOSにおけるトレンド検索は以下のグラフの通りです。
2017年にアメリカでトレンドになった検索キーワードは2016年から208も増加し、2455でした。SensorTowerによるiOSでトレンドの検索キーワードと合わせると、ユーザーは2015年よりも2倍も多くのトレンドキーワードを検索しているということです。
オートコンプリートからわかる検索機能の実態
オートコンプリートは、ユーザーが検索したいキーワードを入力すると、その後に派生するワードを予測・提案してくれる機能です。
例えば、「g」を入力すると、その文字から始まる10の検索キーワードが表示されます。さらに「ga…」と入力を続けると、その文字から始まるキーワードを予測して新しい提案が表示されます。ここで表示される候補の順番はAppleのインデックススコアに応じて決定されているのです。
Sebastian氏が作成したリストには、2018年2月19日に表示された、約9,000ものオートコンプリートの検索キーワードが掲載されていました。
ここには、aからzまでの提案キーワードと、「AA」「AB」……といった二文字の組み合わせの提案キーワードがAppleのインデックススコアとともに掲載されていますが、ここでも企業名やアプリ名が多くを占めていることがわかるでしょう。
分析した結果、260ある提案キーワードのうち、企業名やアプリ名が含まれていないものはたった13個 (5%) でした。「bible (聖書)」「calculator (計算機)」「countdown (カウントダウン)」「email (電子メール) 」free games (無料ゲーム)」「games (ゲーム)」「mail (メール)」「maps (地図)」「music (音楽)」「news (ニュース) 」「notes (メモ) 」「olympics 2018 (オリンピック 2018) 」「photo editor (画像加工) 」です。
重複を除いた2文字の組み合わせは合計8,300のキーワードがあります。そこで、よく繰り返されるキーワードを検索して、企業名やアプリ名以外の検索キーワードを調査してみました。下の表が最も頻繁に検索されているキーワードです。
興味深いことに、企業名に関連した「inc.」や「ltd,」が最も多く表示されていることがわかりました。それ以外のキーワードは「音楽」「動画」「ツールアプリ」などが上位を占めています。
具体的なキーワードの検索で多いのはゲームのカテゴリです。キーワードの一部に「games」が含まれるものは127個 (「game」の場合は27個) ありますが、それぞれ「skating games (スケート ゲーム) 」「zombie games (ゾンビ ゲーム) 」「action games (アクション ゲーム) 」「arcade games (アーケード ゲーム)」などゲームのジャンルが指定されています。
「apps」を含んだ検索キーワードは、「music apps (音楽 アプリ)」「nursing apps (看護アプリ) 」「dating apps (デーティング アプリ)」など25個に留まりました。単数形の「app」を含むものは300個以上ありますが、「mcdonalds app (マクドナルド アプリ) 」を筆頭に、やはり企業名やアプリ名が多く見られます。
インストール目的の検索を分析
短いキーワードでの検索では企業名やアプリ名が上位を占めますが、長いキーワードは傾向がわからずアプリ開発者たちがそれぞれ解明しなければならない状況です。
Googleは1月に、Google Play Consoleでベンチマークできる機能を追加しました。
この機能では、ユーザーがキーワードを検索してアプリにたどり着いたのか、ストアを閲覧していて発見したのかを区別できるほか、キーワードごとのインストール数も計測できます。Googleは上位にランクインしたアプリから1000のキーワードと、アクセス数やインストール数、インストール後のリテンション率、購入数で分類されたコンバージョン率のデータを提供しています。
この機能を活用すれば、ユーザーがアプリをどのように検索しているのか、より明確に理解できるようになるでしょう。
この記事は、ASO Stack社のブログ"How Do Users Serach for Apps in the App Store?"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on ASO Stack in English under the permission from the author.