【アプリマーケティング基本ガイド】7つの重要施策とKPI・最新調査データ・事例 ― 明日、アプリの成果を最大化するために ―

山﨑 信潔
山﨑 信潔
2023.09.11
【アプリマーケティング基本ガイド】 7つの重要施策とKPI・最新調査データ ― 明日、アプリの成果を最大化するために ―

目次

本記事はアプリマーケティングの全体像を整理したうえで、7つの重要施策と監視すべきKPIについて解説したアプリマーケティングの基本ガイドです。ユーザー行動と企業ができる打ち手を体系的に整理してあるので、実務にも即役立てられます。
「アプリ運用担当になったばかりで何から着手すればよいかがわからない」「今はWeb担当だけどアプリ展開も見据えている」「自社のアプリ運用に欠けている部分がないかをチェックしたい」という人に特におすすめです。

はじめてアプリを担当する人のためのアプリマーケティング基本ガイド

アプリマーケティングとは?基本となる全体像を理解する

アプリマーケティングとは、モバイルアプリのユーザーをできるだけ多く獲得し、継続的な利用を促進するためのマーケティング手法です。

オンライン・オフラインの広告やPR、ダウンロード(インストール)数増大のためのアプリストア改善、アプリ利用中のユーザーへのプッシュ通知など、取り組むべき施策は多岐にわたります。

そこでまずは、アプリマーケティングにおける代表的な施策をユーザー行動と関連付けて整理し、その全体像を理解することから始めましょう。アプリマーケティングの全体像をわかりやすく整理したのが下記の図です。カスタマージャーニーに合わせて主要な7つの施策をマッピングしました。

■アプリマーケティングの全体像

アプリマーケティングの全体像・スパイラルアップサイクルアプリマーケティングの主要施策をカスタマージャーニーに合わせてマッピング。施策は大きくアプリのダウンロード前後で分かれており、さらにダウンロード後のユーザーから得られる評価やフィードバックが機能改善やプロモーション施策に還流し、スパイラルアップする仕組み。

アプリマーケティング施策は、ダウンロード前のユーザーをターゲットとする「ユーザー獲得」施策と、ダウンロード後のユーザーを対象とした「継続利用促進」施策のふたつに大別できます。

ユーザー獲得施策として実施するのは、「興味・関心」「比較・検討」フェーズにおける、広告やPRを使ったプロモーションと、「比較・検討」から「ダウンロード」フェーズのユーザーに効く「ASO(アプリストア最適化)対策」です。アプリの認知を広め、ダウンロードしやすい環境を整えることで、ユーザーを増やしていくわけです。

継続利用を促進する施策の代表例は「プッシュ通知」「アプリ内メッセージ」、そして、アプリの利用状況を把握するための「アプリ分析/解析」です。詳しくは後述しますが、プッシュ通知とアプリ内メッセージの内容とタイミングは、アプリの継続利用に大きな影響を及ぼします。

そして、忘れてはならないのが「共有」のフェーズ。ユーザー同士の「コミュニティ」はアプリの利用を活性化するほか、そこで得られる評価やフィードバックは機能改善にとって非常に有益なものとなります。また、ユーザーが行うSNSや口コミなどでの発信は、プロモーションへと還元されていきます。

広告・PR、ASO対策でユーザーを獲得し、プッシュ通知やアプリ内メッセージ、アプリ分析/解析によって継続的な利用を促し、そしてユーザーの評価や発信が機能改善や新たなプロモーションにつながる。この一連のサイクルを通し、スパイラルアップする形でアプリの売り上げやLTV(Life Time Value・ライフタイムバリュー)を成長させていくのがアプリマーケティングなのです。以降ではここまでに挙げてきた

  • プロモーション(広告・RP)
  • ASO(アプリストア最適化)対策
  • プッシュ通知
  • アプリ内メッセージ
  • アプリ分析/解析
  • コミュニティマーケティング・ファンマーケティング
  • アプリの機能改善

それぞれの施策について、その目的や監視すべきKPI、成功事例について詳しく紹介していきます。

■広義のアプリマーケティング

アプリマーケティングという言葉は「モバイルアプリを利用したマーケティング」という意味で使用されることもあります。例えば、店舗を保有する事業者がアプリを開発し、アプリを介した顧客とのコミュニケーションにより来店促進や店舗の売り上げ増大を図るような活動です。ただし、この場合もアプリを多くのユーザーにインストールしてもらい、継続的に利用してもらえなければ成果は生まれません。結局のところアプリ運用においては、本記事で解説するのと同様の取り組みが必要であるといえます。

【重要施策1】プロモーション(広告・PR)施策とKPI

アプリマーケティングのファーストステップとなるのが、カスタマージャーニーの「興味・関心」「比較・検討」フェーズに対する打ち手である、広告やPRを活用したプロモーション施策です。ユーザーに知られていなければアプリがダウンロードされ、使用されることはないからです。

ここでは、代表的なプロモーションチャネルを「オンライン広告」「オフライン広告」「その他のプロモーション」の3つに大別し、それぞれについてさらに深堀していきます。「自社アプリで活用しきれていないチャネルはないか」「新たに投資すべき露出面はないか」という視点でチェックしてみてください。

■プロモーション(広告・PR)施策の概要

プロモーション(広告・PR)施策の概要(オンライン広告・オフライン広告・その他のプロモーション)アプリマーケティングにおける広告・PRの手法は、オンライン広告、オフライン広告、その他のプロモーションに大別できる。アプリの種類や成長フェーズによって最適なチャネルは異なり、適切な使い分けが欠かせない。

オンライン広告(アプリインストール広告)

アプリのプロモーションに最も相性が良いと考えられる広告チャネルがオンライン広告です。アプリのダウンロードはオンラインで行われます。タッチポイントもオンラインに存在したほうが、スムーズにダウンロードへと誘導できるからです。また、CPI(Cost Per Install)ROAS(Return On Advertising Spend)といったKPIを測定しやすいという観点もあります。

なお、アプリのダウンロード(インストール)を目的とした広告は、「アプリインストール広告」と呼ばれるのが一般的です。代表的な広告媒体を5つ紹介するので自社で使いこなせているか、新たな媒体がないかという視点で確認してみましょう。

■Apple Search Ads(ASA)

Apple Search Ads(ASA)」は、iOSデバイス用(iPhone、iPadなど)のアプリストアである「App Store」内に広告を配信できる媒体です。アプリストア内の検索結果画面や「Today」タブの上部などに広告を表示できます。アプリストア内に表示されるため、CVRが他の媒体よりも高いといわれており、アプリインストール広告の基本と位置付けられています。

■Googleアプリキャンペーン

Googleアプリキャンペーン」は、Googleが提供するアプリ用の広告媒体です。Google検索、Google Play、YouTube、Google ディスプレイ ネットワークなど、掲載面が非常に多いのが特徴。広告文や画像・動画を用意するだけで、アプリ詳細ページの情報と合わせて、自動的に広告クリエイティブが作成され、目的に合わせて最適化された状態で配信されます。

■Facebook アプリ広告

Facebook アプリ広告」はMetaが提供する広告キャンペーンの形態。ターゲットとなるオーディエンスを設定すると、それに応じてFacebookのニュースフィードやInstagram、Messengerなどに配信されます。

■Twitter 広告アプリインストール数キャンペーン

Twitter 広告アプリインストール数キャンペーン(名称は2023年9月1日現在)」は、Xが提供する広告キャンペーンのひとつ。広告はX(旧Twitter)のタイムラインや検索結果などに表示されます。なお、Xの利用者はそれ以外の人に比べて、オンライン広告からアプリを直接ダウンロードする確率が38%以上高いとされています。

■Yahoo! アプリ訴求広告

Yahoo! アプリ訴求広告」はYahoo! JAPANの検索結果に表示される広告です。検索キーワードとの関連性に合わせて広告が表示されます。なお、検索広告ではなくディスプレイ広告にもアプリ訴求用の機能が用意されています。

オフライン広告

アプリのプロモーションにはオフライン広告も盛んに活用されています。絶対多数への露出が可能になるため、アプリの認知獲得手段として利用されるのが一般的。ただし、オンライン広告と異なり、広告から直接にダウンロードをすることができないため、KPIの管理が難しい側面も。オンライン広告の効率化を徹底したうえで、その成果をブーストさせる目的で使用するものと考えるのがよいかもしれません。

■マス広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)

認知獲得を目的とした場合、いまだ最高の広告媒体といえるのはマス広告です。受け皿となるオンライン広告が周到に準備されている状態であれば、大きなリターンを得られる可能性があります。
他の広告に比べて投資額が大きくなる傾向があるので、すでに一定の売り上げがあるゲームアプリやOMODXの観点で運用されているアプリでよく利用される広告手法です。

■屋外広告(OOH)

「屋外広告(OOH)」とは、ビルの看板や交通広告など、屋外に掲示される広告の総称です。マス広告と同様に認知獲得を目的として利用されることが多く、ゲームアプリや基幹事業のOMO・DXを目的としたアプリのプロモーションによく活用されています。

その他のプロモーション(PR)

アプリのユーザーを獲得するためには、有料広告だけでなく、無料の情報発信、いわゆるPR活動も必要不可欠です。適切に利用すれば、SNSでバズを生み飛躍的に認知度が向上したり、ニュースに取り上げられたりすることで認知度だけでなく、信頼性や企業の取り組みへの理解が深まるケースもあります。

■SNS運用

Facebook、Instagram、X(旧Twitter)といったSNSはアプリユーザーと非常に相性の良いメディア。どちらも主にスマートフォンで活用するものだからです。公式アカウントを作成し、機能追加やイベント、キャンペーン情報などを積極的に発信していくのがいいでしょう。
公式アカウントが核となり、ユーザー同士のつながりを創出することは、後述するコミュニティマーケティング・ファンマーケティングの礎にもなります。

■店頭プロモーション

店舗をはじめとするリアル事業のOMO、DXを背景として開発・運用されているアプリの場合、店頭スタッフによる顧客への直接的なプロモーションが欠かせません。このとき重要なのは、スタッフに積極的な行動を促すような組織としての取り組み。
あるアパレル事業者は、各店舗に目標を設定し、全社的な活動をした結果、アプリのダウンロード数が格段に伸びたといいます。店頭POPやアプリダウンロードによる割引キャンペーンなども積極的に利用するのがよいでしょう。

■プレスリリース

アプリの公開時はもとより、大きな機能追加やキャンペーン、イベントの開催時には積極的にプレスリリースを配信することをおすすめします。ニュースとして取り上げられなかったとしても、プレスリリースをそのままに記事化して配信するメディアもあり、一定の露出拡大が見込めます。プレスリリースを起点としてSNSを盛り上げるような戦略を立てるのがよいでしょう。

プロモーション(広告・PR)施策のKPI

プロモーション施策には多くの場合、経済的な投資が発生します。投資がアプリの成長や売り上げに正しく貢献しているかを判断するためには、以下のような指標の継続監視が必要不可欠です。

■プロモーション(広告・PR)施策の代表的なKPIと概要

KPI KPIの説明
ダウンロード数
(インストール数)
広告を経由してアプリ詳細ページに到達し、ダウンロードしたユーザーの数。広告の効果を直接的に示す基本指標です。
CPI
(Cost Per Install)
1ダウンロード(インストール)当たりの広告費用を示す指標。この数値が低ければ、効率的な広告運用が実施されていると評価できます。
CVR
(Conversion Rate)
広告経由でアプリ詳細ページを閲覧したユーザーの何%がアプリをダウンロードしたかを示す指標。CVRが低い場合は、アプリ詳細ページのクリエイティブや配信媒体、広告文などを見直す必要があります。
CPC
(Cost Per Click)
広告1クリック当たりにかかった費用。CPCが高い場合、表示される広告のクリエイティブや配信媒体の改善が必要だと考えられます。
ROAS
(Return On Advertising Spend)
広告投資からどれだけの売り上げを得られたかを示す指標です。アプリはダウンロード=売り上げではないため、いかに売り上げに貢献するユーザーを獲得できたかをROASを活用して評価する必要があります。
その他の指標 広告経由でアプリをダウンロードしたユーザーが、どの程度、アプリの成長や利益に貢献しているかも同時に計測する必要があります。MAU・DAU、リテンションレート、PUR(課金率)やARPU(ひとり当たりの平均売上金額)などの変動も注視してください。

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【重要施策2】ASO(アプリストア最適化)対策とKPI

ASO(アプリストア最適化)対策は、「App Store(iOS)」や「Google Play ストア(Android)」内にある自社アプリの詳細ページを改善することで、アプリのダウンロード数を増やす施策。ユーザー獲得の最重要施策として、プロモーション活動と並行して必ず行うべきものです。

なぜなら、あらゆるアプリのダウンロードはアプリストアを経由して行われるからです。ASO対策を適切に実施していないと、どれだけ広告施策やPRを行っても、ダウンロード数が最大化されることはありません。

ASO(アプリストア最適化)対策におけるふたつの施策テーマ

ASO対策には大きく分けると「SEO(検索エンジン最適化)」と「CRO(コンバージョンレート最適化)」のふたつの切り口があり、両者を並行して実施することが重要。SEOによってアプリストア内検索順位を高めることで、ユーザーからの認知度、アプリ詳細ページへの流入数を向上させるとともに、CROによってアプリの魅力をユーザーに訴求し、総合的にアプリのダウンロード数を増大させるのです。

■ASO(アプリストア最適化)対策におけるふたつの施策テーマ

ASO(アプリストア最適化)対策におけるふたつの施策テーマであるSEO(検索エンジン最適化)とCRO(コンバージョンレート最適化)ASO対策はSEO(検索エンジン最適化)とCRO(コンバージョンレート最適化)を同時に実施することが重要。

■SEO(検索エンジン最適化)

自社アプリのアプリストア内検索順位を上昇させることで、ユーザーへの露出を強化。アプリ詳細ページへの流入増大を図る施策です。上位表示させたい検索キーワードに対して、「タイトル」や「説明文」などをいかに最適化するかが重要なポイントとなります。

■CRO(コンバージョンレート最適化)

自社アプリのアプリ詳細ページのクリエイティブを改善することで、CVRの改善を図る施策です。「説明文」「スクリーンショット」や「動画」などによって、アプリの魅力を最大限に伝えることが施策のカギ。また、アプリのダウンロード前にレビューや評価をチェックするユーザーが多いため、アプリ自体の機能改善もCVRの上昇につながります。

ASO(アプリストア最適化)対策のKPI

ASO対策の最終目的はアプリのダウンロード数増大ですが、施策の効果を正確に測るためにはダウンロード数だけでなく以下のような指標を適切に監視・計測する必要があります。

■ASO(アプリストア最適化)対策の代表的なKPIと概要

KPI KPIの説明
アプリストア内
検索順位
自社アプリと関連性の高いキーワードで検索された際に、何位に表示されているか。キーワードごとに検索回数の大小があり、検索回数が多いキーワードほど、上位表示が実現した際のインパクトが大きくなります。
自然検索流入数 アプリストア内検索からアプリ詳細ページへの流入数。アプリストア内検索順位と連動して変化し、原則として順位が上昇すれば流入数は増大、順位が下落すれば流入数は減少します。
CVR
(Conversion Rate)
アプリ詳細ページを閲覧したユーザーの何%が実際にアプリをダウンロードしたかを表す指標。スクリーンショットや動画、訴求文などによって変動し、A/Bテストを繰り返すことで改善を図ります。
ダウンロード数
(インストール数)
アプリ詳細ページから実際にアプリがダウンロードされた数。ASO対策を実施する際の最終的な目標数値。
ユーザーレビュー数
・評価スコア
ユーザーレビューの数や評価スコアはCVRに影響を与えます。良いレビュー、高いスコアを集めることで、基本的にはCVRが上昇するため、アプリ自体の品質改善もASO対策の一部と捉えることが重要。
その他の指標 広告・PR施策と同様に、アプリストア内検索経由でダウンロードしたユーザーのリテンションレート(継続率)やPUR(課金率)やARPU(ひとり当たりの平均売上金額)などにも気を配る必要があります。

■ASO対策は広告効率の改善にもつながる

アプリのダウンロードは原則としてすべてアプリストア内のアプリ詳細ページから行われます。つまり、ASO対策で実施したアプリ詳細ページのCVR改善は、広告によって誘導されたユーザーに対しても効果を発揮するのです。ASO対策は集客・ユーザー獲得施策全体に影響を与えるものであると覚えておくとよいでしょう。

ASO対策・アプリストア最適化とは?重要性と詳細改善ポイント【iOS・Android対応】

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【海外ノウハウ】ASO戦略における競合の選び方

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ASO(アプリストア最適化)対策の成功事例

ASO対策は、アプリのダウンロード数を飛躍的に増大する可能性を秘めた施策です。Reproが支援したASO対策の成功事例を紹介しましょう。

半年でダウンロード数が3倍に。『doda』アプリを躍進させたASO支援

半年でダウンロード数が3倍に。『doda』アプリを躍進させたASO支援  (「doda」パーソルキャリア株式会社様)

(「doda」パーソルキャリア株式会社様)
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ASO支援の結果、ダウンロード数が5か月で367%増加!

ASO支援の結果、ダウンロード数が5か月で367%増加!  (「Coincheck」コインチェック株式会社様)

(「Coincheck」コインチェック株式会社様)
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【重要施策3】プッシュ通知施策とKPI

プッシュ通知とは、アプリをダウンロード・インストールしたユーザーに対して、メッセージを配信する機能のことです。ユーザーが「アプリを起動していなくても」「リアルタイムで」、スマホのロック画面やステータスバー、画面上部などにメッセージを表示できるのが最大の特徴。

メッセージの内容や配信タイミング、セグメントによっては飛躍的にアプリの起動率を上げられるほか、ユーザー体験にも大きく影響するため、アプリのリテンションレート(継続率)や売り上げ改善、MAUDAUの増大に大きく貢献する施策として知られています。

■プッシュ通知施策の例

プッシュ通知施策の例(スタンダードなプッシュ通知とリッチプッシュ通知)プッシュ通知は、アプリを起動していないユーザーにも直に様々なメッセージを送ることができ、ユーザーの行動を促すことができるため、アプリマーケティングにおける最重要施策として位置付けられている。

プッシュ通知配信の目的と施策の例

プッシュ通知は様々なマーケティング用途で利用されています。主なプッシュ通知配信の目的を一覧にまとめたのでチェックしてみましょう。もし、自社で取り組めていない要素があるのであれば、プッシュ通知活用をより積極的に推進することをおすすめします。

■キャンペーンやイベントの効果を最大化するため

EC機能を持ったアプリやゲームアプリでよく利用されるプッシュ通知の使い方です。期間限定のキャンペーンやイベントは、開催中であることをユーザーが認識していなければ意味がありません。ユーザーにとってメリットのある情報を発信することで、アプリの利用率や売り上げの向上を目指すのです。

■重要な情報をユーザーにリアルタイムに通知するため

メッセンジャーアプリ、天気予報、ニュースアプリ、スケジュールアプリなどでよく見られるプッシュ通知の活用法です。メッセンジャーアプリであれば、新着メッセージのお知らせ、天気予報やニュースアプリでは最新情報の配信、スケジュールアプリでは、予定のリマインドなどに用いられ、アプリ自体の利便性・ユーザー体験の向上に役立てられています。

■ユーザーにアプリの価値を最大限に感じてもらうため

ほとんどのアプリは継続的かつ適切に利用してもらうことで価値を発揮するものです。このとき重要なのは、利用すべきタイミングでアプリの起動を促すこと。
アプリのジャンルによって活用法は様々ですが、ヘルスケア・ダイエットアプリであれば、「毎食後の時間帯に食べたものの入力を促すプッシュ通知を配信する」、ECアプリであれば、「カートに入ったまま支払いが済んでいない商品の存在を通知する(カゴ落ち・カート落ち)」といった活用の方法が考えられます。

■休眠ユーザーの復帰を促すため

プッシュ通知はアプリを起動していない状態でも表示されるため、一定期間、アプリを利用しなくなってしまったユーザー(休眠ユーザー)に対するアプローチにも最適です。キャンペーン・イベント情報の配信をフックにアプリの起動を促したり、●週間以上アプリを起動していないユーザーに対して、再度、アプリのメリットを訴求したりといった使い方が一般的です。

プッシュ通知施策のKPI

プッシュ通知は様々な目的で使用されるため、監視すべき指標は無数にあります。ここでは代表的なKPIをピックアップして紹介します。

■プッシュ通知施策の代表的なKPIと概要

KPI KPIの説明
配信数/配信率 配信したプッシュ通知が実際にユーザーのデバイスに届いた数(配信数)と割合(配信率)。想定された人数のユーザーに正しくプッシュ通知が配信されているかを確認する目的で計測します。
開封率/CTR
(Click Through Rate)
実際にプッシュ通知をタップしてアプリを起動した割合を示す指標(開封率)。プッシュ通知内の特定のリンクをクリックした割合を示す指標(CTR)。プッシュ通知に対するユーザーの関心度や内容の訴求力などを測ることができます。
CVR
(Conversion Rate)
プッシュ通知を受け取ったユーザーのうち、何%が目的とする行動・CV(コンバージョン)を起こしたかを表す指標。アプリや配信目的によってCVの定義は異なりますが、ECアプリでは商品の購入、動画配信アプリではあれば動画視聴など、アプリ内の特定行動をCVとするのが一般的です。
許諾率 プッシュ通知はユーザーの許諾がなければ配信されません。許諾率が低下し続けている場合は、プッシュ通知の内容や配信タイミングなどを見直す必要があるでしょう。
MAU(Monthly Active Users)/DAU(Daily Active Users) MAUは1カ月のユーザー数、DAUは1日のユーザー数です。プッシュ通知を送った結果、ユーザーがアプリを利用してくれたのかを計測することが可能です。
リテンションレート
(継続率)
アプリの継続利用率を測るための指標です。ユーザーにとって必要な情報を適切なタイミングで配信することで、アプリの起動率が上がるほか、価値のある機能が使用されることになり、結果として、リテンションレート(継続率)の改善につながります。
その他の指標 プッシュ通知配信の目的に応じて、ARPU(ひとり当たりの平均売上金額)やLTV、特定の機能の使用率などを監視する必要があります。

プッシュ通知完全ガイド【事例付き】~メリット・デメリット・配信ノウハウ・種類と仕組み~

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プッシュ通知施策の成功事例

プッシュ通知は、「内容」「対象」「タイミング」「頻度」などを適切に設定し、運用することで、アプリのリテンションレートや売り上げを大きく改善してくれる可能性があります。Reproが支援したプッシュ通知配信施策の成功事例をいくつか紹介しましょう。

プッシュ通知の大量・即時配信を実現!分析と運用支援で予約数15%アップも

プッシュ通知の大量・即時配信を実現!分析と運用支援で予約数15%アップも  (「スシローアプリ」株式会社FOOD & LIFE COMPANIES様)

(「スシローアプリ」株式会社FOOD & LIFE COMPANIES様)
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セグメントを分けたプッシュ通知でアクティブユーザーが約3倍に

セグメントを分けたプッシュ通知でアクティブユーザーが約3倍に  (「FANCLメンバーズアプリ」「FANCLお買い物アプリ」株式会社ファンケル様)

(「FANCLメンバーズアプリ」「FANCLお買い物アプリ」株式会社ファンケル様)
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1カ月でアプリの継続率が143%、動画再生率が132%UP!

1カ月でアプリの継続率が143%、動画再生率が132%UP!  (「WOWOW」株式会社WOWOW様)

(「WOWOW」株式会社WOWOW様)
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【重要施策4】アプリ内メッセージ施策とKPI

アプリ内メッセージとは、アプリを起動している最中に表示されるポップアップメッセージや吹き出し、バナーなどのことです。アプリの核となる機能にユーザーを誘導したり、キャンペーンのお知らせをしたり、アプリの機能を案内したりする(チュートリアルやオンボーディングと呼ばれる)目的で使用されています。

どんなに高度で豊富な機能を搭載していたとしても、ユーザーに使ってもらえなければ、その価値が伝わりません。アプリを最適な形でストレスなく利用してもらい、アプリの価値を体感してもらうためのコミュニケーション手法と考えるのがよいでしょう。

■アプリ内メッセージ施策の例

アプリ内メッセージ施策の例(ポップアップメッセージとバナー))アプリ内メッセージの表示方法は多種多様で、キャンペーンや新機能のお知らせ、カゴ落ち・カート落ち対策など用途も様々。アプリの機能や価値をユーザーが体感できるよう、誘導目的で使用するのが代表的な使い方。

アプリ内メッセージの目的と施策の例

アプリ内メッセージは、プッシュ通知と同様にアプリマーケティングにおける重要なユーザーとのコミュニケーションチャネルです。プッシュ通知に比べて、表示方法やクリエイティブ、表示タイミングの自由度が高いという特徴があり、上手に使い分け、組み合わせて利用することがベストプラクティスへの近道といえます。

■アプリの価値を最も体現している機能に誘導するため

アプリは使ってもらうことによってユーザーに価値を届けることができます。特にそのアプリの核となる機能を使ってもらえなければ、ユーザーはアプリを無意味なものと感じてしまうでしょう。
アプリ内メッセージを使えば、リッチなクリエイティブ表現でユーザーを機能活用へと誘導することが可能。ユーザビリティの改善や満足度の向上に非常に適したコミュニケーション手法と考えられています。

■ユーザーのアプリ活用フェーズを引き上げるため

ひとくちにアプリユーザーといってもその使い方は様々です。わかりやすいのはゲームや動画配信アプリ。無課金でコンテンツを楽しんでいるユーザーと、課金やサブスクリプション登録をして、プレミアムなコンテンツを楽しんでいるユーザーがいたとき、アプリ事業者としては後者の人数を増やしたいと考えるはずです。
ユーザーが「もっと楽しみたい」「制限されたコンテンツでは不満足」と感じたタイミングで、アプリ内メッセージを表示することで、活用フェーズを引き上げることが可能になります。

■新機能やキャンペーンをユーザーに知らせるため

練りに練った新機能や売り上げ改善のためのキャンペーンもユーザーが認知していなければ活用されることはありません。アプリ起動時などにアプリ内メッセージで告知をすることで、利用率の改善が期待できます。

アプリ内メッセージ施策のKPI

アプリ内メッセージはアプリ利用中のユーザーにメッセージを届けることができる非常に便利な手法ですが、むやみに表示回数を増やしたり、事業者の一方的な都合で表示したりすると、ユーザビリティを低下させる要因にもなります。ユーザーにストレスを与えず、効果的なメッセージを配信し続けるためには、以下のようなKPIを計測し、改善してください。

■アプリ内メッセージ施策の代表的なKPIと概要

KPI KPIの説明
表示回数
(IMP・Impressions)
設定したアプリ内メッセージが実際にユーザーに表示された回数。想定した人数のユーザーに正しくメッセージが届いているかを確認する目的で計測します。
CTR
(Click Through Rate)
アプリ内メッセージの中に設置した特定のリンクをクリックした割合を示す指標。アプリ内メッセージに対するユーザーの関心度や内容の訴求力などを測ることができます。
CVR
(Conversion Rate)
アプリ内メッセージが表示されたユーザーのうち、何%が目的とする行動・CV(コンバージョン)を起こしたかを表す指標。ECアプリでは商品の購入、動画配信アプリではあれば動画視聴など、アプリ内の特定行動をCVとするのが一般的です。
閉じられた率
(Dismissal Rate)
アプリ内メッセージが表示されたユーザーのうち、何%が表示を閉じたかを示す指標。メッセージの内容が適切であったかを測る指標として活用できます。
エンゲージメント率 アプリ内メッセージを起点として、何らかの行動を起こしたユーザーの割合を示す指標です。メッセージ内に設置したリンクのクリックや、メッセージ表示後の画面遷移などがが該当します。
リテンションレート
(継続率)
アプリの継続利用率を測るための指標です。特定の機能の利用促進を目的としてアプリ内メッセージを表示する場合、「その機能が利用されたか」だけでなく、「その機能の利用によってユーザーが継続的にアプリを活用できるようになったか」までを計測するのが適切です。
その他の指標 アプリ内メッセージの目的に応じて、PUR(課金ユーザー率)やARPU(ひとり当たりの平均売上金額)、LTV、セッション時間、起動頻度なども計測する必要があります。

プッシュ通知 vs. アプリ内メッセージ、ふたつの違いとベストな使い方

プッシュ通知 vs. アプリ内メッセージ、ふたつの違いとベストな使い方

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アプリ内メッセージでリテンションを向上させる方法

アプリ内メッセージでリテンションを向上させる方法

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アプリ内メッセージ施策の成功事例

アプリ内メッセージはアプリのグロースを大きく加速させることが可能な施策。アプリ内メッセージを活用しているアプリとそうでないアプリを比較すると、前者のほうが75%も2カ月目のリテンションレートが高いという海外データもあるほどです。ここではReproが携わったアプリ内メッセージ施策の成功事例を紹介します。

KPI設計から始めてLTVは142%、CVRも188%改善

KPI設計から始めてLTVは142%、CVRも188%改善  (「EveryGo」ホンダモビリティソリューションズ株式会社様)

(「EveryGo」ホンダモビリティソリューションズ株式会社様)
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2週間でアプリ評価が☆2.9→☆4.0に!チュートリアル閲覧促進で継続率を121%に改善

2週間でアプリ評価が☆2.9→☆4.0に!チュートリアル閲覧促進で継続率を121%に改善  (「ブックオフ公式アプリ」ブックオフコーポレーション株式会社様)

(「ブックオフ公式アプリ」ブックオフコーポレーション株式会社様)
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【重要施策5】アプリ分析/解析

アプリマーケティングのPDCAサイクルを回すためには、正しくKPIを計測し、ユーザーがアプリ内でどのような行動をしているのかを分析/解析する必要があります。アプリ分析/解析の結果から、ベストプラクティスやボトルネックを見極め、施策を改善していくのです。

そこでここでは、アプリマーケティングにおいて特に有用とされる「リテンション分析」「ファネル分析」というふたつの分析手法について紹介していきます。

リテンション分析

リテンション分析とは、起点となるユーザー行動以降にどの程度のユーザーがアプリを継続利用しているかを時系列で分析する手法です。

わかりやすいのはアプリのダウンロードを起点としたリテンション分析。「ダウンロード1日後の継続率は●%」「ダウンロード7日後の継続率は●%」などと、時系列でユーザーの減衰率を見える化することができ、継続率改善の施策を立案しやすくなります。

リテンション分析を応用することで「マジックナンバー分析」を行うこともできます。マジックナンバー分析とは、アプリの成長に寄与する重要なイベントを特定するための分析手法。「●●をしたユーザーは、リテンションレートが高い」という事実を見つけ出し、その行動へとユーザーを誘導することで、継続率やLTVを改善することが可能になるのです。

有名な例はTwitter(現X)のマジックナンバー分析。「初日に5人以上フォローしたユーザーは継続率が高い」という事実(マジックナンバー)を発見し、初回利用時に「おすすめユーザーのレコメンド機能を実装」。さらに、5人以上のフォローを必須にしたという実例があります。

■リテンション分析の例

リテンション分析の例上の図では「いいねを1回以上実行したユーザー」を対象に、その行動以降の継続率を分析している。ユーザー行動を様々に切り替えることで、継続率の向上に寄与する行動(マジックナンバー)を抽出することが可能になる。

ファネル分析

ファネル分析とは、最終目標に至るまでのユーザー行動をステップ化し、各ステップの移行率(離脱率)を分析する手法です。目標達成のボトルネックとなっているステップが可視化されるため、効率的な施策立案が可能になります。

最終目標とする行動やステップの分け方はアプリの種類や分析の目的によって様々ですが、ECアプリの例を想像すると理解がしやすいでしょう。ECアプリの最終目標は多くの場合「購入=決済」です。決済までのフローを「商品一覧へのアクセス」「商品詳細へのアクセス」「カート投入」といった形で区分し、その移行率(離脱率)を分析することで、施策を実施すべきポイントを明確にしていくのです。

■ファネル分析の例

ファネル分析の例上の図では、「決済する」を最終目標として、「セッション開始」から各ステップへの移行率(離脱率)を分析している。

モバイルアプリで分析すべき3つの要素

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マジックナンバーを見つけてアプリの継続率を上昇させよう

マジックナンバーを見つけてアプリの継続率を上昇させよう

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アプリ成長のカギは継続率!リテンション分析を用いたアプリのグロースハック

アプリ成長のカギは継続率!リテンション分析を用いたアプリのグロースハック

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【重要施策6】コミュニティマーケティング・ファンマーケティング

コミュニティマーケティングとは、共通の興味を持っている人達(コミュニティ)を商品やサービスのPR・販促に活用する手法のこと。アプリマーケティングに置き換えた場合、「共通の興味」は「アプリの利用」です。

SNSの発達により、ユーザーの発信する情報の影響度は飛躍的に増大しています。ユーザーにファンになってもらい、アプリの良さや魅力を発信してもらうことで、アプリの認知を高めていくのです。そしてユーザー同士のつながりはアプリに対するエンゲージメントを高め、リテンションレート(継続率)やLTVの改善にもつながっていきます。

また、コミュニティからの発信はアプリの機能改善にもつながります。ユーザー同士のコミュニケーションから読み取れる、「不満」「改善要望」はアプリが抱えている課題を直接的に表したもの。アプリマーケターはコミュニティに飛び込み、積極的にかかわっていくことで、より効率的にアプリのユーザー体験を高めていくことが可能になるでしょう。

コミュニティマーケティングとはどんな手法?定義やメリット、実践方法を紹介

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ソーシャルメディアでアプリマーケティングの効果を最大化する方法

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【重要施策7】アプリの機能改善

アプリの運用において非常に重要度が高いのが、ユーザーの声に耳を傾け、常に改善を続けていくことです。日本国内では毎日のように新しいアプリが公開され続けています。自社のアプリと競合するアプリが登場することも珍しくないでしょう。レッドオーシャンとなった市場の中で、競争に勝ち続けるためにはスピーディな改善が欠かせないのです。

 このときに重要になるのが、小さく作って公開し、ユーザーの評価を基にブラッシュアップする、いわゆるMVP思考。完成度の高い状態で新しい機能やUIを公開したいのは誰でも同じ。しかし、完成度だけを重視し、開発に時間をかけすぎると、競合に追い抜かれてしまったり、ユーザーニーズを反映しない機能開発に終始してしまったりという事態が発生する可能性があります。

 「アプリは常にアップデートされるもの」という認識はユーザーに根付いています。最小限の機能で公開し、ユーザーのフィードバックを基に完成形を目指した方が効率的であり、リスクも少ないと考えるのがよいでしょう。

【海外ノウハウ】アプリのフィードバックをユーザーから得る効果的な5つの方法

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アプリの設計でやってはいけない10のこと

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モバイルアプリ市場に関する注目すべき調査

ここまでは、アプリマーケティングの全体像とともに、重要な7つの施策について解説してきました。では、前述した7つの施策がなぜ重要と言い切れるのでしょうか。その重要性の裏付けとなる調査データを紹介していきます。

モバイルアプリ市場の競争激化

data.ai社が発表した「モバイル市場年鑑 2023」によると、日本国内で2022年度に発生したモバイルアプリのダウンロード数は約24億3,200万件でした。膨大な量と感じますが、2020年度の26億100万件に比べると、1億5,000万件以上も下落しています。

一方で、アプリの利用時間は右肩上がりに伸びており、Androidアプリのみでも、2020年度の44億4,000万時間から、2022年度には51億6,000万時間となっています。

このデータから導かれる仮説は、「ユーザーは使用するアプリを厳選し、気に入ったものを長時間利用するようになっているのではないか」というもの。つまり、ユーザーの時間の奪い合いが激化しているのです。アプリダウンロード前の認知度の向上や訴求力の強化、リテンションレート(継続率)の改善が強く求められているといえるでしょう。

CPI(Cost Per Install)の悪化

2021年、アプリマーケティング業界に激震が走りました。「IDFAのオプトイン必須化」です。「IDFA」とは、iOSデバイスで使用されている広告識別子で、広告ターゲティングに活用されていました。このIDFAの利用にオプトインが必須となったことで、広告のターゲティング精度が低下し、結果としてCPIの悪化が起きているのです。

Repro株式会社が発表した「アプリマーケティング実態調査 【2022年度版】」では、「IDFAの利用規制以降にCPIが悪化した」と回答したアプリマーケターは48.9%にも上っており、大きなネガティブインパクトを受けていることがわかります。

広告によるユーザー獲得コストの高騰を背景として、ASO対策やリテンションレート(継続率)改善の重要性が高まっているのです。

■IDFAオプトイン必須化以降、アプリ事業者のCPIは悪化

IDFAオプトイン必須化以降、アプリ事業者のCPIが悪化していることを示すグラフ2021年にIDFAオプトインが必須になって以降にCPIが悪化したと回答したアプリマーケターは全体の48.9%を占めている。
※出典:「アプリマーケティング実態調査【2022年版】」Repro株式会社

ASO(アプリストア最適化)対策の重要度が増大

広告効率の悪化が叫ばれる中、広告に依存しない集客施策、つまりASO対策の重要度が高まりを見せています。Repro株式会社が実施した「ASO(アプリストア最適化)対策についての実態調査」では、あらゆる集客施策の中で、ASO対策が最も重要視されていることがわかりました。

 アプリ集客=広告という時代ではなくなっているのです。落ちてしまった広告効率を高めるために、アプリ詳細ページのCVR改善し、ダウロード数を維持したいという狙いもあるでしょう。

■アプリマーケティング施策(集客)の重要度ランキング

アプリマーケティング施策(集客)の重要度ランキングのグラフ各種広告施策を上回り、ASO(アプリストア最適化)対策が重要度においてトップに立っている。2位も「自社Webサイト経由のインストール促進」となっており、広告依存からの脱却を目指す傾向がうかがえる。
出典:「ASO(アプリストア最適化)対策についての実態調査」Repro株式会社

プッシュ通知の不用意な配信はアンインストールの原因

アプリユーザーとのコミュニケーションチャネルとして非常に重要な地位を占めるプッシュ通知。しかし、プッシュ通知の不用意な配信は、「通知の許可をオフにされる」だけでなく、アンインストールにつながることもわかっています。

Repro株式会社が実施した「アプリプッシュ通知に関するユーザーインサイト調査」によると、プッシュ通知に不快さを感じたときの対処法として、「そのアプリを削除する」と回答しており、プッシュ通知の内容や配信タイミングはとてもセンシティブなものであることがわかります。

絶えずKPIを監視し、最適なタイミングでユーザーニーズに合ったメッセージを送れるよう、創意工夫を続ける必要があるのです。

■プッシュ通知に不快さを感じたときの対処法

プッシュ通知に不快さを感じたときの対処法のグラフ特にアンインストールの原因になりやすいプッシュ通知は「自分に関係のない」「内容が理解できない」もの。30%近いユーザーが「そのアプリを削除する」と回答している。
※各プッシュ通知の配信状況について「とても不快だと感じる」「やや不快だと感じる」と回答した人が対象。
※出典:「アプリプッシュ通知に関するユーザーインサイト調査」Repro株式会社

アプリマーケティングの本質は大小のPDCAサイクル

本記事の冒頭で、「一連のサイクルを通し、スパイラルアップする形でアプリの売り上げやLTVを成長させていくのがアプリマーケティング」と述べました。これは「プロモーション(広告・PR)施策」から始まり、「プッシュ通知」や「コミュニティマーケティング」「機能改善」を経て、「プロモーション(広告・PR)施策」へと戻っていく、大きな意味でのPDCAサイクルといえます。

また、本記事で挙げた7つの重要施策は、それぞれにPDCAサイクルを回して、成果改善を実現しなければならないものです。アプリマーケティングは大小のPDCAサイクルを途切れることなく回し続けることがその本質なのです。

そしてPDCAサイクルの基本となるのがユーザーニーズ。目の前のKPIを達成することは非常に重要なことです。しかし、KPIだけを注視してしまうと、ユーザーが置いてけぼりになってしまったり、本質的な機能改善ができずに数値改善だけを目的とした活動にとどまってしまうというリスクがあります。

「そのKPIがどんなユーザーニーズを反映したものなのか」「KPIの目標値を達成することがユーザーにとってどのような意味を持つのか」という視点を忘れずにアプリマーケティングに向き合うことが大切です。

マンガでわかるアプリマーケティング『民に届け。』

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