サブスクリプションを成長させる「ライフサイクルメッセージング」の基礎思考法

Repro Journal編集部
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2025.09.04
サブスクリプションを成長させる「ライフサイクルメッセージング」の基礎思考法

目次

アプリマーケターがリテンションについて語るとき、しばしば見落とされる事実があります。それは、「ユーザージャーニーはインストールの瞬間に終わるのではなく、むしろそこから始まる」ということです。
この記事は、QonversionのビジネスデベロップメントエグゼクティブであるNick Laz氏と、Pushwooshのプロダクト責任者であるMike Yudin氏が行ったセミナーのサマリーです。サブスクリプション型アプリにおける本当の「ライフサイクルメッセージング」とは何かを徹底的に掘り下げていきましょう。

この記事は、Qonversion Inc.のブログ “Lifecycle Messaging Strategy for Subscription Growth” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。

ユーザーは驚くほどは早く離脱し、獲得投資は消え去る

「ユーザーの80%は最初の24時間以内に離脱し、30日後に残っているのはわずか6%である」。PushwooshのMike氏がセミナーの冒頭で突きつけた現実です。次のスプリントが始まる前に、ユーザー獲得への投資はほとんどが溶けてしまうわけです。

彼はセミナー内で、あるEdTech企業が資金調達を行ってユーザー獲得に投資した実例を紹介しています。その例では、獲得したユーザーを有料顧客へ転換させることに失敗。その結果、20万ドルが水の泡となり、その失敗から立ち直るのに数年を要したといいます。

この話の教訓は明確です。「トラフィックを買うのは簡単。しかし、利益を生むためにはユーザーをつなぎ止めなければならない」ということです。

ユーザージャーニーの各ステージを掌握する必要がある

では、せっかく投資して獲得したユーザーを「ゴースト化」させないためにはどうすればいいのでしょうか。Mike氏が示したのは、次のようなシンプルなステージ設定とフレームワークでした。

【ステージ1】オンボーディングとアクティベーション

重要なのは、アプリインストール後の24時間以内に本物の「アハ体験」を生み出すことです。プッシュ通知の許諾バナー、インタラクティブなアプリ内チュートリアル、すべては迅速な価値提供のためにあります。例えばシュ通知の許諾得。これを実現するだけで非常に多くのオーディエンスを獲得できるようになります。

【ステージ2】リテンションとエンゲージメント

インストール後、1日目以降は習慣づくりの時間です。アプリ内メッセージでアプリの機能をガイドし、プッシュ通知で休眠ユーザーを呼び戻し、メールで価値を補強します。この3つを組み合わせたユーザーとのコミュニケーションは、7日目リテンションレートを最大25%も向上させるといわれています。

【ステージ3】収益化とマネタイズ

最終目標は明確。無料・トライアルユーザーを有料ユーザーへと転換させることです。トライアル開始、更新、解約を追跡し、そのデータをメッセージングに還元します。なぜなら、実際のマネタイズがなければ、エンゲージメントはただの雑音に過ぎないからです。

【図】ユーザー獲得からコンバージョンまでユーザージャーニーと各フェーズで取り入れるべきツール

コミュニケーションをオーケストレーションせよ

すぐに離脱してしまうユーザーをひとつのコミュニケーションチャネルだけでつなぎ止めようとしてもそれは困難なことです。以下のような組み合わせを考えてください。

  • プッシュ通知を用いて、適切なタイミングでコミュニケーションの扉を開く
  • アプリ内メッセージを活用して、ユーザーを行動へと導く
  • メールでストーリーを定着させ、アップセルを行い、あるいは離脱したユーザーを呼び戻す

この組み合わせは単なるお題目ではありません。Pushwooshのデータによると、アハ体験の5分以内にプッシュ通知を送ると、コンバージョン数が2~3倍に跳ね上がることがわかっています。

重要なのは正しいメッセージと正しい指標

Nick氏はセミナー内で「配信=インパクトではない」と語っています。プッシュ通知が開封されたとしても、それがトライアル開始につながらなかったり、解約防止にならなければ意味がありません。注視すべき指標はクリック数ではなく、そのメッセージが下記のようなアクションを促し、収益を動かしたかどうかなのです。

【図】購買意図とユーザーアクションの関係図

これらのシグナルは、次にどのようなメッセージを送るべきか、そして本当にコンバージョンの準備ができているユーザーは誰なのかを判断する手助けとなります。

常にテストをして継続的に改善しなければならない

このセミナーでは非常に強いメッセージが発信されています。「テストするか、さもなくば失敗するか」という選択を迫ったのです。Nick氏はライフサイクルメッセージのテストを3つのシンプルな構造に分解して解説しています。

  • チャネル:プッシュ通知、アプリ内メッセージ、メール、どのチャネルが最もコンバージョンにつながるのか
  • タイミング:オンボーディングから10分後のリマインダーと1時間後では、どちらがコンバージョンにつながるのか
  • トーンとコピー:優しいナッジと強いCTAでは、どちらがコンバージョンにつながるのか

例え小さな調整でも大きな成果につながることがあります。

次の72時間で取り組むべきチェックリスト

ここまで読んできても、「具体的に何からスタートすればよいかがわからない」という人も多いはずです。そんなときはMike氏が提唱したクイックスタートプランを真似しましょう。数百のサブスクリプションアプリで検証された、実効性のある計画です。

  • 主要イベントをトラッキングする:意味のあるユーザー行動をすべて計測できるようにする
  • ユーザージャーニーを構築する:プッシュ通知、アプリ内メッセージ、メール、各チャネルのコミュニケーションを接続し、ジャーニーとして構築する
  • 勝つべき指標をひとつ選ぶ:7日目リテンションもしくは、トライアルから有料化への転換に集中する
  • 新しいことをテストする:新しいペイウォール、メッセージのバリエーション、新しいタイミングを試す
  • 成果を共有する:うまくいったことはすぐにレポートし、チームのモチベーションを保つ。

小さなアクションが積み重なって大きなインパクトを生むのです。

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