2025.07.10

あなたのチームが機能的でスピーディに動作するピカピカの新機能をリリースしました。チームの「Slack」も大いに盛り上がっているかもしれません。エンジニアは誇らしげで、プロダクトマネージャはホッと一息つき、ステークホルダーも感心しています。
ところが肝心のユーザーはどうでしょう?新機能に気づいてもいないか、一度試しただけで離脱してしまっているかもしれません。
こうした状況は、アプリ開発では珍しくありません。プロダクトチームが多くの時間と才能を注ぎ込んで新機能を作っても、リリース後にほとんど使われず、放置されてしまうケースが多いのです。新機能を公開することは、実は仕事の半分にすぎません。もう半分は「新機能を定着させること」です。本記事では新しくリリースした機能を確実に定着させ、日常的に使ってもらえるようにするための5つのポイントを紹介します。
この記事は、OneSignalのブログ “You’ve Built the Feature… Now Make Sure it Sticks” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。
まずは新機能の定着を妨げるユーザーの“リアル”を理解しましょう。以下のようにいくつか代表的な要因が存在しています。
どんなに優れた機能でも、適切なコミュニケーションの土台がなければ失敗に終わります。しかし、明確で配慮されたメッセージングと行動データに基づくインサイトを組み合わせれば、新機能はユーザーにただ「届く」だけでなく、「使われ、育って」いくでしょう。
新機能リリースのアナウンスはもちろん重要です。しかし、一度のプッシュ通知を送りっぱなしにするだけでは不十分。新機能のリリースは単なるお知らせではなく、「キャンペーン」として捉えるべきです。
上記を踏まえて新機能リリースのアナウンスを設計すると、以下のような運用が可能になります。
まず「メールによる事前告知」で期待感を高めるところから始めましょう。その翌日、機能がリリースされたことを知らせる「プッシュ通知」を送信します。そして、ユーザーの反応(クリックの有無など)に応じて次のアクションを決定します。
反応したユーザーにはアプリ内メッセージで新機能を視覚的に伝え、CTA(Call To Action)を表示します。一方、反応がなかったユーザーには、詳細な説明や利用シーンを伝えるフォローアップメールを送ります。
各チャネルにはそれぞれ固有の役割があります。メールは関心を醸成し、プッシュ通知はユーザーの注意を引き、アプリ内メッセージはリアルタイムでのエンゲージメントを促します。これらを組み合わせることで、ユーザーに負担をかけることなく、新機能の認知から定着までを支援する統合されたコミュニケーションシステムを構築できるのです。
適切なタイミングで適切なメッセージを届ければ、ユーザーはプロダクトとの繋がりを実感してくれるでしょう。そして価値の理解と継続的な利用が生まれていきます。こうして「認知」が「行動」へと繋がり、「行動」は「習慣」になっていくのです。
「ナッジ」とは「特定の行動を取るように、そっと後押しするような施策やメッセージ」のこと。例えば、ユーザーがフライト予約を完了した直後に、新しく導入された「旅行チェックリスト」機能を試すように促すメッセージを表示したとします。これはコンテキストに沿っていて、タイミングも良く、機能利用を後押しするような役立つコミュニケーションです。
一方で、同じユーザーが「Netflix」を観ている夜11時に、そのチェックリストに関するプッシュ通知を受け取った場合を想像してみてください。これはまったく役に立たず、邪魔でしかありません。ユーザーの置かれたシチュエーションを理解し、必要なときに必要な強度で後押しするメッセージが必要なのです。
上記のポイントを実践するには、イベントトリガー型のメッセージを活用する必要があります。ユーザーが特定のアクションを完了した(または完了しなかった)瞬間に最適なメッセージを届けることができるものです。一律の大量通知をやめ、「今まさに必要とされている瞬間」にユーザーをサポートするメッセージを届けることが重要です。
メッセージが多すぎるとストレスや摩擦を生んでしまいますが、少なすぎてもユーザーの行動を変えることはできません。利用を定着させるにはバランスが重要です。行動科学者のように考えましょう。新機能が定着するのはそれが習慣になるときです。そして、習慣とは「反復」「報酬」「きっかけ」のループによって形成されます。
新機能の利用状況は単なる指標ではなくユーザーとの「対話」です。一つひとつのメッセージは、その「習慣化ループ」を深めるチャンスなのです。
最高のメッセージとは、それを読む人が「これは自分のためのものだ」と感じられるメッセージです。以下の点に徹底的に注意を払いましょう。
週に一度だけアプリを利用するユーザーと毎日ログインしているユーザーとでは、送るべきメッセージがまったく異なります。パーソナライゼーションにより、ユーザーが実際にいる場所や状況に即したコミュニケーションを実践してください。
機能の定着率やメッセージングの効果を測定しなければ、戦略の有効性を確かめることはできません。具体的には以下のような手法を活用しましょう。
新機能が成功するかどうかは、何を作ったかよりも、ユーザーがそれをどう体験するかにかかっています。適切なメッセージングは、単なる静的な機能を生き生きとした体験に変えます。まとめると、ポイントは次の通りです。
価値ある機能を作り上げたのなら、次はそれをユーザーが実際に「使いたい」と思い、好きになってもらえるよう働きかけましょう。
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