2025.09.12

連続インタビュー「Marketers' Café:成功へのステップと発見」。Webサイトやアプリを活用してビジネスをグロースさせるため、日々、マーケティング活動に奮闘する現場のマーケターの生の声をお届けします。今回はエンジニアに特化したダイレクトリクルーティングサービス「Direct type(ダイレクトタイプ)」を運営する株式会社キャリアデザインセンター Direct type編集長の田村有加理さんにお話をうかがいました。
企業が求職者に直接アプローチする転職サービス「Direct type」
Web/iOS
――「Direct type」の特徴について簡単にご説明いただけますでしょうか。
Direct typeは、ITエンジニアに特化したダイレクトリクルーティングサービスだということが最大の特徴です。そのため、ユーザーであるITエンジニアに寄り添ったUI/UX設計になっています。
ひとことでITエンジニアといっても多種多様で、同じスキルセットであっても、自身をバックエンドエンジニアと認識している人もいれば、フルスタックエンジニアだと認識している人もいます。ITエンジニアという職種は線引きが非常に難しいので、同様に自身の職種を「●●エンジニア」と明確に定義することが難しいんですね。そこで、自分のスキルセットや職務領域の登録を、ユーザー自身が直感的にできるようにしています。たとえば、「バックエンドエンジニア」と「フルスタックエンジニア」の複数選択を可能にするなど、曖昧さを許容することで、サービス開始から5年を経て、今のようなかたちにたどり着きました。
――田村さんの現在のミッション・役割について教えてください。
ミッションはやはりサービスの“成長”ですね。私はDirect type編集長ですが、ビジネスデベロップメントにコミットする立場です。サービス拡大には集客、企業獲得、UI/UXと、いくつかの軸がありますが、そのすべてをチェックして口を出すという感じです(笑)。もちろんそれぞれに担当部門もありますし、それぞれに特化している専門集団ですが、部署横断のワンチームとして進めていけることは、この規模だからできる強みでありDirect typeの特徴だと思います。
それが可能になるのは、サービスの成長=「採用数の拡大」という認識が全部署で浸透しているからだと思っています。各部署がそれぞれのKPIをもっているものの、すべてのKPIを「採用数」につなげられているからこそ、ワンチームとして仕事が進められていますね。それはDirect typeの開発部門であっても例外ではありません。Direct typeを利用してくださる採用企業様と、転職を希望されているユーザーの双方に満足いただける転職を増やすことがDirect typeの最も重要なKPIです。
――アプリだけを見ているわけではないんですね。
その通りです。冒頭で申し上げたUI/UXは、アプリ上だけではなく、サービス全体を通した体験のことです。たとえば企業の応募を増やすためにとにかく幅広くたくさんスカウトメール数を配信するという方法もありますが、Direct typeではこれを良しとしていません。本当に企業が欲しいと思ったユーザーにスカウトを送ることを推奨しています。いたずらにスカウト流通量を増やすことは、採用企業にとっては採用確度が下がりますし、ユーザーがマッチングの機会を失うことにもつながります。ちょうどいいバランスを調整しながら、サービス全体そのもののUI/UXを考えているイメージですね。
――Direct typeでユーザーとのコミュニケーションにおいて重視していることはありますか?
各論に近い話なのですが、実感しているのは「コミュニケーションチャネルの使い分け」の重要性です。Direct typeは2020年にiOSアプリとしてリリースし、その後PC版へと展開してきました。特にPC版は利用率が高いのですが、日常的にPCを使うITエンジニアのユーザー特性や、職務経歴書作成の煩雑さを考えるとその傾向にも納得がいきます。改めて、ユーザーの利用実態に寄り添った設計の必要性を感じました。基本的なスタンスは、常にユーザー目線を徹底することですね。
――ありがとうございます。では、アプリの役割はどう捉えていますか?
「採用というゴールに向けて、アプリはどう活用されるべきか」を見直しており、その点については今まさに議論しているところです。Web版とアプリ版の機能は近しいのですが、アプリはやはりスキマ時間に使っていただくことで活きるのだろうと見込んでいます。移動中や休憩中にアイコンをタップしてさっとスカウトの状況をチェックするとか、情報収集の機能をアプリに集約させるのがよいのではないかと考えていますね。
――マーケティング施策やユーザーとのコミュニケーションで、「これは成功だったな」といえる取り組みがあれば教えてください。
これはあらゆるサービスに通じると思うのですが、「シンプルにする」ことです。2025年4月に、応募フローをシンプルにしたところ、数字が驚くほど上がりました。
以前のDirect typeは、弊社のフラッグシップでもある「type」を補完するサービスでした。そのため、ユーザーはDirect typeを利用しながらも、いざ応募する際にはtypeへの登録が必要な状態だったんです。ただ、これは私たちの事情による不便であって、ユーザーにとっては不要な負担です。そこでシンプルにDirect typeだけで応募できる仕様に改めた結果、数字の改善に大きく貢献してくれました。typeの補完商品として誕生した商品だったこともあり、社内のオーソライズを取るのは簡単ではありませんでしたが、Direct typeの成長を加速するためには不可欠な判断でした。プロセスをすっきりさせることは有効な手段です。
――アプリやWeb上での、UI面で行った施策はありますか?
届いたスカウトをGmailのようにスレッド化するなど、スカウト管理画面の改善は当たった施策です。これによってユーザーのスカウト回遊率が上がり、同時に応募率も引きあがりました。具体的にはこの改善によって、多くのスカウトを比較しやすくなったのだろうと思います。
「日々届くスカウトをどう管理するか」は、Direct typeユーザーにとって最大の課題です。この課題を着実に解決していくことで、成果は確実に出ると考えています。
――ありがとうございます。逆にうまくいかなかった施策はありますか?
ユーザーの希望条件とスカウトの内容がどれだけ一致しているのかを示す「希望条件一致数」を表示させるようにしたのですが、なかなかいい結果は得られていません。おそらく、「希望条件一致数」の意味をユーザーにうまく伝えられていないのだろうと分析しています。結局、直感的に意味がわからないとダメで、シンプルではないということなのでしょうね。
――そのように自信がありながら、施策がうまくいかないときはどのようにしていますか?
王道ですが、直接ユーザーにインタビューすることだと思ってます。ユーザーの声をそのままダイレクトに取り入れるのではなく、その上で仮説を挙げていって、優先順位をつけながら改善を行っていきます。その間、数字が上がらなくて不安になることもありますが、前述の希望条件一致数なんかは「確実にユーザーが欲しい情報だ」という確信がありました。結局は自分が信じた施策を気が済むまでやって、ダメだったら切り替えればいい。その繰り返しですね。もちろん数字は大事なのは大前提ですが、目先の数字だけに右往左往するのは得策ではないと考えています。ただその一方で、そのほかの優先度の高い課題に対してのアプローチも並行してやっていくことが大切ですね。
――田村さんはご自身の成長のために、どのような方法で情報収集を行っているのか教えていただけますか。
月並みなのですが、主な情報収集は読書ですね。よくサービスグロース系の本を読むのですが、ジャンルを問わずに乱読しています。もちろんセミナーに参加したり、イベントでユーザーとのコミュニケーションもとったりもしますが、本から気づきを得ることが多いです。
最近読んで感銘を受けたのが『ボツ 「少年ジャンプ」伝説の編集長の“嫌われる”仕事術』(鳥嶋和彦、集英社)という本で、かつての週刊少年ジャンプの黄金時代を支えた編集長の話です。その方、とにかくやり方がハチャメチャで(笑)。今の時代だったら許されないでしょっていう。本当におもしろく読めたので、社内のいろんな人に薦めちゃいました。
――仕事にも役立つようなメッセージがあるんですね。
そうなんです。私は「目的に向かって、必要と不必要を整理して進めていく重要性」「コンセプトをどこまで貫き通せるか」というメッセージを感じました。組織をモチベートしながらDirect typeをどう成長させるのか。私のミッションにも、大いに役立つ視点や刺激をもらいました。
――ありがとうございます。ちなみに、スキマ時間などはどのように活用していますか?
最近だったら、電車の中でビジネス映像メディアの「PIVOT」をよくチェックしています。ビジネス関連の動画だけでなく、ライフやキャリアなど、幅広いジャンルがあるんですよね。読書もそうなのですが、こうやってジャンルを問わずに情報を「漁る」ことでヒントや魅力的なものに出会いやすくなります。コンテンツ内容はもちろん、アプリUIの面で参考になることもあると思いますし。
ネットで情報を漁って幅を広げて、読書で情報を深掘りして体系化する。インプットはバランスよくやるといいんじゃないかな、と思いますね。
ITエンジニアのためのスカウト転職サービスDirect typeでは、さまざまなテックイベントに出展します!当日は豪華景品が当たるガラポン抽選会も開催しておりますので、ぜひお気軽に遊びに来てください。
※本記事は2025年7月29日時点の情報です。掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。
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