オンボーディングとは?ユーザーを定着させるためのポイント徹底解説

Repro Journal編集部
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2020.02.23
オンボーディングとは?ユーザーを定着させるためのポイント徹底解説

目次

オンボーディングという言葉について、近年のSaaS市場の盛り上がりから耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。オンボーディングの概念をよく理解して取り組めば、ユーザーの定着率を高めることにつながります。

オンボーディングの概念はさまざまな領域で実践されていますが、今回は特にスマホアプリにおいてユーザーに対して行うオンボーディングについて取り上げます。基礎知識から実施のポイント、さらに効果測定のプロセスまで詳しく解説します。

オンボーディングとは?

オンボーディング(on-boarding)とは、提供するアプリを初めて利用するユーザーを対象に、チュートリアルやアシストサポートなどを通してサービスの価値を正しく理解し、アプリの使い方を習得してもらうための取り組みです。

オンボーディングを行うことで、ユーザーがアプリを利用するモチベーションを高め、長期的な利用を促すという狙いがあります。

様々な領域で使われる「オンボーディング」

オンボーディングという言葉は「on-boarding(船・飛行機に乗る)」という意味に由来しており、現代においては新しい人員、ユーザーを歓迎するというニュアンスで用いられる言葉です。

上記のようなアプリにおけるオンボーディングだけでなく、人材育成の面でもオンボーディングの概念は使われます。この場合はおもに、新卒社員や中途社員などに向けて行う教育・育成プログラムのことを指しています。

オンボーディングを行うことで、早期離職・人材定着・業務効率の向上といった企業側のメリットに加え、社員のモチベーション向上も期待できます。

このように、オンボーディングは複数の領域で用いられる幅の広い概念ですが、いずれも目的とするのはおもに「定着・離脱の防止」「ユーザー/人材のモチベーション向上」です。

ユーザーに対してオンボーディングを行う重要性

アプリの新規ユーザーに対してオンボーディングを行うことで、おもに次のふたつの効果が期待できます。

ひとつはユーザーの離脱防止の点、もうひとつはコストパフォーマンスの点です。

順にご説明します。

ユーザーの離脱防止

現在はスマートフォンの普及により、日常的に数多くのアプリが利用されています。

しかし、モバイルアナリティクスのスタートアップ企業「Quettra」が実施した統計によると、アプリをインストールしてから1日後には約7割のユーザーが離脱しているというデータが出ています。

さらに3日後には77%、1カ月後には約90%のユーザーがアプリから離脱するようです。

現代ではSNSやニュース関連などさまざまなジャンルのアプリが流通しており、ユーザーに選ばれるアプリを制作するには高度な工夫が必要です。

競合が激しいジャンルにおいてユーザーの離脱率を改善するためには、アプリインストールから日が浅いうち、特に初回の起動時にアプローチを図ることが重要だとされています。

オンボーディングでは、アプリの第一印象が非常に重要です。例えば新規ユーザーにアプリの内容を教えるチュートリアルを挟んだり、価値を伝えたりするためのプロセスを欠かさないようにしましょう。

コストパフォーマンス

もうひとつのポイントは、他手法と比較して顧客の獲得にかかるコストパフォーマンスが優れている点です。

一般的にどのようなビジネスであっても、新規顧客を獲得するより既存顧客を維持する方が、コストが低いとされています。そして、その既存顧客がビジネスの売り上げの大半を創出していると考えられています。

著名な原則として、パレートの法則というものがありますが、これは全体の内の約2割の層が全体の8割を創出しているという法則です。この法則に則って売上額を考えると、2割の既存顧客が売り上げの約8割を創出してくれることになります。

そのため、効率的にユーザーを増やして売上向上を図るためには、まず既存顧客の定着を図ることが必要不可欠なのです。

初期段階ではむやみやたらにチャネルを増やすのではなく、ある程度チャネルを絞ったうえで、集中的にマーケティング施策を実践してダウンロード数を増やす方が得策だといえるでしょう。

また、オンボーディングを行ってユーザーに価値を理解して継続してもらうことができれば、定着したユーザーがSNSやブログなどで情報をシェアしてアプリを広範囲に拡散してくれる可能性も高まります。

こうした要因から、サービスをグロースさせていくうえで、オンボーディングは欠かせないファーストステップなのです。

オンボーディング実施のポイント

では、実際にオンボーディングを実施する際にはどういった部分に注意を払って行うべきなのでしょうか。

オンボーディングの実施にはいくつかのポイントがあります。今回は特に重要な5つのポイントを押さえていきましょう。

初回説明のボリュームは抑える

初回起動時に行うオンボーディングは、概要説明や設定が短時間で終わるよう、1〜2枚程度の画面遷移で説明を完了し、シンプルで簡潔なチュートリアルに留めることが必要です。

入口の部分でユーザーに強い負荷を掛けてしまうと、離脱を招いてしまったり、次回起動時の意欲を低下させたりするおそれがあるためです。

著名なアプリの多くは、初回起動時の機能説明を最小限に留め、より詳細な説明は別画面に遷移して確認できるよう設計されています。

また、起動してからすぐに操作を開始できるように、「説明をスキップ」「はじめる」といったボタンが設置されているケースも少なくありません。ユーザーの視点に立って、なるべくストレスのない使用感を心掛けることが大切です。

オンボーディングのタイミングと内容を見極める

先程、初回起動時は過度なオンボーディングは行うべきではないとお伝えしましたが、ではどのタイミングで、何を伝えるべきなのでしょうか。

見極めるために重要となるのが、ユーザーの「継続」と「離脱」を左右するキーアクションを特定することです。このキーアクションに差し掛かったタイミングで、適切な情報のみをコンパクトに伝えることができれば、より良いオンボーディングの実現につながります。

キーアクションを特定する際には、すでにアプリを継続利用しているコアユーザーの行動を参考にすると良いでしょう。

もしコアユーザーが「週に1回商品を購入している」場合、そうでないユーザーに比べて各種機能の使用状況や頻度に違いがないかを見つけ出します。

例えば、コアユーザーは「欲しい物リスト」を活用していることがわかれば、まったく使っていないユーザーに対して、商品閲覧時に「欲しい物リスト」機能の説明を行う、といった施策につながります。

空白の状態を活かす

空白の状態とは、アプリをインストールした直後の最初期の状態を指します。

SNSアプリであれば、自身による投稿も、他人へのフォローも行っていない状態です。このとき表示できるコンテンツは何もありません。これが空白の状態です。

この空白の状態は、ユーザーにアプリの知識を教える格好の機会です。空白のままにするのではなく、ユーザーの誘導や学習・利用を促進する場所として活用してみましょう。

例えば、写真投稿型のSNSの場合、まだコンテンツがなく空白エリアが大きい場合に「カメラを起動して写真を投稿してみましょう」「設定はここから変更できます」などのポップアップを表示させる手法を取っている事例があります。

空白の状態において、アプリが持つ最も基本的な機能を紹介することで、ユーザーに対してアプリの価値を認識させる効果が期待できます。

成功体験を与える

アプリのダウンロードには、大なり小なり必ず理由があります。「問題を解決したい」「純粋に楽しみたい」「情報を得たい」など内容はさまざまですが、そういった動機を汲み取り、最初の成功体験=ファーストサクセスをユーザーに与える取り組みを行うようにしましょう。

ファーストサクセスの例としては、ゲームアプリなら「ステージのクリア」、写真加工アプリなら「思い通りの加工」などになります。

ファーストサクセスは、達成のハードルをなるべく下げ、簡単にクリアできるものにするべきです。また、初回起動から間を置かず、早い段階にクリアポイントを設定することも重要です。

先ほど挙げたゲームアプリの例であれば、ゲーム開始前に操作説明を行うのではなく、まずは実際のステージへと誘導し、操作方法を説明しながらステージクリアへ導いていく形にするほうが効果的です。

素早くファーストサクセスを達成できるようにし、ユーザーの継続意欲を高めましょう。

オンボーディングの効果測定を行う

オンボーディングの効果をより確かなものにするためには、効果測定が欠かせません。

効果測定における重要な指標をふたつご紹介します。

ひとつ目は「オンボーディング中の離脱率」です。

初回起動ユーザーへのオンボーディングを進める中で、どのプロセスで離脱が起きているかをチェックしましょう。

その際、各プロセスを並べて「ファネル分析」を行うと効果的です。状況が見えやすくなり、改善すべき箇所を発見できるでしょう。

ふたつ目は「オンボーディングを完了したユーザーの定着率」です。

オンボーディングを完了した新規ユーザーが、その後どのくらいの期間定着しているか計測する方法です。

目標とする定着率を達成できているか確認するだけでなく、オンボーディングに改善を施して定着率が変化したか継続的にチェックすることも重要です。

効果測定のフェーズでは、できなかった部分だけでなく、成功した要因を探ることも大切です。上手く効果が出た施策であれば、「なぜ効果が出たのか」「どういった部分が良かったのか」を徹底的に探るようにしましょう。

例えばプッシュ通知によって離脱ユーザーが戻ってきたり、チュートリアルを簡潔にしたことでターゲット層への訴求が上手くできていたりするなど、エンゲージメントの上昇に寄与したマーケティング施策を明確化しておくことがオンボーディングの効率を上げることにつながります。

まとめ

今回はオンボーディングをテーマに、概要や実施のポイントについてご紹介しました。

オンボーディングはタイミングが非常に大切で、キーアクションを見極めることがポイントです。明確な目的を持たずにオンボーディングを繰り返すだけでは、説明の押し売りになってしまう可能性が高いです。

そのため、オンボーディングの効果測定をきちんと行い、根拠に基づいた指標を活用して、タイミングを見計らう必要があります。

どのようなサービスであっても、ユーザーに末永く使ってもらうことが大切です。今後もより多くのサービスが増えていくことが予想されますが、そうした中で自社のサービスを選び続けてもらう取り組みは欠かせません。

サービスを持続させるために、また効率的に売り上げを伸ばしていくために、ぜひ最適なオンボーディングを目指してみてください。

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