ゲームアプリの最新潮流 -なぜ世界に出ないのか?-【App Marketing Conference 2021】

山﨑 信潔
山﨑 信潔
2021.03.26
ゲームアプリの最新潮流 -なぜ世界に出ないのか?-【App Marketing Conference 2021】

目次

国内外で続々とリリースされているゲームアプリ。その競争の激しさは、日々増すばかりです。本記事では、「ゲームアプリの最新潮流 -なぜ世界に出ないのか?-」と題して行われた、AppsFlyer Japan株式会社の大坪直哉氏、株式会社NextNinjaの山岸聖幸氏のセッションをレポート。世界で戦う理由、そして勝ち筋まで、徹底的に語り合っています。

※本記事は、2021年3月16日、17日の2日間にわたって開催された「アプリマーケティングカンファレンス 2021」のセッションをダイジェストでレポートするものです。

2020年、ゲームアプリを取り巻く環境はどう変わったのか?

セッションは2020年の振り返りからスタート。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行という、未曽有の事態に見舞われたこの年、ゲームアプリ市場にはどのような変化が訪れたのでしょうか。

株式会社NextNinjaの山岸氏は、グランドサマナーズ、東方LostWordという、NextNinjaの2大タイトルの動向に触れ、グランドサマナーズは「北米、ヨーロッパが売上の大半を占めているのですが、どちらのエリアでもアクティビティ、売上ともに上昇」と、業績の好調さを語ります。

さらに、2020年4月30日にリリースした東方LostWordは、Google Play ベスト オブ 2020を受賞。「非常事態宣言の発令中にリリースしたものの、インストール数は非常に多かった」としました。

グランドサマナーズと東方LostWord世界35カ国で配信中のグランドサマナーズ(左)と、2020年にリリースし、2021年には世界150カ国でリリース予定の東方LostWord(中)。咲うアルスノトリアはNextNinjaが開発・運用を手掛けるタイトル(右)(登壇資料より)。

AppsFlyer Japan株式会社の大坪氏から語られたのは、2020年におけるゲームアプリの「インストールとマネタイズ手法別トレンド」です。

インストール数の前年比成長率は、2019年の32%から2020年は45%と大きく飛躍。特にオーガニック経由でのインストールの伸びが33%と顕著となっています。

また、新型コロナウイルス感染症の流行以降、IAP(In App Purchase・アプリ内課金)が上昇トレンドであったといいます。

ゲームアプリのインストールとマネタイズ手法別トレンドゲームアプリのインストール数の前年比成長率は、2019年に比べ2020年に大きく伸びています(登壇資料・AppsFlyer 2020年版ゲームアプリマーケティング市場レポートより)。

グローバル展開は創業当時からのデフォルトマインド

「自分たちで作って、自分たちで届ける、世界中に」というNextNinjaの企業ミッションに、なぜ「世界中」という言葉が入っているのかという問いかけで、話題はセッションの主要テーマである「なぜ世界に出ないのか?」へと移行していきます。

しかし、山岸氏の回答はとてもシンプルなものでした。

「企業の成長において海外にプロダクトを提供することが当たり前だと思っていまして。ソニーもトヨタもそうですよね。海外に出てプロダクトを提供していくことが、これまでの日本の会社のスタイルだったと思っています」

グローバル展開は、挑戦でも夢でもなく、日本企業の当然のスタイルだというのです。NextNinjaという社名にも、海外の人が、「あ、日本の企業かも」と気づいてくれるかもしれないという思いが込められているとのことでした。

Anime EXPO 2019の様子Anime EXPO 2019の様子。山岸氏は自ら現地に出向き、自社のプロダクトの面白さ、魅力を伝えています(登壇資料より)。

普遍性と正確な指標が海外で戦う際に不可欠な武器

山岸氏が海外で成功するために必要なポイントとして挙げたのは、

  • 普遍的なテーマを扱うこと
  • 明確な指標を持ち正確な計測ツールを用いること

の2点でした。

日本特有のドメスティックなテーマを扱うと、さまざまな文化を持った海外の人たちに伝わらず、海外に展開することが難しくなる。そもそも、ローカライズが困難になるケースもあるでしょう。企画の初期段階でグローバル展開を見据えることが重要なのです。

もう1つ強調したのは、明確な指標を持ち正確な計測ツールを用いること。NextNinjaは国内で開発を行い、全世界に配信するというスタイルを採っているため、現地の情報を現地で手に入れることができません。だからこそ、適切なKPIを設定し、それを正確に測定できるツールが欠かせないというのです。

NextNinjaでは、広告関連指標の計測にはAppsFlyerを、リテンション関連の指標の計測にはReproを使用。

「指標がないと、多分、戦えないと思います」。山岸氏は非常に印象的な言葉を残しています。

海外展開時の注意点は広告不正の多さと、OSシェアの違い

向き合う市場が大きくなるというシンプルなメリットがある一方で、海外展開には特有の注意点もあるといいます。大坪、山岸の両氏が言及したのは、広告不正の多さとOSシェアの違いでした。

広告不正に関しては、量や手法も国ごとに異なるため、グローバルに対応している不正排除ツールを用いたほうが良いとのこと。NextNinjaでは、AppsFlyerのProtect360によって、広告不正を大きく減少させられたといいます。

広告不正の多さ広告不正は世界中に少なからず存在しており、特に「ゲーム・カジュアル」「ゲーム・ハイパーカジュアル」領域では、アプリ内不正も多い状況(登壇資料・AppsFlyerモバイル広告不正グローバル調査レポートより)。

OSシェアの違いは、広告の手法にも影響を与えます。国ごとに異なる文化、適切な広告ネットワークが存在するからです。山岸氏は、「できるだけ提携パートナー数が多いツールを使ったほうが戦いやすいのではないか」と語っています。

日本とヨーロッパのOSシェアの違いヨーロッパと日本のOSシェアの違い。ヨーロッパではAndroid端末が圧倒的に多く、日本ではiOS端末が多い(登壇資料・出典:Statcounter)。

配信しちゃう(笑)。海外に出てはじめてわかることがある

セッションのまとめとして、山岸氏は「海外では何が起こるかわからない。しかし、出てみるとどのようなことが起きるかがわかる。わかったときに対処できるように計測ツールを入れておくことが重要」と語っています。

極論すれば、iOS、Androidでアプリを作り、ローカライズして、計測ツールを入れておけば、すぐに海外に打って出ることは可能。実行すること、そのリアクションを得ることは非常に簡単な世の中なのです。

スマートフォンアプリにとどまらず、日本のゲームが世界で戦えることはすでに実証されています。あとは、配信するだけ、世界中からのリアクションを正確に計測できる環境を整えるだけ。国内のゲームディベロッパーの背中を強く押してくれるセッションとなっていました。

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