ゲームアプリもパーソナライズマーケティングの時代。人気乙女ゲーが実践しているロイヤルユーザーの育て方とは

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2017.04.06
ゲームアプリもパーソナライズマーケティングの時代。人気乙女ゲーが実践しているロイヤルユーザーの育て方とは

目次

ユーザー視点のオンボーディング施策でリテンション率が3%向上

株式会社インタースペースは、20代から30代の女性をターゲットにした『艶が~るプレミアム』という乙女ゲームアプリを運営しています。アプリ内マーケティングを強化するため、『Repro』を導入。キャラ別にカスタマイズしたプッシュ通知とアプリ内メッセージ を送信することで、新規ユーザーの翌日リテンション率が3%向上しました。マネタイズ面でも、クリエイティブの改善により最終的には60%近くのユーザーが動画広告を見るようになり、広告収益に限ると施策実施前後で1.2倍に。『Repro』の導入によって、理想とするユーザーコミュニケーションを実現させています。

株式会社インタースペース

20代から30代の女性をターゲットにした乙女ゲームアプリ『艶が~るプレミアム』を運営。幕末の京都を舞台に新選組の沖田総司や土方歳三、坂本龍馬、高杉晋作といった幕末志士たちと恋に落ちるという設定のこのアプリは、本格的なストーリーと豪華な声優陣が好評で多くのユーザーからの支持を集めている。

写真※株式会社インタースペース コンテンツ事業部 久保田 晴美 様

コンテンツ依存のアプリ運営

『艶が~るプレミアム』の場合、チュートリアルを突破した後にメインキャラを選択し、逢引(※ゲーム中に発生する、キャラとのデート)やアバターの着せ替えといったコンテンツを楽しみながら選んだキャラとの恋愛物語を読み進めていくのが基本的な遊び方になります。

弊社のような「乙女ゲーム」と呼ばれるジャンルのアプリでは、キャラクターへの愛着やストーリーの面白さが継続利用や課金につながる鍵となります。『艶が~るプレミアム』はキャラクターもそれぞれ個性がありますし物語がしっかりしているのでコンテンツ面では同ジャンルのアプリに引けをとらない自負があったのですが、マーケティング面は課題でした。

競合も多いジャンルですし、コンテンツの魅力だけではなく分析やマーケティングにも力を入れなければいけないという危機感がありました。

アプリの分析ツールは『Googleアナリティクス』を使っていたのですが、どういったユーザーがどれくらい利用しているかがわからなかったため「ユーザー全体に対して期間限定イベントを告知する」といった大味な施策しかできていませんでした。新規ユーザーとロイヤルユーザーでは異なるアプローチをとったほうが良いことは分かっていたのですが、打つ手がなかったんです。

ユーザーの利用状況に応じたマーケティングの重要性を考えていたときに見つけたのが『Repro』です。

『Repro』は「アプリを3日以上訪れていない女性」のようにユーザーの”行動データ”と”属性データ”を掛け合わせた分析ができるだけではなく、その絞り込んだターゲットに対してのみプッシュ通知やアプリ内メッセージを送ることもできる点に魅力を感じ、導入を決めました。製品のデモを見て、やりたいことが直感的にできるツールという印象を受けましたね。実際その通りでした。

1.ユーザーの「ハマり具合」に応じたコミュニケーションシナリオを設計

導入にあたって『Repro』の担当者の方とまず行ったのは、新規ユーザーがロイヤルユーザーに至るまでのコミュニケーションシナリオの設計です。

より多くの新規ユーザーをロイヤルユーザーに転換させてアプリを遊び続けてもらうためにユーザーのアプリの利用度合を4つのステージに分け、各ステージで重視するKPIを決めました。

例えばアプリを使い始めたばかりのユーザーに対して重視するKPIは「翌日継続率」、無料のまま使い続けてくれるユーザーに対して重視するKPIは「コインの購入率」といった具合です。

ユーザーステージ図ユーザーのステージを4段階に分け、ステージごとに異なるコミュニケーションをアプリ内マーケティングを通じて実施(※上図は実際のものとは異なる)

アプリの様々なデータが取得できると「あれもこれも見たい」となり、つい重要ではないKPIまで追ってしまう場合もあるかと思うのですが、先にコミュニケーションシナリオを考えることでアプリの最終的なゴールである収益増に対して各ステージでどのKPIを重点的に見るべきか、ユーザーにどんなアクションを行ってもらうべきなのかがクリアになります。

『Repro』の担当者の方はゲームアプリに限らず色々なアプリの支援を行っているアプリ成長支援のプロなので、そういった方からアドバイスをもらえるのはすごくありがたいですね。

2.ユーザー視点のオンボーディング施策

最初に改善に取り組んだのは新規ユーザーの定着率です。

『艶が~るプレミアム』のゲームの肝としては選んだキャラクターとの恋愛物語を読み進めることなのですが、自分が選んだキャラクター以外ともデートが楽しめる「逢引」やアバターの着せ替えといったコンテンツがあり、ロイヤルユーザーほどこういったサブコンテンツも遊んでいることがわかっていました。

新規ユーザーがどういう状態になってくれればアプリに定着し、その後ロイヤルユーザーになってくれるかは「選んだキャラクターを好きになってもらうこと」「アプリには物語を読み進める以外にも楽しみ方があると理解してもらうこと」この2つが重要なのではという仮説を立て、下記の施策を実行しました。

ユーザーステージ図アプリをダウンロードしてから定着させるまでのシナリオ例。こういったシナリオを様々なパターン作っている

【施策1】キャラ別にカスタマイズしたプッシュ通知配信

アプリの利用開始直後から選んだキャラクターへの愛着を持ってもらえるように、初回起動翌日にキャラ別にパーソナライズしたプッシュ通知を送りました。

Sっ気のある高杉晋作を選んだユーザーには「俺に逢いに来ないのか?お前のような面白い女にまた逢いたいものだ」、優男キャラの徳川慶喜を選んだユーザーには「可愛いお前の顔が見えなくて寂しいよ。早く俺に逢いに来ておくれ」などです。

スクリーンショット初回起動翌日にキャラ別のプッシュ通知を送信。リッチ通知も活用している

【施策2】アプリ内メッセージでアプリの楽しみ方を訴求

キャラ別プッシュでアプリを再訪したユーザーに対しては稽古式のチュートリアルをアプリ内メッセージで訴求しました。アプリの遊び方を学びながらアイテムもゲットできるので、チュートリアルを終えたあとにそのままアイテムを使ってアプリを楽しめるようになっているんです。

スクリーンショットビンゴを楽しみながらゲームの遊び方を学べるコンテンツをアプリ内メッセージで訴求

アプリ内マーケティングを強化し、リテンション率が3%アップ

この2つの施策によって、新規ユーザーの翌日継続率は3%アップという結果になりました。コンテンツの魅力だけではなく、コミュニケーション設計も重要だということを実感しましたね。

1.アプリ内メッセージのPDCAを回し、広告収益は1.2倍に

『Repro』のアプリ内マーケティング機能はマネタイズ面にも活用できています。

『艶が~るプレミアム』は動画リワード広告を閲覧すれば無課金ユーザーのままでもゲームが楽しめる作りになっているのですが、これまではそのことをあまり気づいてもらえず、毎日無料の5話分以上読み進めるには課金が必要という先入観がユーザー側にありました。

結果的に課金直前まで行ってアプリを使わなくなってしまうユーザーが一定数おり、アプリの価値は理解し終わったステージにいるユーザーにも関わらず、うまくマネタイズできていませんでした。

「課金するほどでもないけど物語の続きは読みたい!」ゲームアプリや漫画アプリなどでこういったモチベーションの無課金ユーザーは多いかと思いますが、この層に対して弊社ではアプリ内メッセージで動画リワード広告の視聴を訴求しています。

具体的には無料で読める分の物語を全て読み終わって課金はせずに離脱しているユーザーだけをターゲティングし、マイページに遷移したタイミングで選んだキャラ別のアプリ内メッセージを表示しています。

スクリーンショットアプリ内メッセージで動画を視聴するユーザーは劇的に増加

最初はテキストのみで訴求していたのですが、画像付きでやってみよう、キャラ別に表示してみようといった具合にどんどんクリエイティブを替えて最終的には60%近くのユーザーが動画広告を見るようになりました。広告収益に限ると施策実施前後で1.2倍になりましたね。

こういった形で、実現したいことがマーケター側だけで完結し、小さなPDCAを高速で回せるのも『Repro』の良い所だと思います。

2.今後も「ユーザーに寄り添ったコミュニケーション」を追求する

「アプリにどっぷりはまっている常連ユーザーと遊び始めたばかりの新規ユーザーで異なるおもてなしをする」というCRM的な考え方はECだけではなくゲームアプリでも取り入れることが可能であり、『Repro』によって私たちが理想として描いてきたユーザーコミュニケーションがかなりの部分で実現できています。

今後は高額課金者に対してはレアアイテムをプレゼントするなど、ユーザーのハマり度合を課金額などでより細かく分け、個別に施策を打ってロイヤルユーザーを増やしていきたいですね。

最近『Repro』に追加されたプッシュ通知のABテスト機能などを活用し、個々の施策のブラッシュアップも行っていきたいと思います。

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