CRO(コンバージョンレート最適化)が企業のバリューセンターである理由

Repro Journal編集部
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2024.06.06
CRO(コンバージョンレート最適化)は本当にビジネスを貢献できるのか

目次

バリューセンターとは、企業の利益を高めるために極めて重要な役割を担う組織や機能のことです。例としてアウトバウンド型のセールスチームを考えてみましょう。このチームは定期的に見込み顧客と関わりを持ち、収益をもたらす契約を結び、キャッシュフローを生み出すというミッションを担っています。このシナリオにおいて、アウトバウンド型のセールスチームはバリューセンターといえるでしょう。
では、「CRO(コンバージョンレート最適化)」の取り組みや組織はバリューセンターとなり得るのでしょうか。この記事ではCRO活動をバリューセンターとして成立させるための方法を解説していきます。

この記事は、VMOのブログ “Why Is CRO a Value Center?” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。

そもそもCROはバリューセンターになり得るのか

「CRO(コンバージョンレート最適化)」の取り組みは短期的な成果が出なかったり、失敗したりすることもあるため、バリューセンターではなくコストセンターとみなされることがあります。確かに、CROは課題に直面することが少なくありません。しかし、長期的に見ると組織に価値をもたらす存在であると認識することが重要です。

CROを、CVR(コンバージョン率)改善活動としてだけでなく、組織全体のパフォーマンスを向上させるものと位置づけ、継続的なテストと戦略の最適化を実施することでバリューセンターに変化させることが可能なのです。

テストにおける失敗でさえも、将来の成功に向けた価値のある土台として活用されます。CRO活動の中で実施されるテストは、貴重なインサイトや学びを提供し、あなたを成功へと導くPDCAループを構築してくれるからです。

さらにCROはビジネスの効率化を促進する役割も果たします。カスタマージャーニーにおける様々な要素をテストし、改善を進めることで、ボトルネックの特定や改善、プロセスの合理化、全体的なUXの向上に繋がっていくからです。これにより、単なるサイト訪問者がロイヤルユーザーへと変貌し、ビジネスのグロースが加速していくのです。

CROをバリューセンターとして構築する方法

CROを収益性の高い投資(バリューセンター)にする方法を、実際の例を用いて理解しましょう。

【1】収益が増加するCROサイクルを構築する

収益は、様々なデバイス上のランディングページから始まる最適化されたカスタマージャーニーの成果です。大してテストもせずに結果を求めてはいけません。CROはひとつの施策や数日で収益を向上させるような魔法の杖ではないのです。ランディングページから決済ページまでの各ステップを最適化するには継続的な努力が必要です。

例えば、農業用品の卸売事業を展開するGRENEは、VWO(ユーザー体験の最適化を目的としたマーケティングツール)を利用してコンバージョンファネルを最適化に取り組みました。同社は2018-2019会計年度に一連の施策を実施しています。ホームページ、決済ページ、商品一覧などのA/Bテストを行ったのです。サイト全体の最適化の結果、収益は驚異の59.9%増を記録しました。GRENEのCROはバリューセンターとして揺るぎない地位を確立したのです。

綿密に精度の高い仮説を立て、各コンバージョンファネルのステップにおいて、収益に影響する要素を特定すれば、CROをバリューセンターにすることができます。そして、テスト、振り返り、最適化という継続的なCROサイクルを通じてコンバージョンファネルが最適化され、収益が増加するのです。CROは一度だけでなく一貫した取り組みによって効果を発揮します。

【2】失敗を情報の金脈にする

多くの企業が望んでいた目標に到達できなかったことを理由に、継続的なCRO活動を断念しています。しかし、CROにおける失敗は情報の金脈であり、将来的な最適化の基礎となるものです。良い例があるので紹介しましょう。

オンライン教育ポータルサイトであるUncommon Knowledgeは、リード獲得ページでリード数の増加を確認するためのテストを行いました。同社のチームは従来のトラディショナルなレイアウトページのほかに、トレンドのデザインを取り入れた様々なリード獲得ページを作成したのです。

テストの結果、従来のページが新たに作成したページのコンバージョン率を19.55%も上回りました。取り組み自体は失敗に終わりましたが、このインサイトはチームにとって宝の山でした。気がついたのは、彼らのターゲットオーディエンスの大部分が45歳以上であるということです。

【グラフ】Uncommon Knowledgeの主要なユーザー層が45歳以上であることを示すグラフ赤い丸囲みの部分がUncommon Knowledgeを訪れたユーザーの年齢層。

新たなトレンドを取り入れたデザインはターゲットグループにとって身近なものではありませんでした。トレンドではなく、ターゲットユーザーにとってなじみ深いことがコンバージョンの鍵であることが検証によって判明したのです。

テストが失敗に終わったとしても、最適化を進めるための基盤となる情報を得られる可能性があります。たとえ失敗に直面しても、CROがバリューセンターであるという事実は揺るがないのです。

【3】顧客を維持するためにテストを重ねる

新規ユーザーの獲得や既存ユーザーを維持することでWebサイトの価値は向上します。そして、新規ユーザーの獲得よりも、既存ユーザーの維持のほうが容易かつコストはかかりません。これが業種に関わらず、LTV向上を目指す理由です。CROはユーザーのLTV向上の側面からもバリューセンターといえます。

その一例が、オランダの大手携帯電話加入サービスであるTele2です。彼らは加入率の低下という課題に直面しており、それを改善したいと考えていました。Tele2のチームは、詳細な分析を行った結果、製品一覧ページにブランドのフィルタを追加することでサイト訪問者の利便性が高まることを発見しました。フィルタなしとフィルタありのページでA/Bテストを実施したのです。

【スクリーンショット】Tele2の製品一覧ページにおけるA/Bテストの結果。フィルタ機能を追加したほうがCVRが27%改善している

テストは28日間実施され、既存顧客の契約は27%増加しました。Tele2にとってこのCRO施策は、既存顧客からのキャッシュフローを確保するものとなったのです。さらに重要なのは、彼らがこの施策だけでなく、ユーザーのエンゲージメントを向上させるために分析とテストを継続したことです。

過去の行動に基づいてパーソナライズされた体験を提供するCRO施策を実施したり、クロスセルやアップセル施策をテストしたりすることで、ユーザーのリテンション率(継続率)を改善することができます。リテンション率の向上は既存顧客からの収益増大をもたらすとともに、収益を維持するための新規ユーザー獲得に必要なリソースを減らすことに繋がるため、ビジネス全体のコスト低減を実現します。

【4】パーソナライズされた体験のために顧客データを集計する

CROは様々なソースからのデータを統合し、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)を介してパーソナライズする方向に進んでいます。顧客のプロファイルはセグメント化され、パーソナライズ体験のターゲットになります。

わかりやすい例に世界的な化粧品ブランドであるYves Rocherの事例があります。Yves Rocherは製品のレコメンドセクションをパーソナライズしたいと考えていました。Yves Rocherチームは新規顧客と既存顧客に向けてパーソナライズされた製品をレコメンドするためにCDPを活用したのです。既存顧客に対しては過去の行動データに基づいてレコメンドをし、新規顧客に対しては直近の活動に基づいたレコメンドアルゴリズムが機能しています。

【スクリーンショット】Yves RocherのWebサイトで実施されているレコメンド施策

この取り組みにより、レコメンドセクションのクリック率が17.5倍、購入率が11倍に増加しました。CDPの技術的な進歩により、CROの取り組みに革新がもたらされ、組織にとってのバリューセンターになったのです。より多くの収益を生み出すためには、CDPを活用したパーソナライズ体験を創出するべきでしょう。

CROはバリューセンターそのものである

ここまで見てきた通り、CROは組織に収益をもたらし、グロースとキャッシュフローに直接影響を与えるバリューセンターそのものであるといえます。

CROは、ランディングページから決済ページまでのカスタマージャーニーにおける各ステップの最適化を実現し、収益を増加させます。そのなかで起きる失敗も将来の最適化に役立つ情報になります。そして継続的なCROの取り組みは、顧客獲得コストを低減させ、既存顧客による好ましいキャッシュフロー創出にも貢献していきます。

CROに関する投資は必要不可欠であり、長期的な利益を得るためにも継続的にCROに取り組むべきといえるでしょう。

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