LTV(ライフタイムバリュー)とはどんな指標?重要性・計算方法、最大化を実現する3大手法を徹底解説

Repro Journal編集部
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2023.06.26
LTV(ライフタイムバリュー)とは?重要性・計算方法、LTV最大化を実現する3大アプローチを徹底解説

目次

近年、マーケティングや企業経営の分野では、LTVが急速に重要度を増しています。競争の激化やテクノロジー活用の変化によって、新規顧客の獲得が容易ではなくなってきているからです。また、一定期間中に得られる利益を経営指標とするサブスクリプションモデルのビジネスが増えてきているという背景もあります。
本記事では、LVTの意味だけでなく、LTVが重要視されるようにあった背景、さらにはLTVを改善・増大させるための具体的な手法や考え方について詳しく解説しています。自社内にLTVの考え方が根付かずに悩んでいる人、LTVの向上をミッションとしているものの、どこから着手しすればよいのかわからずに手をこまねいている人はぜひお読みください。

LTV(Life Time Value・ライフタイムバリュー)とは?言葉の意味と定義

LTVとは、ある顧客が取引開始から取引終了までの間に、企業に対してどのくらいの利益をもたらすかを計算した指標です。

英語の「Life Time Value・ライフタイムバリュー」の略語で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。また、CLV(Customer Lifetime Value)やCLTV(Customer Life Time Value)といわれることもあります。

LTVは企業のビジネスモデルに合わせて、様々な指標を用いて計算されるため、計算式が複雑になりがちなのですが、シンプルに考えるなら、「顧客が企業から初めて商品やサービスを購入した日から、それを止める日までに、企業にもたらした利益を合算したもの」と覚えるのが簡単でしょう。

■LTVの図解イメージ

LTV(ライフタイムバリュー)の意味をわかりやすく説明した図

例えば、Aという顧客が1年間(12カ月)、企業と取り引きを続け、毎月5,000円の利益を企業にもたらしたのであれば、LTVは下記の数式で求められます。
※ビジネスモデルごとのより詳しい計算式は後述しています。

LTV = 12 × 5,000 = 60,000円

上の式を見るとわかる通り、LTVを左右するのは、取り引きの継続期間とその中で生まれる利益です。さらに利益は、その顧客の商品やサービスの購入回数や購入単価によって変動します。つまり、LTVは、顧客との長いお付き合いの中でより多く、高い商品・サービスを購入してもらうことで増大していくものだということです。

LTVが重要視される理由と背景

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近年、LTVという指標が急速に重要視され始めています。いったいなぜ、LTVの重要度が増しているのでしょうか。代表的な理由を紹介しておきましょう。きっとこの記事を読んでいる多くの人の仕事にも、大きな影響を与えているはずです。

市場が飽和して競合サービスとの競争がし烈になっている

様々な技術革新、市場環境の変化によって、いわゆるビジネスへの参入障壁が低くなっていると実感している人は多いでしょう。数社の寡占状況にあったカテゴリへ海外企業が進出してきたり、突如としてベンチャー企業がシェアを奪い始めたりするケースは珍しくありません。競合サービスの登場によって、顧客との長いお付き合いが難しくなっているのです。

また、国内という観点で市場を見渡すと、少子高齢化によって国内の顧客数は減少の一途を辿っている状況。限られたパイの中で、群雄が割拠している状況ともいえます。将来的にはより少ない母数の中でのシェアの奪い合いがし烈を極めるでしょう。

そこで重要視されたのがLTVという考え方。言い換えると、一度獲得した顧客との関係性を強くして、他社サービスへの乗り換えを防いだり、ひとりの顧客からより多くの収益を上げることが重要であるという考え方です。

このように、ひとりのユーザーをより大切に扱い、関係性を強めていく取り組みを、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)と呼びます。また、ユーザーの愛着心を高めるという意味合いでファンマーケティング・ファンベースといった取り組みもあります。

技術的な観点で新規顧客の獲得に対する難易度が上がっている

新規顧客の獲得が難しくなっているのは何も市場が飽和状態にあるからだけではありません。デジタルマーケティングにおける、テクニカルな領域でも新規顧客の獲得難易度は上がっています。デジタルマーケティングになじんでいる人にわかりやすい言葉を使うなら、CPACACが高くなってきているということです。

その背景にあるのは個人情報保護の強化。これまで、WebであればCookie、アプリであればIDFAを識別子として、ユーザーを高精度にターゲティングし、効率的な広告配信を行うことができました。しかし、個人情報保護が強化される昨今、CookieやIDFAの活用に規制が実施され、広告の配信ターゲティング精度が落ちているのです。

ひとりの新規顧客の獲得にかかるコストが高くなれば、その顧客から得られる利益を増やしたいと考えるのは企業として自然なこと。こういった規制もLTVの重要度が高まる要因になっています。

サブスクリプション型サービスの一般化

一定期間を定額料金で利用できる、いわゆるサブスクリプション型のサービスが一般化している点も、LTVへの注目度が増している理由のひとつです。

サブスクリプション型のサービスは、1回きりあるいは短期利用ではなく、継続的かつ長期間のサービス利用を前提として料金が定められています。企業が想定しているより短い利用期間、利用量だと赤字になってしまうケースも少なくありません。そのため、顧客との長期的な取引関係を定量化した指標であるLTVが重要なKPIとして扱われているのです。

LTVの計算方法

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ここまでLTVの意味や重要性について説明しました。続いてはLTVの算出方法について紹介します。LTVの算出方法にはいくつかの種類があり、会社の規模や業態によってマッチする計算式は異なります。

下記の計算式の中から、自社のビジネスに応じたものを選び、実際に算出してみてください。

■LTVの代表的な計算式

  1. LTV =(売上高 - 売上原価) ÷ 購入者数
  2. LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
  3. LTV = 顧客の平均購入単価 ÷ チャーンレート
  4. LTV = 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間
  5. LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
  6. LTV = 利益×取引期間(ライフタイム)×割引率(現在価値係数)
  7. LTV =(平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間) - (新規獲得費用 + 顧客維持費用)

アプリ・サービス別のLTV計算例

前述のとおり、LTVの計算方法はビジネスモデルや企業によって様々です。どのような計算方法を採用するのが適切かがわからない人も多いでしょう。そこで、具体的なアプリ・サービスを取り上げて、LTVの計算方法を見てみましょう。前述の計算方法と異なるケースもありますが、参考になるはずです。

1.ECアプリ・サービスの場合のLTV

「Amazon」のような、ECアプリ・サービスにおける1ユーザーあたりのLTVを算出したい場合、月間の平均購入金額が1,000円、平均購入点数が2.5個だとすると月次ARPUは2,500円となります。月間のチャーンレート(解約率)が5%だとすると、1ユーザーあたりのLTVは下記のようになります。これは、前述した計算式の「3」の応用です。

1,000 × 2.5 ÷ 5% = 50,000円

2.サブスクリプションアプリ・サービスの場合のLTV

「Netflix」「hulu」のような動画配信のサブスクリプションアプリ・サービスにおける1ユーザーあたりのLTVを算出したい場合、月額の視聴費が1,000円、チャーンレートが10%だとすると1ユーザーあたりのLTVは下記の計算式で算出できます。これは、前述した計算式「3」をそのままに当てはめています。

1,000 ÷ 10% = 9,333円

3.ゲームアプリ・サービスの場合のLTV

ゲームアプリにおける1ユーザーあたりのLTVを算出したい場合、非課金ユーザーから得られる収益(広告ARPU)と課金ユーザーから得られる収益(課金ARPU)を分けてLTVを算出しましょう。

非課金ユーザーひとり当たりの1カ月の収益が25円、チャーンレートが50%で、課金ユーザーひとり当たりの1カ月の収益が300円、チャーンレートが10%とします。非課金ユーザーと課金ユーザーの割合が 9:1 だった場合、1ユーザーあたりのLTVは下の計算式で算出可能です。これは、前述した計算式の「3」の応用です。

(25 ÷ 50% × 0.9)+(300 ÷ 10% × 0.1)= 45 + 300 = 345円

アプリ収益最大化サービス

LTVを最大化させる3つの方法

LTVを最大化する方法は、「顧客単価の上昇」「購入頻度の増大」「継続利用の促進」の3つに大別されます。それぞれを詳しく確認してみましょう。なお、この3つの取り組みは、CRM活動と密接に関係するものです。ぜひCRMについて詳しく解説した記事もご覧ください。

■LTVを最大化させる3つの方法

LTVを最大化させる方法 顧客単価の上昇、購入頻度の増大、継続利用の促進

顧客単価の上昇を実現する方法

単純に考えるのであれば、商品の値上げをすれば顧客単価は上がります。しかし、値上げによって顧客が離れてしまう可能性が否定できません。そこで、工夫したいのがセット販売や大型サイズ、グレードアップバージョン、オプションの追加などといったクロスセル・アップセル施策です。

複数の商品を組み合わせることで価値が高まることを提案し、複数購入を促したり、サービスそのものの価値を正しく伝えて購買意欲を高めてもらい、よりグレードの高いサービスに切り替えてもらったりするわけです。これにより顧客単価は高まっていきます。

このようなクロスセル・アップセル施策を行う際に重要なのは、複数商品の購入や高額サービスの購入を押し付けるのではなく、価値に納得してもらったうえで購入してもらうことです。顧客との密なコミュニケーションによるニーズ把握が欠かせないことを肝に銘じておきましょう。押し売りはLTVを下げてしまう要因になります。

購入頻度の増大を実現する方法

購入の頻度を増やすために必要なのは、「適切なタイミングでのメッセージ」と「ニーズを喚起するメッセージ」です。

「適切なタイミングでのメッセージ」とは、顧客が欲しいと思っているときに、その商品の購入を促進するようなメッセージを送ること。わかりやすい例として、洗濯洗剤を取り上げてみましょう。あと3日で洗剤が切れてしまうというタイミングで、「いまなら、5%割引で購入できます」といったメッセージを受け取ったとしたらどうでしょう。顧客は喜んでその商品を継続購入してくれるはずです。

「ニーズを喚起するメッセージ」は、顧客がまだ気づいていない潜在的なニーズにアプローチする方法です。アパレルECサイトをイメージしてください。5月の下旬に顧客に対してレインブーツの新作案内をしたとしましょう。このとき顧客は梅雨が来ることを意識していなかったかもしれません。しかし、レインブーツの案内をすることで、数週間後にはレインブーツを多用する時期が到来することに気づき、購入意欲が高まるのです。

このように、購入頻度を増やす取り組みには、こまめなフォローが求められます。「適切なタイミング」を知るためのデータ収集と分析、「ニーズを喚起」するためのメッセージチャネルの確保や定期的な運用が必要不可欠。BIツールやCRMツールを効率的に活用するのがいいでしょう。

継続利用の促進を実現する方法

継続利用の期間を伸ばすこと、すなわち顧客の離脱を防ぐためには、ヘルススコアの活用が効果的です。

ヘルススコアとは、顧客が今後もサービスを継続的に利用するかどうか、様々な指標をもとに数値化したものです。例えば、「ヘルススコアが低い顧客は解約の恐れがあるため、優先的にサポートを行う」といった形で、離脱防止に向けた対策を取る際の目安にすることができます。

ヘルススコアの活用以外にも、長期的な継続利用による特典の付与や、お得なキャンペーンなどを実施し、特別感のある体験を顧客に提供する方法も効果的です。また、解約率を下げる重要なポイントとして「ユーザーがオンボーディングできる仕組み作り」という点もよく取り上げられます。

オンボーディングとは、船や飛行機に乗っていることを意味する「on-board」から転じた言葉です。新しい乗組員に対して必要なサポートを行い、慣れてもらうプロセスのことを指します。商品やサービスもこれと同じく、最初から上手に使いこなすのは困難です。特にBtoB向けのデジタルツールなどは仕様が複雑なことが多く、すぐに解約されてしまうことも珍しくありません。そのため、契約後の支援サービスを行ったり、利用状況を確認したりして確実に定着させる工夫が必要です。

■LTVを最大化させるための具体的なアイディア

LTVの最大化は現代企業にとって欠かせない課題です。Repro JournalではLTVを最大化するためのヒントとなる情報も掲載しています。ぜひご覧ください。

LTVを改善・増大させるためには社内の意識改革も重要

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ここまで、重ねて言及してきたように、LTVを最大化させるために重要なのは顧客との関係性の強化です。

しかし、ビジネスにおける関係は非常にドライなものです。家族や友人とのそれとは違い、企業と顧客の関係は確実な効果や利益に基づいています。商品を購入しても期待通りの結果が出なかったり、納期や支払い期日を守れなかったりすれば、関係は消滅してしまいかねません。また、場合によってはさらに高性能な他社の商品やサービスに流れてしまう可能性もあります。

このような利益に基づいたビジネスライクな関係だからこそ、顧客へのアプローチという表面的な取り組みに止まらず、自社の意識改革にも取り組まねばなりません。企業の本質から顧客主体への取り組みを推進していくのです。

短期売り上げの偏重にはトップダウンが効く

顧客との関係性を強化するうえで陥りがちな悩みとして、短絡的な売り上げを優先して顧客育成ができていないケースがあります。また、既存顧客の売り上げが落ちていてもボトルネックが不明瞭だったり、戦略的な営業ができていなかったりする場合もあるでしょう。これらはすべて販売促進を含む営業活動に紐づく課題であるため、営業に関わる社内の仕組みを変えることが重要です。

まずは顧客データを分析し、グレーディングして、社内全体で顧客関係強化の戦略を見直すところから始めてみましょう。このときに肝心なのが、部署やチーム単位ではなく会社全体で営業戦略を見直すことです。

この際、部署ごとの目的達成を優先したミクロかつ短期的な施策が横行してしまうリスクを排除するために、トップダウンで戦略を立案、変更する手法を採るのがおすすめです。会社として枠組みを決めることで、短絡的な営業活動を行うことを未然に防ぐことができます。

デジタルの力を使って営業プロセスの俗人化を防ぐ

戦略設計が完了したら、次は営業プロセスの改善に移ります。BtoBやBtoCの業態を問わず、営業活動は属人化しやすいという欠点を抱えています。人事異動や退職などによって担当者が変わると、今までの顧客情報が失われて、適切なコミュニケーションを取れなくなってしまう可能性もあります。

誰が担当しても高水準な対応ができるようにSFA、CRMといったツールを導入し、顧客の情報を蓄積しておくことが大切です。これらのツールの導入は業務効率の改善にもつながるため、より迅速な対応が可能になり、顧客満足度が高まるというメリットもあります。

また、営業プロセスの改善を図る際には、同時に社内の評価制度にアプローチすることをおすすめします。なぜなら、商談件数や架電数だけを評価の対象にしてしまうと、一つひとつの仕事がおざなりになり、結果的に顧客満足度の低下を招いてしまう可能性があるからです。数を多くこなす「やらされ感」のある評価基準ではなく、顧客との関係を強めるための評価制度を検討するのがいいでしょう。

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