ASOの成功にAndroid Vitalsが重要な理由

Repro Journal編集部
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2024.03.12
ASOの成功にAndroid Vitalsが重要な理由

目次

「Google Play ストア」の検索順位にはアプリの安定性も考慮されています。バグやクラッシュが多いアプリがストア内検索の上位に表示されることは望まれていないのです。それでは、アプリ開発者はGoogleによるアプリ品質評価をどのように把握すればよいのでしょうか。カギを握るのは「Google Play Console」から確認できる「Android Vitals」。Android Vitalsでは、改善が必要なパフォーマンスに関する情報が提供されています。

この記事は、App Radarのブログ ”Why do Google Play Android Vitals matter for successful ASO?” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Revenue Wire in English under the permission from the company.
※Android Vitalsの「主な指標の不正な動作のしきい値」に関する情報は、Repro株式会社によって2024年3月8日時点のものに修正されています。

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Android Vitalsとは

「Android Vitals」は、Androidデバイスの安定性とパフォーマンスを向上させるためのGoogleの取り組みです。詳しい情報はGoogle Playの公式Webサイトで確認できます。

ユーザーがAndroidアプリやゲームを使用するとき、そのデバイスは複数の評価指標でアプリのパフォーマンスを記録しています。そして、そのデータは「Google Play Console」のAndroid Vitalsダッシュボード内に表示されます。

■Google Play ConsoleのAndroid Vitals画面

androidvitalsoverview

Android Vitalsは何を計測しているのか

Google PlayはAndroid Vitalsにおける重要データ、指標を明言しています。これらの指標を頼りに、開発者はアプリがどれだけ安定しているのかをトラッキングし、把握することができるのです。代表的な計測指標をいくつか紹介しましょう。

  • バッテリー使用量
    Google Playは、過剰なバックグラウンド通信やwake lock(デバイスのCPUや通信がオフにならないようにする仕組み)が発生しているアプリにペナルティを与えます。
  • 安定性
    クラッシュ発生率およびANR(App Not Responding・アプリケーション応答なし)発生率を測定し、エラーが頻繁に発生するアプリにはペナルティを与えます。
  • 処理時間
    Google Playはレンダリング速度と画面フリーズの頻度に関するデータを収集しています。
  • 起動時間
    コールドスタートアップ(アプリがメモリ内にキャッシュされていない場合)、ウォームスタートアップ(アプリはメモリ内にあるが、アクティビティの再作成が必要な場合)、ホットスタートアップ(アプリとアクティビティがメモリ内にあり、ユーザーがそのアプリに切り替えた場合)の 3 種類の起動時間を測定しています。
  • 権限の拒否
    アプリからの権限リクエストを拒否したユーザーの割合を計測しています。

Android Vitalsの主な指標(Core vitals)

Googleがアプリの安定性とパフォーマンスを採点する際の基準となる指標には様々なものがありますが、特に優先すべきなのは以下の4つの指標です。これらはAndroid Vitalsのダッシュボードでハイライトされています。

  • ANR発生率
  • クラッシュ発生率
  • 停止した部分的なwake lock(バックグラウンド)
  • 過剰なウェイクアップ

Googleは、すべてのアプリデベロッパーに対してこれらの指標を注視することを推奨しています。これらの指標の不具合は、ユーザーからのネガティブな評価やレビューだけでなく、Google Play ストア内の検索順位を下落させ、ASO(アプリストア最適化)に悪影響を与える可能性があります。

ANR発生率

ANRは「Application Not Responding(アプリケーション応答なし)」の略で、アプリが画面上で実行されているときに、以下のメッセージがポップアップ表示されます。

■アプリにANRが発生した際のメッセージ

ANRsample

このとき、ユーザーはアプリを強制終了できるのですが、望ましい状況とはいえません。ユーザーは体験を邪魔されたことに不満を感じるでしょう。ホテル予約など、重要なタスクの最中であればなおさらです。

Googleは、「ユーザーが認識した ANR 発生率」について以下のような不正動作のしきい値を設けており、この値を超えると動作不良とみなします。

  • すべてのデバイスモデルで、1日のアクティブ ユーザーの 0.47% 以上がANRを認識している
  • ひとつのデバイスモデルで、1日のアクティブ ユーザーの 8% 以上が ANR を認識している

クラッシュ発生率 

アプリのクラッシュは、ユーザーのアプリ利用を妨害するとともに、多くの不満の要因となります。クラッシュが頻発するアプリはユーザーにアンインストールされ、否定的な評価とレビューを受けることになるでしょう。アプリがクラッシュすると、下の画像のようなポップアップが表示されます。

■アプリがクラッシュした際のメッセージ

crashsample

クラッシュは、アプリがフォアグラウンドで実行されていなくても発生する可能性があります。Android Vitalsは、デベロッパーが気づかないようなクラッシュの原因特定にも役立つものです。クラッシュ発生率がしきい値を上回ると、Googleはランキングに対してペナルティを与える可能性があります。以下がその条件です。

  • すべてのデバイスモデルで、1日のアクティブ ユーザーの 1.09% 以上がクラッシュを認識している
  • ひとつのデバイスモデルで、1日のアクティブ ユーザーの 8% 以上が クラッシュ を認識している

停止した部分的なwake lock(バックグラウンド)

「部分的なwake lock」は、ユーザーがデバイスの画面をオフにしたあともCPUを稼働させ続けるため、正常に機能しなくなるとバッテリーの浪費につながります。部分的なwake lockは必要最低限の実装にとどめる必要があると覚えておいてください。

Android Vitalsでは、バックグラウンドでのアプリ起動時に、バッテリーセッションで1時間の部分的なwake lockが1回以上発生すると、部分的なwake lockが停止したと認識されます。

■Android Vitalsが検知した部分的なwake lock

wakelock

過剰なウェイクアップ

「wakeup」は、特定の時間にAndroidデバイスを起動するようにアラームを設定する機能。この機能を頻繁に使用するとバッテリーが消耗してしまいます。ユーザーはデバイスのバッテリーを持続させるために、過度に電力を消費するアプリを削除する傾向にあります。

過剰なウェイクアップを抑制する最良の方法は、通知などのユーザー向けのタスクでのみ利用することです。バックグラウンドタスクに対しては、WorkManagerを導入することをGoogleは推奨しています。

Google PlayのASO(アプリストア最適化)におけるAndroid Vitalsの重要性

Android Vitalsのパフォーマンスが悪い場合、Google Playが科すペナルティはキーワードの検索順位だけでなく、アプリの評価にも波及する可能性があります。多くのエラーやバグを抱えたアプリが、クオリティに不満を感じたユーザーから否定的なレビューや低い評価を受けることは容易に想像できるでしょう。

Android VitalsがアプリのASOパフォーマンスにどのような影響を与えるのかを示す例を見てみましょう。

前述したように、Google Playはストアで入手できるすべてのアプリやゲームのパフォーマンスデータを追跡しています。Googleが定義したしきい値を超えた場合、ペナルティとしてストアにおけるアプリやゲームの検索順位が下落する可能性があります。

以下のグラフは、あるアプリの1カ月間のANR発生率の推移を示したものです。月の後半にアプリ内コンテンツの読み込みエラーが発生したことにより、ANR発生率が急激に増加しています。「20ago」の時点以降、Google Play Consoleで定められたしきい値を超え、「24ago」のタイミングでANR発生率が約3%と非常に高いピークを示しました。

この例では、Google Play ストアの検索順位が大幅に下落しています。

■ANR発生率の推移

ANRoccur

アプリ内のバグがコンテンツの読み込みを妨げ、エラーが急上昇し、結果的にANR発生率が上昇する例は数多くあります。ただし、大きなバグが修正されるとキーワードの順位は回復し始めるのが通常です。時間の経過とともに検索順位は改善し、ANR発生率のピーク時以前より順位が高くなることもあります。

注視すべき他のAndroid Vitals

ここまで紹介してきた指標は、Googleが特に重要とみなしているものであり、Google Play ストアの検索順位に強く影響を与えることが予想されます。ただし、コアな指標のみに改善のターゲットを絞るのは得策ではありません。以下のような他の指標も忘れないようにしましょう。

  • 遅いレンダリング
  • 権限の拒否
  • アプリの起動時間

これらの指標が思わしくなかった場合、順位下落のリスクが高まります。動作が遅く、ラグのあるアプリをユーザーは好まないからです。データの利用許諾が多すぎるアプリもアンインストールされる可能性があります。データのセキュリティは現在大きなトピックのひとつです。

まとめ

クラッシュ発生率およびANR発生率など、Googleが定めた不適切な動作のしきい値を超えたアプリは、ストア内検索順位に対して大きな下落リスクを抱えている状況です。加えて、ユーザーもネガティブな評価をしてしまいがちです。

もしアプリのオーガニックでのインストール数が急激に減少したり、検索トラフィックが減少したりした場合、アプリやゲームのクラッシュ発生率とANR発生率、そしてAndroid Vitalsを確認してください。指標がしきい値を下回っているかどうかをチェックしましょう。しきい値を超えている場合、Googleはアプリの検索順位を悪化させるフィルターを適用している可能性があります。

Android Vitalsを良好な状態に保つことで、アプリはユーザーに愛され、Google Play ストア内で高い順位を維持することができるのです。

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