2020.02.10
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世の中に数多く存在する「ブランド」。企業が持つイメージを体現する象徴であり、企業のシンボルであるともいえます。ブランドの定義は広く、企業が持つ看板商品を指す場合もあれば、競合する売り手の製品・サービスとの違いを強調する言葉をブランドと定義する場合もあります。ブランドの商品を手にすることは、企業への思いや支持のあらわれであり、企業への忠誠心を示すひとつの手段です。
高いブランドロイヤリティが企業にもたらす恩恵は大きく、企業が発展していくうえで決して無視できない指標です。この記事では、消費者がブランドに対して持つ愛着、すなわち「ブランドロイヤリティ」の重要性についてご説明します。ブランドロイヤリティについて学び、知識を蓄えて今後に活かしていきましょう。
ブランドロイヤリティとは、対象のブランドへの「愛着」のことです。好きなブランドや贔屓にしているブランドへの愛情を指しています。ブランドロイヤリティを高められれば、リピーターになる可能性も高まるとされているため、収益向上のために企業全体で高めていかなければならない指標のひとつです。
ブランドロイヤリティは大きなくくりではブランドエクイティの中に分類されます。
ブランドエクイティは5つの要素で構成されています。「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「その他の知的所有権のあるブランド資産」そして「ブランドロイヤリティ」の5つです。ブランドロイヤリティはブランドエクイティの中で、最も重要な役割を持つものです。
ちなみに、エクイティとは顧客やクライアント・社会全体に対して持つ「形を持たない資産価値」のことを指します。この「エクイティ(資本)」という表現は、1980年代の米国で企業のM&Aが広まるにつれて台頭し、以前は商品名やただの記号と考えられていたブランドに価値を見出し始めたことから重要視されるようになりました。
また、自社の商品・サービスを有利な条件で取引するために役立つものという認識が生まれたことで、会計上の無形資産として計上しようという発想も出てきました。つまり、従来は価値を持たないと思われていたブランドに、人々が価値を見出してきたからこそ生まれた考えなのです。
こういった要素からなるブランドロイヤリティは、顧客との信頼関係がなければ成り立ちません。そもそも、名称やロゴにブランド価値が元から備わっているわけではありません。文化や歴史、価値観などのさまざまな要素が周囲に認められたことで、初めてブランドとしての価値が生まれます。そのため、ブランドが価値を持つためには、長い年月と企業のたゆまぬ努力が必要です。
一見すると、ブランドロイヤリティと顧客満足度は同様のものに感じるかもしれません。しかし、両者の意味合いには大きな隔たりがあります。
まず、顧客満足度の特徴についておさらいしてみましょう。顧客満足度とは、文字通り顧客が満足をした度合いを指すものです。言い換えれば、顧客が購入した商品・サービスが想定していた役割を果たしたことを示しています。反対に、想定していなかった不具合や不都合が生じた際には、顧客満足度は下がります。顧客満足度が高いということは、単純な応対品質の高さだけではなく、顧客の体験を阻害しないという側面もあるのです。
対して、ブランドロイヤリティとは前述した通り、ブランドに対する愛着です。つまり、好意的な気持ちを持っているかを判断する指標がブランドロイヤリティであり、不満がない状態を測るのが顧客満足度となります。したがって、顧客満足度が高まったとしても、必ずしもブランドロイヤリティが高まったとはいえません。
顧客満足度とブランドロイヤリティの違いを良く理解して、アプローチの手法を使い分けることが大切です。
ブランドロイヤリティはなぜ重要なのでしょうか。結論からいってしまうと、ブランドロイヤリティが高まると安定的な売り上げの拡大が期待できるためです。
多くの企業では常に新規顧客の開拓や獲得をしていますが、これは非常に大変な作業です。競合他社との差別化ができずに価格競争が激化している他、顧客を獲得する単価が上がっている背景もあり、近年はコストパフォーマンスが悪い手法になりつつあります。
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客にかかるコストの5倍かかるといわれており、高い利益率を維持するには既存顧客の維持が必要不可欠です。さらに、顧客の離脱を5%改善すれば25%の利益が改善するという「5:25の法則」からも、既存顧客を重視すべきことは明らかです。
その点、ブランドロイヤリティが高い既存顧客は、再度自社の商品やサービスを利用してくれるリピーターになってくれる可能性が高くなります。そのため、ブランドロイヤリティを高水準に保つことで、既存顧客の売上向上が見込めます。ブランドに強い愛着を持つ顧客は離脱率も低く、売り上げへの貢献度も高いとされています。
また、競合他社が多い業界では、数ある企業の中から自社の製品を選び取ってもらう必要があります。ブランドロイヤリティを高めることで、常に顧客の意識を惹きつけて、競合に顧客を奪われないようにする効果も見込めます。
高いブランドロイヤリティを持つ顧客同士で、商品を中心としたコミュニティが形成されることもあります。コミュニティが形成されるとブランド商品に関する情報の共有や意識の向上、幅広いユーザーへの口コミ効果が期待できるなど、ポジティブなサイクルが発生する可能性も大いにあります。多くの人がおすすめするブランドであれば、印象も良く魅力的に映るでしょう。
ブランドロイヤリティを高めるメリットは、おもに3つあります。
ひとつ目はリピーターの増加です。
特定ブランドに愛着を持った顧客は、ブランドの有益性を感じて、他社商品を選択する必要性を感じなくなります。そのため、安定した利益を得ることができるのです。
ふたつ目は顧客単価の向上です。
ブランドロイヤリティが高く好感を持っている顧客は、その企業が展開する他商品も好意的に捉えてくれる傾向があります。そのため、ブランド全体に対する売り上げの拡大や顧客単価の向上が見込めるのです。また、グレードの高い商品を購入してもらうアップセル施策や抱き合わせ販売のクロスセル施策なども打ちやすくなります。
3つ目は宣伝費・業務コストの低減です。
リピーターが増えることで、既存顧客からの売り上げが担保されれば、新規顧客の獲得に多くの宣伝費をかける必要性が下がります。そのため、広告費の削減が見込めたり、新規顧客の獲得に充てていた分の金銭的・時間的コストの低減が期待できます。さらに、リピーターによる口コミ効果で、手をかけることなく新たなユーザーの獲得に貢献してくれるというメリットもあり、効率的に顧客を獲得することができるのです。
ブランドロイヤリティはいくつかの方法によって計測することができます。自社のブランドロイヤリティがどれだけあるのか、概算を知ることができれば、今後打ち出す施策のひとつの目安になるでしょう。
ただし注意点として、ブランドロイヤリティの絶対的な指標は存在しません。多くの業種・業態に対応した網羅性の高いブランドロイヤリティの公式はないため、あくまでも目安に留めておいたり、自社の業態に合った計測方法を選んだりすることが大切です。
ブランドロイヤリティの計測方法として実務上よく使われるのは、DWBとNPSという手法です。
DWB(Definitely Would Buy)は、翻訳すると「絶対に買いたい」という意味をあらわします。DWBは商品開発時に活用されることが多い手法です。この指標では、消費者に対して「絶対に買いたい」「買いたい」「どちらでもない」「あまり買いたくない」「全く買いたくない」の5段階に分けた質問を行い、「購入意向」を数値化します。「絶対に買いたい」と回答した人の割合をロイヤルカスタマーとみなします。
ちなみに、ロイヤルカスタマーとは特定の企業や製品、サービスに対して高い忠誠心を持っている顧客のことを指します。一般的に、ロイヤルカスタマーは顧客全体の2割ほどとされていますが、2割しかいないロイヤルカスタマーが全体の8割の利益を生み出すというデータもあるのです。そのため、ロイヤルカスタマーを創出・維持することは、新規顧客の獲得に対してコストを抑えられることにつながります。
もうひとつの計測方法であるNPS(Net Promoter Score)は、「この商品(サービス)を友人や知人に薦めますか?」という質問を行い、特定のブランドに対する顧客の「他人への推奨度」を数値化する指標です。カスタマーに自社の商品やサービスを友人や知人に薦める可能性があるかどうか、0~10までの11段階で評価してもらい、評価段階は「10~9:推奨者(プロモーター)」「8~7:中立者」「6~0:批判者」という分布が設定されています。
NPSは、全体に占める推奨者の比率から批判者の比率を引くことで算出されます。-100~100の間で推移し、NPSが高ければ高いほど良い状態であることを意味します。
NPSは売上高の成長率と密接な関わりがあり、収益との相関性が高い指標です。また、指標および質問がシンプルなので管理しやすい手法でもあります。
ブランドロイヤリティを高い水準で保つためには、いくつかのコツがあります。ここでは特に重要なコツをふたつご紹介します。
ひとつ目のコツは、ブランドに恥じない高いクオリティで価値を提供することです。
ブランドロイヤリティを高めるには、高クオリティで顧客にとって価値のあるものを提供し続けることが大切です。顧客が対価を支払う価値があると思える商品・サービスを提供していけば、おのずとブランドロイヤリティは高まります。しかし、高クオリティの商品やサービスを提供し続けることは簡単ではありません。
そのため、企業全体で努力をすることが必要不可欠であり、時間をかけて顧客との関係を構築していく他ありません。信頼関係を構築するのは時間がかかりますが、信頼を失うのは一瞬です。自社ブランドに恥じない高いクオリティを提供できるよう、コツコツと続けていきましょう。
もちろん、重要なのは商品やサービスそのものの質だけではありません。それらの価値を正確に知ってもらうためのサポート体制や、トラブルや不具合に対する迅速な対応なども重要です。また、顧客にブランドに対する親近感を持ってもらうためのアプローチも欠かせません。「お得意様」としての特別感を演出するような情報提供など、顧客に愛着を持ってもらう工夫が必要です。
また、こうした特徴からブランドロイヤリティは即効性のあるものではなく、ある程度の期間を要する施策だと理解しておくことも大切です。
ふたつ目のコツは、自社が選ばれる理由を的確に把握し、ストロングポイントを活かすことです。
ブランドロイヤリティを高めたいのなら、まずは自社が顧客に選ばれる理由を把握することが大切です。企業やブランドによって強みはさまざまですが、強みを活かした施策を取ることでブランド色がより強まり、ブランドロイヤリティを高めることにつながります。
また、その際に顧客が自社ブランドについてどのようなイメージを持っているのかを捉えることも重要なポイントです。顧客の生の声を聞くために、アンケートなどを定期的に行うのも良い方法でしょう。自社を知るための企業努力を怠らないようにしましょう。
今回はブランドロイヤリティの重要性や、効果などについてご説明してきました。ここで改めて解説した内容についておさらいします。
ブランドロイヤリティは、広義にはブランドエクイティという考え方に含まれるものです。ブランド・エクイティは「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「その他の知的所有権のあるブランド資産」「ブランドロイヤリティ」の5つの要素から構成されており、エクイティを確立することは顧客と企業の双方に良い状態を作り出します。そのため、ブランドエクイティの中でも重要な要素であるブランドロイヤリティを高めることはとても大切です。
ブランドロイヤリティを高めていくには、DWBやNPSといったブランドロイヤリティを計測する方法を活用しながら、まずは自社の状態を把握し、適切なアプローチを行うことが大切です。ブランドは企業のシンボルです。ブランドロイヤリティとうまく付き合いながら、ブランド全体の雰囲気を少しずつ良いものにしていきましょう。
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