エンゲージメントを促進させる"サービスクオリティ"の目指すべき姿 【Customer Engagement Conference レポート】

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2020.03.19
エンゲージメントを促進させる

目次

サービスのクオリティをどのように定義していくのか

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ディスカッションは、メルカリ取締役CINO濱田氏の「サービスの運営にはどんな指標を使っていますか?」という質問から始まりました。ラクスルCPOの水島氏は、「機能ごとにきちんと使われているかどうか、その機能を使ったユーザーがリテンションしているかなど、多くの指標を追っている」と言います。

また、印刷というサービスの特性上、商品の仕上がりやデザインの作成方法などについての質問が多く、プロダクトチームとカスタマーサポートのチームで、週3時間ほどのミーティングをして、サービスクオリティの改善をしていると答えました。

それに対し、スマホゲームアプリを運営するアカツキプロデューサーの三宅氏は「toCのスマホゲームはより細かいユーザーの体験を改善していかなければいけないんです。ストレスを解消するためにしているゲームの中で、ストレスを溜めてしまっては本末転倒ですよね。メンテナンスや、データのダウンロード時間からくるストレスを解消するというのはtoBサービスと共通する点だと思います。また、ゲームアプリの運営会社として私たちが意識をしなければいけないのは、家庭用ゲーム機との差別化です。

突然のキャンペーン開催や、新規のキャラクター登場による驚きなど、ゲーム外の刺激によるおもしろさが、家庭用ゲーム機には無いスマホアプリのおもしろさだと思っています。ユーザーが『今年は何をやってくれるんだろう』と期待するような雰囲気を作っていくことが、サービスクオリティにおいて必要です」と、実際に世の中の誰一人想像していないタイミングで大きなキャンペーンを打ったという例を挙げていただきました。

求められるクオリティが高まっている

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中国のゲームアプリの最新動向とともに、サービスの求められる品質が上がっている。と見解を述べたのは、SHIFTの森氏。Sincetimes(北京華清飛揚網絡)の日本法人取締役も務める中で、中国はプラットフォーマーとゲーム提供会社の関係が大きく日本と違うことを認識したと言います。

中国では、テンセントやバイドゥ、シャオミーのようなAndroidゲームプラットフォーム自体に対してゲーム提供会社はゲームをよりプッシュしてもらいたいので、ユーザーの熱量がどれだけあるのか? をCBTの結果を通して良い数字をアピールしなければならず、必然的にゲームアプリの品質を上げなければならないと語ります。

これに対し、約3,000プロジェクトにもおよぶソフトウェアの品質改善に取り組んできた花井氏はプロジェクトを通して、様々なサービスにおける細かい仕様レベルの“使いにくさ”がわかるようになったと言います。こういう経験の蓄積が、マーケターやエンジニアでも見つけられないようなサービスの不具合検出につながっているとのことです。

また、特にゲーム業界ではリリースのタイミングで高い精度のサービスを作りこむ必要があり、一度離れたユーザーはなかなか帰ってきてくれないと言います。リリース前に完璧に仕上げることの大変さと重要さをどちらも認識しているのはゲーム業界特有なのかもしれないとお話しされました。

社内でQA・分析チームを抱えることの難しさと、判断に困るポイント

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続いては、「*QAは自社で抱えられていますか?」という濱田氏からの質問。ラクスルの水島氏は、QAは部署としては設置しておらず、先述のプロダクトチームとカスタマーサポートチームがともにリリース前のチェックを行っていると言います。

* QA(Quality Assurance)は、ソフトウェアなどの開発物の品質全体を保証すること、およびその職種を指します。

また、toBサービスの特徴として、最初に使われなかった機能がクライアントに徐々に使われ始めるため、機能の提供を続行するか削除するかの判断はすぐにはできないと語りました。

アカツキの三宅氏も、QAは内製でみんなでチェックしてリリースする体制になっていると言います。分析チームは自社で何度か立ち上げを行なっているが、数字から実行すべきだと判断された施策は既に走っている施策であるというケースが多くあり、それだけゲームの開発のスピードは早く、データドリブンのサービス改善は難しいようです。

QCDから、DAAEへ。QAの会社に求められているニーズの変化に対応する

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SHIFTの花井氏は、QAの立場としてバグをなくすことを仕事としていた昔と比べ、「このプロダクトが売り上げを増やしていくためにどのようなことができるか」という視点でマーケティングの観点からも企業と関わることが増えてきたと言います。テストをする会社から、ユーザーのサクセスストーリーを描く会社へと変化しつつある現状を踏まえ、*QCDという旧来の概念ではなく、DAAE(ダーエ)という新しい構想を独自に提唱し、日本のIT業界に浸透させることを目指しているそうです。

DAAEとは、デザイン(Design)、迅速性(Agility)、組み合わせ (Assembly)、経済品質(Economic quality)の頭文字を取ったもので、変化するビジネスシーンの中で複雑化するユーザーのニーズにいち早く対応するために生み出した考え方。QAだけでなくデザインや、UXという目線からもクライアントのニーズに応え続けてきたSHIFT社ならではの考え方だと言います。

*QCDとは、品質(Quality)、価格(Cost)、納期や入手性(Delivery)の頭文字をとったもので、製造業における開発生産業務の評価における指標のひとつ。

まとめ

cecreport5「ゲーム会社出身者が会社に入ると、ユーザー体験は担保されるんじゃないですかね?」と語るメルカリ濱田氏に、会場は笑いに包まれました。「当たり前の品質」から、「魅力的な品質」という視点への切り替え。そのための組織体制や接合などができるのがSHIFTですね。とセッションを締めくくりました。

今回ご登壇された株式会社SHIFTは、「すべてのソフトウェアにMade in Japanの品質を」をコーポレートビジョンとするソフトウェアの品質保証専門企業です。同社が手掛けるCXソリューションサービスの詳細はこちらの公式サイトをご覧ください。
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