2020.02.10
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「相手に正しく自分の思いを伝えて、より実りのある関係を構築したい」という理想を実現させるための手段として、多くの企業が活用して注目しているのが「コミュニケーションデザイン」です。会社の研修などで名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。
この記事ではコミュニケーションデザインの基本から実践のポイントまでをわかりやすく解説します。コミュニケーションデザインを学んで、より良い関係を構築しましょう。
コミュニケーションデザイン(Communication Design)とは、「人と人との間のコミュニケーションをデザインすること」を指します。企業であれば顧客との間、SNSであればフォロワーとの間など、どのようなコミュニティーにもコミュニケーションデザインが必要とされるシーンは存在します。ここでのコミュニケーションとは人々の間で「情報などが共通のものになる」という現象で、その過程で発生する「問題を解決する」のがデザインです。
中でも特に企業におけるコミュニケーションデザインは、顧客に対する情報発信の内容やタイミングについて注意深く設計することを指しており、その情報発信の効果を最大化するために行われます。
それではなぜコミュニケーションデザインが注目されているのでしょうか。
一見すると、現代はインターネットの発展によってコミュニケーションに利用できるツールが多く登場したことで、顧客に対して情報を届けやすくなったようにも見えます。もちろんチャネルが増えたという意味では良い面もありますが、その一方でインターネットの世界が常に膨大な情報で満たされるようになり、自社の発信する情報がターゲットとする顧客に届くことなく埋もれてしまう可能性も高まってしまっています。
また、たとえ顧客に届く適切な手段を選択できたとしても、それだけではコミュニケーションの目的は達成したとはいえません。そのコミュニケーションによって相手と良好な関係を築けるかどうか、という点がもっとも重要となります。
これらを適切に行い、顧客の関心を掴むためには、コミュニケーションの手段や内容、タイミングについても綿密に設計する必要があり、それがコミュニケーションデザインなのです。
注目されているコミュニケーションデザインですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。施策やアクションによってもたらさせるものはさまざまですが、ここでは代表的なメリットを3つご紹介します。
人であれ企業であれ、関係を構築するにあたって、まずは関心を持ってもらうことから始まります。
コミュニケーションデザインを行い顧客にしっかりと情報を届けることができれば、顧客との間に新たなつながりが生まれます。無関心を関心へと変えられるのが大きなポイントです。
新たな関心が生まれれば、人や企業の認知度は上昇しますし、イメージアップも期待できます。メーカーであればヒット商品が誕生するかもしれません。周囲からの関心を維持できれば社会への影響力も強まりますし、動向がニュースで取り上げられる機会も増えるでしょう。
このように、コミュニケーションデザインをひとつのきっかけとして、人々の関心は広がってゆきます。
とにかくターゲットに届けたいからといって、ありとあらゆる広告手法を使い、闇雲にコンテンツを量産してしまっていないでしょうか。「あの会社は広告が多い」と嫌悪感を持たれてしまうと、良い関係を築く機会を失ってしまうことにつながります。
このような場合に、コミュニケーションデザインを取り入れて、情報発信に関する明確な戦略を持つことは、自社による過剰な広告出稿や情報発信を抑制することにつながります。これにより、広告予算や作業に携わる人員の工数を削減する効果も期待できます。
続いては、コミュニケーションデザインの実践について考えてみます。
創造力が試されるコミュニケーションデザインですが、4つのポイントを意識すると成功率もアップします。コミュニケーションデザインについて悩んだり迷ったりした際は、以下のポイントを思い出してみてください。
顧客とのつながり方を改めて考え直し、より良いものとするのがコミュニケーションデザインです。そのため、ターゲットの明確化は最重要項目です。ターゲットが不明確だと、施策の内容もぶれてしまいます。
具体的にターゲットを明確化する方法ですが、ここではペルソナの設計をおすすめします。ペルソナはターゲットをより具体化したもので、まるで実在の人物のようにイメージできる存在です。例えば「20代男性、◯◯在住、飲食店勤務、趣味にお金を使うのが好き、ゲームが得意、グッズも集めている…」などといったように、かなり詳細にイメージを設定していきます。
このように価値観や趣味嗜好など、属性情報以外の人物の絵が浮かぶ情報を追記していきながらペルソナを明確に設計すると、その人に適したコミュニケーションデザインの方向性が定めやすくなります。
ターゲットへの具体的な伝え方も考えてみましょう。既存の方法を改善しても良いですし、新たな伝達手段の導入も考えられます。ポイントは明確化したターゲットに効果がある方法を選択することです。
例えば、ペルソナの設定で「スマホで動画を見るのが好き」としているのなら、YouTubeなどでの情報発信は必須でしょう。「電車で都心へ通勤している」のであれば、車内広告やサイネージに注力すべきという案につながるかもしれません。設定した目標(ターゲット)に対して一貫性を持った施策を打ち出すことが肝要です。
ターゲットへの届け方で思い悩む場合は、ターゲットの明確化が不十分である場合が多いので、改めてターゲットから考え直してみましょう。
改善したい、もしくは新たに導入したい伝達手段が決まったら、伝えたい内容とそのタイミングの最適化も同時に行いましょう。ただ単に発信しても内容に興味を持ってもらえなければ相手には伝わりません。
また、どれだけ有益な情報だとしてもタイミングが悪ければスルーされてしまいます。ここでも頼りになる指針はターゲットです。どのタイミングでどのような情報をターゲットが欲しいのかを、とことん追求して考えてみましょう。ポイントは客観的に意見を出すのではなく、ターゲットになりきってみることです。役者になったつもりでターゲットの行動を想像すると答えも見えてくるでしょう。
コミュニケーションデザインは実行したら終わりではありません。PDCAサイクルの考え方はビジネスにおいて有名ですが、コミュニケーションデザインにおいても定期的な効果検証と改善の実施を忘れずに行いましょう。ここでは、特に効果が想定したよりも出せなかった場合の対策をふたつ解説します。
ひとつ目はコミュニケーションデザインの見直しです。ターゲットの定義から改めて考えてみると、打開策も見えてきます。定義の抜けや漏れを確認したり、定義に対して施策を実施して得られた知見を盛り込んだりすることでコミュニケーションデザインはより磨かれます。
ふたつ目は外部要因の検証です。ターゲットを狙っているのは自分だけではありません。個人、企業のどちらにもライバルは存在します。自社とターゲットだけに目を向けがちですが、ライバルのことも考慮してコミュニケーションデザインを策定するようにしましょう。
コミュニケーションデザインを実際に実施するイメージも描けてきたのではないでしょうか。最後にコミュニケーションデザインを進めるうえでの注意点を解説します。コミュニケーションデザイン実践のポイントと強くリンクする内容なので、コミュニケーションデザインの基本項目として確認してみましょう。
大きな組織や企業でコミュニケーションデザインを実施する際、特に注意すべきポイントが、コミュニケーションの目的を常に念頭に置くことです。目的は対象顧客とのつながりの創出など企業によってさまざまかと思いますが、達成のためのステップが複雑になると本来のゴールが曖昧になり、「手段の目的化」といった問題に発展しやすくなります。
対策として、リーダーだけでなくコミュニケーションデザインに関わるすべてのメンバーが目的を正しく認識しているか、定期的に再認識できる機会を設けると良いでしょう。チーム内で認識に解離があると、ターゲットに伝えたい情報の品質に問題が生じます。例えば魅力ある広告の作成といっても、設定しているターゲットの認識次第で正解は無数にあります。すべてのステップで目的を正しく共有して、チーム一丸となってコミュニケーションデザインを実行しましょう。
コミュニケーションの相手は一人ひとり考え方も生活環境も異なります。そのため、ある個人だけの意見にしばられるのではなく、多様な考えを取り入れて柔軟にコミュニケーションデザインを実施することを推奨します。
チームでコミュニケーションデザインを担当しているのであれば、定期的にミーティングを開催して参加者の意見をヒアリングしましょう。どのような言葉にも真剣に向き合うように心がけることで、多くの人の心に響く施策を生み出すことが可能です。
コミュニケーションデザイン実践のポイントでお伝えしましたが、結果の分析と改善が成功への近道です。最初から完璧なプランは存在しません。念入りに時間をかけて作り上げたターゲット設定と施策だとしても、失敗する可能性はあるのです。
プランが上手くいかない場合は別の選択肢も考えてみましょう。例えば伝達手段であれば、TwitterだけでなくYouTubeも活用してみる、既存のSNSではなく自社サイトを立ち上げてみるなど、さまざまなアイデアが浮かぶはずです。決めつけや思い込みはなくすように心がけましょう。また、今一度ターゲットの視点に立って接触する媒体を検討し直すことも有効な手段です。
コミュニケーションデザインを成功させるという目標に夢中になると陥りがちなのが、「自分のコミュニケーションデザイン」を作ってしまうことです。自発的な行動や積極的な発言は大切です。しかし、コミュニケーションデザインのポイントは相手の気持ちを主軸にデザインすることです。
自分なら興味を持つような内容であっても、必ずしも相手が同じとは限りません。他者の視点に立って考えるという基本を忘れないようにしましょう。コミュニケーションデザインに熱中しすぎていると感じたら、一歩引いて俯瞰的に全体を考えることをおすすめします。
今回はコミュニケーションデザインの基本についてわかりやすく解説しました。コミュニケーションデザイン実践のポイントや注意点についても触れたので、コミュニケーションデザインで悩んでいる方の参考にもなったのではないでしょうか。
現代の生活はインターネットの発展により非常に便利になった一方で、コミュニケーションが複雑化し、ターゲットに情報を伝えることが難しくなっています。そんな時、コミュニケーションデザインを正しく理解して活用すれば、情報発信による効果の最大化を目指すことが可能になります。顧客との関係構築を大切にするコミュニケーションデザインに、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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