2025年7月18日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週の注目はGoogleが実施した都度課金アイテムの管理・販売モデルの刷新と、Adaptyが公開したアプリ内サブスクリプションに関する調査レポート。どちらもアプリのマネタイズ戦略に大きな影響を与える可能性がある情報なので、しっかりとキャッチアップしておきましょう。そのほか、グローバルの広告トレンド調査や中国のモバイルマーケティング動向レポートも紹介しています。
※本記事での日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
都度課金アイテムの新たな管理・販売モデルを導入 - Google
2025年7月15日、Googleは「Android Developers Blog」を更新し、都度課金アイテムの新たな管理・販売モデルを導入したことを発表しました。この変更で、都度課金アイテムの管理方法が下図のように刷新されます。
画像引用:New tools to help drive success for one-time products
課金アイテムは、「プロダクト(アイテムそのもの)」「購入オプション」「オファー」の3階層で定義されることとなり、ひとつの課金アイテムに対して複数の購入オプション(購入・レンタル)、ひとつの購入オプションに対して複数のオファー(割り引きや予約注文など)を紐付けられるようになるのです。
さらに、購入オプションやオファーなどについて、下記のような機能追加、アップデートが実施されています。
- レンタル機能の導入
ユーザーに一定期間の使用権を付与する「レンタル」形式の購入オプションを選べる。
- 予約注文機能の導入
アプリ内課金アイテムの発売前に、ユーザーに予約注文オファーを出すことができる。
- デフォルト価格の廃止
アイテムのデフォルト価格という概念が廃止され、一括または地域ごとに価格を設定・管理できる。
- 地域別の価格設定と提供状況
購入オプションとオファーにおいて価格変更を適用可能になり、地域ごとに異なる価格を設定できる。購入オプションとオファーの両方に、地域別の提供状況を設定すること可能。
- プロモーションのオファー
オファーを活用して、購入価格の割り引きや予約注文による特別条件など、様々なプロモーションを作成できる。
アプリ内サブスクリプションレポート 2025を公開 - Adapty
2025年7月14日、アプリ収益管理プラットフォームであるAdaptyが「アプリ内サブスクリプションレポート 2025(State of in-app subscriptions 2025)」を公開しました。11,000以上のアプリ、19億ドルの収益を基にした、アプリ内サブスクリプションに関する総合レポートです。
今回のレポートで特に注目すべきなのは、「週単位」プランの成長と収益貢献度の高さです。2025年、週単位プランの収益は9.5%と大きく成長したのに対し、「月単位」「年単位」などの他のプランの成長は鈍化傾向にあります。また、全体の収益に対する週単位プランの占有率は46%と最大のものになりました。
「Spotify」や「Canva」などの大手アプリデベロッパーが、週単位プランの試験導入を開始しているという報道もあります。サブスクリプションの期間設定は、マネタイズ戦略の大きなポイントとなるもの。アプリカテゴリ別のサブスクリプション期間やLTVの分析も掲載されているので、チェックしておくことをおすすめします。
画像引用:State of in-app subscriptions 2025
画像引用:State of in-app subscriptions 2025
2025年下半期 マーケットレポートを公開 - Mediaocean
2025年7月16日、オムニチャネル広告の基盤パートナーであるMediaoceanが、「2025年下半期 マーケットレポート(2025 H2 Market Report)」を公開しました。世界中の464人のマーケティング専門家を対象としたアンケート調査の結果を分析し、2025年下半期のトレンドを予測するレポートです。
明らかになったのは、「CTV(コネクテッドTV)」「生成AI」「個人特定」への投資拡大、優先度アップの傾向。58%のマーケターがCTVへの投資を増額すると回答しており、72%が生成AIを優先事項として挙げています。また個人特定関連の施策に対しては41%が優先事項と回答。Cookieの使用が制限されていくなか、ファーストパーティデータや外部パートナーの保有するIDなどを統合する、マルチID戦略に注力し始めているようです。
2025上半期 モバイルトラフィックレポートを公開 - QuestMobile
2025年7月15日、中国のマーケティングリサーチ事業者であるQuestMobileが「2025上半期 モバイルトラフィックレポート(2025全景生态流量半年报告)」を発表しています。包括的な調査であり、膨大な量のデータが掲載されているのですが、アプリマーケターが注目したいのは、「ミニプログラムの活況」と「コンテンツトレンド」について。
ミニプログラムとは、スーパーアプリと呼ばれる大手プラットフォーム内で動作するアプリのこと。日本でいう「LINEミニアプリ」のようなものです。「WeChat(微信)」「Alipay(支付宝)」「Douyin(抖音)」のミニプログラムは、様々な業界で主要なトラフィック源となっており、ユーザー獲得と利用のエントリーポイントとして極めて有効だと結論づけています。
また、「Douyin(抖音)」「Kuaishou(快手)「Xiaohongshu(小紅書)」といった、新興メディアのMAUが大幅に増えていることに言及し、ショートドラマやカジュアルミニゲームといったエンタメコンテンツを通じた集客とエンゲージメント獲得の有効性を訴えています。
Reproは、日本国内でもショートドラマが2025年のアプリトレンドの中心になると予測しています。自分には関係のない他国のデータと捉えるのではなく、次の流行をキャッチアップする材料としてしっかりと確認しておくとよいでしょう。
画像引用:QuestMobile2025全景生态流量半年报告
画像引用:QuestMobile2025全景生态流量半年报告