2025年10月10日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週、絶対に押さえておかなければならないのはOpenAIの動向です。「Sora」アプリの躍進と「OpenAI DevDay 2025」での発表が世界中のアプリマーケターに衝撃を与えました。そのほか、アメリカ国内でのGoogleに対するアプリストア改革命令の発効など、重要なニュースが相次いでいます。
※本記事における日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
Soraアプリが100万ダウンロードを達成。知的財産権の保護対応も発表
2025年10月9日、OpenAIの「Sora」アプリの責任者であるBill Peebles氏が、公開後5日足らずでSoraアプリのダウンロード数が100万件に達したことをX上で公表しました。「アメリカ、カナダでの招待制」という制限下にあるにも関わらず、成長スピードは「ChatGPT」を超えています。
また、10月4日には問題視されている知的財産権の保護について、CEOのSam Altman氏がブログで対応方針を発表。「キャラクター生成において、権利保有者によりきめ細かな制御権を与えます。これは、肖像権に対するオプトインモデルに似ていますが、追加の制御機能も備えています」と記しています。
詳しい仕様はまだ公開されていませんが、「オプトイン」の方向で検討されている点は、権利者にとって朗報といえるでしょう。権利者が明示的に許可を与えない限り、キャラクターや著作物、著名人などをAIによる動画生成には利用できなくなると考えられるからです。
OpenAIが「OpenAI DevDay 2025」を開催。ChatGPTはAI駆動のアプリプラットフォームへ
2025年10月6日、OpenAIが「OpenAI DevDay 2025」を開催。これまでのアプリ体験を根底から覆す可能性のある発表を行いました。「Apps in ChatGPT(ChatGPTアプリ)」「App SDK」の発表です。
Apps in ChatGPTとは、簡単にいうとChatGPT内で動作するアプリのこと。例えば、「Spotify、今週の金曜日のパーティー用にプレイリストを作って」と投げかけると、ChatGPT内に呼びかけられたアプリ(ここでは「Spotify」)が起動し、Spotifyが要望通りにプレイリストを作ってくれるのです。
現在は、Spotifyのほか、「Booking.com」「Canva」「Coursera」「Figma」「Expedia」などのアプリがパイロットパートナーとして実装されており、今後も拡大予定です。そして、App SDK。これはApps in ChatGPTを構築するための開発キット。オープンソース化されており、世界中の誰もがApps in ChatGPTを作成することが可能です。
各種報道ではChatGPTのOS化、プラットフォーム化のような言葉で表現されていますが、OpenAIが目指しているのは、あらゆるデジタル行動の玄関がChatGPTになる世界観。ユーザーは「デバイス上で個別のアプリを起動する」という行動を取らずに済むようになるわけです。
Apps in ChatGPTの利用が一般化すれば、ユーザー体験が劇的に変化するだけでなく、起動数やリテンションレートといったあらゆるマーケティング指標の計測に大きな影響を与えるでしょう。iOS向け、Android向けに加えて、Apps in ChatGPTの構築がアプリデベロッパーのスタンダードになるかもしれません。グローバルを含めた他社の動向を逐一、チェックしておくことをおすすめします。
※画像引用:Introducing apps in ChatGPT and the new Apps SDK
Googleへの裁判所命令が発効へ。最高裁判所が一時凍結要請を却下
2025年10月6日、アメリカの最高裁判所が、Googleから提出されていたEpic Gamesとの訴訟に関わる一部裁判所命令の凍結要請を却下しました。裁判所命令は以下のようなアプリストア改革を義務づけるもので、特に「アプリ外決済の解禁」については、10月下旬から発効される予定。iOSだけでなく、ついにAndroidも、ビッグテック規制を背景とするアプリ外決済の波に飲み込まれました。
【アプリストア改革を義務づける主な裁判所命令】
- 「Google Play ストア」内で競合アプリストアのアプリをダウンロードできるようすること
- Google Playのアプリカタログを競合他社に提供すること
- Google Play以外の決済手段への誘導を可能にすること(アプリ外決済の解禁)
最高裁の判断を受けてEpic GamesのCEOであるTim Sweeney氏は、「最高裁判所はGoogleの凍結要請を却下しました。10月22日からアプリデベロッパーは、アメリカ国内のGoogle Play ユーザーをアプリ外決済に誘導する法的な権利を持ち、手数料、警告画面、摩擦なしで利用できます - アメリカ国内のAppleの App Storeユーザーと同じです!」とX上でコメントしています。
なお、Googleはこの裁判所命令を覆すべく、引き続き最高裁判所への上訴を試みる予定です。
Adjustが「モバイルアプリ グロースレポート 2025年版」を発表
2025年10月8日、Adjustが「モバイルアプリ グロースレポート 2025年版(The mobile app growth report: 2025 edition)」を発表しました。
このレポートは、「Adjust Growth Score」と呼ばれる独自の指標を用いて、各地域、国、アプリカテゴリにおける、アプリビジネスの総合的な成長機会を分析するもの。地域別に見ると、APACがスコア45で最高スコア。国別ではインドがスコア49で1位、アプリカテゴリ別ではゲームがスコア45.8でトップになりました。
グローバル平均のスコアは29.2、日本のスコアは30.9です。平均をやや上回るものの、急成長市場ではないことがうかがえます。
※画像引用:The mobile app growth report: 2025 edition