【Google I/O 2023速報】アプリマーケターが注目すべき6つのPlay ストア新機能

山﨑 信潔
山﨑 信潔
2023.05.12
【Google I/O 2023速報】アプリマーケターが注目すべき6つのPlay ストア新機能

目次

2023年5月11日午前2時(日本時間)、Googleの開発者向けカンファレンス「Google I/O 2023」が開催されました。今年のメインテーマは完全に生成AI。基調講演の半分以上の時間を「Bard」「Search Generative Experience(SGE)」「Duet AI for Google Workspace」といった生成AI関連の発表に割いています。
AIの陰に隠れてしまった感はぬぐえないものの、実際には「Google Play ストア」「Google Play Console」といったモバイルアプリ関連のプロダクトにも新機能やトピックが多数。本記事では、Google I/O 2023で発表された、アプリマーケターが注目すべき新機能をRepro株式会社の考察とあわせて紹介します。
※「Reproの視点」コメント:Repro株式会社 Professional Service Team Team Manager 岸 裕之

しっかりわかるReproのASO対策 提供ソリューション

Google Play ストアにもAIを投入「AIヘルパー」「自動翻訳」

2023年のGoogle I/Oのメインテーマを受けるように、Google Play ストアにもAIサポート機能が搭載されることが発表されました。発表時には「AIヘルパー」という呼称が使われています。

この機能は、いくつかのプロンプトを入力するだけでストア掲載情報のドラフトを自動生成してくれるというもの。発表時の映像・画像では、アプリのテーマ、文章のトーン、ユーザーの属性を選択するだけで、説明文(ショート・ディスクリプション、フル・ディスクリプション)のドラフトが自動生成される様子が公開されています。

なお、AIヘルパーは、発表時点では英語のみの対応、実験的な開発者向け機能と位置付けられており、日本での一般リリースにはもうしばらく時間がかかる見込みです。

■AIヘルパーの動作イメージ

AIヘルパーの動作イメージ※画像引用:I/O 2023: What’s new in Google Play

さらにアプリとアプリストア掲載情報の「自動翻訳」機能も搭載されました。AIの活用により10カ国語への翻訳が数分で行えるとのこと。グローバル展開をしているアプリの開発者にとっては朗報といえるでしょう。

【Reproの視点】

AIヘルパーについては、日本語展開されていないので精度が読めない状況ですが、幅広いユースケースが考えられるのではないでしょうか。特に専任のマーケターがおらず、アプリストアの掲載情報に注力できていない事業者では有用かもしれません。

なぜなら、アプリストアの掲載情報をマーケターではなく開発者が執筆する際、そもそも「何を書けばよいのかわからない」というケースが頻発するからです。一定の型をドラフトとして出力してくれるだけでも工数は大きく削減できる可能性があるでしょう。

注意しなければならないのは、ASO(アプリストア最適化)対策に関してでしょうか。アプリ内検索のアルゴリズムやCVRに対してどこまで最適化ができるかは不明瞭です。仮に利用する場合でも、あくまでドラフトはドラフトと考えての運用をおすすめします。

発表ではあまりフォーカスされませんでしたが、むしろすぐに有益さを感じられるのは自動翻訳機能のほうでしょう。グローバル展開しているアプリでは、リリース時、アップデート時に毎回、社内もしくは外部に翻訳を依頼するという形が取られています。十数カ国で展開する国内アプリも珍しくなく、このリソースや費用を抑制できるのは嬉しいはずです。

アプリ改善にも役立てられるAIによる「ユーザーレビュー要約」

Google Play ストアのユーザー向け機能として、「ユーザーレビュー要約」と呼ばれる機能が新搭載されました。ストア内に掲載されているユーザーレビューをAIが収集、分析、要約して表示する機能で、ユーザーがアプリの品質・自分にとっての良し悪しについて確認する際の手間を大きく削減してくれる可能性を秘めています。

この機能も英語からの展開となっており、2023年内により多くの言語に対応する予定です。

■ユーザーレビュー要約の掲載イメージ

ユーザーレビュー要約の掲載イメージ※画像引用:I/O 2023: What’s new in Google Play

【Reproの視点】

AI関連の機能で最も興味深いのがこのユーザーレビュー要約機能です。Googleからはユーザーの利便性を向上させるためという意図の発表でしたが、アプリの機能・UI改善にも活かせそうな印象を受けました。

機能・UIなど、アプリ改善の参考情報として、レビューのローデータを分析・マイニングし、改善ポイントの洗い出しや方針決めの材料にするアプリ事業者は少なくありません。私自身も実際にそうしていた経験があります。

この機能はおそらくAIによる言語解析で、頻出単語やコンテンクストを分析して要約するのでしょう。精度の問題はありますが、ローデータから分析をするよりも圧倒的に工数が減り、より手軽にユーザーのインサイトを知れるようになると考えられます。AIによる要約からより有益な示唆を得るためにも、ユーザーレビューの収集に力を入れていくといいのかもしれません。

休眠復帰、広告との紐づけ、強化された「カスタム・ストア・リスティング」

2022年に実装された「カスタム・ストア・リスティング」にもいくつかのアップデートが実施されました。

ひとつは休眠ユーザーをターゲティングしたカスタム掲載情報の作成が可能となった点。Google Play Consoleの「カスタム・ストア・リスティング」にある、ユーザーステータスを選択することで利用可能です。休眠ユーザーに最適化されたクリエイティブを採用することで、ユーザーの復帰が促進されるであろうとGoogleは語りました。

ふたつ目の新機能は、カスタマイズされた掲載情報と広告キャンペーンの連動。AdMobやYouTubeの特定の広告からアクセスしたユーザーに対し、最適なクリエイティブを表示することでシームレスな体験を提供し、CVRの改善を期待できます。

3つ目の新機能はストア掲載情報のグループ化機能(ストア・リスティング・グループ)。グループに対してベースとなる掲載情報を設定し、一部をオーバーライドさせる形でカスタマイズすることが可能に。多彩なクリエイティブをより効率的に管理・運用できるようになります。

■ストア・リスティング・グループの利用イメージ

ストア・リスティング・グループの利用イメージ※画像引用:I/O 2023: What’s new in Google Play

【Reproの視点】

2022年に実装されたカスタム・ストア・リスティング、要するにアプリストアの詳細ページのカスタマイズも強化・効率化されています。注目したいのは広告との連動性強化でしょう。Appleも力を入れている領域であり、真っ向から勝負する姿勢が見えてきます。

市場ごとの価格戦略に役立つ「プライス・エクスペリメント」

Google Play Console内に、「プライス・エクスペリメント(Price experiments)」という機能が実装される予定です。これはアプリマーケティングにおいて非常に重要な価格戦略に関して、定量的データを用いて決定することができる機能です。Google Play Consoleの設定で、複数の価格を設定し、テストすることができます。2023年5月11日時点で、今後数週間以内に実装されると発表されました。

■プライス・エクスペリメントの利用イメージ

プライス・エクスペリメントの利用イメージ※画像引用:I/O 2023: What’s new in Google Play

【Reproの視点】

戦略決定をするような事業責任者、プロダクトマネージャー向けの機能といえますが、非常に面白い機能です。

世界各国で物価水準は大きく異なります。グローバル展開をする際に、アプリ内アイテムの価格を各国の適正価格に設定するのは非常に困難です。現地で展開されているアプリの水準に合わせていくべきなのか、国内価格と同程度がいいのか、それとも別の判断基準があるのか。私自身の経験として、東南アジア地域への進出をする際に、価格設定で失敗を犯したことがあります。

テストの内容、分析精度を事前に確認すべきですが、グローバル展開をしている、あるいは視野にいれているアプリ事業者は使ってみて損はないでしょう。

アプリ内商品をストア内で直接販売可能に「フィーチャード・プロダクト」

近日中に、「フィーチャード・プロダクト(featured products)」と呼ばれる、アプリ内アイテムをGoogle Play ストアで直接販売する機能が利用できるようになる予定です。ユーザーを惹きつけるようなアイテムや割り引きをストア内に直接表示することで、アプリを起動せずともアプリ内アイテムを購入したり、アプリダウンロードのきっかけになります。

■フィーチャー・プロダクトの掲載イメージ

フィーチャー・プロダクトの掲載イメージ※画像引用:I/O 2023: What’s new in Google Play

【Reproの視点】

一言でいうと「やっていないならやったほうがいい」機能でしょう。いろいろなユースケースが考えられます。

例えばマッチングアプリなら、有料コンテンツの割り引きがアプリ詳細ページに掲載されていれば、ダウンロードを促進するトリガーになるかもしれません。ゲームアプリなら「数百円で最高レアリティのアイテムが手に入る」といったような打ち出し方も可能になるでしょう。ユーザーに「気軽に始められそう」という印象を与えることができます。休眠ユーザー向けのカスタムとして使用できるのであれば、復帰促進効果が期待できるケースもありそうです。

どのアプリにおいても「始めるきっかけづくりをしてCVRを向上させる」施策としての有用性が高いのではないでしょうか。

その他のアップデート

  • プロモーション用コンテンツの掲載面の拡大
    2022年に実装されたプロモーション用コンテンツの、掲載面が拡大されます。発表時にわかったのは、Google Play ストアの「おすすめ」や検索結果画面などへの掲載。
  • プロモーション用コンテンツ(イベント)のレポート変更
    イベントのパフォーマンスをよりわかりやすくし、最適化が図れるよう、レポートの内容がアップデートされています。

※本記事の内容は2023年5月11日のGoogle I/O 2023の発表を基にしています。実際の機能実装、サービス開始時期が変更される可能性があります。詳しくは「Android Developers Blog」等での発表をご確認ください。

3分でわかるReproサービス紹介資料

Webとアプリの
売上最大化ツール
「Repro」

資料ダウンロード お問い合わせ

Webとアプリの
売上最大化ツール
「Repro」

資料ダウンロード お問い合わせ

PAGE TOP