新規ユーザーを獲得するためには様々な手段や戦術が要求されます。そのなかでも、アプリストアページ(アプリストア内にあるアプリ詳細ページのこと。プロダクトページとも呼びます)は、ユーザーにアプリやゲームをダウンロードしてもらうための最終ステップであり、最も重要なポイントです。
アプリストアページの最適化を怠ってしまうと、どのようなマーケティング活動をしたとしても予算を浪費するだけです。一方で、アプリストアページの最適化を確実に実施することは、アプリストア内の検索順位とCVR(コンバージョンレート)の改善、そして総合的な成功に密接に結びついています。ユーザー獲得ファネルの最終ステップを確実なものにするために、パフォーマンスの高いアプリストアページを作成しましょう。
この記事では、5つのステップを通じて、効果的なアプリストアページを作成する方法を紹介します。
この記事は、App Radarのブログ ”How to create a high-performing app store listing for your mobile app” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Revenue Wire in English under the permission from the company.
アプリストアページとは
アプリストアページとは、Apps Store(iOS)、Google Play ストア(Android)、Huawei AppGallery(Huawei)などのアプリストアプラットフォームにある、アプリまたはゲームの紹介をするページです。ユーザーがアプリを発見し、アプリをダウンロードするか否かを決める判断材料でもあります。
アプリストアを構成する主な要素
- アプリアイコン
アプリを象徴する画像。検索結果でユーザーが最初に目にするビジュアルであり、アプリをインストールしたときにホーム画面に表示される画像です。
- アプリ名/タイトル
アプリの名前です。アプリの用途や機能を簡潔に表現したものです。
- ディスクリプション(説明文)
アプリの機能およびメリットについての説明文です。アプリが提供する機能と、ユーザーがアプリをダウンロードするべき理由を記載します。
- スクリーンショットと動画
アプリのUI、ゲームプレイ動画、および主要な機能を紹介するスクリーンショット、アプリのプレビュー画面などのビジュアルです。
- 評価とレビュー
ユーザーによる評価とレビューであり、ソーシャルプルーフやアプリのクオリティ、パフォーマンスに関するフィードバックを提供しています。
- 追加情報
アプリの開発者情報、バージョン番号、リリース日、容量、各OSとの互換性を記載します。
- アップデート情報
アプリ内で導入された最新のアップデート、バグ修正、および新機能に関する情報を記載します。
アプリストアページはアプリマーケターにとって重要なマーケティングとプロモーションツール。アプリの価値と機能を潜在的なユーザーに伝えるためのものなのです。
パフォーマンスの高いアプリストアページを作成するフレームワーク
アプリタイトル、ディスクリプション、およびスクリーンショットのアップロード……、これらの必要なフィールドをただ埋めるだけでは、ハイパフォーマンスなアプリストアページを作成することはできません。パフォーマンスの高いアプリストアページを作成するためには、次のステップを踏む必要があります。
- 市場調査(Market research)
- アプリストア内検索への最適化(App Store Search Optimization)
- アプリストアページのCRO(コンバージョンレート最適化)(App Store Conversion Rate Optimization)
- 分析(Analysis )
- 最適化と拡大(Optimization & Scale)
以降では各ステップを深く掘り下げながら、主なアクションや目標を説明していきましょう。
アプリストアページ最適化前の市場調査
アプリがダウンロードされるようなアプリストアページを作成するためには、ターゲットとなる市場やユーザーを知ることが重要です。これによって、ユーザーの言語(トーンや表現など)でコミュニケーションができるようになり、国を超えて市場ポジションを確立できるようになります。市場を丁寧に調査することは、他社との競争から抜きん出るための一助になるのです。
もう少し具体的にすると、このステップにおける重要なポイントは以下の通りです。
- 各国のアプリ市場における、自社アプリのポジションを特定します。競合アプリのダウンロード数を確認することは、新興プレイヤーや脅威となる競合企業の発見に役立ちます。
- カテゴリのランキングを分析することで、トレンドを把握します。
- 競合アプリのアプリストアページのメタデータとクリエイティブを分析することで、ASO(アプリストア最適化)対策、広告戦略を明らかにします。様々な地域のアプリストアページを分析しましょう。
なお、アプリマーケティング戦略における成功パターンを特定し、自社にも応用することが、このタイミングの市場調査の主たる目的であることを忘れないでください。
アプリストアページのキーワード最適化
アプリストア内検索からアプリストアページへの自然流入を促すようなキーワードを特定しましょう。アプリのメタデータにキーワードを取り入れることで、ユーザーが検索結果でアプリを発見する可能性が高まります。
自社アプリ・ゲームのカテゴリで対策すべきキーワードのリストを構築することから始めましょう。まずは十分な検索ボリュームがある主要キーワードを特定します。アプリ・ゲームのジャンルとの関連性が高いほど良いのですが、最初のうちは競合度が高いキーワードは避けたほうがいいかもしれません。
キーワードリストを完成させたら、ターゲットとなるキーワードをアプリストアページのメタデータ(アプリタイトルやデスクリプションなど)に取り入れましょう。ただし、アプリストアの検索アルゴリズムがその変更を検知し、検索順位に反映されるまでにはある程度の時間がかかります。むやみにメタデータを更新したり、即効性には期待したりはしないでください。4週間ごとに、メタデータを更新するのが理想です。
アプリストアページのCVR最大化
メタデータのテキスト要素の調整を終えたら、アプリストアページのクリエイティブ最適化を図ります。CVRの高いクリエイティブ作成の鉄則をいくつかご紹介しましょう。
- スクリーンショットを利用して、アプリで何ができるのかを示しましょう。アプリ画面と主要な機能に焦点を当てることでユーザーにダウンロードするメリットを紹介します。
- 最初の3、4枚目までにアプリの主要機能を載せましょう。最初のスクリーンショットが気になると、ほとんどの人は他のスクリーンショットもスクロールして閲覧します。キーメッセージは戦略的に最もインパクトのあるメッセージから始めましょう。
- ユーザーがアプリを利用するイメージができるように、ストーリー性を持たせてスクリーンショットを掲載しましょう。カーシェアリングに関するアプリであれば、乗車前、乗車中、乗車後のスクリーンショットを載せるべきです。
- ターゲットオーディエンスについて様々なパターンを考えてみましょう。ひとつの市場、ひとつの言語に絞るのか、それとも複数の市場をターゲットとするのか。もしグローバル展開を視野に入れるのなら、アプリのインパクトを最大化するためのローカライズは必須です。
- 重要なキーワードは太字や異なる色を利用することで目立たせましょう。
- アプリをインストールしてもらうためには信頼が重要です。スクリーンショットの最初の3枚のうちの1枚は信頼性を訴求するものにしましょう。
App StoreとGoogle Play ストアでは、クリエイティブの容量やガイドラインに差異があります。アプリストアページのクリエイティブがそれぞれのガイドラインに即しているのかを確認することも大切です。
ガイドラインや一般的なクリエイティブのルールに従うことを前提として、ターゲットユーザーに対して最も効果的なクリエイティブを特定するためには、クリエイティブアセット(スクリーンショット、動画、アプリアイコン、フィーチャーグラフィック)のA/Bテストを実施するのが最善策です。
A/Bテストの主な目的はパフォーマンスの高いコンセプトを発見すること、すなわちクリック数とインストール数が最も伸びるクリエイティブを見極めることです。これらの数値のモニタリングによって、どのビジュアルコンセプトが潜在ユーザーを最もダウンロードへと誘導してくれるかがわかります。
ASO(アプリストア最適化)対策についての分析
ここまで紹介してき施策(ASO対策)で、アプリストアページはすでに魅力的なものになっており、ダウンロード数も伸びているかもしれません。しかしながら、パフォーマンスの高いアプリストアページを維持するためには、何が良くて何が悪いのかを判断する必要があります。
計測することができなければ、改善することはできません。主要な結果を評価し、継続的な改善の基盤を築くために、次のことを意識して行動しましょう。
- ASO対策がキーワードの順位、インストール数、CVRに与える影響をモニタリングする
- アプリの状態、評価とレビュー、アプリリリース日などの要素を分析に含める
- 競合他社と比較してパフォーマンスの評価を行う
- チャネルごとのパフォーマンスを比較して、オーガニック/有料チャネルの相関関係を理解する
- テンプレート化されたレポート体制を構築する
アプリストアページのパフォーマンスを継続的に分析する最善の方法は、チームで月次のアプリパフォーマンス報告を行うことです。
ASO戦略全体の最適化と拡大
アプリストアページのパフォーマンスを徹底的に分析したあとは、事業成長との関連性が特に高いトラフィックを獲得するための最適化にも着手しましょう。考慮しなければならないアクションがこちらです。
- どのような変更が最もインパクトが大きいのかを特定しましょう。関連するキーワードのランキングを押し上げるために、アプリストアページ内におけるキーワード密度や位置を変更してください。最適なキーワードとメッセージを追求するために、どのクリエイティブが最も効果的かをテストし続けてください。
- 「Apple Search Ads」や「Google App Campaigns」で広告を回して、それぞれへの影響度を調査しましょう。
- 広告で学んだことをアプリストアページに活かしましょう(ASO対策のアップデート)。キーワードやメッセージ、クリエイティブを、テキスト広告の成果(どの文言が最もクリック数やダウンロード数を伸ばすのか)を紐解いて改善するのです。
- 最も高いポテンシャル(市場へのフィット具合や収益など)のある国を特定し、新規市場へのチャレンジも検討します。もちろん、アプリストアページやアプリの体験のローカライズは必要です。
- アプリストアの新機能を活用しましょう。アプリストアはアプリをフィーチャーし、ユーザージャーニーをカスタマイズする様々な可能性を提供しています。例えば、App Storeではカスタムプロダクトページを作成してカスタマイズされたユーザージャーニーを提供することも可能です。アプリ内イベントの告知機能(App Store)やプロモーション用コンテンツ(Google Play ストア)を使用して既存の顧客と新規顧客を惹きつけたりすることができます。
これらの戦略を実行することで、ユーザーを惹きつけ、意義ある成長を実現するパフォーマンスの高いアプリストアページを作成するステップに進むことができます。
アプリマーケティング戦略のチェックリストとステップ
アプリストアページはユーザー獲得ファネルにおける重要なステップです。最適化されたアプリストアページを作成し、それを継続的に更新し続けることは、新たなユーザーを惹きつけ、ダウンロード数を増加させます。ただし、一度行えば、それで終わりというわけではありません。アプリが成長し続けるためにもアプリストアページは定期的にアップデートしましょう。
パフォーマンスの良いアプリストアページの作成を助ける簡単な行動ステップを以下にまとめました。
- 競合他社のパフォーマンスを逆解析する
- アプリ市場のトレンドを調査する時間を週に一度は設けましょう。調査でわかったアプリの成功事例を発表する時間も設定します。優れた事例から学ぶのです。
- ASO対策をアプリマーケティングの優先事項にする
- 4週間に一度、アプリストアのメタデータを更新しましょう。
- 定期的なクリエイティブ改善でCVRを最大化する
- 3カ月間先までのクリエイティブに関するA/Bテストを常に設計しておきましょう。
- テンプレート化されたアプリマーケティングレポートを作成する
- KPIの目標設定には競合のベンチマークを使用しましょう。
- 月次でチーム全体に対してレポートを実施しましょう。
- アプリマーケティング戦略を最適化・拡大する
- 効果が出ている施策であればさらに実施。効果が出ていない施策はその要因を分析し、活路があれば再び実施、なければやめましょう。
- オーガニックと有料チャネルの組み合わせによるユーザー獲得。ローカライズと新たなストア機能を活用することで、規模を拡大しましょう。