本記事は、2017年6月13日に開催した「【アドジェネ×Repro】Growth Hack Talks#4」での発表内容を元にしたイベントレポートです。女性向けメディアアプリ『LAURIER PRESS』ご担当者様に、アプリだからこそ提供できる価値やマーケティング手法、さらにはマネタイズの部分までお話していただきました。
自己紹介と事業の紹介
『ローリエプレス』のアプリディレクターをやっております、古川と申します。よろしくお願い致します。本日は、『ローリエプレス』のアプリ成長戦略についてお話させていただければと思います。
『ローリエプレス』は、「自分磨きを頑張る女子を応援するメディア」として、10代~20代の女性たちが可愛くなって、ポジティブな毎日を送るためのヒントを届ける、というコンセプトで日々運営しております。
アプリ版をリリースした理由
サービスインから現在まで
『ローリエプレス』は5年前にまずWebでサービスを始めまして、アプリの方は、昨年末にiOS版をリリースし、今年の4月にAndroid版もリリースしました。各OSともダウンロード数を伸ばしており、現在約30万ダウンロードとなっております。
なぜアプリを出したのか
『ローリエプレス』というメディアが、なぜアプリを出したのかについてお話ししますと、開発当時は、特にwebの勢いは衰えていなかったのですが、それでもアプリをリリースした理由としては、ユーザーとメディア双方にとってのメリットがあったからです。
まず、ユーザー側のメリットとしては、やはりスマホでの使いやすさですね。最近ではスマホに触れている時間のうちの85%がアプリを利用している」「というデータもありますし、『ローリエプレス』がターゲットとする10代~20代の若い女性の多くがアプリで情報を収集する傾向があります。
アプリ展開のメリット
また、リアルでのイベントでも直接ユーザーの方から「まだアプリ出ていないんですか?」とか、「アプリだったらもっと見やすいのに」といったお声をいただくということがよくありました。
こういった市場の変化を目の当たりにする中で、アプリ版をリリースしまして、メディアをアプリで展開する大きなメリットを感じることができました。それは「アプリの方が、よりユーザーと密な関係を構築できる」ということです。
アプリ開発当時はweb版も好調であったが、ユーザーの声や媒体側のメリットがアプリ版のリリースを後押しした。
webとアプリによる見せ方の違いとアプリの強み
webの場合だと、どうしてもSEOを重視した見せ方(テキスト中心)になってしまうのですが、アプリではデザインやコンテンツの見せ方だったり、webのルールに囚われず、メディアが持っている世界観を自由に演出してユーザーに届けることができます。
『ローリエプレス』のweb版とアプリ版の比較。アプリの方がより華やかな印象
web版(画像左)は、SEO対策を重視したテキスト中心の見せ方であるのに対して、アプリ版(画像右)では、よりビジュアルを重視した見せ方をしています。アプリの方が『ローリエプレス』が好きなユーザーに”深く刺さる”コンテンツを展開することができるので、ユーザーのファン化も自然と進んでいます。
このように、アプリを利用するユーザーとメディアを運営する我々の双方にとって魅力的であったというところが、アプリを出した1番の理由です。
良質なユーザーの獲得によりリリース後単月14万DL達成
ここからは、リリースしたアプリを実際にどうやってグロースさせたのかという事例をご紹介します。
iOS版のアプリは、昨年末のリリース後に単月で14万ダウンロードを達成しました。単月でこれだけダウンロード数がいくということは、プロモーションに随分お金をかけたんじゃないかと思われるかもしれませんが、ダウンロード数がこれだけ延びた理由は、リリース直後の割と早いタイミングで、App Storeランキングの上位に入ったことです。これには「リリース初期に良質なユーザーを多く集めたこと」がポイントであったと考えています。
成功要因としては、次の3点が挙げられます。
要因①ターゲットを絞った広告プロモーション
大多数に対しての大々的なプロモーションではなく、『ローリエプレス』の世界観が刺さるような人たちに向けた広告制作であったり、ターゲットを細かくチューニングしながら、プロモーションを進めていきました。
これによって、ダウンロードされてすぐにアンインストールされることが少なくなり、結果的に良い評価を得ることに繋がったと考えています。
要因②Webからアプリへのロイヤルユーザーの誘導
『ローリエプレス』はもともと、Webでのサービスを展開しており、そこにはすでに”ロイヤルユーザー”と呼ばれる良質なユーザーさんが多くいました。
そのロイヤルユーザーの方たちに刺さるようなクリエイティブであったり、アプリの紹介文を作成し、いち早くアプリへと移行してもらえるように、積極的にWebからの誘導を行いました。
要因③コンテンツを発信するインフルエンサーたちの影響
『Instagram』とか『Twitter』で人気の”インフルエンサー”の方たちの影響というものも大きかったと思います。
『ローリエプレス』では、インフルエンサーによるオリジナルのコラムを豊富に展開しておりまして、アプリをリリースした際にも、そういったインフルエンサーの方たちが、自分のコラムを読んでほしいという思いで、自発的にアプリを紹介してくださいました。
結果、『ローリエプレス』にもともといたファンだけでなく、それぞれのインフルエンサーのファンの方たちがロイヤルユーザーとして自然な形でアプリを利用し始めてくれたかなと考えています。
プロモーション費用をほとんどかけずに単月14万DLを達成
他アプリの分析事例を基に利用維持率が約1.3倍に改善
新規ユーザー獲得はうまく行ったのですが、DLしてもらったユーザーたちにいかに長く使ってもらうかというところで、アプリの利用維持率という課題がありました。
メディアアプリの利用維持率向上において、クオリティの高いコンテンツを多く提供し続けるのは絶対条件です。
しかしながら、コンテンツではなくUXや機能にオーナーシップを持つアプリディレクターとしては、機能面から利用維持率を向上できないかというアプローチも考えました。
結論から言いますと、お気に入りの記事を保存する「クリップ機能」を追加することで利用維持率が約1.3倍に向上しました。
一般的には、新たな機能を追加する場合に、仮説の元となるデータや数値を基準に判断を進めていくと思いますが、アプリのリリース直後は、まだそういった分析ツールを導入していませんでした。そこで、仮説の元となる根拠を得るために、『Repro』による分析を行っていた自社の他アプリ『エキサイトニュース』を参考にしました。
『ローリエプレス』と同じく記事を読む ”リーダー型” アプリの『エキサイトニュース』で、利用維持率の高いユーザーに「クリップ機能を使う」という特徴があったため、『ローリエプレス』では、よりクリップ機能を利用してもらいやすいような設計を行いました。
具体的には、『エキサイトニュース』では、クリップ機能を利用してもらう為の導線が2ヶ所だったのですが、『ローリエプレス』では、よりユーザーに気付いてもらいやすいよう、導線の数を増やした上で、機能を追加しました。
このクリップ機能追加の前後で、先ほど申し上げた利用維持率が約1.3倍になりました。実数値ベースでは28%から36%まで上がりました。こういった成功事例から、現在は『ローリエプレス』のほうでも『Repro』を導入していまして、コンテンツクオリティの部分だけではなく、データ分析からこういった機能の改善を繰り返し、維持率を上げる工夫をしています。継続利用につながる「マジックナンバー」をクイックに分析できるのが『Repro』のいいところですね。
まとめ
最後にまとめになりますが、『ローリエプレス』がなぜアプリを出したのかと言いますと、ユーザーとメディア双方にとってメリットがあるからでした。スマホの利用時間が増えていく中で、ユーザーにとってはアプリという形が情報を得やすい形であるということです。
また、アプリの方がメディアの持つ世界観がより深く伝わるようなコンテンツ展開ができるので、ユーザーとの密な関係構築が可能であるということ。そして、ダウンロード数であったり、利用維持率の向上には、リリース後の良質なユーザー獲得と、継続利用につながる機能の発見が重要だということです。
方法としては、ターゲットを絞ってのプロモーションであったり、webからアプリへと誘導しながら、データを使って機能改善を繰り返していくということになります。
こういった細かい施策の積み重ねによって、『ローリエプレス』はユーザーと非常に良い関係を築けておりまして、今後も女子力アップのヒントをお届けしていきたいと思います。
ご静聴ありがとうございました。
※本記事は2017年6月13日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。