2020.02.10
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企業がマーケティング活動を行ううえで重視しておきたい「シェア(占有率)」が3つあります。「タイムシェア」「ポケットシェア」そして今回ご紹介する「マインドシェア」です。
このマインドシェアは、ユーザーの思考において自社ブランドが占める重要度を示しています。マーケットシェア獲得に向けた先行指標としても知られ、実際の売り上げにも大きく影響を与えることから、マーケティング戦略上でもマインドシェアの獲得は特に重視されています。
この記事ではマインドシェアの定義・獲得の重要性とその測定方法などについて解説していきます。
マインドシェアとは、ユーザーの心の中で企業やブランドがどれだけの割合を占めているかをあらわすものです。ユーザーが他社に比べて自社のことをどれだけ重要に、かつ好意的に思ってくれているか、とも言い換えられます。
高いマインドシェアを獲得しているということは、そのブランドが多くの人々に認知され、好感を持たれている状態です。例えば、「カメラ」と聞いて真っ先に思い浮かぶブランドは何でしょうか?「キヤノン」「ニコン」「ペンタックス」「リコー」など回答は人それぞれかと思いますが、そこで回答されたブランドこそが、その人にとって「カメラ」の分野でマインドシェアが高いブランドなのです。
マインドシェアの高さは、実際の商品購入へつなげていくための大前提となります。マーケティングの最大目標である「自社ブランドの商品をより多くの人々に買ってもらう」ことを実現していくためには、ブランドの存在を知ってもらう必要があるからです。
マインドシェアを上手く獲得して、自社商品の売り上げを伸ばしているのがApple社です。例えば、お馴染みのiPhoneのCM広告では音声による説明を極力省き、視覚効果が高くスタイリッシュな独特の構成で視聴者の目を惹くものが多くなっています。内容としては、「iPhoneのある生活」を描きながら「特筆すべき新しい機能」を次々と羅列していて、音声は全体的に流されるBGMとシーンに沿って挿入される効果音のみ。ガイダンスは簡易な一文で表示される形が主流です。
一般的な他のCMと比べ情報量が物足りない、という見方もあるでしょう。しかしこのケースで重要となるのは、ユーザーへ情報を伝えることではなく「いかにユーザーの心をくすぐるのか」という点にあります。
ある調査によれば「Appleユーザーは他社ユーザーと比べPC利用歴が長い」という結果が出ています。インターネット慣れしている多くのユーザーが、思わず自ら詳細を調べてみたくなるスタイリッシュな広告を打つことで興味を持たせ、マインドシェアを獲得していく。これが、Apple商品のCM広告の狙いなのです。
また、「人と違ったことをするのが好き」「洗練され、先進的で、デザインの良いものを好む」というのもよく挙げられるAppleユーザーの特徴です。彼ら自身がiPhoneやMacなどの商品を効果的に利用することで広告塔としての役割を担い、今日では「先進的でお洒落な人が使うかっこいいツール」というイメージが広まりました。同時に知名度も年々向上し、2020年度第2四半期の決算報告によれば売上高583億ドル(約6兆2千500億円)、前年同期から1%の増加、当四半期の希薄化後の1株当たり利益は2.55ドル、4%の増大となっています。
このように実際の売り上げにも強い影響を与えてくる要素であるからこそ、「いかに多くの人のマインドシェアを高めていくか」がブランド戦略のカギとなるのです。
「マーケットシェア」とは、市場の中で自社商品がどれだけの売り上げを占めているかを示す割合です。ライバルである競合他社との位置関係を示す数値となることから、企業間の競争は「マーケットシェアをめぐる競争」と言い換えることもできます。
一般に「シェア」はマーケットシェアのことを指す言葉です。このマーケットシェアに関連する「シェア争い」という言葉は、マーケティング活動に関わりがなくとも馴染みのある方は多いのではないでしょうか。マーケティングの最終的な目標は、このマーケットシェアを高めることにあります。マーケットシェアを高め売り上げが増えれば「スケールメリット」が生まれ、企業のさらなる収益向上へとつながります。
企業の目標が事業の継続・拡大である以上、このマーケットシェアを注視する活動は、避けて通ることができません。しかし、マーケットシェアはあくまで既出の「結果」をもとにした数値です。ユーザーの心理状態や社会の在り方の変化が大きい現代では、こうした既出の数値だけで企業活動を進めていくことが難しくなりました。
そのため、マーケットシェアを高めていくにあたって重要な役割を担う「マインドシェア」にも着目したマーケティング活動が重視されているのです。
マインドシェア獲得の重要性としては、「高いマインドシェアを獲得することで、大企業が多額のコストを投入する広告と同等の成果を得ることができる」ことがもっとも大きな要素です。
ユーザーの心の中での占有率を指す「マインドシェア」の獲得は、特に個人事業主が「スモールビジネス」を展開する中小企業のマーケティング活動で非常に重要な施策となり得ます。繰り返しとなりますが、マインドシェアは元々、市場での実際の売り上げを示す「マーケットシェア」の先行指標です。大企業やチェーン店などはマインドシェアが低くとも、マーケットシェアの方で成果を上げればその存在感を維持し続け、多額のコストも掛けて大量広告を長期間・広範囲へ打ち出すことができます。
対して広告に大きなコストを割くことが難しい中小企業では、高いマインドシェアを獲得することでユーザーを自社ブランドのファンへと育成し、広告と同様の効果を得ることができるのです。
ユーザーの心の中で「いつも利用する馴染みの店」としての地位を確立することで、マーケットシェアは低くとも存在感を維持し続けることができれば、広告コストを抑えながら口コミで話題性を持続させていくこともできます。
近年ではSNSが広く普及し、SNS上で話題となっているものが「最先端のトレンド」としてメディアで紹介されるケースが増えました。これにより新規ユーザー獲得・リピート購入といったさらに次の動きへとつなげていくことも比較的容易となったため、スモールビジネスであったものが思いがけず、大きな事業へと発展していく可能性もあります。
高いマインドシェア獲得は中小企業が事業を継続していくだけではなく、さらに大きなものへと成長させていくことにも大いに効果を発揮するのです。
マインドシェアを直接的に測定する方法は存在しません。ユーザーの思考を覗き見て、どのブランドがどのくらいの大きさを占めているか、正確に計測することは不可能なためです。
そこで、一般的には「純粋想起率」での代用によっておおよそのマインドシェアが測定されています。
しかしこの純粋想起率の中には、良くないイメージから想起されるいわゆる「アンチ」商品も含まれるため、マーケティングでは自社ブランドに対する好感度を示す「ハートシェア」を高めていくことが大切です。ここでは、純粋想起率とハートシェアについて解説していきます。
「純粋想起」とは、認知率に関する調査で「この分野において最初に思い浮かんだブランド名を挙げてください」といった質問をした際に、一番最初に挙げられたブランド名のことをいいます。
これは「トップ・オブ・マインド(第一想起)」とも呼ばれ、マインドシェアを測定するための要素として広く用いられています。「純粋想起率」はこの調査における、全回答者の中での「純粋想起の割合」のことです。
「ハートシェア」は、製品購入においてユーザーが自発的に購入するブランドとして挙げる割合、いわゆる「好感度」です。
「A社のスマホ、B社のスマホ、C社のスマホ…」といったように、一般的には、ある商品カテゴリの中には多数のブランドが存在します。その中でユーザーは常に「どのブランドを選択するか」を考えたうえで商品を購入しているといえます。
人は自分が好感を抱いていないものに対して、対価となる金銭を支払うことはありません。たとえ「純粋想起率」の割合がどれほど高くとも、ハートシェアが低ければそれはいわゆる「悪目立ち」です。「マインドシェア」を高め、これによってマーケティング活動として成果を発揮するためには、ハートシェアの値を無視することはできないのです。
このハートシェアはユーザーの企業に対する忠誠心である「カスタマーロイヤリティ」と重なる部分もあるように思えますが、ハートシェア獲得の対象となるのはユーザーのみとは限りません。テレビCMやSNS広告などで潜在層からの好感度が高まり「まだ購入したことはないけれど、もし機会があれば購入してもいい」と心が動くことは、従来からよく見られる現象でした。このようにすでに自社ブランドを認知しているユーザーのみならず、まだ実際の購入へ至っていない潜在層の購買活動にも影響を与えるのがハートシェアの大きな特徴です。
「純粋想起率(認知度)」と「ハートシェア(好感度)」は、ユーザーの心の中での占有率「マインドシェア」の向上へと繋がり、そしてマインドシェアは実際の売上げへ直結する「マーケットシェア」へと大きな影響を与えます。つまり自社ブランドのマーケティング活動の成果を上げていくためにはまず、ユーザーの中での認知度・好感度を上げマインドシェアを高めていくことが重要となります。
人間には「目にする回数が多いものに対して好感を持ちやすい」という傾向があります。これは心理学では「ザイオンスの熟知性の法則」と呼ばれ、広告の分野でも広く活用されているものです。
例えばチェーン店を展開する企業を見てみましょう。ユーザーの身近に同じ店名・ロゴを掲げる多くの店舗を配置することで、目にする回数を増やしそのチェーンに対する好感を与え、安心感も醸成させていくことができます。併せてCMやチラシのポスティングなどを行うことでさらに純粋想起率を高めていくことが可能です。
マインドシェア獲得に必要となるのはこのような「継続した発信力」です。たとえ多くの人々から注目を得られても、たった一度の話題性ではマインドシェア獲得には繋がりません。コストを抑えるとしても、例えばブログ・SNSで毎日違う情報を更新する、いくつかの期間で区切ってキャンペーンを開催し話題性を作り続けるなど、「ユーザーを飽きさせない」「自社ブランドの価値を風化させない」ための情報発信を続けていくことが重要となります。こうした姿勢そのものがマインドシェアを高めていくためのカギとなるのです。
企業がマーケティング活動を行ううえで重視すべき指標である「マインドシェア」。このマインドシェアはニュースなどでも耳にすることが多い「マーケットシェア」の先行指標であり、実際の売り上げにも影響を与えることから、その獲得がマーケティング戦略上で大きな目的として掲げられています。
高いマインドシェアを獲得するということは、多額のコストを掛けて大量の広告を打ち続けた場合と同様の効果を得られるということでもあります。こうした点からマインドシェアの獲得は「スモールビジネス」を展開する中小企業にとってプラスに働く傾向にあり、地域密着型事業の認知向上・定着を目指す際の施策に活用していくこともできるでしょう。
ユーザーおよび潜在層へ自社ブランドを効率的にアピールするための手段として、高いマインドシェアの獲得は企業の重要なミッションです。この記事を参考にしてマインドシェアの獲得を進めてみましょう。
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