読書アプリ『Hooked』に学ぶモバイルアプリ成功事例

Repro Journal編集部
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2021.01.27
読書アプリ『Hooked』に学ぶモバイルアプリ成功事例

目次

文章を読むことは大切です。脳に働きかけ、想像力やクリエイティビティを発達させてくれます。しかし、読書する時間をなかなか確保できない人も多いのではないでしょうか?現代のネットに囲まれた気が散りやすい環境では、どうしたら集中できるのでしょうか?

こうした疑問に対して、新しい改善策を提供するモバイルアプリがあります。『Hooked』は短編小説をテキストメッセージの形で読める、チャットストーリーアプリです。最大の利点は、いつでもどこでも読み始められることです。今回は『Hooked』の成功事例をご紹介します。

画期的なアイデア

Prerna GuptaParag Chordiaの二人は、『AutoRap』という音楽アプリから、モバイルアプリ開発者としてのキャリアを始めました。自分たちのスタートアップが「Smule」に買収された後も、他のことがしたいと気付くまで同じ分野で仕事を続けていました。やりたいことを見つけてからは、持っているものを全て売却したり寄付したりして生計を立てながら暮らしていました。この期間に二人は小説を書き、どうしたらテクノロジーの力を使って若者たちに作品を読んでもらえるかを研究しました。これが『Hooked』の始まりです。

アプリは2015年にリリースされ、徐々にApp Storeのランキングトップへと登り詰めました。『Hooked』のプロモーション手法はとても興味深いので見ていきましょう。

『Hooked』の戦略

『Hooked』のメインアイデアは、創作小説を読むという体験に革新をもたらし、ユーザーに読書をもっとおもしろく感じてもらうというものです。クリエイターはどのようにユーザーに印象付けたのでしょうか?

物語

『Hooked』の細部を見てみると、全てが物語を語るために設計されていることに気付くでしょう。ユーザーはいきなり登場人物たちの会話に参加させられ、会話から物語を理解します。読者は、長い文章でシナリオを退屈に説明されると読み飛ばしがちですが、登場人物の会話を飛ばしたい人はいません。

このアプリは、こうした人間の行動を参考に作られています。ユーザーを獲得する上で、物語以外にどんなことが考慮されたのか知りたい場合には、Mediumに投稿されたPrerna Guptaの記事を読むのがおすすめです。そこでは、アプリの開発までに彼女が何をしたのか語られています。

ソーシャルメディア

チャット形式のインターフェースは成功要因として無視できません。10代の若者の好みを考慮せずに何かをやるよう説得するのは不可能です。たとえば、若い世代は友人とメッセージをやり取りすることが大好きだというような、特定の活動における彼らの考えを把握する必要があります。アプリから形成されたコミュニティのように、若者の行動パターンが尊重されているものを参考にしましょう。

そこで『Hooked』のクリエイターは、アプリにソーシャルメディア機能を組み込むことで、読者が物語のアイデアを提供できるようにしてユーザー体験を完成させました。

アプリのオーナーは、ユーザーの期待に応えなくてはなりません。昔からある読書という活動を現代の動的なモバイル世界にクリエイティブに適応させることが、この市場における成功の秘密なのです。

待つか、支払うか

『Hooked』のオーナーに収益をもたらす、ビジネスモデルについてもご紹介しましょう。ユーザーは6分間小説を読むことができ、その後続きを読むのに40分待つか、無制限のアクセス権を購入して続きを購読するかを選択します。

待つことを選ぶ人もいれば、7日間の無料体験を有効に使う人もいます。しかし大部分の人々は物語の結末を読みたくなり、支払いを行います。最後まで読むのに課金が必要なことにがっかりする人もいますが、『Hooked』のオーナーは、ユーザーが時間とお金をかける価値のある物語を提供することに注力しています。

プッシュ通知

ユーザーが、他の仕事を終わらせるのに40分待つことはむしろ都合がいいと感じたら、どうするのでしょう?40分たつとユーザーはすでにアプリを閉じ、さきほど読んだ小説のことなど思い出さないほど忙しいかもしれません。『Hooked』の開発者が実装した最もシンプルな解決策は、キャラクターとプロットをプッシュ通知で知らせることでした。物語が十分におもしろいものであれば、ユーザーは仕事を終わらせたあとアプリにまた戻ってきます。

おまけのポイント:データを読もう

PrernaとParagは、自分たちの目標は、Snapchatが提供するようなものを好む若者たちを魅了することだとわかっていました。彼女たちは、10代の若者が本など読まないという世間の声は気にしませんでした。スタート地点としてターゲットユーザーを定義するのは大切ですが、好みを知るにはターゲットとつながり、より深い部分まで知る必要があります。

『Hooked』はモバイル業界で長年活動することで若者のニーズを把握しました。また、アプリを立ち上げる前に製品をテストし、どれだけのユーザーが物語を読んでくれるのか検証しました。こうして得た情報に加えて、『Hooked』の開発チームはユーザーが好むキャラクターやプロットを把握し、彼らが本当に求めているものを提供したのです。

最後に

『Hooked』は、多くの起業家に刺激を与えるようなアプリです。『Hooked』から学べることは、欲しい結果を得るためには正しい要素に焦点を当てるということです。まずは明確な目標を決め、その目標に向かって突き進みましょう。

この記事は、AppSamurai社のブログ"Mobile App Success Story: Hooked"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on AppSamurai in English under the permission from the author.

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