【今回のご相談】
前回(Web広告とアプリインストール広告は別物!アプリ集客の成功に欠かせない“3つの視点”とは)に続いての相談です! なんだかんだで計測環境を整えて、わかる範囲でユーザーの行動を把握できるようにしたのですが、その結果衝撃の事実が……うちのアプリ、全然使われていませんでした!
経営判断もあり、1件あたりの獲得コストは抑える方向で代理店にお願いしています。でも全体の予算自体はあるので、何度かドカンと投下してみたんです、広告を。そうすると、その瞬間はちょっと盛り上がるんですよね、新規ユーザー数が。だけど、すぐにいなくなる。全然続かないんです、アプリ利用が。彗星みたいにバァッといなくなる。
クリエイティブは何度も何度も見直させたり、広告の掲載先も調整させたりしています。それで一瞬は良くなったかな、と思うこともあれば、微風すら吹かないね、となって戻すこともあり。いずれにしても、結果にはつながっていません。世の中ではアプリ外決済が盛り上がっているそうですが、これは決済してもらう以前の問題です。アプリを作り直すしかないのか……と頭を抱えています。(エンタメ系サービス・デジタルマーケティング担当、40代男性)
【Reproの中野がお答えします】CPIの安さに惑わされず、「本質的な集客」を実行しよう。
アプリの集客を語る際に、最初に取り上げられることが多い指標がCPI(Cost Per Install:インストール単価)です。
確かにわかりやすい数字ではありますが、CPIの安さだけを追い求めても、事業成長に直結するとは限りません。むしろ、短期的な数値改善にとらわれすぎることでユーザーの質や継続利用につながらず、投資対効果が合わない結果に終わってしまうことも少なくありません。
本当に必要なのは「安く集めること」ではなく、「事業成長に寄与するユーザーを集めること」。そのためには、どのユーザー層が長期的に収益や利用継続につながるのかを見極め、集客施策とアプリ体験の設計を一体で考える必要があるのです。
今回は、「CPIの安さに惑わされない、本質的な集客の考え方」について解説します。
CPIの数字だけを見ていると、本当の成果につながらない
アプリ集客の現場でよく見受けられるのが、「CPIをいかに下げるか」だけに注力してしまうケースです。経営層や上司から「もっとCPIを下げられないか」というプレッシャーがかかれば、現場はつい“安さ”に引っ張られてしまいがちです。
しかし、CPIはカテゴリや市場によってある程度の相場が決まっており、際限なく下げられるものではありません。無理に安さを追求すると、むしろ中長期的な成果からはどんどん遠ざかることになります。
今回のご相談の問題点は、以下ふたつのケースが考えられそうです。
1. 不正流入(フラウド)を含む媒体に依存してしまうケース
広告の世界には、実在しないユーザーやボットによるインストールを“成果”としてカウントしてしまうケースが依然として存在します。見かけ上のインストール数は増えますが、当然ながらLTV(顧客生涯価値)や課金には一切つながりません。
2. リワード広告による“目的意識のないユーザー”の流入
「アプリを起動するとポイントがもらえる」といったリワード広告は、短期的にインストール数を稼ぎやすい手法です。しかし、ユーザー自身はアプリを使う意志が薄いため、継続利用や課金といった成果には結びつきにくくなります。
いずれの場合も、CPIの低さだけを基準に媒体や施策を選んでしまう、いわゆる「CPI至上主義」の結果陥りがちな状況で、数字は取れてもLTVやCVにはつながらないという悲劇的な。
アプリ集客によくある3つの失敗
CPIを下げること自体は悪いことではありません。問題は、「安さ=成果」だと短絡的に捉えてしまうことにあります。実際に、数字の見え方に惑わされ、ユーザー獲得からLTV向上までの流れを正しく設計できていないことから、成果につなげられないアプリは数多く存在します。
ここでは、特に現場で直面しやすい3つの失敗パターンを整理します。

【失敗1】 数が取れても、LTVやCVにつながらない
新規ユーザーの獲得数ばかりに目標を置いてしまうと、広告運用上は「成果を出している」ように見えても、実際には「売り上げや継続利用にはつながらない」という事態が起きやすくなります。
その背景には、集客担当とCRM担当が分断されている組織構造や、代理店任せで「インストール数さえ稼げばいい」という目標設定がなされてしまう構造があります。結果として、オンボーディング設計が不十分なままユーザーが流入し、インストール後の体験価値を高められないまま離脱されてしまうのです。
【失敗2】「広告が悪い」以外のボトルネックを見逃している
成果が出ないときには、つい「広告のクリエイティブが悪いのでは?」と考えてしまいがちです。しかし、ユーザーが辿る一連の流れを細かく見ていくと、ボトルネックは広告以前の「アプリストアでの見せ方」や、広告以降の「オンボーディング体験」に潜んでいることが多くあります。
アプリの広告は、LPを経由せずストアに直接飛ぶケースがほとんどです。そのため、ストアページでの訴求内容や、アプリ起動直後にユーザーが体験するフローの設計が弱ければ、せっかく流入してもダウンロードや継続利用にはつながりにくくなってしまいます。
【失敗3】「誰を集めるべきなのか」が定義されていない
意外に多いのが、ターゲットユーザーを明確にしないまま集客を進めてしまうケースです。「継続率や課金率の高いユーザーは誰なのか」が定義されておらず、インストール数の増加が目的化してしまっている状態では、効率的な投資はできません。
こうした事態に陥らないために大切なのは、ユーザーの分析や仮説検証です。たとえば、既存サービスの場合は、実際に継続利用や課金をしているユーザーを分析することで、LTVの高い層を特定できます。また、新規サービスであっても、仮説を立てて検証を重ね、結果から素早くPDCAを回せる仕組みを整えることが必要です。
短期的なインストール数ではなく、長期的な事業成長に必要なユーザーを見極める視点を持つことで、はじめて成果につながる集客が可能になります。
アプリの成功につなげるための集客に必要な3つのポイント
ここまで、アプリ集客の失敗例を整理してきました。では、短期的なCPIにとらわれず、事業成長につながる集客を実現するにはどうすればよいのでしょうか。
実際の支援現場でも重要視している3つのポイントをご紹介します。

【ポイント1】LTVの高いユーザー属性を明確にする
「とにかく数を取る」という考え方は、アプリ集客においては危険な落とし穴となります。インストール単価(CPI)が安くても、獲得できるユーザーが課金や継続利用につながらなければ、結果的に赤字になってしまうのです。
実際には、媒体やOS(iOS / Android)によっても獲得できるユーザー層やLTVは大きく異なるため、「CPIは一律◯円以下」といった基準で判断するのは危険です。たとえば、CPIが2倍になっても、LTVが3倍高ければ、後者の方がはるかに合理的な選択といえます。
アプリ集客では、短期的な安さではなく、長期的な価値を生み出すユーザー層を見極めることが欠かせません。そのためには、インストールだけでなく「会員登録」「初回購入」といった次のファネルまでKPIを設計し、担当者がそれぞれの指標に対して責任を持てる仕組みを整えることが大切です。
【ポイント2】「訴求と体験のズレ」をなくし、離脱要因を潰す
広告を見て期待してダウンロードしたのに、実際のアプリ体験がまったく違う。こうした体験はユーザーの離脱を招きます。いわゆる「広告詐欺」と呼ばれる極端なケースだけでなく、ストアでの訴求内容とアプリ起動後のオンボーディング体験にギャップがあるだけでも、ユーザーは違和感や不信感を抱くため注意が必要です。
こうしたギャップは広告だけの問題ではなく、プロダクトそのものの設計やメッセージの整合性に起因するものです。だからこそ、集客とプロダクト体験を切り離さずに考えることが不可欠です。
ユーザーの行動データを基に「どの画面で離脱が発生しているのか」を分析し、一つひとつのボトルネックを潰していくことが成果へとつながります。
【ポイント3】 インストール後に「定着する仕組み」を作る
アプリ集客は「リリース=ゴール」ではなく、むしろインストール後が本当のスタートです。
UXが弱ければ、せっかく獲得したユーザーもすぐに離脱してしまい、広告費を投下しても成果が積み上がらないという悪循環に陥ってしまうことも。たとえば、位置情報の許可やクレジットカード入力など、利用のハードルとなる部分で「なぜ必要なのか」が十分に伝えられていなければ、ユーザーはあっさり離脱してしまいます。
大切なのは、ユーザーが使い続ける理由を設計し、アプリ上で示すこと。会員登録のフォローやプッシュ通知によるリマインドといった小さな工夫の積み重ねが、「また使いたい」と思わせる体験につながります。
まとめ:CPIだけでなく、LTVまで見据えた集客を
アプリ集客において「CPIを下げること」だけに集中してしまうのは大きなリスクを孕みます。大切なのは、「なぜそのCPIが適切なのか」を事業責任者とマーケティング担当者が共通認識として持ち、長期的な視点で設計することです。
LTVの定義や計測期間は会社によって異なります。だからこそ、短期的に数字を合わせるのではなく、サービスの成長に合った指標設計を行う必要があります。
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このように、集客を「単なる数合わせ」ではなく、アプリ全体の成長戦略として捉えることが、持続的な成果につながります。
Reproでは、アプリ収益最大化サービスを通じて、集客・体験設計・改善サイクルまで一貫支援を行っています。「今の集客が正しいのかわからない」「数は取れているはずなのに成果につながらない」といった課題をお持ちであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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