2024年12月26日から27日にかけてReproが実施した、「タイムパフォーマンス(以下、タイパ)意識とWebサイト・アプリの表示速度に関する調査」のなかから、Webサイト・アプリの表示速度がユーザー行動や心理にどのような影響を与えるかを調査した設問をピックアップし、その結果を紹介します。
Webサイトやアプリの表示速度の「遅さ」が、ユーザーに与えるストレス、そしてサービス利用、購買行動にどれほど大きな影響を与えるかがわかりやすく示される結果となりました。今後の表示速度改善に対する取り組みの指針としていただければ幸いです。
Webサイトの表示速度についての意識
表示速度が「遅い」と感じたことがある人は約8割
「Webサイトやアプリの表示速度が「速い」と感じた経験はありますか?」「Webサイトやアプリの表示速度が「遅い」と感じた経験はありますか?」に対する回答から浮かび上がってきたのは、速いというポジティブな経験よりも、遅いというネガティブな経験のほうが記憶に残りやすい可能性でした。下のグラフがそのことを示しています。遅いと感じた経験があると回答した人の割合のほうが多いのです。
■表示速度が「速い」と感じた経験/「遅い」と感じた経験
※n=1,200
全年代で「速い」よりも「遅い」ほうが割合が高い
「Webサイトやアプリの表示速度が『速い』と感じた経験はありますか?」に対して「ある」と答えた割合は10代が最も多く59.5%、次いで20代が58.0%でした。以降、30~50代は40%台、60代以上になると32.0%になります。若年層ほどWebサイトやアプリの速さを感じている人が多いようです。一方で、「Webサイトやアプリの表示速度が『遅い』と感じた経験はありますか?」には全年代で70%以上が「ある」と回答。遅さは年齢に関係なく感じられているものとなっています。
■表示速度が「速い」と感じた経験はあるか
※各年代すべてn=200
■表示速度が「遅い」と感じた経験はあるか
※各年代すべてn=200
表示速度が遅いとき、9割以上の人がストレスを感じる
Webサイトやアプリの表示速度が遅いと感じたときの感情を尋ねた結果が次のグラフです。「ストレスを感じた」という選択肢に対して、「強く感じた」「少し感じた」と回答した人は全体の97.3%。Webサイトの表示速度の遅さはユーザーのストレスに直結していることがわかります。
また、「不安を感じた」「意欲を失った」に対して、「強く感じた」あるいは「少し感じた」と回答した人も少なくなく、それぞれ74.1%、72.9%に上ります。
■「遅い」と感じたときどのような感情を抱いたか
※n=944
Webサイト・アプリ利用時のストレス要因
Web・アプリ利用時に最もストレスを感じるのは「表示速度」
Webサイトの表示速度の遅さがユーザーのストレスと強い関係性を持っていることは前述の調査結果で明確になりました。しかし、ストレス要因は表示速度の遅さだけではないはずです。そこで、本調査では「Webサイトやアプリを使用する際に、最もストレスを感じる要因をひとつ選んでください」という設問で、Webサイト・アプリ利用時に最もストレスを感じる要因を尋ねています。
明らかになったのは、表示速度の遅さが最も大きなストレス要因になっているという事実です。「ページが表示されるまでに時間がかかりすぎた(ページの表示速度が遅い)」という回答が50.7%占め、他の事象に大きな差をつけました。
■Webサイトやアプリを利用する際に最もストレスを感じる要因
※n=1,200
表示速度が購買行動に与える影響
表示速度が遅いと、約7割がWebサイトやアプリから離脱する
Webサイト・アプリの表示速度がユーザー行動にどのような影響を与えるのかをより詳しく探るために、さらにいくつかの設問を重ねています。まずは「表示速度が『遅い」と感じて、そのWebサイトやアプリから離脱した経験はありますか?」。67.0%が「ある」と回答しています。ユーザーのWebサイト・アプリからの離脱は、サービスの収益源に直結するもの。遅いと感じさせない工夫が、いかに必要なのかがわかります。
■表示速度が「遅い」と感じてWebサイトやアプリから離脱した経験
※n=1,200
表示速度の遅さにより、半数以上が買い物を諦めたことがあると回答
離脱という行動をさらに具体的に調査したのが以下のグラフ。「表示速度が『遅い』と感じて、Webサイトやアプリでの買い物を諦めた経験はありますか?」という問いで、Webサイト・アプリで買い物を諦めた経験について尋ねています。「ある」と回答したのは全体の53.4%。半数以上がWebサイト・アプリの表示速度が遅かったせいで、購入したいものがあったにもかかわらず、あるいは購入を検討中だったにもかかわらずWebサイト・アプリから離脱しているわけです。
■表示速度が「遅い」と感じWebサイトやアプリで買い物を諦めた経験
※n=1,200
Webサイト・アプリの離脱要因1位は「ページの表示速度の遅さ」
Webサイト・アプリからの離脱要因を詳しく尋ねた結果は下のグラフのようになりました。圧倒的な1位となったのはやはり「ページが表示されるまでに時間がかかりすぎた(ページの表示速度が遅い)」で69.5%です。
2位は「ページの操作が反応しづらかった(ボタンやリンクをクリックしても反応が遅い)」で43.5%。操作性の問題も離脱の大きな理由になっていることがわかります。加えて、「広告やポップアップが多くて操作が妨げられた」は25.3%となっています。
■Webサイトやアプリから離脱した経験(複数回答)
※それぞれの割合は、有効回答者数1,200人に対する割合
「広告やポップアップ」を理由に離脱するデジタルネイティブ世代は少ない
なお、全体25.3%の人が選択した「広告やポップアップが多くて操作が妨げられた」を年齢別に見ると、10代、20代のデジタルネイティブ世代で選択率が低いことがわかっています。10代、20代とそれ以上の年代が利用するWebサイトやアプリの違いに起因する可能性もありますが、若年層はデジタルメディアで接触する広告に慣れているという背景も推察できます。
■離脱した要因「広告やポップアップが多くて操作が妨げられた」
※「Q. Webサイトやアプリから離脱した要因として当てはまるものをすべて選んでください」の回答結果から、「広告やポップアップが多くて操作が妨げられた」を抽出
※複数回答可
※それぞれの割合は下記の有効回答者数に対する割合
※10代(n=35)/20代(n=31)/30代(n=56)/40代(n=67)/50代(n=47)/60代以上(n=68)
表示速度は企業がすぐに解決すべき課題
今回、Reproが実施した「タイパ意識とサイト・アプリの表示速度に関する調査」では、Webサイトやアプリの表示速度が遅いことが、離脱と明確に繋がっており、ECサイトのような商品の購入ができるサービスにおいては、購買行動をストップさせる要因にもなっているということがわかりました。
さらに注目したいのが、Webサイトが遅いというネガティブな経験は、速いというポジティブな経験よりも記憶に残りやすい可能性があること。速いことはユーザーにとって当然のことであり、遅いことのみに焦点があたりやすいと言い換えてもいいかもしれません。
表示速度が遅いことによる顧客満足度の低下、そしてその蓄積はブランドの毀損に繋がる可能性があります。あらゆるサービスですぐにでも具体的な解決に着手すべき課題といえるでしょう。

■調査概要
- 調査名:タイパ意識とWebサイト・アプリの表示速度に関する調査
- 調査期間:2024年12月26日~12月27日
- 調査方法:インターネットアンケート調査
- 調査対象:直近1カ月以内にECサイトを利用したことがある15~69歳の男女
- 回答者数: 1,200名