自己紹介と事業の紹介
『ダイバースの徳永です。エンジニアです。今日は『Poiboy』で効果のあった施策をご紹介したいと思います。プッシュ通知施策だけではなく、継続率やコンバージョン率を高めるために自社でやった分析手法などもお話しできればと思います。
まず『Poiboy』というアプリについて説明させてください。『Poiboy』は女性主導マッチングアプリになってまして、女性が男性をお気に入り登録(通称ポイ)するところからコミュニケーションが始まるところが特徴です。
ユーザー数は順調に伸びていて、リリース半年で20万ユーザーくらいのアプリになりました。全ユーザーの80%以上が18歳から24歳というかなり若めのユーザーにご利用いただいています。
起動だけでなくアクションを促すプッシュ通知を送る
最初に『Poiboy』のプッシュ通知施策の狙いについて軽くお話しします。
僕らはプッシュ通知を単にログインの促進を狙いとするのではなく、ユーザーがアプリをアクティブに使うトリガーとなるアクションを促すことを狙いとしていました。
マッチングアプリはユーザー登録まではしてくれるんですが、プロフィールの記入や好みの相手を探すといったアクションまでしてくれるユーザーがなかなかいないんですね。
『Poiboy』も登録だけして離脱してしまうユーザーの多さが課題だったので、登録してくれたユーザーに次のステップに進んでもらうためにはプッシュ通知をどういう風に送ればいいかというところに注目してプッシュ通知施策を練りました。
そういった狙いがあったので、文言や時間の最適化といったプッシュ通知自体のPDCAを考える前に「どういったアクションがアクティブユーザーにつながるトリガーとなるのか」をマジックナンバー分析という手法で特定しました。
また、トリガーとなるアクションに至るユーザーの割合がプッシュ通知施策によってどれくらい増えたのかを正しく検証するためにファネル分析という手法も用いたので、本日はその2つの分析手法のお話しもしたいと思います。
アプリの継続率につながるアクションを「マジックナンバー分析」で特定
マジックナンバー分析って何かというと、ユーザーのリテンションにつながるアプリ内のアクションを特定するための分析手法です。
Twitter社が「ユーザー登録後に5人以上フォローしたユーザーは継続率が高い」というのを発見してチュートリアルのフローを変えたら継続率が上がったというのが有名な例です。
じゃあどうやって我々がマジックナンバーを発見したか順を追って説明させていただきます。
まずユーザーが新規会員登録してからマッチングするまでの流れでどういうアクションを行うかというのを洗い出します
- (STEP1) 『Poiboy』ではまずプロフィールを登録してもらい、
- (STEP2) 検索画面から男性を選んでもらって、
- (STEP3) その男性をタイプごとにグルーピングして、
- (STEP4) それを他の女性ユーザーと共有します。このグループからも、気になった男性をポイ(お気に入り登録)できます。
- (STEP5) ポイした人とメッセージすることができます。
ユーザーが新規会員登録してからマッチングするまでの流れを洗い出す
これが新規会員登録してからマッチングするまでのフローになります。
次に、この一連の流れで行われる各アクションの回数とリテンションの関係について調べます。
リテンション分析には『Repro』を使っています。『Repro』だとあるアクションをX回したときの1週間後、2週間後の継続率が表になって一目でわかるので、「グループ作成」や「ポイする」といった各アクションの回数と継続率の関係を調べました。
各アクションの7日後の継続率を調査し、「グループを見る」と「ポイする」がアクティブなユーザーにつながるアクションだということがわかったので2つのアクションの実行回数と継続率の関係を見ました。
そうすると、「グループを見る」というアクションでは1回見る人よりも5回見る人の方が継続率が4%高く、「ポイする」というアクションでは1回ポイした人よりも4回ポイした人の方が継続率が7%高いことがわかりました。
ここまで特定できたので、あとは「グループを見る」、「ポイする」というアクションをいかにプッシュで促すことができるかを考えていきました。
ファネル分析でマジックナンバーに至るまでのCVRを確認
「グループを見る」、「ポイする」という2つのアクションの回数(=マジックナンバー)をプッシュ通知で高めることができているのか検証しなければいけないですよね。そのためにやるのがファネル分析という分析手法です。これも『Repro』を使っています。
ファネル分析によって、マジックナンバーに至るまでの各プロセスでどれくらいのユーザーが離脱しているか把握できます。
このように一番上に「アプリ起動」、次に「グループを見た」、次に「プロフィールを見た」、最後に「ポイする」という一連のアクションを設定することで、アプリ起動からポイに至るまでのコンバージョン率が一目でわかるようになっています。
『Repro』のファネル分析ではユーザーを絞ってプッシュ通知を送れるような機能もついているので、例えば「グループを見た」まで行っているユーザーだけに対してプッシュ通知を送ることもできます。
絞り込み配信やこだわり抜いた文言によってコンバージョン率6%上昇
アクティブユーザーのトリガーとなるアクション(=マジックナンバー)を特定し、アクションを高める施策を検証できる準備も整えたのでいよいよプッシュ通知のPDCAを回していきましょうという話をします。
プッシュ通知は配信したものは全てスプレッドシートに記入し、ターゲットや開封率などを一覧化してどのプッシュが効果があったのかを調べられるようにしています。ディープリンクも設定しているので、プッシュを開いたあとにどの画面に遷移させるのが良いかなども考えています。
文言・ターゲット・開封先のリンクなどを一覧にして効果を見る
『Poiboy』ではプッシュ通知の文言にとてもこだわっていて、一つ一つ編集部が考えています。
ユーザーには、結構はっちゃけたプッシュ通知でも受け入れられていて、ユニークな文言や絵文字を使って独自の世界観を作っています。
『Poiboy』のプッシュ通知の例。編集部がユニークな文言や絵文字を考えている
こういった施策を行った結果、コンバージョン率は平均で6%アップしました。差が出た日では8%くらいコンバージョン率が上がったこともあります。
本日は「アプリの起動だけで終わらずアクションさせるプッシュ通知を送ろうよ」、「なんのアクションをさせるべきかはマジックナンバー分析で決めようよ」、「させたいアクションが決まったらプッシュ通知のPDCAを回して精度を高めようよ」というお話をさせていただきました。
このほかにユーザーの課金を促すためのプッシュ通知施策もやったりしていますが、それは別の機会にお話ししたいと思います。ありがとうございました。
まとめ
- 起動だけでなくアクションを促すプッシュ通知を送る
- プッシュ通知施策でユーザーに実行を促すアクションは「マジックナンバー分析」で特定する
- 「ファネル分析」によってプッシュ通知施策によるコンバージョン率の増加を検証する
- 送信したプッシュ通知の内容と結果を管理し、PDCAを回す
※本記事は2016年10月20日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。