2020.02.14
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社会や世界を見渡すと、環境問題、貧困問題、安全な水の確保など深刻な問題が山積しています。今後も企業が成長をし続けるためには、そうした社会問題に対しても向き合っていかなければなりません。
実際のところ、何をいつまでに達成すれば世界はより良くなるのでしょうか?その具体的な目標を定めたのが「SDGs」です。この記事ではSDGsの基本、企業とSDGsの関わり、マーケティングにSDGsを活用する際のポイントなどをお伝えします。
SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟の193カ国が2030年までに達成するべき目標として掲げられました。
SDGsは、17の目標と169のターゲットから構成されています。「誰一人取り残さない」という理念のもと、社会的・経済的状況に関わらず、すべての国の人々が尊厳を持って生きられる社会を作ることが大きな目標です。
SDGsの前身には、MDG’s(ミレニアム開発目標)がありました。8つのゴールと21のターゲットを設定したもので、2015年が区切りとされていました。MDG’sで掲げられた目標のなかにはいくつか達成されたものもあり、世界は少し前進したのかもしれません。
しかし、私たちの暮らす地球にはまだまだ解決すべき問題が多くあります。その思いはSDGsへと受け継がれ、私たちがこれから解決していかなければなりません。
引用:国際連合広報センター
SDGsには17の目標があります。それぞれの目標を確認してみましょう。
SDGsと似た言葉にESGがあります。混同しやすい言葉ですが、まずはESGについて解説し、両者の違いを説明します。
ESGとは「Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)」の頭文字を取った造語で、企業の成長や経営において、環境や社会、企業統治といった観点からの配慮が必要であるという考え方を指します。
環境・社会・企業統治がそれぞれ何を示しているのか、具体例も見てみましょう。
環境:生物多様性の保護活動、地球温暖化対策など
社会:地域貢献活動、人権への対応など
企業統治:社外取締役の独立性、法令遵守、情報開示など
ESGでは、こうした3つの大きな観点から考えて適切な対応をすることが重要視されており、結果として企業の長期的成長を促すと考えられています。
SDGsとESGの違いについて詳しく見ていきましょう。
SDGsは、持続可能な開発目標なので世界が目指すべき「ゴール」を示しています。一方、ESGは企業の成長や経営において、環境・社会・企業統治という3つの観点での配慮が必要という「考え方」です。ESGは具体的な目標を提示しているわけではなく、環境・社会・企業統治という3つの評価軸を提案しています。そして、具体的な施策として何をするかは企業の判断に委ねられています。
SDGsとESGは、ESGの考え方に基づいて企業が行動する先に、大きな目標としてSDGsがあるという関係性で成り立っています。そのため、ESGを取り入れる企業が増えれば、2030年までにSDGsを達成できる可能性も大きくなるでしょう。
このように、SDGsとESGが持つ役割は異なりますが、密接につながり合っている関係にあります。
SDGsを達成するには、すべての団体と個人が力を合わせなければなりません。当然、企業も例外ではありません。企業は先頭に立ってSDGsを進める立場にあり、人々の規範となる行動が求められています。
SDGsは世界的な指標であり、多くの消費者や投資家が企業の価値を考える基準にしています。そのため、企業がSDGsの基準から外れた活動を行うことは、短期的には成長できるかもしれませんが、マイナスなイメージが定着してしまうという大きなリスクが伴うのです。
一方でSDGsに貢献することは、企業にとって多くのメリットがあります。代表的な3つのメリットについて解説します。
SDGsによってもたらされる市場機会の価値は、年間12兆ドルになると試算されており、SDGsが潜在的なマーケットであることを示しています。さらに、2030年までに世界で創出される雇⽤は、約3億8000万⼈と推定されています。
SDGsの掲げる17の目標をクリアするためには、現状とのさまざまなギャップを埋めなくてはなりません。その過程ではイノベーションが必要とされるため、ビジネスにおいても大規模な需要が発生するでしょう。早期にSDGsを意識しておくことで、ビジネスチャンスを掴むことができます。
世界の目標であるSDGsに率先して取り組むことは、企業のイメージを大きく向上させます。SDGsに対する意識が高まっている消費者や投資家から評価されるので、ポジティブな反響を多く得られるでしょう。
従業員も、SNSやメディアなどで自社に対する好意的な評価を聞けば、帰属意識が高まりモチベーションも上昇します。さらに、このプラスの風向きは優秀な人材を惹きつけるので、採用においても有利に働きます。
SDGsの活用は、企業の持続的な成長にもつながります。例えば資源には限りがありますし、地球環境は私たちの行動で変化します。利益ばかりを優先した企業活動は資源の枯渇や環境破壊を招き、最終的には自社の経済活動も行えなくなってしまうでしょう。
現代の企業には、持続可能な社会を実現する活動への貢献が求められており、今の社会のニーズだけでなく、将来のニーズも汲み取る力が必要とされています。
SDGsの達成を意識することは自社の競争力を強化し、将来的な成長にも繋がるため、企業は積極的に取り入れるべき課題なのです。
SDGsは企業のマーケティングにも影響を与えています。SDGsによって「企業は経済の担い手」という認識から、「企業は経済、社会、環境の担い手」という考え方へ変革しました。企業に求められる責任は増しましたが、同時に新たなビジネスの機会が創出されています。
さらに、SDGsに基づく事業は企業の価値を高めますし、消費者やステークホルダーとのコミュニケーションのきっかけにもなります。
それでは実際にSDGsをマーケティングに活かすにはどうすれば良いでしょうか。3つのポイントを見ていきましょう。
経営戦略の基本は「ありたい姿」を定めたうえで「現状」を正しく把握し、双方のギャップをいかに埋めるかを考えることです。
SDGsでは2030年の目標が提供されており、2030年に企業がありたい姿を考えるきっかけを与えています。より良い社会にしていくために、SDGsに基づいて自社にできることを突き詰めて考えていくことで、ミッションや取るべきアクションが明確になるのです。
経営戦略にSDGsを活用すれば企業の存在意義がより明確になり、思い描く理想の未来を創り出す一歩を踏み出すことができます。
消費者が商品を購入するとき、機能や値段だけを重要視する時代は過ぎ去りました。インターネットの普及もあり、商品の評判や共感、そして背景にある物語が購買の意思決定に大きな影響を及ぼしています。
消費者の購買に至る動機の変化に伴い、「企業ブランド」と「社会目的」の融合を進める企業が増えており、SDGsが注目されています。
例えばアウトドア用品を展開するメーカーは、環境問題に積極的に取り組むことで、ユーザーのロイヤルカスタマー化に成功しています。
企業はサービス・金融などの事業によって区分され、さらに企業で働く人々は販売・製造・事務などの職種ごとに分割されます。そのため、企業それぞれに多様な組織形態があります。特に大企業になれば組織は複雑化し、「他の部門が何をやっているか分からない」というケースも多いことでしょう。
そこにSDGsという新しい「横軸」による情報の整理を行ってみてはいかがでしょうか。SDGsを取り入れることで、部署単位や事業部での「縦軸」での業務の整理では見えてこなかった、既存の活動の課題点、新しい洞察や知見を発見する機会を創出できます。
最後にSDGsをマーケティングに取り入れたことで、成長に結びついた企業の事例を紹介します。
味の素株式会社は、創業以来ASV(Ajinomoto Group Shared Value)を制定しています。ASVとは「社会課題を解決し、社会と価値を共創する」ための取り組みで、SDGsにも深く関わっています。特に、「健康なこころとからだ」「食資源・地球持続性」「事業活動の基盤」の3つの分野に大きく貢献しており、大企業としてのあるべき姿を社会に提示し、取り組みを積極的に公開することで大手食品企業としての存在意義を示し、ブランドイメージを向上させています。
株式会社ニトリでは、圧縮できる布製品の開発や家具の梱包サイズを小さくする取り組みをしています。圧縮や梱包サイズを小さくできれば、1度に運べる商品の数を増やして輸送回数を減らすことができ、輸送費やコンテナ数を減らせるうえに、輸送に伴うCO2の排出量削減につながります。圧縮した商品のひとつが、2018年に発売された「持ち帰ってすぐ使えるマットレス」です。
また、エコ素材を使用したランドセルの開発や包装の簡素化、リサイクル可能な素材を用いた緩衝材など、環境面に配慮することでSDGs達成に向けた貢献をしています。
本田技研工業株式会社では、2030年に企業が目指すべき姿を「2030年ビジョン」として制定。2030年ビジョンには3つの柱があり、「移動と暮らしの価値創造」「多様な社会・個人への対応」「クリーンで安全・安心な社会へ」を主軸としています。SDGsを強く意識した企業としての方向性を社会に示し、「存在を期待される企業」を目指しています。
日清食品ホールディングス株式会社では2019年末以降、カップヌードルをはじめとするすべての縦型の製品容器に紙容器を使用。順次紙容器へ移行し、2021年度までに完了することを目標としています。
ほかにも冷凍食品のトレーの削減、カップ麺の詰め替え用製品の発売など、包装量を減らし余計なゴミを減らすアクションも実施。同社では、創業者・安藤百福が掲げた「食創為世(世の中のために食を創造する)」をはじめとした4つ言葉を大切にして、創業者の精神に基づいたSDGs達成のための取り組みを行っています。
今回はSDGsの基本とその重要性、具体的なマーケティングへの活かし方を紹介しました。SDGsで掲げている17の目標は世界全体が協力しなければ達成は困難です。特に企業はSDGsのゴールに向かって社会を先導する役割が求められています。
企業がSDGsに取り組むメリットは多く、実際にSDGsをマーケティングに活用している企業は増えています。企業のマーケティングの方向性に悩まれているのであれば、SDGsという大きな目標をぜひ取り入れてみましょう。
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