ユーザビリティとは?定義や重要性、向上のポイントを解説

Repro Journal編集部
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2020.02.16
ユーザビリティとは?定義や重要性、向上のポイントを解説

目次

デジタル化が進む昨今では、Webサイト、Webサービス、アプリなど様々な形態で提供される各種サービスが、生活の一部として大きな役割を担っています。 日々使うものだからこそ、重要となるのが「ユーザビリティ」の観点です。今回は、ユーザビリティの意味や定義、重要性と、ユーザビリティを高めるために必要なことについて解説します。

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ユーザビリティとは

ユーザビリティ(usability)とは、日本語で「使いやすさ」を意味します。おもにWebサイトやアプリの操作性に対して使用する言葉で、ユーザーが簡単にストレスなく操作できることを「ユーザビリティが高い(良い)」と表現します。

Webサイトやアプリにおいて、ストレスなく操作できることはとても重要です。たとえサービス内容が魅力的でも、ユーザビリティが低ければ、ユーザの離脱を招いてしまうおそれがあります。反対に、ユーザビリティが高ければユーザーが定着し、結果としてコンバージョンやユーザーの満足度も高まります。

ユーザビリティの定義

ユーザビリティとは、どのような基準で判断すれば良いのでしょうか。今回は代表的なふたつの定義をご紹介します。

ひとつ目は国際標準化機構(ISO)による「ISO 9241-11」規格です。

国際標準化機構(ISO)とは国際規格を策定している組織で、「ISO 9241-11」はこの基準の「9241」項目の11番目を意味します。

「ISO 9241-11」はユーザビリティについて規定されており、ユーザビリティとは「特定の利用状況において、特定のユーザーによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い」と定義されています。

定義の詳細は以下の通りです。

  • 有効さ:ユーザーが指定された目標を達成するうえでの正確さおよび完全さ
  • 効率:ユーザーが目標を達成する際に正確さと完全さに関連して費やした資源
  • 満足度:不快さのないこと、および製品使用に対しての肯定的な態度
  • 利用状況:ユーザー、仕事、装置(ハードウェア、ソフトウェアおよび資材)、並びに製品が使用される物理的および社会的環境

ふたつ目の定義が、ヤコブ・ニールセン氏による定義です。

ヤコブ・ニールセン氏はWebサイトのユーザビリティ研究の第一人者で、ユーザビリティの指標として「学習しやすさ」「効率性」「記憶しやすさ」「エラー」「主観的満足度」の5つを挙げています。

定義の詳細は以下の通りです。

効率性
システムは、一度ユーザーがそれについて学習した後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。

学習のしやすさ
システムは、ユーザーがそれを使って作業をすぐ始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。

記憶しやすさ
ユーザーがシステムをしばらく使わなくても、再度使用する際にすぐ使えるように覚えやすくしなければならない。

エラー発生率
システムはエラー発生率を低くし、ユーザーがシステム試用中にエラーを起こしにくくし、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。

満足度
主観的満足度システムは、ユーザーが個人的に満足できるよう、また好きになるよう、楽しく利用できるようにしなければならない。

このふたつの違いは、「ISO 9241-11」の定義に対し、ニールセン氏の定義の方が、少し限定的になっている点です。したがって、ニールセン氏の定義は「ISO 9241-11」の定義に内包されているとイメージするとわかりやすいかもしれません。

UI/UXとの関係性・違い

ユーザビリティの関連用語として、「UI」「UX」が挙げられます。

「UI」とは、User Interfaceの略で、欲しい情報を得るためのボタン、メニューなどの接触点を指し、ユーザーが知りたい情報にたどり着きやすくするための構成要素です。

それに対し「UX」とは、User Experienceの略で、製品・サービスを通じて得られるユーザーの感情も含めた総合的な経験をあらわします。

UIはUXを向上させるひとつの手段として位置づけられるために、「UI/UX」と並べて記載されます。

それぞれの役割を具体例で示すと、どこからでもトップに戻れるホームボタンが「UI」で、トップボタンがユーザーにとってわかりやすい場所にあることが「ユーザビリティ」、その全体の流れで得られた経験が「UX」となるのです。

このように、ユーザビリティはUI/UXと切っても切り離せない関係性となっています。

アクセシビリティとの違い

ユーザビリティとよく比較されるのが「アクセシビリティ」です。

ユーザビリティが「特定のユーザー」に対して設計されるのに対し、アクセシビリティは「高齢者やハンディキャップを持った人」にも使いやすい設計にすることを指します。

このふたつは「利用者にとって、理解・利用しやすくする」という部分では同じですが、利用者の範囲が異なります。

例えば、色彩について例を挙げてみましょう。Webサイトで重要項目を赤文字や、リンクを青文字で表記してあるサイトがあったとしましょう。一見すると色で分類してあるので親切に見えますが、色の区別が困難な色覚障害のある方からするとこの表記方法では他の文字と色の区別がつきません。

そこで、アクセシビリティを意識するのであれば、必須項目に*印を付ける、リンクにはアンダーバーを付けるなど、色彩以外で分類する必要があります。

ユーザビリティの重要性

ここからは、ユーザービリティの重要性について、さらに掘り下げて見ていきましょう。

ユーザビリティは、Webサイトやアプリなどといった「能動的メディア」が広がったことでその注目度も高まりました。

TVやラジオなどのメディアは一度チャンネルを合わせれば、メディア側が一方的に情報を伝えてくれる「受動的メディア」であるのに対して、Webサイトやアプリは、ユーザー自ら情報を取得しにいかなければならない「能動的メディア」です。

そのため、情報までの導線がわかりづらい場合は離脱の可能性はもちろん、最悪の場合はサービスの解約や悪い評価が広がってしまう要因となるおそれがあります。

いくら面白いコンテンツを作成しても、情報までの導線がわかりづらければ、ユーザーは離れていく一方です。

例えばスマホアプリの領域では、App Storeだけでも100万個以上のアプリがすでにリリースされています。膨大な数のアプリがある中で、自社のアプリを選んでもらうにはコンテンツ内容だけではなく、ユーザビリティを高めることがとても重要なのです。

また、ユーザビリティを向上することは、ユーザーの満足度を高めるだけでなく、リテンションレートの向上や、最終的にはCV(コンバージョン)率の向上にも影響します。

ユーザビリティを高めるには?

オンラインで提供されるサービスは、実際に使っているユーザーの顔が見えないため、制作側のみの視点で作られる傾向があります。制作者側の視点だけで制作されたサービスは、制作者以外の人にとっては使いにくく、独りよがりなものになってしまいがちです。

ユーザビリティを高めるのであれば、ターゲットの設定と、そのユーザーに合ったUI/UXを考えることが大切です。

ここでは、ふたつのポイントを詳しく解説します。

ターゲットユーザーの定義が必要

ユーザビリティを高めるにあたって、最初に行うべきことがターゲットの定義です。

ユーザビリティを決定づける要素でもご説明しましたが、ユーザビリティは環境、目的によって、評価基準が変わります。したがって、同じサービスでもユーザーによって評価が異なるのはもちろん、同じユーザーでも環境が変われば評価は異なります。

例えば、気象情報を提供するサービスのユーザーに、「今日の天気」だけ知りたいAさんと、「花粉や紫外線、気圧など身体に影響を及ぼす情報」も知りたいBさんがいたとしましょう。このふたりはサービスに求める情報量が異なるため、Aさんにとって使いやすいものでも、Bさんにとっては物足りないと感じてしまう可能性があります。

また、同じAさんでも「今年から花粉症になった」「天候に左右される仕事に転職した」など置かれる環境が変われば、今まで満足していた機能に物足りなさを感じてしまうかもしれません。

このようにユーザビリティの評価は大きく変動するものなので、万人に受け入れられるサービスを作ることは困難です。必ずターゲットを明確化したうえで、ターゲットのニーズに合うサービスを制作するようにしましょう。

ユーザーに合わせてUI/UXを作り込む

ターゲットユーザーの定義が決まったら、次はユーザーに合わせたUI/UXを作り込みます。

先ほどと同様、気象情報を提供するサービスを例にご説明します。

「今日の天気」だけ知りたいAさんがサービスを利用するおもな理由は、「今日雨が降るのか(傘が必要なのか)」判断するためだったとします。この場合は、降水確率を%で表示するよりも「折りたたみ傘」や「大きな傘」のアイコンで表示し、直感で理解・操作しやすいサービスを目指した方がユーザビリティが高くなる可能性があります。

また、「花粉や紫外線、気圧など身体に影響を及ぼす情報」も知りたいBさんの場合は、天候によって体調が変化するので、自分で情報をカスタマイズ・管理できる自由度の高いサービスを目指した方が、ユーザビリティが高くなるかもしれません。

ユーザビリティ向上には定量分析と定性分析が必要

では、どういったデータを基準にユーザビリティを考えれば良いのでしょうか。ユーザビリティ向上に必要なデータを取得するには「定量分析」と「定性分析」のふたつを分析する必要があります。

定量分析とは

定量分析とは、おもに分析ツールを使用した数値による分析方法です。例えば、Googleアナリティクスによるアクセス解析や、選択式のアンケートなどが該当します。

定量分析のメリットは、数値を用いているため、客観性が高く、認識のズレが生じづらいことです。

しかし、デメリットとして、多くのデータを取得する必要があり、また、数値にあらわれないユーザーの心理が読み解けないなどが挙げられます。

定性分析とは

定性分析とは、数値ではあらわされない質的なデータによる分析方法です。定性分析には自由回答式のアンケートや、専門家によるエキスパートレビューなどの方法が該当します。

また、定性分析の中でも特に効果的な手法が、ユーザビリティテストです。

ユーザビリティテストとは、ユーザーに対してプロトタイプを渡して実際に使用してもらい、使いやすさなどの意見を聞く方法です。定量分析だけではわからなかったユーザーの心理を読み解くことで、具体的な解決策を検討できます。

まとめ

今回は、Webサービスやアプリ運営で重要な「ユーザビリティ」について解説しました。

インターネットが普及する以前は、良いコンテンツを作ればユーザーは自ずとついてきたかもしれません。しかし現在は膨大な数のコンテンツの中から選ばれて使い続けてもらう必要があり、内容だけではなく、ユーザビリティの良し悪しも重要となります。

サービスの開発には多くの費用と時間がかかります。目的を定めずにサービスの制作・運営を始めるのではなく、ユーザビリティをしっかり意識してターゲットに合ったサービスとなるように、常に改善していく姿勢を持ちましょう。

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