バイラル係数とは
バイラル係数とはサービスの拡散度合いを測定する指標です。既存ユーザー経由で獲得、コンバージョンした新規ユーザー数で表されます。既存ユーザーが周囲にサービスの招待を送って新規ユーザーが増加するまでの周期をバイラルサイクルと言います。
バイラル係数の計算
バイラル係数は以下の計算式で求めることができます。
バイラル係数 = 1ユーザーあたりの招待数 × 招待コンバージョン率(CVR)
たとえば、あるサービスの既存ユーザーが友人4人を招待し、そのうち2人がサービスを利用し始めた時、バイラル係数は以下のようになります。
バイラル係数 = 4 × 0.5 = 2

小さなバイラル係数の違いが大きなユーザー数の違いを生む
バイラルサイクルをk回繰返したときのユーザーの増加をバイラル係数を用いて表すと次のようになります。
kサイクル後のユーザー数 = 初期ユーザー数 × (1+バイラル係数) ^ k
つまり、ユーザー数にバイラル係数に1足された値が掛けられていくため、小さなバイラル係数の違いが、kサイクル後のユーザー数に大きな違いが生むのです。以下のグラフはバイラル係数がそれぞれ0.3、0.6、1.0の場合のユーザー数の変化で、小さなバイラル係数の違いが大きなユーザー数の違いにつながることを確認できます。バイラル係数が0.6の場合と、1.0の場合で、バイラル係数は0.4しか違いません。しかし、バイラルサイクルを10回終えた時点でのユーザー数は1.0の場合の方が5倍以上に増えています。

拡散スピードも大事
バイラル係数が高くても、バイラルサイクル1回が長時間だとユーザーの増加が鈍くなってしまいます。たとえば、以下の2つの製品があるとします。
- アプリA・・・バイラル係数が0.6、バイラルサイクル1回に1ヶ月かかる
- アプリB・・・バイラル係数が1.0、バイラルサイクル1回に2ヶ月かかる
このときユーザーの増加は以下のグラフのようになります。

アプリAの方がバイラル係数は低いものの拡散スピードが速いため、ユーザー数の伸びはアプリBよりもよくなっています。マーケターはバイラル係数だけでなく、1回のバイラルサイクルにかかる時間に注意しなければいけません。
バイラル係数を向上させたキャンペーン事例
バイラル係数を増加させるために企業は様々なキャンペーンを打ち出しています。既存ユーザーによる招待を促進し、バイラル係数を向上させ、新規ユーザーを増やすマーケティング戦略をリファラルマーケティングといいます。ここでは有名なリファラルマーケティングの事例を紹介します。
『Dropbox』
『Dropbox』は友人にDropboxを紹介し、その友人がアカウントを作ると、紹介した人、された人それぞれに250MBずつ無料で容量を追加するキャンペーンを行っています。

参照:http://www.referralcandy.com/blog/referrals-built-dropbox-empire/
このキャンペーンが成功し、2010年4月の1ヶ月間でユーザーが招待したユーザーはのべ280万人にのぼり、Dropboxは15ヶ月間でユーザーを10万人から400万人に増加させました。
『Evernote』

参照:http://www.referralcandy.com/blog/web-app-referral-program-examples-how-evernote-gained-millions-of-users-through-word-of-mouth/
『Evernote』は『Dropbox』 とは違う方法でリファラルマーケティングを行いました。Evernoteは友人紹介をしたユーザーにアプリ内で利用可能なポイントを配布しています。このポイントはプレミアムにアップグレードしたり、容量を追加したり、様々な用途に使うことが可能だったため、無料版、プレミアム版、ビジネス版、どの客層のユーザーも引きつけることが可能でした。