2020.03.19
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カスタマーエンゲージメント(Customer Engagement)とは、企業と顧客との間に築かれた深い信頼関係、親密さをあらわすものです。顧客とより深い関係性を作ることで、その企業の商品やサービスを継続的に利用したり、知人やSNS上で紹介したり、さらに不満点や意見を真摯に伝えてくれたりと、顧客は自発的にさまざまな行動を起こすようになります。
これにより、既存顧客の維持だけでなく新規顧客の獲得やサービス改善へとつなげ、収益性の向上を図るのがカスタマーエンゲージメント戦略です。この記事では、カスタマーエンゲージメントが必要とされる背景と、向上のために必要な考え方や事例をご紹介します。
人々の行動様式は「所有から利用」へ—
このフレーズも、2020年代に突入した今、もはや新鮮に聞こえることはありません。
完全に日常へ定着したサブスクリプションサービス、実店舗とデジタルチャネルの融合を意味するOMO(Online Merges Offline)、製品がそのままインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)。
これらのトレンドはすべて、「購入がゴールではなくスタートに変わった」新時代のビジネスモデルを象徴するものといえるでしょう。
スマートフォン普及率が85%を超え、無数の情報が消費者の目に流れ込むようになった昨今。人々は1日で約3,000ものメッセージをさまざまなメディア経由で目にしているものの、最終的に覚えているメッセージは4つだけともいわれています。「情報爆発」といえるこの現状の中で、自社の情報を届けるのは困難になりつつあるのです。
また、あと四半世紀も経てば、日本の人口は1億人を切ると予測されています。未開顧客にサービスを認知させるのが困難な中で、パイ自体が減少するのだから、あらゆるマーケットは縮小していくことが「宿命」づけられているといえるでしょう。
このような状況下で、企業がやるべきことは、やみくもにコストをかけて新規顧客の獲得に取り組むのではなく、今いる既存顧客を維持し、良好な関係を築き上げることだといえます。「顧客との中長期的な関係を重視するマーケティング思考」、これこそが「カスタマーエンゲージメント」なのです。
では、どのようにすれば顧客と長期的な関係を構築することができるのでしょうか。上でサービスを新たに認知させることは困難と述べましたが、「既存顧客」であればメッセージを届けること自体は難しくありません。例えば購入時に取得したデータを用いてメルマガを配信したり、自社アプリをインストールさせてクーポンを送付すれば、顧客との接点を維持し続けることは可能です。
しかし一方で、消費者は離れやすい生き物であるという事実を直視しなければなりません。一度ネガティブな体験をしたことで商品の購入を辞めてしまう人は、全体の約4割にものぼるというデータがあります。「ネガティブな体験」の中身はさまざまですが、例えば配信されたメッセージが自分に関係のない内容だった場合、60%前後の既存顧客がそれを不快に感じるのです。メッセージを配信したことにより獲得したコンバージョンは話題に上がっても、それによって失った収益機会があることは見過ごされがちだといえるでしょう。
機会損失に陥らないためには、最適な顧客に、最適なタイミングで、最適な体験を提供し続ける必要があります。
ベストなパターンをひとつ考えてみましょう。例えば最初に、初回購入者には購入のお礼メールを送信し、アプリの利用特典を紹介してそのインストールを促進します。一般的にアプリユーザーはコンバージョン率が高いとされているからです。そして、アプリをインストールした顧客には定期的にレコメンドメッセージを届けてサービスに誘導。そして、ヘビーユーザーには「限定セール」の情報を送ってさらにエンゲージメントを高めたり、シェアを促進したりするのです。
このパターンのように、カスタマーエンゲージメントを向上するには、顧客に煩わしさを感じさせないよう「タイミングに合った情報だけを届ける」のが肝心だといえるでしょう。
世界で一番の伝統を持つ経営大学院、ハーバード・ビジネス・スクールはカスタマーエンゲージメント達成の条件を“3D”というフレームワークでまとめています。すなわち、
Design(設計): 既存顧客を単純な「セグメント」ではなく「ステージ」に分ける
Deliver(提供): あらゆるタッチポイントで最適な体験を顧客に提供する
Develop(発展): 商品自体、および顧客体験を随時アップデートできる体制を整える
という3つの“D”が、企業の成長に不可欠だと定義しているのです。
まずはDesign。性別や年齢によるセグメント化ではなく、エンゲージメントのレベルに基づいて顧客を「ステージ分け」する作業です。例えば、利用頻度の低いユーザーには離脱を抑止するクーポンを配布し、ヘビーユーザーには定期的なThanksメッセージや限定セールの案内を送信するといった形で施策を設計します。これにより、サービスに対する全体のエンゲージメントを高めるだけではなく、顧客維持にかかるコストを抑制することもできるのです。
続いてDeliver。「タッチポイント」には、実店舗やデジタルの購入媒体はもちろんのこと、カスタマーサービスや企業のPRも含まれます。例えば、実店舗の雰囲気は好きでも、CMや企業としての印象が悪いから利用しないというケースもあるでしょう。「企業全体」で顧客の期待に沿った体験を提供する必要があるということです。
最後にDevelop。「カスタマーエンゲージメント」を実現するためには、常に顧客の声を吸い上げ、それを商品と実店舗/オンラインの接客にフィードバックし続けることが不可欠だといいます。つまり最終的には、顧客に対するメッセージだけではなく、企業の体制そのものが課題となるということです。
カスタマーエンゲージメント達成のためにこの“3D”を実現できている組織がどのくらいあるかといわれれば、下の統計データが示すように、答えはNoということになるでしょう。顧客起点でチャネルを横断したシナリオを構築することは理想ではあるものの、その実現はやはり困難なのです。
一方で、世界を見渡せばさまざまなカスタマーエンゲージメントの先進事例があります。
例えば、 アメリカを代表する小売大手のウォルマート。対Amazon戦略のひとつとして、「実店舗」とデジタルを融合した購買体験の提供に取り組んでいるのです。
例えば、アプリに最近追加されたストアマップ機能。これによって、イベントなどで売り場のレイアウトが変わっても、素早く目的の商品を見つけることが可能になりました。重要なことは、店員のアテンドする工数が減るだけではなく、マップを利用した顧客の「実店舗内での行動データ」が蓄積されるという点です。
このシステムがより高い精度のレコメンドをチャネル横断で可能にし、快適な買い物生活の実現に貢献しているのです。
あるいは2019年に日本にも進出した中国の大手配車サービス、『DiDi』。実は中国が「カスタマーエンゲージメント」の分野では最も先進国家といえるのですが、その中でもこの『DiDi』は「顧客体験のアップデート体制」という面で非常にユニークな試みをしています。
タクシーの配車や予約が容易にできることは競合の配車サービスと同様ですが、乗車後にアプリを使って運転手と利用者が相互に評価をつけられるようになっています。そして、評価の高い運転手は昇格の対象になり、評価の高い乗客は、高評価の運転手がすぐに配車されるのです。
評価の高い(=行儀の良い)顧客は、ストレスを与えないという意味で運転手にとっては「乗せたい」上客。よって、サービスの担い手である運転手が自発的に顧客体験の改善に取り組むようになるのです。
これらのトッププレイヤーによるカスタマーエンゲージメント戦略に共通することは、サービスの利用データを一手に集積し、それを顧客体験の向上にすぐさま結びつけるシステムが確立されていること。ただデータを取って分析しているだけでも、ただやみくもに「施策」を実行したり、サービスのアップデートをしているだけでも意味がありません。その両者をダイレクトに直結させなければならないのです。
その時に助けになるのが、「カスタマーエンゲージメントプラットフォーム」である『Repro』です。『Repro』を一つの「ハブ」としてマーケティングアーキテクチャを設計することによって、あらゆる顧客データを統合し、メールやwebサイト、アプリなどを横断した最適な顧客体験を実現できます。行動・属性データを一手に集積することで、即座にカスタマー・セントリックな意思決定をすることが可能になるのです。
実際に『Repro』を活用して、カスタマーエンゲージメント施策を行った事例について見ていきましょう。
マンガアプリの「GANMA!」を運営するコミックスマート株式会社では、マーケティング基盤として『Repro』を活用しています。
エンゲージメントを高めるためには、ユーザーにできるだけ早い段階でアプリの価値を理解してもらうこと、そして多彩な作品の中から好みに合う作品を適切にレコメンドすることが必要と考え、『Repro』を使ったプッシュ通知やアプリ内メッセージを配信しています。さまざまな施策により「読了率」や「再訪率」といった指標が改善し、継続率向上につながっています。
また、『Repro』では運用支援を行っており、カスタマーエンゲージメントの実現に向けて導入企業へノウハウを提供しています。コミックスマート株式会社もこの運用支援を活用し、カスタマーエンゲージメント施策のインハウス化を進めました。
コミックスマート株式会社の事例について、詳しくはこちらの記事にまとめております。
転換期を迎えている現代のマーケティング。「購入」がゴールからスタートになったこの時代を生き抜くために、カスタマーエンゲージメントの実現に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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