2021.03.05

データ活用でLTVを上昇させる10の方法

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この記事で分かること

はじめに

大きく息を吸って、登録ボタンを押しました。キャンペーンの始まりです。その週の予算分がクレジットカードから引かれ、1クリックあたり6ドルを支払うことになりました。次々にくる入札にめまいがし、私はSlackを開いてスタートアップの師匠たちのグループに「みなさん、たったいまクリック単価6ドルでMetrixのPPC広告を設定しました!」と報告しました。すると、11人の先輩起業家は私が愚かなことをしていると教えてくれたのです。SaaSや定期収入のビジネスで成功するためには、守るべきシンプルな法則があります。

CAC < LTV

CACはLTVより低くしなければいけない

顧客1人あたりを獲得する費用が顧客が将来払ってくれる金額より少なければ、利益になり成長することができます。シンプルです。まだ失敗の可能性もあります(いつだって過去を元にした将来予測はどうなるかわからないものです)が、それでもCACがLTVより低い数値をキープするだろうという自信があります。

なぜなら私は高いLTVを達成することにおいて沢山の成功と失敗を経験しているからです。前職のWeb制作会社での経験、コワーキングスペースでの経験、一つ前のSaaSスタートアップでの経験、そしてTrakioで最初の製品を売るときの経験です。

この記事では我々がこれまでやってきて、これから我々の新製品であるMetrixにおいても実行するであろう10の戦術をご紹介します。CPC6ドルでも割にあうくらいの高いLTVを約束してくれるでしょう。

10の戦術

  • 詳細な顧客行動によるセグメンテーション
  • パーソナライズされた顧客体験
  • カスタマーサービス
  • NPS ((Net Promoter Score :顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を知るための指標))調査の実施
  • 休眠アカウントの再活性化
  • 追加商品の販売
  • ライセンスの拡張
  • やみくもな割引をやめる
  • エヴァンジェリストの活用
  • LTVの高い顧客にさらに賭けてみる

1.詳細な顧客行動によるセグメンテーション

すべての顧客に同じアプローチをするのは愚かな行為です。あなたの会社のマーケティングチームはすでに顧客獲得のためにメールリストを幾つかのセグメントに分けているでしょう(例えばどのeBookをダウンロードしているかによるセグメント)。

しかしセグメンテーションは獲得フェーズだけにとどめておくべきではありません。カスタマーライフサイクルの全期間にわたって顧客をセグメンテーションするのはLTV向上を目的としたデータ活用にもっとも効果的な方法です。製品のどの機能を最も好んで使っていますか?顧客は定期的にソーシャルメディア上であなたのブランドにエンゲージメントしていますか?何人の同僚にあなたの製品を紹介していますか?顧客ごとの使い方の比較、使い方の異なる顧客とその他の顧客の比較はしていますか?

ひとたび既存顧客をセグメンテーションしたら、彼らに提供する体験をパーソナライズすることができます。顧客行動によるセグメンテーションを可能にするツールはいろいろあります(Trakioでもできます)。いますぐやらない手はないでしょう。

2.パーソナライズされた顧客体験

セグメンテーションができたら、顧客体験のパーソナライズに取り組みましょう。十分なデータさえあればパーソナライズはすぐに始めることができます。Amazonで商品を見ている間におすすめ商品がどんどん更新されているのを見たことがありますよね?サインアップ前のパーソナライズは顧客に納得感のある契約をしてもらえ、契約後の後悔によるチャーンを避けることができるのです。

サインアップ後のパーソナライズは、ユーザーごとに最適化されたオンボーディングのプロセスやインターフェース、マーケティングオートメーションなどが含まれます。「個人」のレベルまで掘り下げたユーザーに最適化、パーソナライズされた体験を届けることができたら、あなたのブランドにエンゲージメントさせるのは簡単でしょう。とりわけいろいろな種類のあるSaaS製品(そしていろいろなペルソナ)では、どの顧客にも重要となる価値を届けることが重要です。

3.カスタマーサービス

今日では、ほとんどの企業がカスタマーサービスに「Wow!」が必要であることを認識しており、カスタマーサービスの費用対効果も調査されています。しかしながら、カスタマーサービスではカリスマ性や各顧客との信頼関係を重要視しているのです。もっとデータドリブンにする必要があります。

カスタマーサービス業務の一部にデータを活用することで顧客体験を向上させることができますし、サポートスタッフもより喜んでくれるでしょう。問い合わせてきたユーザーの情報がわかるだけで、一つ一つの問い合わせにかける時間を節約できます。

どの機能のエンゲージメントが特に高いか、どの料金プランを契約していてどれくらいの期間お客さんなのか、あるいはそのユーザーはトレーニングページやチュートリアルページの入り口からどうやってエンゲージメントしたかといったデータは、サポートスタッフが問い合わせの開始後すぐに優れたサポートをする手助けをしてくれるのです。

データ活用は個人に対してだけでなく、顧客データから隠れたインサイトを見つけ出してカスタマーサービスのプロセスや方針を変えるのにも利用できます。たとえば、契約後の最初の3ヶ月で4度サポートデスクを利用した顧客は1度しかサポートデスクを利用しなかった顧客よりも平均して30%LTVが高いといったことがデータの調査によって明らかになるかもしれないのです。それがわかれば、最初の3ヶ月でサポートデスクともっと利用してもらえるようにオンボーディング施策(自動メール、アプリ内メッセージ、重要なボタンの配置)を調整することができます。

4.NPS調査の実施

個人的には会社の「NPSスコア」(自分でもわかっていますが、”Net Promoter Scoreのスコア” と言うのは変ですね)はあまり重要視していません。過去に基づいた指標であり、結果に基づいた明確なアクションにつながらないからです。よくあるNPSは虚栄の指標です。

しかしながら、NPS調査の実施自体はLTVを高めるのに非常に有効です。なぜでしょうか?なぜならそこでなされる質問はしごくシンプルなものであり、顧客の声を聞くタイプの他の調査よりも回答率が高くなる傾向にあるからです。NPSはあなたの全顧客にたった一つの質問を投げかけることができます。

「我々を友人や同僚におすすめする可能性は1~10のどの程度ですか?」そして賢い企業はユーザーが点数で評価したあとに追加のフィードバックをする選択肢を設けます。これらのシンプルなスコアとスコアに付随するコメントはサービス改善に役立つ貴重な資源です。NPS調査から得られる示唆は次のようなものです。

  • 全く反応がないことによってサービスの利用停止直前のアカウントがわかる
  • 機会を与えれば会社のエヴァンジェリストとして動いてくれそうなアカウントがわかる
  • サポートに関して嫌な経験をしたことがあるが調査をするまでクレームを言ってこなかったアカウントがわかる

計算したNPSの結果自体は気にしなくて結構です。その代わり、スコアが1であろうと5であろうと10であろうと、反応してくれた個々のユーザーのフォローアップに力をいれましょう。

5.休眠アカウントの再活性化

新規ユーザーを獲得するのは既存ユーザーを留めておくより7倍コストがかかります。そして顧客を留めておくためには、もっとも離脱のリスクが高いところから見るべきです。

休眠ユーザーはおそらくほんの1、2ヶ月で解約するでしょうから、すばやく対応しなければいけません。データを使って、製品の利用状況や施策のエンゲージメント度合い(メールを開いたか、ブログを読んでいるかなど)を考慮して行動に基づいたセグメントを作り、離脱のリスクが高いユーザー層を絞り込みましょう。

絞り込んだユーザーの中には、もう離脱は避けられないユーザーも何人かはいるでしょう。ユーザー自身のプロダクトの開発が中止されたり、予算削減が非アクティブの原因だった場合です。しかし多くの場合対策できることはあります!例えば「御社製品の使い方を知っている女性が会社を辞めてしまった」のが解約の原因だったらどうでしょう?問題ありません。その会社の残りのメンバーに対して無料の使い方ウェビナーを実施すればよいのです!

6.クロスセルの実施

セールスフォースはたまたま世界最大のSaaS企業になっているわけではありません。彼らは各製品を使う既存顧客のLTVを最大化する優れた方法は補完財を売ることであると早い段階から気づいていたのです。いくつかの企業を賢く買収した後、セールスフォースは彼らのCRMシステムを利用している顧客に対しクロスセルのマーケティングオートメーション(それ以外も色々なこと)を行えるようにしました。

自社製品の熱心なファンが少人数いることの方が、ただ「良いと思っている」という顧客が沢山いることよりも強力です。彼らがあなたの製品を愛していれば、長い間利用してくれますし、ためになるフィードバックもくれるでしょう。同僚や友人におすすめしてくれるはずです。しかしながら顧客が少なければ、特にあなたの製品が月100ドルだったような場合には、収益は限られてしまいます。ロイヤルカスタマーに追加製品を売ることで、LTV向上、さらには少ない顧客数から大企業を作ることだってできるのです。

7.ライセンスの拡張

商品のクロスセルの他に既存顧客のLTVを向上する方法としては、ライセンスの拡張があります。多くのSaaS企業や定期購読製品は一律料金、もしくはシンプルすぎる料金体系になっているのです。確かにシンプルな料金体系は購買の意思決定を助けてくれますが、シンプルすぎると長期的にみて潜在的な収益の機会損失になる場合がありますし、顧客に提供している価値と比べてACV ((Annual Contract Value: 年間発注額の略))が見合っていないものになります。まだ料金体系になにも手をつけていなければ、顧客に与える価値が増えるにしたがって料金があがるように価格表を調整するべきです。

データを活用して、より貢献度の高いアカウントを増やす「レバー」と「トリガー」を探しましょう。ユーザーがあなたの製品に多くの同僚を追加すれば、彼らがさらなる見込み顧客を連れてきてくれることに気づいていますか?それともすでに見込み顧客を安定的に増やしてくれるユーザーが十分な数いますか?

もしあなたの製品がSlackやYammerのように使う人が増えるほど利用価値も上がるタイプであれば、利用人数による料金体系が合理的でしょう。Mailchimp や Aweberのようにメーリングリストのサイズが増えるほど利用価値が上がるタイプの製品であれば、連絡先の人数による料金体系が妥当でしょう。利用人数による料金体系が最適な選択肢でない場合もあります(顧客にとって価値が増大していなくても高いプランの料金を支払わなければいけない場合があるので)。製品の価値につながる全ての「レバー」と「トリガー」を見つけられていない限りは価格に上限を設けたりサービスの無制限利用を約束するのはやめましょう。

8.やみくもな割引をやめる

SaaS企業を見たときにもっとも心配になることの一つはコンスタントな値下げです。そうなってしまう要因はいくつか考えられます。Webサイトの料金表はアンカーの役割でしかなく、他のユーザーの投稿やポッドキャストのインタビュー、カンファレンスのプレゼンテーションで75%の割引クーポンを手に入れることができてしまうのです。

新しい製品カテゴリの導入など、初期に摩擦が生じる変更に対してユーザー数を確保するには値下げは効果的かもしれません。しかし顧客が割引なしの価格でも購入してくれたかどうか、本当のところはわからないのではないでしょうか?値下げを実施するとき、もしくは値下げを試してみたいときは、必ずデータに基づいたものにしてください。

値下げを利用中のユーザーのコホートを分析してみましょう。値下げしてもなおLTVはCACより高かったでしょうか?値下げクーポンを使わなかったユーザーのほうがサインアップ率は低いかもしれませんが、高いLTVで高いCACを埋め合わせてくれているのではないでしょうか?値下げが有効な状況もあるでしょう(個人的にはBtoBのSaaS製品では必要ないと思っています)。しかしやみくもな値下げに走らないでください。製品の価値を永久的に減じ、CACはそれほど下がらないのにLTVばかり不必要に下がってしまうリスクがあります。

9.エヴァンジェリストの活用

顧客のケーススタディは通常アカウント担当者や販売担当者が顧客との関係性を生かして作ってくれるものです。しかし個人的な関係は作れていないけれどもあなたの製品を使うことで大きな成功を収めている顧客に何かアプローチしているでしょうか?データ分析、ある機能を特に熱心に使っている顧客のセグメンテーション、マーケティング、APIなどからあなたの製品のエヴァンジェリストを探し出すことができます。

伝統的なアプローチとしては個別にコンタクトしてケーススタディをつくるか製品の推薦文をもらえばいいのですが、このデータを使ってターゲットを絞った製品紹介の施策を始めることもできます。製品を広めてもらうために全ての顧客に10ドル分の利用権を与えても良いのですが、ロイヤルカスタマーにはもっと絞ったキャンペーンを行ってはどうでしょうか。彼らを製品作りにおいて重要な存在と位置付け、10ドル分の利用権やAmazonの商品券よりも良いインセンティブを与えるのです。

10.LTVの高い顧客にさらに賭けてみる

マーケティング活動の一環として理想のペルソナ像を設定していると思いますが、実際のいまの顧客データと突き合わせたことはあるでしょうか?顧客データを分析することで、LTVのもっとも高いセグメントの顧客がわかります。必ずしも一番高い料金プランを選択している顧客ではないかもしれません。

LTVの高い顧客が特定できれば、その顧客に共通しているパターンを探して彼らに向けてマーケティング施策を行うことができます。このセグメントに対してeBook、ランディングページ、ブログの投稿、有料広告などをテストしてみましょう。この顧客セグメントはそんなに人数は多くないかもしれませんが、CACとLTVの差を最大化する実験ができます。こういった分析が意味するのは、顧客情報と様々なデータを連動させることができるということ、つまり毎月の支払い情報を製品の利用動向や受注前のセールスのデータと連結させることができるということです。

まとめ

LTVの最大化だけがSaaS企業の取り組むべき課題ではありません。この指標だけに集中しすぎるのは会社全体のビジョンに悪影響を及ぼす恐れがあります。しかしながら、新しい収益源を確保するための信頼できて素早いグロースにつながる方法は、LTVの最大化と料金体系やマーケティング戦略の見直しをして、いつでも事業拡大に踏み出せるようにすることです。

顧客情報は今まで述べたことを実行するにあたってもっとも大切な要素です。データなしで成功する施策もあるかもしれませんが、個人の能力に依存します。データドリブンのアプローチであれば再現性や拡張性があります。自社製品に触れないのはCEO失格なので紹介させてもらうと、私たちが提供しているMetrixはこういったデータドリブンな意思決定を可能にしてくれます!※冒頭の写真はScarlett Johansson主演の”Lucy”で、著作権はユニバーサルスタジオ社に帰属します。このシーンはLucyが空中に流れるデータを電波として見始めたときのものです。

この記事は、Trakio社のブログ”10 Ways To Increase Your Customer Lifetime Value With Data”を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Trakio in English under the permission from the author.

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