2020.06.01
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mobilewalla社のAnindya Datta曰く、ダウンロードしたユーザーの30%が使い続けるアプリは定着率が良いそうです。たった30%というと少ないと思うかもしれませんが、残念ながらほとんどのアプリはそれよりも定着率が悪いのです。
アンドロイドアプリの平均的な定着率を表した図。横軸はインストールした日からの経過日数、縦軸はアクティブユーザー率を表しています。
平均的なアンドロイドアプリはインストール後3日以内に77%のDAUを失っています。 そして30日間で90%、 90日間で95%以上のユーザーが離脱するのです。これは驚くべきことです。 言い方を変えると、平均的なアプリは数ヶ月以内にユーザー基盤のほとんどを失ってしまっています。
ー UberのグロースハッカーAndrew Chen ー
多くの場合、私たちはASO(アプリストア最適化) やマーケティングキャンペーンなどのテクニックに注力するあまり、プロダクトとしての完成度が重要であることを忘れてしまっているのです。
誰もアプリをダウンロードしていないのならば、他の努力が意味のないものになるという意見はもっともですが、下のデータが示している通り、真に成功しているアプリは他のアプリよりも高いリテンションレートを誇っています。
このQuettra社のグラフを見ると、上位10位、50位、100位にランクインするアプリは長期的な定着率が高いことが分かるでしょう。これはそのジャンルを代表するアプリとして成長し定着する秘訣として、リテンションがもっとも重要な要素の一つであることを示しています。
ユーザーの定着は一般的なマーケティングよりも奥が深いです。それはユーザーを虜にし、何度も使ってもらう質の高いプロダクトを作ることを意味します。まずユーザーのニーズと懸念を絞り込むことから始め、ユーザーとプロダクトを結びつけるものを理解するまで深く掘り下げましょう。このプロセスを助けるために、ユーザーが離れてしまう理由として一般的によく挙げられる16の項目についてまとめました。
低いリテンションレートの最大要因は、ユーザーがアプリの価値を認識していないことです。
Localyticsの調査で、25%のユーザーが初回セッション後にアプリを二度と使わなくなることが分かりました。スイッチングのコストが低く他の選択肢も多いなか、アプリ開発者にはユーザーが離脱しないように早い段階でアプリの価値を伝えることが求められています。ここからはよくある失敗をご紹介しましょう。
Webサイトのユーザーと異なり、モバイルユーザーにはあなたのアプリを隅々まで使ってみよう、学んでみようという姿勢はありません。彼らがあなたのアプリをダウンロードするのは、アプリの方がモバイルサイトよりも速く快適に動作し、デスクトップPCを開くよりも早くタスクを達成できるからです。それがアプリのアプリたるゆえんです。
スマートフォンでは、1つか2つの特定の用途に特化したアプリがインストールされます。
上記3つのアプリは他にも機能はありますが、ユーザーがこれらのアプリをダウンロードするのは特定の用途で役立つからです。モバイルアプリにおいては、求められているのは幅広い用途ではなく専門性です。
驚くべきことですが、機能の詰め込みすぎもユーザーの邪魔になっているケースがあります。なぜでしょうか?選択肢がたくさんありすぎてユーザーを混乱させるからです。
優れたアプリは明確なCTA (Call to Action の略。「商品を購入する」「予約する」などユーザーの行動を促すフォーム画面やボタンのこと)を持ち、選択肢を減らすことによってコアのユーザー体験に導いています。少ない選択肢はユーザーをアプリのコア機能に向かわせるだけでなく決断疲れを回避することもできます。
機能の詰め込みすぎはよくある問題です。多くのアプリが自分たちのWebサイトにあるすべての機能をモバイルアプリにも実装しようとしてしまうからです。前述した通り、目的を明確に持っていて気が散りやすいのがモバイルユーザーです。真に必要不可欠なもの以外は機能をそぎ落とすことでユーザーはあなたのアプリに価値を見出し、長く使い続けてくれるでしょう。
どうしても機能の絞り込みができなければ、コアでない機能はまとめて隠してください。
オンボーディングはユーザー体験の中でもっとも重要なプロセスの一つです。「オンボーディングがうまくいかなければ意味がありません。誰にも使われない機能を開発するのであれば、ビールでも飲んでいた方がましです。」と当社CEOのNancy Huaも言っています。
アプリの初回起動時に受ける体験は、ユーザーとそのアプリの関係性を決定します。オンボーディングで価値を感じなければユーザーはすぐにアプリを削除してしまうでしょう。
優れたユーザーオンボーディングの作成方法を知りたければこちらのリンクをクリックしてください。優れたオンボーディングの例を紹介しています。
忙しいユーザーにとってパーソナライゼーションは重要です。ユーザーは自分に関係のある情報が欲しいですし、検索に時間をかけたくないと考えています。
『Netflix』はその点をよく理解しています。会員ごとにホーム画面をパーソナライズし、ユーザーの興味関心と目的をカバーしつつ、他の作品を探索する余地を残した画面にするために、かなりの開発リソースを割いているのです。
関係のあるコンテンツを提供しなければユーザーは離れ、エンゲージメントも定着率も減少してしまうことを『Netflix』はわかっています。ユーザーがアプリ一つあたりに使う時間は限られており、自身の興味関心や目的に沿ったコンテンツを見つけられなかったユーザーはアプリを離れる可能性が高いです。パーソナライズを高め、ユーザーに価値を提供し続けるためにどんなデータを集めるべきか考えましょう。
関連性のないコンテンツといえば、モバイルアプリでもっとも苛立たしいことの一つは不適切なプッシュ通知でしょう。Apptentive社のRobi Ganguly氏によると、アプリをアンインストールする理由の筆頭に挙げられるのがプッシュ通知です。これはプッシュ通知が便利でない、価値がないということではなく、適切に行わなければ悲惨な結果をもたらすということです。
プッシュ通知やメールなどのユーザーを呼び戻す施策はエンゲージメントとリテンションレートの両方を驚くべきほど向上させることができますが、モバイルアプリ業界のリーダーたちは「成長曲線はスパムのような通知ではなくアクティベーションによって起こる」、つまり洗練されたオンボーディングのプロセスが良い結果をもたらすと考えています。
次はユーザーのスムーズなアプリ体験を損なう失敗についてです。目的を明確に持っているユーザーにとってスムーズに利用できることはとりわけ重要です。ユーザーにはアプリに価値を見出し継続的に使う習慣を作ってもらいたいですし、その鍵となるアクションは確実に実行してもらうようにしましょう。
クラッシュの多いアプリを再び使おうと思ってくれるユーザーはたったの16%です。アプリがきちんと動かなければユーザーは去ってしまいます。iOSにおいては、開発側が考慮しなければいけないiOS端末とソフトウェアのバージョンの組み合わせは多くないのでクラッシュはあまり大きな問題にはなりませんが、Androidは下図のとおり膨大です。
考えうる組み合わせがこれだけ多いと、クラッシュする端末とバージョンの組み合わせを予測し全てに対応することは不可能です。その代わりしっかりと検証テストを行い、限られたユーザーにだけ段階的に機能をリリースしてから、全体にリリースすることでユーザーを離れさせる深刻なクラッシュを避けましょう。
通信速度が遅いときに心の中で通信業者を罵っているのは私だけではないはずです。忙しいときにもっとも苛立たしいのは通信速度が遅いせいで簡単なタスクも完了できないことです。
動きの遅いアプリもユーザーから敬遠され、使われなくなるか、競合アプリに乗り換えられてしまうでしょう。モバイルユーザーはニーズにあった素早いソリューションを求めているので、素早いソリューションの提供かその重要性に向き合う必要があります。
ユーザーがアプリで何らかのタスクを実行しているときに最もやってはならないは、レビューのポップアップを出してユーザの操作を中断させてしまうことです。実行中のタスクを妨げるのはユーザーを苛立たせ、悪いレビューを書かれてしまうことにもなりかねません。
IPG Media Labsの調査によると、何かを達成した瞬間にユーザーの興奮は40%高まります。操作を中断するのではなく、ユーザーが目標を達成するかタスクを完了するまで待ち、高まった興奮をエンゲージメントの向上、リテンション、アプリの評価依頼などに利用すればよいのです。
Webでよくあるユーザーネームとパスワードを入力するタイプのログイン方法は、モバイルにおいては最も煩わしいことの一つです。
ユーザーにとって、スマートフォンのとても小さなキーボードを使って複雑なパスワードを入力するのは困難です。もっと効果的な実証済みのログイン方法は多数ありますが、可能であればユーザーをフリーミアムモデルに引き込みたいと考えているとも思います。
『Facebook』や『Twitter』のような誰もが使うサービスでない限り、ユーザー登録が必須のサービスは多くのユーザーを離脱させるでしょう。どうしてもユーザーのスムーズな利用を妨げなければいけないのであれば、登録プロセスを通じてユーザー登録に有益性があることを伝える必要があります。
間違えて広告を押してしまうのはとても苛立たしいユーザー体験です。マウス操作と比べるとずんぐりした指での操作は正確性に欠けるので、ユーザーは意図せずに広告をクリックしてしまいがちです。売上という観点ではメリットですが、スムーズな利用を妨げユーザーにフラストレーションを与えてしまいます。
ユーザーが急いでいるときに、ユーザーが意図する操作から遠ざけ、のろのろしたブラウザアプリを立ち上げさせるなんてことは最もやってはいけないことです。彼らはいったん離脱してしまうとそのまま帰ってこなかったり、アプリにネガティブな印象を持ってしまいます。広告やアップセルは必要ですが、大事なタスク実行中にユーザーを妨害するのは得策とはいえません。
Xcode Ghost hackや Snapchatが「削除した」写真を保存していた問題、及び企業の適切な個人情報の取り扱いに関する議論に伴い、アプリのセキュリティとプライバシーはユーザーが最も気にすることの一つになっています。
セキュリティに関する事項はユーザーがアプリを使う前に答えなければいけない3つの重要な質問のうちのひとつです。
アクセス許可を求めるのは歯を抜くようなものです。許可のポップアップはアプリの機能を利用する際は重要ですが、あまりにもアクセス許可を求めすぎるとユーザーはアプリを使い続ける気を削がれてしまいます。不必要なアクセス許可は止め、どうやったらアクセス許可をユーザーから引き出せるか考えましょう。
特定のアクションをトリガーにしたアクセス許可や綿密に練られたアクセス許可の施策はユーザーがOKボタンを押す確度を高めるでしょう。
個人情報は「個人の」ものです。(商品を売りたいといった)ユーザーデータを集めるのにもっともな理由がなければ、表立って集めるデータは最小限にして下さい。本当に欲しいデータがある場合は、集めるのはユーザーがエンゲージメントしてあなたのアプリを理解してからにし、その際もできるだけ自然な形でデータを集めるようにしましょう。
アプリはユーザーが効率的に目的を達成するのを助けるためにあります。商品購入、todoリストへのチェック、もしくはちょっとした気晴らしなどにおいてアプリを使うとき、モバイルにおけるUXはWebにおけるそれよりも重要です。
ユーザーの気が散ってタスクを完了する前に離脱してしまうリスクを最小限に抑え、彼らがアプリに注意を向けるごくわずかな瞬間を捉えなければいけません。
モバイルで重要なのはスピードと効率性です。ユーザーは忙しくても素早くタスクを完了したいと思っています。タスクの完了に時間がかかりすぎてしまうのならば、スマートフォンを持つ利点はあまり無いといっていいでしょう。だからこそ多くの企業が不必要なステップを削ろうと努力しているのです。
HotelTonightは自分たちのチェックアウトまでの流れをテストし、「3タップ1スワイプ」のチェックアウトプロセスを編み出しました。これによってユーザーは素早くホテルを探し、予約できるようになったのです。グルーポンは少し異なるアプローチをしており、「Buy!」というボタンをすべての取引画面に表示させています。これによってユーザーはカートに追加ボタンや購入ボタンを探さなくても簡単に購入ができるというわけです。
トップアプリが採用しているチェックアウトフローを集めた記事もありますのでご参照ください。
どのアプリも適切なユーザー行動を導くために異なるフローやプロセスをA/Bテストしています。ぜひ”チェケラ” ((予約の「チェックアウトする」とかけたギャグ))してみてください!
自分のアプリのUIを説明するのに時間がかかるのであれば、UIが少し複雑すぎるのかもしれません。ユーザーが気にいるようなおしゃれなUIは素敵ですが、直感的で利便性が高い方が遥かに重要な要素です。MAYAの原則に従うよう心がけましょう。MAYAとはMost Advanced Yet Acceptable (先進性があり、市場にも受け入れられる)の略です。デザインに関しては、「顧客が受け入れられるレベル」までにするべき」です。デザインを改善する際はレベルを引き上げるべきですが、変更による混乱を避けるためにユーザーが慣れているUIのパターンを使うべきでしょう。
各プラットフォームに150万種ものアプリがあり、人気アプリになるための競争は苛烈です。移ろいやすいユーザーの要望に合わせるためにアプリをコンスタントに改善・改修しなければいけません。そうでないと他社にユーザーを取られてしまいます。
AppStoreの上位10,000アプリを調べ、上位100のアプリは他よりも3倍の頻度でアップデートをしていることがわかりました。『Facebook』や『Pinterest』の改修サイクルはもっと早く、一般的なアプリの10倍の頻度です。彼らはアプリを絶えず発展させるためにテストと試行錯誤を通じてコンスタントな改善とユーザーの要望に沿ったよりよいものを提供しています。
さらにいえば、以前の記事で『Lyft』のクリエイター David Dryjanskiが語ったように、リリースと反復を早くした方がいい理由はたくさんあります。
App Store と Google Play Storeのレビューはアプリの質的なフィードバックを得るのに最適な場ですが、もっと重要なのは、ユーザーの声に耳を傾ける場であるということです。アプリ改善のためにレビューは重要です。アプリがユーザーのニーズにマッチしない状態が続くと、ユーザーは他の解決策を探しに行ってしまうでしょう。
アプリを改善する際は、まず基本に忠実であることです。ユーザーとの摩擦が起こる部分を排し、ユーザーをエンゲージメントさせるプロダクトになっているか確認してください。
優れたオンボーディングプロセスとは、アプリがユーザーに提供できる価値を全て見せ、すぐにエンゲージメントさせるように設計されたものです。
「成長曲線はスパムのような通知ではなくアクティベーションによって起こります...リテンションを高めるベストな方法は、初回起動時から数日、もっと言えば初回起動の改善に注力することです。これによってユーザー自らアプリに価値を見出すようになります」- Uberのグロースハッカー Andrew Chenより。
オンボーディングについてもっと学びたければ「モバイルアプリのオンボーディングに関わる3つの質問」というe-bookをチェックしてみてください。ここにユーザーのエンゲージメントと定着率を改善するためにもっとも重要なことを掘り下げて書いています。
この記事は、Apptimize社のブログ記事”16 Mobile Mistakes That Plummet User Retention Rates”を著者の了解を得て日本語に翻訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Apptimize in English under the permission from the author.
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