CROのパフォーマンスを高めるためにチャレンジすべき3つのパーソナライズ

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2024.07.01
Webサイトのパーソナライズ 真っ先に着手すべき3つの施策

目次

ユーザーに合わせてWebサイトをパーソナライズすることは、誰かにギフトを選んでいるようなものです。考えてみてください。ギフトを選ぶときは、相手の年齢や好きなもの、趣味など、様々な要素を考慮するはずです。たとえ準備がギリギリのタイミングになってしまったとしても、役に立ってほしい、長く使ってもらいたいと願うでしょう。

ユーザーがWebサイトにアクセスするという行動は、ギフトを開封することと似ています。Webサイトのなかに便利で価値があり、直面している課題を解決してくれるものがあるのではないかと期待しているのです。そしてWebサイトにアクセスしたユーザーは、自分の要求を満たすギフトが提供されることを望んでいます。

では、Webサイト上で完璧なギフトを届ける方法はあるのでしょうか。その答えは顧客のニーズに合わせて正しい方法で実施されるパーソナライゼーションです。

この記事は、VMOのブログ “3 Personalization Challenges You Must Solve To Boost CRO Performance” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。

CRO(コンバージョンレート最適化)とパーソナライゼーション

私たちはCRO(コンバージョンレート最適化)を、「目的とするアクション(CV・コンバージョン)を取ってくれる訪問者を増やす手法」という単純なものとして語ってしまいがちです。

しかし、CROについて深く考えるようになると、その難しさを痛感するようになります。それと同時に、長期的にたくさんの利益をもたらしてくれる手法である可能性に気づきます。

だからこそCROは、継続性だけでなく、効果を増幅する方向にフォーカスすべきなのです。そして、ユーザーニーズに合わせたパーソナライゼーションは、CRO戦略をアップデートし、CROのパフォーマンスを向上させるものといえます。

コンバージョン・マインドセットへの影響

ニーズに合わせたパーソナライゼーションを実現する最善の方法は顧客の情報を活用することです。そして、そのパーソナライゼーションの結果として、ユーザーは「コンバージョン・マインドセット」に導かれていくのです。

これから紹介するのは、コンバージョン・マインドセットを理解するための具体的なアイデアです。パーソナライゼーションが何を目的としているかを理解するための前提としてご覧ください。

例えばIMB銀行では、個人ローン申請フォームの最初のページで多くのユーザーが離脱するという問題を抱えていました。そして、ツールを活用した分析によって、申請フォームに入力すべきことが不明瞭で、次のステップへの案内として機能していないことに気づいたのです。

IMB銀行はこの問題を解決するために、申請フォーム内に存在する様々な要素の改善に取り組みました。例えば以下のような要素です。

  • フォーム入力が完了するまでに要する時間の記載
  • 銀行が受賞した賞の掲載
  • デザインの改良
  • 入力ステップに対する明確な案内・指示

【スクリーンショット】ベースとなる元のパーソナルローン申請フォーム

【スクリーンショット】フォーム入力に要する時間や入力ステップの明確な指示に加え、デザインにも改修を加えたパーソナルローン申請フォーム

上記以外にもいくつかの改善を加え、テストを行ったところ、CVR(コンバージョン率)が36%増加しました。IMB銀行は、望ましい行動を取るようなマインドセット=コンバージョン・マインドセットへユーザーを誘導することに成功したのです。

以降では、ユーザーをコンバージョン・マインドセットに導くまでに存在する代表的な3つの課題、そしてパーソナライズによる解決方法について解説していきます。

【チャレンジ1】初回訪問ユーザーへのパーソナライズ

【課題】
異なるキャンペーンを経由して訪れた初回訪問者に対して、同一のランディングページしか提供していない

Google検索で複数の広告キャンペーンを走らせている場合を考えてみましょう。たくさんのキャンペーンを実施していたとしても、多くの場合、リンクから到達できるランディングページはひとつしかありません。このときに問題となるのは、広告キャンペーンの訴求とランディングページのコンテンツとの間に一貫性を感じてもらえない場合があることです。

複数のキャンペーンを回すということは、それぞれのキャンペーンに応じたオーディエンスが存在し、広告の訴求をそれぞれに最適化するということです。キャンペーンの数だけ訴求のバリエーションは増えていきます。にもかかわらず、これらの広告キャンペーンからのトラフィックは、すべて同じランディングページに誘導されてしまうのです。

【図】複数の異なったオーディエンスに向けたキャンペーンを構築しても、同一のランディングページに誘導してしまうことの問題を表した図

そのため、Aのキャンペーンから遷移した訪問者のニーズはランディングページのコンテンツとマッチするが、Bというキャンペーンに興味を持った人は、クリックした広告とは異なるコミュニケーションのランディングページに遭遇するという問題が発生します。

この問題は、ページ上に表示されているCTAボタンやユーザーレビューセクションなどの、ページ上に表示されている様々なコンテンツとも複雑に絡み合っています。

これは非常に懸念すべき課題です。初回接触時のコミュニケーションの違和感、期待との齟齬は、訪問者を簡単にサイトから離脱させてしまうからです。

解決方法:
パーソナライゼーションで広告クリック後の体験を最適化する

ここからがパーソナライゼーションの出番。ユーザー調査の結果や運用中の広告グループに応じてランディングページを動的に変化させられるよう、Webサイトを設計するのです。もっとシンプルにいうなら、広告キャンペーンに合わせて、ランディングページにバリエーションを用意するということです。

そうすることで、ユニークでパーソナライズされたランディングページを表示することができるようになるわけです。

【図】キャンペーンがターゲットとするオーディエンスに合わせて、ランディングページのメイン訴求やCTAボタンのテキスト、ビジュアルなどを出し分けすることの重要性を表した図

このようなパーソナライゼーションのアイデアを実現するための簡単な方法がUTMパラメータの活用です。

UTMパラメータはキャンペーンの成果などを計測するためにURLの末尾に追加する文字列。UTMパラメータを使用することで、ユーザーがどこから流入してきたのかを特定することができます。この情報に基づいて、ベースとなるランディングページとは異なる見出しやパーソナライズされたコンテンツを表示するのです。

例えば、下の画像のように、ユーザーが入力した検索語句に応じてランディングページの訴求文言を動的に変化させることもできます。この手法はダイナミックテキスト(dynamic text insertion)と呼ばれ、サイト訪問者との信頼関係を築くために利用されます。

【図】UTMパラメータを上手に活用すれば、検索キーワードに合わせてランディングページの訴求を動的に出し分けることができることを表した図

これらのアイデアをうまく実装することができれば、見出しやランディングページの他の要素に少し手を加えるだけで、様々なオーディエンスを簡単に狙い撃つことができます。どのようなユーザーなのか、一切の情報がない初回訪問者に対しても、シームレスで高品質なパーソナライズ体験を提供できるのです。

【チャレンジ2】リピート訪問者へのパーソナライズ

課題:
訪問者が提供してくれたデータが活用されていない

ユーザーがサイトにアクセスすると、使用しているデバイスやブラウザ、初回訪問者であるか否かなどといった重要なデータが残ります。

これらのデータは、ユーザーのことを研究し、理解するために残されたメモやメッセージのようなものです。しかし、ブランドの多くはメッセージの重要性を理解しておらず、顧客データの73%は分析に利用されることなく放置されているといわれています。

しかし、パーソナライゼーションを次のレベルに引き上げ、ビジネスを成長させるためには、データの活用が必要不可欠です。

解決方法:
ICPの構築・ジオターゲティングによって、リピーター向けにサイト内体験を最適化する

ICP(Ideal Customer Profiles・理想的な顧客プロファイル)や顧客セグメントを構築することは、Webサイトのパーソナライズを模索する際の優れた方法です。あらゆるデータポイントから情報を収集し、それに基づいて顧客セグメントやプロファイルを作成しましょう。

【図】●	54%のマーケターがページビューに基づいてターゲティングをしている ●	56%のマーケターがデモグラフィックスに基づいてターゲティングをしている ●	60%のマーケターが位置情報に基づいてターゲティングをしているWebサイト上で行われたユーザーの行動は、たとえそれが小さなものであったとしても、ユーザー体験のパーソナライズに活用できる。
※出典:WebFX

  • 54%のマーケターがページビューに基づいてターゲティングをしている
  • 56%のマーケターがデモグラフィックスに基づいてターゲティングをしている
  • 60%のマーケターが位置情報に基づいてターゲティングをしている

ツールを活用することによって、ユーザーのWebサイト閲覧データを、オファーやメッセージ、ポップアップのトリガーにすることができます。また、これらのパーソナライズされた要素にどのように反応したかを追跡し、さらなるパフォーマンス向上を目指すことも可能です。

このようなコミュニケーションと分析を繰り返すことによって、顧客重視のユーザージャーニーを構築することができ、さらには重要なオーディエンスセグメントに対して適切なタイミングでアプローチすることができるようになります。

そして、このような取り組みの継続によって、多様なニーズを持ったサイト訪問者に対して適切なパーソナライズ体験を提供できるようになり、それがCVRの向上につながるのです。

ジオターゲティングもパーソナライズ施策を強化するひとつの方法です。汎用的なランディングページを持つ代わりに、位置情報に合わせてコミュニケーションを調整したランディングページを用意します。このシンプルな方法で、潜在顧客との間にとても親密な繋がりを構築することができるのです。

例えば、Hype Digitalがあるクライアントを位置情報に基づいてターゲティングしたところ、ランディングページのCVRが大幅に向上しました。

変更点はシンプルです。「数百万もの顧客にリーチする力」という見出しを「数百万ものオーストラリアの顧客にリーチする力」へと変更しただけです。これでCVRが4.5%から7.2%まで上昇したのです。

【図】Hype Digitalが位置情報に合わせて訴求コピーをアレンジしたことで、CVRが7.2%へと改善されたことを示す図※出典:Hype Digital

【チャレンジ3】既存顧客へのパーソナライズ

課題:
コンバージョン後の顧客に対してロイヤルティを築くことができていない

サイト訪問者がコンバージョンをして顧客となった場合、訪問からコンバージョンまでの間には、顧客行動や広告グループ、ICPなどに基づいた最適な体験を提供できていたはずです。

パーソナライズをここで終わらせてはいけません。可能な限り長くブランドに興味を持ってもらい、そのなかでに素晴らしい体験を提供し続けることが重要なのです。

解決策:
ロイヤルティの高い顧客に対してアップセルやクロスセルを行い、コンバージョン後の体験を最適化する

【図】Webサイト内の行動を基にロイヤリティの高い顧客を特定し、アップセル・クロスセルの取り組みを実施することを表現した図

Webサイト上の行動から収集できるデータを活用することで、ロイヤルティの高い顧客をターゲティングすることは可能です。そして、既存のパイプラインを活用してアップセルを実現することができるようになります。

例えば、サイト検索ツールを用いれば、Webサイト内でユーザーが検索しているキーワードを把握することができます。このデータを活用すれば、あらゆる顧客セグメントに対して関心のある製品のプロモーションやレコメンドを実施することが可能です。

データを分析し、すべての顧客プロファイルをより深く理解することで、ブランドのロイヤリティを構築するための新しく刺激的な方法が見つかるでしょう。

パーソナライゼーションを深く掘り下げる

ここまで紹介してきたようなパーソナライゼーション施策をすべて上手に活用することができれば、購買意欲の低いサイト訪問者でさえ、質の高い見込み顧客へと変化させることが可能になるでしょう。ユーザーの体験をさらにパーソナライズし、より効果的なコミュニケーションを実現することで、コンバージョン・マインドセットへと導くことができるからです。

適切なツールと戦略は必要です。ツールと戦略を使いこなせば、顧客のLTV(顧客生涯価値)を向上させることもできるはずです。最終的に顧客はあなたの事業に対して長期間にわたって好意的な意見を持つようになるでしょう。パーソナライゼーションに取り組むことで、数え切れないほどの成長機会が待っているのです。

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