マッチングアプリはアプリストア内で最も収益性の高いソーシャルアプリとして変貌を遂げました。実際に収益トップのマッチングアプリの1つである『Tinder』は月間約35億円もの収益を上げていると言われています。しかし、収益性の高さから競争率も高くなり、現在のマッチングアプリ市場で成功することは非常に厳しくなっているのです。
『StoreMaven』によると、マッチングアプリの平均CVRは13-18%と言われています。つまり、82-87%のビジターがアプリストアのプロダクトページを訪れたとしてもダウンロードはしないということです。
飽和状態にあるマッチングアプリ業界で勝ち残るためには、自社アプリのクオリティを上げるだけでなく、ほかのマッチングアプリとの差別化も図る必要があります。そのためには、クリエイティブチームと連携して、ASOでターゲットユーザーを惹きつけなくてはなりません。『Storemaven』のデータによると、クリエイティブを最適化することで、オーガニックトラフィックとペイドトラフィックの両方でCVRを最大40%向上させることがわかっています。
本記事は、アプリストアを利用する5億人以上のユーザー行動を分析したことで判明した、実用的で価値のあるマッチングアプリにするためのASOのポイントをご紹介します。
マッチングアプリ業界でのアプリの位置付けを明確にする
マッチングアプリをダウンロードするユーザーは、モチベーションに基づいて2種類に分類できます。
- リレーションベース:真剣に交際相手を探すためにアプリを利用する
- カジュアルベース: 主にロマンティックではないhookups(軽い男女関係)また、カジュアルな関係を見つけるためにアプリを利用する
全てのマッチングアプリにおいて一般的に当てはまることですが、この2つの基本的なセグメンテーションを理解することで、飽和状態にあるマッチングアプリ業界の中でどのアプリが直接的なライバルとなるのか把握することができるのです。
また、検索結果表示画面で他のマッチングアプリとの差別化を図るために、どのようなクリエイティブを作ればいいか明確にすることもできます。
USP(Unique selling proposition)を定義する
バラエティに富んでいる様々なマッチングアプリの中で自社のアプリがどの位置付けにあるのか正しく理解し、アプリのUSPを定義しましょう。これはアプリストアのプロダクトページでテストするメッセージやクリエイティブに影響を及ぼします。
マッチングアプリ業界において、競争で優位に立つためのポイントは大きく2つです。
- ユーザーの好みを把握する :ユニークでニッチな特徴や興味を持つユーザーをターゲットに絞りましょう。(例 : 性別、世代、宗教、場所、ダイエットなど)
- 突出した独自のアプリ機能 :アプリ独自の特徴や機能、価値があるとより容易にDLしてもらえるでしょう。例えば『Bumble』ではマッチングしても女性からしかメッセージを送れない、『Once』では1日に1回しかマッチが提供されないといった特徴があります。
最適化されたアプリストアのクリエイティブとメッセージを通じてアプリのユニークなベネフィット (メリット) を伝える
アプリの差別化を図ったポイントに応じて、アプリストアのアセットとメッセージをUSPに合わせながら最適化しましょう。 調査によると、ほとんどのマッチングアプリのギャラリーには以下の2つの内どちらかのデザインが採用されています。
- 上図右のスタイル : アプリのスクリーンショット画面とそれを使っているデザイン
- 上図左のスタイル : アプリの一画面を表示しているデザイン
マッチングアプリはユーザーに現実と結びついた体験を提供するアプリです。アプリストアのプロダクトページをみた訪問者が、このアプリを利用することで体験できることをイメージしやすいページを作ってください。ユーザーのアプリDLにつながり、結果的に自社のアプリをブランド化することができるでしょう。
さらに、「StoreMaven」のデータによると、マッチングアプリにおけるプロダクトページの閲覧率は25%-35%もあることがわかっています。プロダクトページを作りこむことで、他の競合アプリを抑えて優位に立つことができるのです。
メインメッセージ (最も伝えたいこと) を最初に入れる
プロダクトページのスクリーンショット画面はアプリストアに訪れたビジターにどのようなアプリなのかわかりやすく示すことができる重要な要素になります。スクリーンショットをスクロールする訪問者はたった12%なので、自社アプリの特徴を捉えたUSPを一番初めに掲載するとより有効です。
上の画像のように『Hook Up Dating』はアプリタイトルとスクリーンショットのキャプションを使用することで、訪問者にカジュアルベースのアプリであることを明確に示しています。一方で、『Hook Up Dating』と比べると『Coffee Meets Bagel makes』はより短いディスクリプションとスクリーンショットのキャプション、より真剣な交際をイメージさせるグラフィックで構成されており、ターゲット層が異なることは明確です。
アプリストアページのローカライズ
ローカライズすることでアプリの可視性とCVRは向上します。
アプリをさまざまな言語に対応させるだけではなく、ターゲットにしようとしている地域で人気のあるマッチングアプリを調査し、特定することも重要です。
この過程を経ることで何をコンセプトにアピールすればいいのか、競合アプリがどのようなASOを行っているのかなど把握することができます。 (キャプションにはどんなメッセージが含まれているのか、ギャラリーではどのような方法でアプリの機能が紹介されているのかなど。)また、曖昧で文化的なニュアンスを特定することにも役立ちます。
例えばフランスやロシア、イギリスなど各国のアプリストアではそれぞれマッチングアプリに特徴があることが分かりました。
- フランス: デートでは女性が決断権を持つことが一般的です。この慣習に倣って『The AdopteUnMec』では、女性が男性を選ぶ仕組みになっています。2枚目のスクリーンショットで、実際に女性が男性を選ぶ際の画面を載せることで、どのようなアプリなのか想像しやすくしているのです。
- ロシア: ロシア人はシックな見た目のセルフィーや、意外にも猫のビデオのクリエイティブアセットなどを好む傾向にあります。『Mamba』の1枚目のスクリーンショットは女性のプロフィール写真である一方で、2番目のスクリーンショットは猫のキャラクターが手を振っている可愛らしいスクリーン画面です。
- イギリス: ターゲティングしている国の言語が様々な国で使われている言語であっても、アプリを地域に合わせてローカライズすることはとても重要です。『eharmony』のスクリーンショットにはイギリスの街並みが表示されており、英語圏の中でもイギリスのユーザーをターゲットにしていることがわかります。ローカライズすることによって、ユーザーにアプリが彼らにとって意味があるものだと認識してもらうのです。同じ言語を話しているからという理由で一括りにしてマーケティングすることは間違った認識を生んでしまう原因になりかねないので避けるべきでしょう。
アプリのローカライズをする際は、季節性を大事にしてください。 季節性もユーザーが反応する一つの要素です。夏であればユーザーは屋外の画像により反応を示す傾向にあり、冬はクリスマスに関連するメッセージを好む傾向にあります。
ASOのおすすめポイントと次のステップ
現在、世界中で何百万人ものユーザーがマッチングアプリに興味を持っています。アプリストアのページを着実にテストし最適化を行い、ユーザを惹きつけ続けることが重要です。
そこで、ASOを行う際のポイントをいくつかご紹介します。
- 最初の2枚のスクリーンショットをユーザーが一目見ただけであなたのアプリの独自の特徴が分かるものにしてください。男性のプロフィール画面をスクリーンショットに使うことで潜在的な女性ユーザーの利用を高めることができます。スクリーンショットを最適化することでCVRは28%上昇するのです。
- App StoreとGoogle Play Storeでは異なるメッセージをテストしましょう。「StoreMaven」の調査によると、両プラットフォームで同じクリエイティブを使用するとiOSのDL数を20%-30%減少させてしまうことが分かっています。
アプリストアのプロダクトページにおけるユーザーのインタラクションをモニターし分析しましょう。
- プロダクトページにおいて訪問者がアプリの動画やページをスクロールしていない場合は、ASO対策を今一度行い、ユーザーが閲覧してくれるようなデザインを考えましょう。
- ビジターがページからすぐに離脱してしまう場合はアプリ内のそれぞれの機能の最適化とオンボーディングに注力しましょう。
この記事は、Storemaven社のブログ"3 App Store Optimization (ASO) Tips for Dating Apps "を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on toremaven in English under the permission from the author.