ASO(アプリストア最適化)対策におけるスクリーンショット改善の考え方

河田 佳美
河田 佳美
2024.12.11
ASO(アプリストア最適化)対策におけるスクリーンショット改善の考え方

目次

この記事ではASO(アプリストア最適化・App Store Optimization)におけるスクリーンショット改善の考え方について解説をしていきます。「A/Bテストで負けた=良い検証ではなかった」そう思ったことはありませんか? 結論、考え方を変えれば負けた検証でも有意義なものにできます。約4年半、スクリーンショット最適化のプランニングを行ってきた私の経験や事例を基に、長期的に効果を出していくためのスクリーンショットの見つけ方をお伝えします。

スクリーンショットのA/Bテストを実施するには?

スクリーンショットのA/Bテストは「App Store Connect」「Google Play Console」ともに管理画面に備わっている機能で実施することができます。App Store Connectでは「プロダクトページの最適化」、Google Play Consoleでは「ストア掲載情報のテスト機能」を使います。

いずれも最大で現行+テストパターン3件、合計4パターンでのテストが可能です。広告とは異なり、設定できるパターン数に限りがあるため、検証の設計・質・回数がより重要になります。

検証の繰り返しによる最適解への到達こそが目的

大前提として、1回の検証で勝つ・最適化することは難しいです。テストの結果、高い効果をもたらしたパターンを残し、その後もさらに高い効果をもたらすかもしれない仮説を立てて、検証を行う……といった一連の流れを繰り返すのがセオリーであり、繰り返すことによって最適解に到達することが検証の目的です。場合によっては、ひとつの仮説のために複数回の検証が必要になることもあると認識しておきましょう。

また、検証の結果を勝ち負けだけで判断するのではなく、アタリ要素とハズレ要素の洗い出しを行うことも大事です。「勝つための検証」ではなく「アタリ要素を探る検証」を意識し、アタリ要素はなぜ当たりだったのか、逆に負けた検証におけるハズレ要素はなぜハズレだったのか、というように得られた示唆を分析し、次に繋げていくことが大切になります。

上記の内容を踏まえたうえで検証の設計を行うことが、スクリーンショットのA/Bテストにおいて最も重要です。

■良い検証設計の例

【図】分析から新たに仮説を立て次の検証に進む「良い検証設計」の例

負けたパターン・勝ったパターンそれぞれの要因や要素を分析し、立てた仮説を基に次回の検証に移ります。このサイクルを繰り返すことが重要です。

■悪い検証設計の例

【図】行き当たりばったりになる「悪い検証設計」の例

勝ったパターンにだけ注目してしまい、行き当たりばったりな検証になるのは望ましくありません。

変数となる要素を減らし、検証軸を絞ることが重要

示唆を得にくい検証の例として、失敗しがちなのが「デザインを変える」を目的に実施する「デザインや内容を現行のものから大きく変更したクリエイティブでの検証」です。

複数の要素を同時に検証しようとすると、何が影響して結果が変わったのかという比較判断がつかず、検証結果を次の検証に活かすことが難しくなります。変数はできる限り減らすことが重要です。

検証からより多くの示唆を得て次の検証に繋げるために変数を絞り、アタリ要素をひとつずつ明確にしていきましょう。

■良い検証の例

【図】良いA/Bテストの例(1回目:より訴求力の高いコピーを発見)

【図】良いA/Bテストの例(2回目:性別を絞らない訴求が良いと判明)

コピーや画像など、変数を絞ることで当たり要素をひとつずつ明確にしていきます。複数回検証を行っていくなかで、当たり要素やハズレ要素の示唆を多く出していきます。

■悪い検証の例

【図】変数が多く示唆が得られない、悪いA/Bテストの例

「デザインを変える」が目的になってしまうと、一度のテストで複数の要素を変更した結果、変数が多くなり、効果測定が難しくなります。

季節や広告など外部要因の影響も加味して設計する

A/Bテストは、テスト条件下での最適なパターンが勝ちパターンとなります。例えば、季節性や景気の良し悪し、キャンペーンの有無など、様々な外部要因によって検証結果は変わってきます。極端な話、今日の勝ちパターンは明日の勝ちパターンではなくなる場合もあるのです。広告におけるA/Bテストでは常識ですが、スクリーンショットのA/Bテストについても同様です。

そのため、季節要因を極力減らすなど、なるべく検証要素に外部要因がかかわってこない検証設計ができると、より精度の高い検証を行えます。

逆に、そもそも外部要因に左右されるか否かも軸になり得るため、季節に左右されやすいアプリ(アパレルなど)やキャンペーン等による広告流入の多いアプリの場合は、あえて外部要因を意識した検証の実施もおすすめです。

一方でスクリーンショット自体のトレンドもあります。特にマッチングアプリはトレンドに敏感な傾向がうかがえます。こういった背景から、他社のスクリーンショットを定期的にチェックすることもおすすめです。

検証を設計するための具体的な考え方とは

ここからは私自身とReproが積み重ねた知見を基に、検証を設計するための具体的な考え方をご紹介していきます。

【1】ユーザーマインドを整理する

スクリーンショットの最適化によって見込まれる改善指標はCVRです。指標を踏まえたうえで、そのクリエイティブはどんなユーザーに、どんな気持ちのときに表示され、どう行動してほしいのか、ユーザーマインドを整理しましょう。

【2】仮説を立て、影響範囲を予測する

検証の目的と整理したユーザーマインドに沿って仮説を立て、どの要素からテストを行うかを決めましょう(効果が見込めて改善できそうなポイント例:コピー、色、レイアウト etc.)。

改善ポイントの影響度が低すぎる(変数が小さい)とせっかくテストを行ったのに差がつかず判断が難しい、という結果になってしまうこともあるため、各要素の影響範囲を考えることが大切です。

【3】検証結果を分析し、次回に繋げる

最初に立てた仮説が正しかったのか間違っていたのか、間違っていた場合その要因は何なのか、しっかり分析しましょう。A/Bテストの検証結果に確信を持つためには、仮説が明確なものであり、その検証方法が適切で、外部要因の有無が認識できている必要があります。
分析の結果を基に新たな仮説を立て、次の検証に繋げていきましょう。

【図】分析の結果をもとに新たな仮説を立てて次の検証に繋げるPDCA

「改善点の見極め」「明確な仮説設定」「正しい効果検証と分析」を意識して!

前述の通り「デザインを変える」が目的になっている検証が多く見受けられますが、デザインの変更は目的ではなく手段であると認識したうえで、前のブロックで挙げた「改善点の見極め」「明確な仮説設定」「正しい効果検証と分析」を意識することが重要であると考えています。

「改善点の見極め」において大切なのは、変更することで影響が大きくなりそうなポイントを要素単位で見極めることです 。要素ごとに検証を繰り返し最適化することで、最終的に「デザインが変わる」ことになります。また、「明確な仮説設定」が「正しい効果検証と分析」に繋がります。この3つのポイントを押さえた検証の設計を行うことで、生じた結果の原因を明瞭に判断できるようになります。

A/Bテストには時間もコストもかかるので、無駄にならないよう上記を意識して進めていくようにしましょう。

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