今までブランドとパフォーマンスは全く別の戦略方法をとる傾向にありました。ブランドマーケティングは、クリエイティブとストーリー性のあるコンテンツが重要であり、長期的な戦略でブランドの成長を図ります。一方で、パフォーマンスマーケティングは、ROI(投資利益率)を最大にするコンテンツに焦点を置き、短期的な顧客の獲得ボリュームを目指します。この別々に考えられてきた手法が最近になりようやく同時に並行して考えられるようになってきました。
その理由は、メインのメディア媒体がデジタルにシフトし、デジタル広告上のエコシステムが構築されたことです。デジタルの進化により、マーケターと広告主はブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングを組み合わせ、より効果的な広告の展開が可能になりました。
デジタルとテレビの測定方法を解説し、ブランドとパフォーマンスのマーケティング戦略の今後を予想していきます。
デジタルでの測定方法の向上
デジタルでの測定は、インプレッション、クリック数、インストール数、アンインストール数をはじめユーザーが興味を持った要因を数値化して測定することが可能です。広告主の設定するKPIは様々で、KPIを達成するには鍵となるデータの測定が必須です。測定できるデータは年々向上し、その幅も広がってきています。デジタル上の一人ひとりのユーザー行動を可視化しアトリビューション分析することにより効率的にパフォーマンスをあげられる程にデジタルの測定は向上しました。
テレビでの測定方法の向上
2000年に入るまではテレビはアナログ波が使われており、テレビコマーシャルの広告はどのように効果がでているのかを測定し、ターゲティングすることは困難でした。アナログ波でのテレビ広告の測定は、GPR(グロス・パー・レート)から測定されてきました。テレビがメインのメディア媒体であった時代は、視聴者の行動を把握するだけで十分で、それだけテレビの存在は強かったのです。しかし、モバイルの普及によりテレビの視聴率は減少傾向にあります。これにより、データが重要視されてきました。
世界各国で2000年以降テレビ放送は、デジタルに切り替わりました。米国のCIMMの調査によると、デジタルテレビでの測定基本メトリクスは、インプレッションをはじめ、リーチ、頻度、デモグラフィックがペースとなって計測されています。テレビコマーシャルは、各枠ごとのGPRとオーディエンスのタイプを把握することが重要で、広告主は数値化されたデータを基に広告枠を購入しています。
テレビとデジタルを横断的に測定する方法
テレビとデジタル広告は分けて考えるべきでないというマーケティング戦略が米国では主流になってきています。両者を並行して広告することにより、広告効果が高まることは明らかです。テレビとデジタルの重複していないオーディエンスにリーチするには、デスクトップ、モバイル、タブレット、アプリ、テレビ、すべてのチャンネルのオーディエンスの測定を各プラットフォームで行うことが必要です。そして、今までは各チャンネルのデータを出し分析するには莫大なコストが掛かっていました。
しかし、米国ではこの数年でテレビとデジタルを合わせて測定できるクロスプラットフォームが各社から発表され、両者を合わせて測定することが可能になってきています。例えば、Nielsen(ニールセン)の「Cross Platform Homes」ではテレビとデジタルを横断的に測定できるシングルソースクロスメディアを提供しています。
また、NBCUから「CFlight」というブロードバンドを利用したRokuやHulu等のインプレッションを測定できるツールが近日中にリリースされる予定です。まだ課題の多い測定環境ではありますが、測定ツール企業の取り組みにより前進しています。
米国での今後について
近い将来、ビッグデータを活用してのテレビとデジタルのハイブリット測定が可能になり新しいマーケティング戦略が確立されていくことでしょう。
また、今ではまだオーディエンスが何を見ているのかを100%把握することは出来ませんが、テクノロジーの発達により誰が何を見ているのか、そして人はどこに目を追っていくのかの眼球の動きをバイオメトリクスにより測定することが可能になれば測定度は高くなり、オーディエンスにマッチした正しい広告を配信することが実現すると考えられています。
まとめ
テレビとデジタルの測定方法はこの20年のうちに大きく変化しました。メディアに関わる各社プラットフォームのデータ化がさらに細かくなり進化する流れとともに、ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングは距離を縮め一体化していくでしょう。今後広告主は、オーディエンスにマッチした最適な枠でブランドをマーケティングし、データを活用してパフォーマンスを効果的に上げる戦略が成功の鍵となるでしょう。
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