アプリやWebサービスの成長や成功度を測る指標には様々なものが存在します。このページで紹介するのはDAU(Daily Active Users)という指標。1日に何人のユーザーがアプリを利用したかを示すものです。DAUを計測する意味に加えて、指標として活用する際のポイントや注意点について、誰にでもわかりやすく、シンプルに解説しているので、ぜひご覧ください。
DAU(Daily Active Users)とは?言葉の意味と重要性
DAUとは、ある1日の間にアプリ・Webサービスを利用したユーザーの実人数のことです。
「Daily Active Users(デイリー・アクティブ・ユーザー)」の略語で、「ディーエーユー」と読むのが一般的です。なお、アクティブユーザーとは、そのアプリやサービスを実際に利用したユーザーのことです。
DAUは1日という短期的なユーザーの行動を分析するのに適した指標で、SNSやニュース系のアプリ・サービス、ヘルスケアアプリなどで重要視されています。これらのサービスは、毎日利用してもらうことによって、ユーザーに最大限の価値を提供できるものと考えられるからです。
例えば、インストールしているユーザー(登録ユーザー)の総数がそれぞれ100万人で、1カ月の平均DAUが50万人のSNSアプリAと10万人のSNSアプリBがあったとしましょう。
言い換えると、両方のアプリがともに100万人にインストールされているにも関わらず、1日の平均ユーザー数は、アプリAが50万人、アプリBが10万人ということです。この場合、明らかにアプリAのほうが成功していることがわかります。SNSという毎日起動してもらいたいアプリのジャンルであるにもかかわらず、アプリBはインストールしている人の10分の1の人しか毎日起動してくれていないことがわかるからです。
DAU(Daily Active Users)を扱う際の注意点
DAUは1日という非常に短い期間のアクティブユーザー数を測る指標です。そのため、数値の扱いに注意が必要な点がいくつかあります。代表的なものとして下記の2点について詳しく触れておきましょう。
■DAU(Daily Active Users)を扱う際の注意点
- 広告・プロモーション施策によって大きく変動する
- アプリのジャンルによってDAUは意味を持たない
【注意点1】広告・プロモーション施策によって大きく変動する
広告やプロモーション施策を実施すると、DAUは突発的に変動します。例えば、動画配信アプリで広告を配信して新規のインストールが20万件発生したとしましょう。新たにインストールしたユーザーはその日のうちにアプリを利用する(アクティブユーザーとなる)かもしれません。すると、DAUが急に10万人も増えるというケースが考えられるのです。
ただし、新たなアクティブユーザーが継続してアプリを使用し続けてくれるとは限りません。DAUが急激に増大する日があったとしても、長期的に見たときに必ずしもアプリの利用者が増えたとはいえず、別の指標と組み合わせて監視する必要があります。
【注意点2】アプリのジャンルによってDAUは大きな意味を持たない
アプリのジャンルによってはそもそもDAUを重要視すべきかという論点もあります。例えば、賃貸住宅を探せる不動産アプリをイメージしてみてください。不動産アプリは、引越しを考えているときだけに必要とされるものです。毎日起動して利用してもらうことに大きな意味はありません。
このようなアプリでDAUの増減を強く意識する必要はあるでしょうか。アプリの利用頻度に合わせて、後述するMAUやWAUをKPIとして採用したほうが適切といえるでしょう。
MAU・WAUとの違いと使い分け
DAUと似た指標に、MAU(Monthly Active Users)、WAU(Weekly Active Users)とうものがあります。
MAUは1カ月間のアクティブユーザーの実人数を示したもの、WAUは1週間のアクティブユーザーの実人数を示したものです。計測期間に合わせて、DAU(1日・デイリー)、MAU(1カ月・マンスリー)、WAU(1週間・ウィークリー)と指標が用意されているわけです。
期間ごとに指標が存在するのは、アプリやサービスのジャンル・特性に応じて重要視すべき指標が異なるからです。前述したように1年のうちの数カ月間だけ必要性が高まるようなアプリでDAUを監視しても大きな意味はありません。MAUを基に施策を立案したほうが適切でしょう。
それぞれの指標と重要視すべきアプリ・サービスの対応を下記にまとめたのでおぼえておくとよいでしょう。
- DAU
SNS、ニュース、ヘルスケアなど、毎日利用することによって価値を提供するアプリやサービス
- WAU
マンガ・雑誌、動画配信など、ユーザーのニーズが1週間ごとに高まることが想定されるアプリやサービス
- MAU
不動産、金融、ツールなど、ユーザーのニーズが1カ月以上のスパンで高まることが想定されるアプリやサービス
ユーザーからの愛着度を示すDAU/MAU比率
DAUに関する指標として、もうひとつぜひ覚えておきたい指標があります。それが、DAU/MAU比率です。これは言葉の通り、DAUをMAUで割ったものを割合(%)で示したもの。
仮に、MAUが50万人で1カ月の平均DAUが10万人のアプリがあったとしましょう。このとき、DAU/MAU比率は20%です。これは、そのアプリのアクティブユーザーのうちの20%が毎日利用してくれていること、または、50万人のアクティブユーザーが、1カ月のうちの20%の日数(6日間)、アプリを利用してくれたことを意味します。
計算してみるとわかるのですが、DAU/MAU比率が100%になる場合は、アクティブユーザー全員が毎日そのアプリを利用したことになります。つまり、DAU/MAU比率はアプリに対する愛着度を示しているのです。
DAUを意識しなければならない、毎日利用することで価値を発揮するアプリやサービスにおいては、ぜひKPIとして設定しておくべき指標といえます。