ノウハウ0でも勝ちパターンは見つかる!モバイルファクトリーが行なった3つのこと

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2017.11.29
モバイルファクトリーが行なった3つのこと

目次

本記事は、2017年11月29日に開催した「「LEVEL Apps」先行企業に学ぶゲームアプリのグロースハック!」での発表内容を元にしたイベントレポートです。

国内スマホゲーム市場が成熟期に入っている昨今、ただ良いコンテンツを作れば売れるという時代は終わり、多くの良作タイトルがユーザー獲得や収益化に苦戦しています。『ステーションメモリーズ!』のご担当者様に自社アプリのノウハウをお話していただきました。

活用状況を10の項目で確認|アプリのプッシュ通知チェックシート

自己紹介と事業の紹介

株式会社モバイルファクトリーの中山と申します。『ステーションメモリーズ!』のシニアディレクターを担当しています。

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『ステーションメモリーズ!』はスマートフォン端末の位置情報を利用し、実在する鉄道駅を集めてまわるというリアルとバーチャルの両方の楽しさを盛り込んだカジュアルゲームです。

ノウハウ0の背景

当初は運営とプッシュ通知などを配信するプロモーションの二つのチームに分かれており、私は運営側のチームに所属していました。途中、事情があってプロモーションも運営チームが管轄することになったのですが、そもそもゲームの運営とプロモーションは別軸であるため、プッシュ通知などプロモーション施策に関しての知識はほぼ皆無です。

それまでは、新規ユーザーのリテンション対策を目的として既存のプッシュ通知の配信を行なっていたようですが、運営チームは主にゲーム内のことに力を注いできたため、ゲーム外のことについてはほとんど意識していなかったのです。

着想が違いすぎて何から取り組めばよいのかわからない。とりあえず、全てを0から改め直すことにしました。ここからが“本当のスタート”だったのかもしれません。

最初の心がけと取り組み

社内のグロースハッカーから話を聞いたところ、プッシュ通知のみで必ずしも想像通りの効果が得られるわけではないことがわかったので、成功事例とは逆の、効果がないパターンや失敗するケースを探すことから着手しました。 いったん思考を0にして「プッシュ通知は結局手段の一つである」と割り切り、まずは分析をして結果を見て確かめよう、と。

何かしらの効果はあるかもしれませんがプッシュ通知の活用が最たる目的ではないので、わからないならば無理に活用せず、別の方法を探して実行してみよう。そして、効果がなければ中断して別の方法を考え試そう。 失敗したらすぐ手を止めて、「次はこれに挑戦しよう」と思えるネタを探しながら取り組みました。落ち込まない、そして無理に挑戦はしない。自分たちのペースで最適化を見つけるように進めていきました。

事例.1 プッシュ通知のパーソナライズ

分析するうちに、プッシュ通知は同じ内容を全員に一斉送信するのではなく、ユーザー一人ひとりに合わせてパーソナライズすることが重要だとわかったので、各々のユーザーに関係した内容のメッセージに改変しました。 運営チームはゲーム内のことを全て把握しているので、それに合わせたプッシュ通知を作ることにしたのです。

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まずは初期キャラクターに応じてプッシュ通知を分けました。 新規登録時のキャラクターはユーザー自身が能動的に選択をするため、ユーザーの行動に施策を合わせた方が、よりパーソナライズできるのではないだろうか。 この仮説のもと、選択したキャラクターに応じて3パターン、20通りのプッシュ通知を作って配信した結果、開封率はやや改善したものの、リテンションへの影響はほぼありませんでした。

事例.2 ゲームの進行のパーソナライズ

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加えて、ユーザーの行動に合わせたメッセージも表示させました。3キャラクターに対してそれぞれ10通り程度のアプリ内メッセージを作りましたが、その時に実施するキャラとしないキャラの2パターンを作って、どんな変化が現れるのか。 すると、実施したキャラのみに僅かながらもリテンションの増加が見られたのです。条件を逆にして未実施のキャラで試した時も、同様の結果が得られました。

「そんなの当たり前」を調べる

「これはやった方が絶対良い、こんなのは常識だ」という話をよく耳にします。 しかしそれは本当に正しいのでしょうか…?全てのアプリに当てはまるのか…? とくに『ステーションメモリーズ!』は他のゲームとは毛色が異なるので、一般的・常識と言われるものが本当に当てはまるか、検証して確かめていく必要がある。 そこで「絵文字を使った方が良い」「リッチプッシュ通知を使った方が良い」など、世間的に「そんなの当たり前」と思われているものは『ステーションメモリーズ!』にも同等の効果をもたらすのか、試せるものを全て試しました。 * 「〇〇がもらえる!」というメッセージ 『ステーションメモリーズ!』は位置情報を活用したゲームアプリなので、特性上、対象地域から距離的に遠いユーザーも多くいることが懸念でした。しかし、なんとこの施策が一番プッシュ通知の開封率が高いという結果に。 * 絵文字を使った方が良い? ゲーム内では絵文字を一切使用していなかったので、絵文字があることでユーザーの反応が変わるのかが、わかりませんでした。絵文字を入れたメッセージの検証を20~30回繰り返したところ、絵文字がある方が効果的であるとわかりました。 * リッチプッシュ通知 画像を作るフローはないし、費用対効果があるのかわからない…。とりあえずやってみようと実施してみると、費用対効果に見合うことがわかりました。

全てにおいて「そんなの当たり前」を実感する結果に。 いずれの施策も効果が見られたため、ノウハウとして運用フローに取り入れました。

施策を理解して手段を選択する

次に、施策に合わせたセグメンテーションを行いました。 不要な情報がこまめに届くと邪魔に感じるし、アプリそのものをアンインストールしたくなるという実体験がありましたので、不要なメッセージをなるべく送らないために、内容に合わせて対象者を選ぶことにしました。 この時に気を付けたことは以下の2点です。

1.数字に少し差があるだけで喜ばない

プッシュ通知の配布率をAとBで比較した場合、たとえ僅かな差でも「Bの方が良い」という見方をしてしまうことがあります。これは本当に正しいのかどうか、統計的に判断しました。

2.外部の要因を考慮する

リテンションなどはプロモーションの媒体によって結果が大きく左右されますが、期間中のバラつきなどには注意しながら検証します。ユーザーの多くは土日休みなので、お出かけがしやすく、実際に利用率も高い。ですので、土日に流入した新旧ユーザーは元々リテンションが高かったりします。

施策を理解する

闇雲にセグメント化して、一部のみにアプローチをしても効果はわかりません。AだけにXを送り効果が見られたとしても、A以外にも同じ結果が出るかもしれない。施策を理解し、効果がある対象とない対象の差異を見つけることがセグメンテーションをする上で一番大事なことです。 アイテムセールをする場合、対象者は誰になるのか。セールでアイテムを買ってくれる人と買わない人はそれぞれどういう人なのか。 このように、実施しようとしている施策に対して、それを実行する人としない人で分ければ、簡単にセグメンテーションすることができます。

事例.1

プッシュ通知の開封率の内訳を見てみると、文言を工夫やリッチプッシュ通知の対応をしたのになかなか改善されていない。であれば、どこに問題があるのか、調査して原因を突き止めなくてはなりません。そこで、開封する層と開封しない層にユーザーの特性に違いがあると考え、全体に送っていたプッシュ通知をいくつかのセグメンテーションに分けて送り、その差について比較しました。

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結果は全体に送ったキャンペーン2の開封率は約10%でコンバージョン率は約0.6%。そこで、ほぼ同じ内容のキャンペーン1を、A,B,Cと対象を3つに分けて配信したところ、開封率に明確な差が見えました。全く同じ内容を送っているはずなのに、AとBで比較するとその差は歴然です。BとCは半分ほどが開封されている。そこで、どんな人が開封していないのかを調べた上で次のアクションを考えます。

ただ全体に送り続けるだけでは誰が開封していないのかがわからないため、まずはセグメントに切り分ける必要があります。そこで着目したのは、有償ユーザーと無償ユーザーの開封率の差。無償ユーザーにはアイテムのセール情報(有償)を送ってもほぼ意味がないので、誰でも参加可能なイベントの招待など、有用と想定される別の情報を送りました。

事例.2 プッシュ通知でできること/できないことを意識する

一時期、休眠ユーザーのカムバックを狙っていた時期がありました。しかし、全体に向けて定期的に配信していた通知では全然改善されない。その理由を調べると、実は開封するユーザーはいつも同じ人たちのみで、31日以上離脱しているユーザーにはほとんど効果がないことがわかったのです。

ユーザーがアプリを沢山入れていれば、プッシュ通知が連日山のように送られてくるのでどんどん流されてしまう。だったら、アプリアイコンを変え、且つ変えたタイミングでプッシュ通知を送った方がユーザーに目に付くのではないか。そう考えてゲーム内で人気のキャラクターにアイコンを変更、休眠復帰対策のプッシュ通知を実施しました。 変更後のアイコンは多くのユーザーが初期に選択する人気キャラクターだったため、新規ユーザーにもある程度刺さり、休眠ユーザーには変更後のイメージを想起させることができたようです。

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赤い枠で囲っている部分がアイコンを変えた日です。アイコンの変更で大きなインパクトを与えることができたのか、変更直前と比べてカムバックが4倍以上にアップ。31日以上の休眠にも効果があり、1年振りにアプリに戻ってきたユーザーもいました。 プッシュ通知単体だった場合、こんなにインパクトを出せなかったんじゃないかと思います。

まとめ

1.最初の心がけと取り組み

プッシュ通知は結局のところただの手段でしかないので、活用するには事前に検証することが大事です。ユーザー属性による差を見極めることが大事であり、立てた仮説を検証し結果を得るための手段として使いましょう。

成功しなくても当たり前なので、とにかくなんでもやってみること。「それで効果はどうだったの?」と上司から結果報告を求められることがあるかもしれませんが、とにかくひたすら数を打つ。そこで効果が出なかったら「効果がなかった」と説明をした方が、今後のアプリの成長に結びつくはずです。

2.「そんなの当たり前」を調べる

世間的に当たり前だと言われていることであっても、自社のアプリに本当に該当するのかは実際に確かめてみないとわからないものです。プッシュ通知の開封時間が上がるタイミングには色々な事例がありますが、『ステーションメモリーズ!』は、午前中などの早い時間に開封率が上がることがわかりました。これも、自社のアプリの特性によって違いがあるはずです。

3.施策を理解して手段を選択する

施策を理解した上で手段を選択しましょう。プッシュ通知はセグメンテーションを理解し、無理をせずに切り分けて効果を確かめることが大事です。

※本記事は2017年11月29日時点の情報です。Repro株式会社または掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。

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