2025年5月1日から5月7日(日本時間)までに起きた、アプリマーケティングに関する世界のニュースをピックアップして紹介します。この1週間はアプリのマネタイズ、エコシステムの常識が覆るようなニュースも飛び込んできました。Appleのアプリ外課金に関するApp Storeガイドラインの改定です。そのほか、「Netflix」のUI変更やプッシュ通知のパフォーマンスに関する調査結果などをまとめてお届けします。
※本記事での日時の記載はすべて現地時間です。
Appleがアプリ外課金に関するApp Storeガイドラインを改定
2025年4月30日、Epic GamesとAppleが係争中のiOSでのアプリ外課金規制について、画期的な命令が発せられました。アプリ外でのコンテンツ購入に関する誘導を許可することを命じ、さらにアプリ外決済に対して27%の手数料を課すことも禁じたのです。
この命令を受けてAppleはApp Storeのガイドラインを改訂。「Kindle」「Spotify」「Patreon」などは、すでに新ガイドラインに対応し、アプリ外課金に対する誘導やその準備を始めています。
なお、新たなガイドラインは現時点でアメリカ国内のみに適用されており、さらにAppleが裁判所命令に控訴しているため、恒久的なものになるとは限りません。アプリのマネタイズに大きな影響を与える話題なので今後も注視してください。
■Kindleが実施したガイドライン改定への対応
Kindleではコンテンツをシームレスに購入できる「Get book」ボタンがすでに追加されている。
※画像引用:Amazon now has a ‘Get book’ button in its iOS Kindle app
Netflixが検索機能に生成AIを導入、縦型フィードのサポートも
2025年5月7日、「Netflix」がテレビアプリ、モバイルアプリのUI刷新と機能追加について発表しました。モバイルアプリについては生成AIを活用した自然言語検索機能が導入される予定で、iOSでのβ版からスタートします。
さらにコンテンツを縦型動画形式で表示したフィードUIも発表。近年、全世界で縦型ショート動画が流行しています。Netflixのコンテンツが現時点で縦型動画になるわけではありませんが、コンテンツを探すという体験に大きな変化が訪れそうです。Netflixが独自に縦型動画に注力していく布石と見ることもできるかもしれません。
■Netflixの生成AIを用いたコンテンツ検索
「楽しくて元気が出る作品が見たい」といった会話形式でコンテンツを検索できる。
※画像引用:Unveiling Our Innovative New TV Experience Featuring Enhanced Design, Responsive Recommendations and a New Way to Search
■Netflixの縦型動画形式のフィード
短尺コンテンツのクリップを縦型動画で表示するUI。スクロールしながらコンテンツを探せる。
※画像引用:Unveiling Our Innovative New TV Experience Featuring Enhanced Design, Responsive Recommendations and a New Way to Search
GoogleがAndroid Studioの最新安定版「Meerkat Feature Drop」をリリース
2025年5月6日、Googleは「Android Studio」の最新安定版「Meerkat Feature Drop(2024.3.2)」をリリースしました。「GeminiによるAI支援機能の強化」「Jetpack Compose開発の改善」「Kotlin Multiplatform(KMP)対応の強化」など、多数の強化・改善が実施されています。
Pushwooshがプッシュ通知のパフォーマンス調査を発表
2025年5月1日、Pushwooshがプッシュ通知のパフォーマンス調査の結果を公開しました。600以上のアプリの2025年第一四半期のデータが対象。「Eコマース&リテール」「フィンテック」「フード&ビバレッジ」「アクションゲーム」「ハイパーカジュアルゲーム」「メディア&エンターテインメント」「ニュース」の7カテゴリの調査結果が公開されています。
■「Eコマース&リテール」カテゴリのプッシュ通知許諾率
※画像引用:Push notification benchmarks (from Pushwoosh 2025 study)
■「Eコマース&リテール」カテゴリのプッシュ通知のCTR
※画像引用:Push notification benchmarks (from Pushwoosh 2025 study)
DoorDashがDeliverooを約38.6億ドルで買収へ
2025年5月6日、アメリカの大手フードデリバリーサービスである「DoorDash」が、イギリスの競合サービスである「Deliveroo」を約38.6億ドルで買収することに合意したと発表しました。2022年には「Walt」の買収も実現しており、グローバル戦略がさらに明確になった形です。
英ガーディアン紙がアプリを大幅リニューアル
2025年5月7日、ガーディアン紙がアプリの大幅リニューアルを実施。注目は「My Guardian」タブの刷新で、トピックや著者のフォローができるようになり、よりパーソナライズされた体験が提供されます。各種テクノロジー、レコメンドによる情報接触の自動化、個別化が進んでいる昨今ですが、ユーザー自身の手が加わることで、関心のあるテーマによりアクセスしやすくなります。
記事のテキスト読み上げ機能が導入されたほか、「ポッドキャスト」タブも追加。新聞を「読む」のではなく、「聞く」体験が提供されるようになりました。
■Guardianアプリのリニューアル後のイメージ
パーソナライズと音声コンテンツへの注力が明確になった、GuardianアプリのUI。
※画像引用:The Guardian unveils new mobile app and major homepage redesign
Spotifyがポッドキャスト再生回数の表示機能を導入
Spotifyは2025年5月6日に、ポッドキャストエピソードの再生回数を表示する新機能「Plays」の導入を発表しました。再生回数はホーム画面、エピソードページなどに表示されるほか、クリエイター向けの分析ツールにも表示されます。
Spotifyはポットキャスト領域でYouTubeへの対抗方針を明確にしており、ユーザー、配信者双方のエンゲージメントを高める狙いがあると考えられます。ポッドキャストは、日本国内ではメジャーなチャネルとして認識されていませんが、音声コンテンツの再評価が進んでいることを頭に置いておいてもいいでしょう。
■Spotifyに実装された再生回数表示機能「Plays」
ユーザー、配信者双方のエンゲージを高める目的のほか、音声コンテンツでの収益増大が背景に見える。
※画像引用:Spotify Introduces Plays, a New Way To See What Content Is Resonating With Podcast Fans